弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官になった竹内浩史のどどいつ集

「SNSを 控えよ」通知「機密指定」は 何のため?

2024年12月16日 18時30分33秒 | 裁判
年末が近づくと飲酒・外出の機会が多いからと、交通事故・交通違反等に注意喚起する通達が、お上から発せられる。
正直なところ、裁判所職員は子どもじゃあるまいしと毎年呆れている。
特に今年はこれに一段落が加わっているのが目についた。
「ソーシャルメディアを利用するに際し、職場や職務に関わる情報を扱う場合は、その内容によっては、国家公務員法上の守秘義務に抵触する可能性があるほか、守秘義務に抵触しない場合でも、事件関係者を侮辱したり誹謗中傷したりするような内容が含まれていれば、同法上禁止されている信用失墜行為に該当することもありますので、この点に十分留意してください。」
その当否はともかく、なぜこの内容に「機密性」があるのだろうか。
その過剰な秘密主義が、最高裁の信用失墜行為になっていることをそろそろ自覚すべきだろう。
人事局長も子どもじゃないんだから。

「裁判官ガチャ」対「後出しジャンケン」国には勝ち目が 無さそうな

2024年12月15日 12時35分42秒 | 裁判
最近よく「裁判官ガチャ」と言われる。裁判官の当たり外れが激しい事への不満である。
ただ、全国数千人の裁判官の誰かがその事件を原則として一人で担当しなければならず、担当裁判官はなるべく偶然に決まる仕組みにしているので、ハズレたと思っても、ある程度は我慢していただくしかない。その程度の不満で「裁判官忌避」を認めたら、裁判制度が成り立たない。
裁判官は、所属裁判所で事件番号順に配点され、たまたま当たった事件を担当するだけである。裁判官もその事件がやりにくいとか、嫌だからなどという理由では「裁判官回避」は許可されない。
そもそも、裁判官がその裁判所にいること自体が、多くの場合は偶然であり、最高裁の異動内示に応じたにすぎない。巨大なルーレットの玉として、全国津々浦々を回されているようなものだ。

しかし、よく考えてみると、国は、もしやろうとすれば、担当裁判官を選ぶ事ができる。
国の司法権を代表する最高裁は、重要な事件が係属している裁判所・合議体の後任裁判長や、全国の高裁の裁判長を決める権限を握っているのだから、国の行政権すなわち内閣を代表する法務省と協力して、
「人事を尽くして必勝を待つ」
という戦略が可能である。

特に、古くから日弁連を初めとする世論から問題視されている「判検交流」は、そのような必勝戦略の重要な一部として悪用されているのではないか、国民の絶えざる監視が必要であろう。
私としては、名古屋地裁民事第1部(労働事件集中部)の次期裁判長人事からは目が離せない。
名古屋の労働弁護士・経営法曹にとっても、死活問題かも知れない。

プレーボール!と 本邦初の 審判「自戦 解説会」

2024年12月14日 17時50分39秒 | スポーツ
今夜は、伊藤塾東京校「明日の法律家講座」第357回の講師として登場。
塾生でなくても無料で、YouTubeでも見られるので、会場に来られない方々も是非ご高覧を。
ただし、この講座はアーカイブ配信をしない方針ということで、リアルタイムでしか見られない。
6時30分から8時頃まで。
自分で言うのも何だが、必見の題材を準備した。
これで大小十指に余る会場を巡って来た今年の講演会は打止め。
弁護士任官して以来、二十余年の裁判官生活の総括をするのに、相応しい場を与えていただいたことに感謝。

https://www.itojuku.co.jp/itojuku/afterpass/kouenkai/tomorrowlaw/bn/tokyo357.html

裁判官の 評価と昇給「所長が決める」と ミスリード?

2024年12月13日 08時24分11秒 | 人事
昨日の衆議院法務委員会の審議から。
先日の総選挙で初当選した篠田奈保子議員を初め、立憲民主党などの弁護士3人を含む議員が質問に立ち、裁判官報酬法・検察官報酬法の改正案について活発な審議が行われた上、可決された。
質疑で救われる思いがしたのは、ほとんどの議員が、裁判官については人事院勧告にこだわらず、もっと昇給して待遇を改善すべきという論陣を張ってくれたことだ。

衆議院インターネット審議中継
https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=55424&media_type=

それにしても、三権分立との関係で、現職裁判官である最高裁人事局長らを答弁に立たせることは、あまりにもリスクが高くないだろうか。
万が一にも虚偽答弁があれば、責任を問われ、最悪の場合、国会議員で構成される裁判官訴追委員会に訴追され、裁判官弾劾裁判所で罷免される可能性もある。
裁判官についてもボーナスや昇給の査定を広げるべきと主張した「日本維新の会」の議員の質問にあったように、裁判官人事評価書の作成のみならず、裁判官の昇給をも地家裁所長が決めているかのように誤解させる答弁をすれば、高裁の意見を聞いて最高裁裁判官会議で決めている旨の、私の裁判における国の答弁書の記載(写真)と矛盾を来たしかねない。
人事ながら、大丈夫だろうかと心配する。
最高裁事務総局の裁判官は全員、裁判をしていないのだから、トップの最高裁事務総長と同様、裁判官の身分を離れて裁判所事務官に転官しておいた方が無難であろう。

