九州で裁判官をしている実家の甥が3年ぶり
に帰省してちょっと顔を出した。
忙しいとのことで慌ただしい帰省である。
とっさのことで少し岩波少年文庫の本を
渡した。
子供が小学1年生になったという。
この前会った時にはグリム童話、イソップ、
長くつ下のピッピなどかなり譲った。
我が家の息子は「長くつ下のピッピ」が
好きで初めて飼った犬(フレンチブルドッグ)
にピッピと名付けたほどである。
息子が小学校に入学した初めての家庭訪問
で担任が訪れたとき、読まなくなった
シリーズ本があったので学級文庫に
よかったらもらってもらえないかと伺ったら
「喜んで」ということだったので持って行った。
偉人伝記ものと童話シリーズだったと思う。
するとご丁寧にも校長から墨の達筆の礼状
がきた。
我が家としてはゴミにならなくて助かったのに。
やっと歩き出して、言葉が話せるようになっ
た息子は親が忙しくしているときは遠慮して
いるらしいのだがちょっと居間にいると夫の
パンツやわたくしのスカートを引っ張って
「ご本読んで!」と催促する。
当時働いていたわたくしはほっとするときが
なく、「自分で読むようにするしかないな」
と思って、ひらがなの積み木を買った来て
毎晩教えた。
今ならタブレットとかいろいろあるのだろう
が自分が子供のころ教えられた通りのことを
したわけだ..
するとじきに「絵本じゃなくて字ばかりの
ご本が読みたいというので夫が本屋へ連れ
て行き、「アラジンのランプ」を購入して
きた。
3年保育の幼稚園に行くころには
自分で本が読めるようになってくれた。
自分たちも本好きなので子供の本は惜しみ
なく与えた。
いろいろな本を買ったけれど中心は
「岩波少年文庫」である。
これはかなり買いそろえた。
しかし本の好きな子供ばかりではないことを
思い知った失敗もある。
勤務先に市内で一番の老舗本屋のよく勉強
しているベテラン店員が出入りしていた。
友人の子供が小学校に入学したと聞いて、
うちの子供が愛読した本などをその店員
とも相談して3冊選んでお祝いとして
届けてもらった。
ところが数日後、その店員が
「実をいうと3冊とも引きとってほしいと言
われて引き取り、ご主人の本と交換しました。」
という。
それを聞いて図書券にするべきだったと後悔した。
我が子は新しい本を手にしたとき喜ぶ。
子供はみんなそうだと早合点していた。
ちなみに「星の王子様」は新書版=少年文庫
と英語版、フランス語版も本棚に残っている。