自民党総裁選候補による討論会を、あちこちのメディアや日本記者クラブが開いている。中身をみると自民党のレベルの低さにあきれる。
河野太郎は賃金の低い雇用者のために副業を認めるよう、企業に働きかけるという。朝から晩まで働かなければ、国民が文化的生活を送られないというのはおかしい。一時的に徹夜徹夜で働いたこともあるが、これが続けば、体や心は てきめんに壊れる。株主や経営者の取り分が多すぎるのが問題である。
《 日本国憲法 第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
○2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。》
岸田文雄の「核燃料サイクルを止めると外交問題になる」は問題発言である。他候補や記者が誤りを指摘すべきである。現在、他国から批判されているのは、核兵器の原料となるプルトニウムを日本が保有していることである。
プルトニウムの保有が国際的に問題となる前に、日本は使用済み核燃料の再処理をイギリスなど海外に依頼し、そのプルトニウムが日本にいま保管されている。これが問題であって、青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理を早く稼働させろ、と要求されているわけではない。逆に、再処理工場が軌道にのれば、核兵器の原料となるプルトニウムがもっと溜まることになる。
一時、プルトニウム燃料による発電が可能かもしれないと思われた時代があって、そのとき、日本がプルトニウムを保有することが特別に認められた。全世界的に、プルトニウム燃料による発電が技術的に困難であることがわかり、実用炉が諦められた現在、日本のプルトニウム保有が核兵器の不拡散に関する条約(NPT)に抵触すると国際的に見られるようになった。
現在は、使用済み核燃料からプルトニウムを分離しないまま、廃棄するのが原則である。純度を上げなければ、半減期が極度に長いプルトニウムは放出する放射線量も低く、暴発の可能性もなく、安全である。(重金属だから化学物質としては人体に有害である。)わざわざ、再処理して、危険なプルトニウムを取り出すことはない。
また、使用済み核燃料の問題は、ウランを燃やすことでできる半減期が数十年から数百年の放射性物質の処分である。これらは積極的に放射線をだし、危険であるので隔離しなければならない。現在、この処分は決まっておらず、一部は六ケ所村に、一部は各地の原発敷地内にたまっている。この問題は、再処理工場の稼働では解決できない。
原理的に、原発行政は行き詰っており、ドイツ政府が選択したように、脱原発しかない。岸田文雄の現状認識はまちがっている。
岸田文雄は、菅政権が「楽観的見通し」を説明しないことが問題という。こんな人が日本の首相になったら、道を誤って、みんな困るだけである。岸田は頭のなかが空っぽである。
討論会では台湾問題も言及された。
台湾問題は確かに難しい問題であるが、日本が中国と軍事的に戦う問題でもない。中国は台湾に軍事的攻撃をかける可能性はゼロでないが、現在、中国政府がとっているのは経済的に台湾を孤立させようという政策である。台湾と日本との経済的依存関係を強めるとか、WHOなどの国際機関から台湾が閉め出されているが、台湾の復帰を支援するとか、やるべきことがいっぱいある。
高市早苗の「抑止力の保有」にくみできない。河野太郎の「したたかな外交を繰り広げる」のほうがずっとましである。
総裁選候補の討論会をみるかぎり、菅義偉総裁がこの4人の誰かに代わっても、ますます、みんなの生活が貧しくなるとしか思えない。
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