廃異不思議探検隊/(SEASON2)

Wast different wonder expedition.(SEASON2)

廃(農家)屋

2010-09-01 16:39:00 | 廃墟C
 当日私は、情報を頂いた廃墟を撮る為に小さな集落のある道路を走っていた。
 近道を探して農道へ入り、しばらく行ったところで、蔓に覆われた錆びた鉄の門が目に止まった。





 よく観ると、どうやら廃屋がある様だ。
 離れもあるらしい。
 一棟だけだったらスルーしてしまうところだが、何棟かある様だし、時間もあるので、行ってみる事にした。

 門は、開く状況ではなかった。

 廃屋の周りは山なので、山中を歩いて敷地へ入る事にした。

 130mほど下方に稲荷神社の広場があったので、そこに車を止め、山へ分け入った。
 杉の木と窒ェ生えている林だ、密集してはいないので、蜘蛛の巣と蚊がうっとうしい事を除けば歩き易い。途中、斜面があり、這い上がったところ、苧ムになった。そしてその先に13mプールほどの畑の跡があり、その隣に畑と同じ位の大きさの作業小屋があった。

 「あぁ、農家だったんだな」

 錆びたトラクターが放置されていた。
 作業小屋の中は、これと言って何もなかった。    
 
 私は、小屋の裏を通った。直ぐ左側は、高い山の斜面だったので、落ちない様に慎重に進んだ。
 そして、ちょっとした崖をよじ登ると、敷地へ出た。


 


 窒ェかなり生えて来ていて、数年で苧ムになるだろう。

 「水槽か?馬などが水を飲んだり、野菜を洗う場所だったのだろう。」

 直ぐ左手は、小屋があり、農機具等をしまってあった様だが、これと言って物はなかった。

 向かいの建物へ行ってみよう。





 落ち葉を「ガサガサ」と踏んで行く、時折、蚊が「ブーン」と飛んでくる。

 建物の入り口は、半開きになっていた。


 


 納屋だ。色々な家財道具等が置いてある。

 その時「ガタガタッ」と音がしたので、驚く、目の前を猫が走り去って行った。

 「何だ、猫か」

 そして、二階に上がる階段があったので、上がってみる事にした。

 薄い木の板で出来た階段を「ギシ、ギシ」と慎重に上がる。
 上を見ると薄暗い。
 真夏の暑さで、額から汗が滴り落ちる。





 上がると左手に何もない部屋があった。
 右手側にも部屋があったが、何もなかった。
 何となく暗くて薄気味悪いので、早々に下りた。





 隣は、住居だろう。
 いよいよメインだ。失礼してみよう。

 玄関の戸が「ズ、ズズ、ズーー」っと開いた。





 入って左手は座敷だ。

 「薄暗いなぁ。」
 「まだ物がけっこう残っていそうだな。奥の部屋へ行ってみよう。」

 「カーテンが閉めてあるから暗いな。」
 「ベッドがある、寝室だ。」





 「うっ」
 薄暗い部屋のベッドにこの家の主人だったと思われる遺影が立て鰍ッてあり、私を見て笑っている。
 その上には、奥さんと思われる遺影も鰍ゥっていた。
 背中を汗が「ツーッ」と流れ落ち、鳥肌が「サー」っと立った。私は、一礼をする。
 そして、辺りを見渡すと右手に仏壇があった。





 今まで、廃屋で仏壇が床に転がっていた家はあったが、遺影や仏壇がまともに残っていたのは初めてだったので、動揺した。
 何だか、申し訳なくて、もうここから早く出たい一心だ。

 早く出たいが、でもそこそこのものも撮りたいと言う気持ちがぶつかり合った。
 出来るところまでやろう。





 この部屋にもベッドがあったり、化粧台があった。奥さんの部屋だったのだろう。





 居間





 台所





 風呂場だ。
 裏手に真っ暗な部屋があり、湯沸かし器があった。
 屋内は、暑さで「ムンムン」していて、何だか目眩がして来た。背中がゾーっとする。
 早々に出た。

 裏手にも建物があるみたいだったが、行かなかった。



*殆ど生前の生活をしていたままの状態になっており、あたかもまだ生活をしている様な雰囲気だった。
 ベッドの枕元の位置に遺影が立て鰍ッてある写真を知り合いに見せたところ「普通こんな事しない、悪戯か物盗りを脅かす為にわざとあそこに置いたのだろう」と言っていた。実際ちょうど部屋へ入る際、あの写真と対面する形となり、こちらがビクッとなったところで、主の満面の笑みである。

 物盗りが来た痕跡はあったのだが、箪笥の引き出しが開いていた程度で、他は荒らされていなかった。大体は荒らし放題なのだが、やはり気持が悪くてやれなかったのか

 撤収する際、離れの写真が少ないので、懲りずにもう少し撮ろうと思って、戻ったのだが、笑い声がし、ゾクッっとして逃げた次第だ。
2010/08/01