茶道具との出会いにはいろいろになドラマがあります。
それを、道具の由緒と言いますね。
そして今手にしている大切な道具をそのドラマとともに披露して、
美味しいお茶を一服飲んでいただく。
そんなときのお点前が「茶碗荘」や「茶杓荘」です。
今日、大切なお茶碗を持っていらした方が。
お話を伺うと、お稽古にお持ちになるにはもったいないお茶碗なので、
「何かの記念のお席でご披露なさるまで、大切にしまっておいてください。」というと、
「まず初めに先生に一服差し上げてから。」とおっしゃったので、
内緒で、「茶碗荘」のお点前で一服ご馳走になりました。
お稽古で、架空の由緒を考えてするお点前でなく、
本物は、ちゃんとその方にとっての、ドラマをまとっていますから、
扱いにも、お話しにも心がこもりますね。
美術品のようなお道具で頂くのも良いですが、
この頃は、好きで大切に使い込んだ道具、持ち主のほれ込んだ道具の、
由緒をあれこれ伺いながら頂く一服が、よいなと思うようになりました。
今日お持ちになったお茶碗は、高名な陶芸家さんの作品です。
ご自分で大切に使って育てながら、皆さんにご披露する時を待ってほしいです。
そんなチャンスを早く作って差し上げなくてはと思いました。