三橋貴明氏ブログより
さて、最近は有名になって参りましたが、安倍総理の執務室には「日経平均のチャート」が置かれています。総理が「日経平均至上主義」に陥っているという批判は、別に誹謗したいわけでも何でもなく、単なる事実なのです。
『「クジラ買い」の爆発力 公的マネー、需給に大変化
http://www.nikkei.com/markets/column/scramble.aspx?g=DGXLZO8426008011032015EN1000
前日の米株安を物ともせず、11日の日経平均株価は反発した。誰がつけたか、公的マネーを指す「クジラ」が影響力の大きさを見せつけた一日となった。(後略)』
クジラ買いとは何のことかと言えば、巨額の「買い」を入れてくる日本の公的機関などの機関投資家になります。具体的には、GPIF、共済、かんぽ生命、ゆうちょ銀行、そして「日本銀行」という五頭のクジラです。要するに、公的マネーが株式市場につぎ込まれ、現在の株高が演出されているという話でございます。
UBS証券によると、五頭ののクジラの買い余力は、以下の通りです。
・GPIF 7.1兆円
・共済 3.4兆円
・かんぽ生命 3.4兆円
・ゆうちょ銀行 10.3兆円
・日本銀行 3兆円
ちなみに、日本銀行の「株式購入」は、個別の株を買っているわけではありません。上場投資信託(ETF)を買っているのです。
さて、話は青木先生の講義に戻りますが、現在の日本銀行のインフレ目標及び金融政策は、
「インフレ率(コアCPI)が2%に達するまで、量的緩和を続ける」
と、硬直的なコミットメントに基づいている点が「危険」であると解説して下さいました。
その通りだと思います。わたくしは(青木先生も)量的緩和を「やめるべき」とは全く思っていません。逆に、現時点で量的緩和を終了すると、先日のスイス国立銀行のような有様になり、かえって危険だと思います。
とはいえ、硬直的なコミットメントに基づく量的緩和もまた「危険」なのです。理由は、現実に量的緩和を拡大しているにも関わらず、コアCPIは直近で対前年比0.2%上昇に過ぎず(間もなくマイナスに落ち込むでしょう)、おカネを「モノやサービスの購入=GDP」に導くルートが確立されない限り(つまりは、財政出動が十分な金額分、実施されない限り)、インフレ目標はいつまでたっても達成されないためです。
期待インフレ率により、現実のインフレ率を引き上げるという「岩田理論」は、実験失敗に終わりました。
このまま、金融政策偏重の政策を続ける場合、日本銀行はインフレ率が上昇しない中、ひたすら金融市場から国債を購入し、日本円を発行し続けなければならないことになります。やがては、近い将来に「銀行の国債が尽きる」日が視野に入ってきます。
ところが、何しろ「インフレ目標2%達成まで、量的緩和を継続する」というコミットメントがあるため、日本銀行は銀行から国債を買えなくなっても、金融市場からの債券購入と日本円発行(同じ話ですが)を継続しなければなりません。
というわけで、将来的に日本銀行が「コミットメント」により、
「ETFの買い取り額を増やしていく」
という状況に陥る可能性が濃厚なのです。何しろ、日本銀行の量的緩和は月に数兆円規模です。買入余力が数兆円といった話ではないのです。
結果的に、日経平均はひたすら上昇していく反対側で、国民の所得が一向に増えないという「日経平均と実質賃金の乖離」が拡大していくことになります。その先は、果たしてどうなるのでしょうか・・・・?
分かりません。
いずれにせよ、日本銀行は量的緩和について、コミットメント方式から、
「機動的な量的緩和」
に政策を変更するべきというのが青木先生のご主張で、わたくしも全面的に賛成いたします。
期待インフレ率により、現実のインフレ率を高めるという「実験」が失敗に終わった以上、量的緩和政策についても「より、柔軟なスタイル」に改めるべきなのです。
◎上記は三橋貴明氏のブログ転記です。
感想・・・・日本政府が株式市場を吊り上げる先鋒になっていることがわかります。
上げ上げになっているときは良いですが・・・株価急落・・・株暴落になったらと思うと・・・・そら恐ろしい!!