成香みたいな「今年の漢字」金、金、金、金、またも金

2024年12月12日 22時40分19秒 | 将棋
【今年の漢字】揮毫された文字が「達筆すぎて読めない」と話題に。2024年に選ばれたのは?

https://news.yahoo.co.jp/articles/a13b43413759ce850049f9b09e576c69c954ba1c

実に5回目の「金」。
マンネリにうんざり。
投票者多数にセンスが無さすぎる。
もっと捻りなさい、捻りなさい。

もっとも、今回の揮毫の「金」は将棋駒の「成香」の字に似ている。
それならば、将棋盤で右上隅の「1一」から盤外の「0〇」に進んだばかりの私の「成香」だ。

大分官舎が ボロくて遠く 簡裁判事も すぐに出た

2024年12月08日 11時22分06秒 | 大分
一般的に裁判所官舎は大分ボロい。
老朽化した官舎の体のいい管理人を、逆に賃料を払って引き受けるようなものだ。
大分に赴任して私は民間マンションを借りたが、官舎は文字通り一山越えた場所にあり、あまりに粗末なので、簡裁判事が一晩で退去したという伝説も残っていた。夜間の令状当番にはタクシーで裁判所に駆けつけていたようだ。私は自転車で済んだので、官舎に入らなくて正解だった。
噂の官舎を一度は見に行こうと思っていたが、あまりに遠くて不便なので、叶わなかった。
官舎があまりにボロいのを見られ、結婚が破談になった裁判官もいると聞いたこともある。
交通至便の東京に安住している最高裁事務総局の裁判官には、こういった地方に何度も赴任を繰り返して、実情を知っていただきたいものだ。

「ちゅ〜る、ちゅ〜る」の 会社と同じ 宿舎がボロい 裁判所

2024年12月07日 09時10分50秒 | 名古屋・愛知
https://blog.goo.ne.jp/gootest32/e/87eb40411f2bf0b196942dbe2fad4d6d

はて、名古屋地裁豊橋支部には裁判官官舎があったのか?

タイミング良く、裁判所内のサイトに全国の官舎一覧表が掲示された。私の記憶が確かならば、これまでには無かったことだ。
これを見て、まず驚くのは、名古屋地裁には豊橋支部に限らず、全庁とも裁判官官舎を有していないという事実だ。
私の名古屋修習生時代は、白壁や若水の官舎に裁判官訪問に行った記憶があり、バスで裁判官の送迎風景が見られたので、その後、返上させられたものと思われる。
豊橋市内に他の官庁との合同宿舎は現存するようだが、裁判官は入居しているのだろうか。
そこで、豊橋支部の裁判官経験者複数にインタビューしてみた。

昨年の時点では「官舎はあるものの建替え予定で誰も入れていない。無理やり入った裁判官がいたが、あまりの酷さにすぐに退去した。」「豊橋の官舎に入っていた裁判官・書記官はいなかった。」「形式的には官舎があるのかもしれませんが、実質的にはありません。」

「嘘は良くない」
いずれはバレて責任問題になる。
取材に対して虚偽答弁をしたのは誰なのか、そもそも豊橋支部の官舎に入居した裁判官が過去に何人いたのか、公文書公開請求をしていただくことになるだろう。

豊橋市民の「悲しいとき〜」は「牛川人骨」クマだった

2024年12月06日 08時23分07秒 | 名古屋・愛知
日本最古の「牛川人」、
実はクマの骨だった
東大などの研究グループ
https://www.asahi.com/articles/ASSD43HRNSD4UCVL053M.html

一夜の悪夢を 他山の石に 韓国「戒厳令の夜」

2024年12月04日 06時38分46秒 | 世相
韓国が戒厳令、尹錫悦大統領「野党が反国家行為」…戒厳軍が国会に入る(読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/world/20241203-OYT1T50218/

ちょうどその間は寝ていて全く知らなかった。
どのように悪用されるか、戒厳令の現代版とも言える「緊急事態条項」の危険性を知る他山の石としたい。

「辺野古訴訟」を どう思うかは 言えねえ現職「係属中」

2024年12月01日 10時32分41秒 | 裁判
昨日の岡山弁護士会主催の講演会から。
https://www.youtube.com/live/iacP_CSXYdw?si=LrDVynGdncjH5wI2

憲法76条3項「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」にいう「独立」は、主語からしても、一般的に言われる「司法権の独立」(対外的な独立)つまり立法権・行政権から不当に介入されないことよりも、むしろ「裁判官の独立」(内部的な独立)つまり個々の裁判官が裁判権に介入されないことを保障していると読める。
いったん裁判が提起されて特定の裁判官の担当事件として配点された以上は、他の現職裁判官は口出し無用ということである。

一連の「辺野古訴訟」について感想を尋ねる質問も出たが、まだ完全には終結していない事件なので、事案についての直接的な意見は差し控えさせていただいた。