11月22日、けさの朝日新聞に国際刑事裁判所(ICC)がイスラエルのネタニヤフ首相とガラント前国防相、ハマスの軍事部門トップのデイフに戦争犯罪や人道に対する犯罪の容疑容疑で逮捕状を出したとある。
多くの人にこのニュースを共有していただきたい。
国連のUNRWAは、昨年の10月7日以降、イスラエル軍が4万4千人のパレスチナ人を殺害したと言っているが、私は、関連死を含めば50万人を超えているだろうと思っている。
その前日、TBSの「報道1930」でも、イスラエル政府と軍が、パレスチナ人がいない、人間の皮を被った獣(けだもの)だと、意図的に子どもや民間人を殺し、アイデンティティとなるものを破壊し、ジェノサイドを計っていると報道した。(YouTubeでも報道が見れる)
とくに、衝撃的だったのは、パレスチナ人抹殺をイスラエルの若者たちが熱狂的に支持していることだ。彼らは、実際にガザでパレスチナ人を殺しており、ヨルダン川西岸でもパレスチナ人を非人間的扱いしている。彼らはイスラエルが占領した地を、疑問を持たずに、与えられた当然のものと思っている。
「人間の皮をかぶってる獣」というのは、日本の第2次世界大戦中、アメリカ人イギリス人を「鬼畜米英」と言っていたのと通じる。
当時の日本人、教養ある人々までが、そう言ったのは、西洋文明に対する劣等感と日本書紀、古事記などによる民族主義教育から来るものであった。
イスラエルの場合は、イスラム諸国に囲まれている中で1948年に武力でイスラエルを建国したということからくる不安と自信、ヘブライ語聖書の「モーゼの五書」や「ヨシュア記」などによる過度な民族主義教育の結果によるものである。
「モーゼの五書」の1つ創世記15章18節には、つぎのようにある。
בַּיֹּ֣ום הַה֗וּא כָּרַ֧ת יְהוָ֛ה אֶת־אַבְרָ֖ם בְּרִ֣ית לֵאמֹ֑ר לְזַרְעֲךָ֗ נָתַ֨תִּי֙ אֶת־הָאָ֣רֶץ הַזֹּ֔את מִנְּהַ֣ר מִצְרַ֔יִם עַד־הַנָּהָ֥ר הַגָּדֹ֖ל נְהַר־פְּרָֽת׃
(こうしてその日、主はアブラムと契約を結んで言われた。「あなたの子孫にこの地を与える。エジプトの川からあの大河ユーフラテスに至るまでの。」
じっさい、イスラエルの政党の中には、レバノン、ヨルダンを併合せよ、と唱える政党もある。
ヘブライ語聖書は、本当は宗教書ではない。ユダヤ人が古い歴史を持つと見せかけるために、紀元前6世紀から1世紀にかけて、雑多な文章を寄せ集めたものである。内容には統一性がない。その当時、字を読めるものが少なかったから、内容よりも、分厚ければ分厚いほど良かった。それが、キリスト教が紀元後3世紀ころから旧約聖書として尊重したから、ややこしくなった。「ヨシュア記」などには、約束の地を勝ち取るために、敵を殺せ、内通者以外はすべて殺せしかない。
キリスト教の指導者のなかには、旧約聖書を聖書から外そうとした者もいた。
日本でも、イスラエルでの留学経験のある考古学者、長谷川修一は、ヤコブの時代にラクダがいなかった、イスラエル民族のエジプト脱出はなかった、古代イスラエル統一王朝はなかったなど、ヘブライ語聖書は作られた物語で歴史的事実でないと言っている。そして、彼は日本の歴史教科書からヘブライ語聖書にもとづく記述を排除すべきと言っている。
このような歴史に反するいろいろな旧約聖書の問題点を、欧米の聖書研究者も言及してきた。
イスラエル政府やイスラエル軍はヘブライ語聖書の都合の良い部分を民族教育に使っている。
バイデン政権は、イスラエル政府の軍事路線やユダヤ至上主義を抑え込めなかった。アメリカがイスラエルへの軍事援助を止めれば、イスラエル政府と国民の暴走を抑えることができた。トランプ政権がはじまっても、事態が改善される見込みはない。アメリカの若者やユダヤ知識人がイスラエルの暴虐に反対していることが、わずかな希望である。