「プラス思考人間」の育て方。「自分はダメだ」と思う子は「大きな木」に育たない。「親の役目」は「よい自己イメージ」を持たせること!人間は自分が思い描くとおりになる
☆人間は「自己イメージ」という自分の設計図を持っている。
「私はこういう人間だ」と思っていると、長い間にそうなっていく。
だから、いまの私は内面的にも過去の自分がイメージした人間である。いや、そうじゃないという人もいるかもしれないが、無意識のレベルでは必ず自分へのイメージを持っている。
自己イメージは人間を形成する上で、大きな影響力を持っている。自分はダメだ、能力がないと思っていると、実はそんなことはないのに、だんだんそうなっていく。
自分はダメだと思っている子どもが、大きな木に育ち、可能性を伸ばしていくことはあまりない。
したがって、子ども時代に自分に対するいいイメージを持てるようにすることが親の役目だ。
10年以上前のことだが、オリンピックで金メダルを取ったある外国人レスリング選手のことをテレビで報道していた。
彼は毎晩、寝る前に金メダルを取って表彰台に立つ自分の姿や、テレビカメラの前で金メダリストとしてインタビューを受ける姿を思い描き、インタビューへの答えを考えながら寝たという。
寝る前に描いたイメージは睡眠中も続くという。それを毎日繰り返せば、あたかも金メダルを取るのが当たり前のように感じられる。
☆自分が輝いている姿を思って寝る
このイメージトレーニングを子どもたちにも応用してほしい。
サッカーをやっている子なら、寝るときにレギュラーで活躍している姿や、シュートを放ってゴールする姿を想像するように子どもに教えるのだ。
ピアノを習っている子なら、発表会でじょうずに弾けて拍手を受けている様子を思い描く。
また、テストで100点を取ったところや、将来の夢であるアナウンサーや宇宙飛行士になった姿など、実現したいことをイメージして寝るようにする。
さらに、もう1つ試してほしいのは、寝る前にいままで一番楽しかったとき、うまくいったときのことを思い出していい気分で寝ることだ。
運動会で1位になったことでも、何かで表彰されたことでもいいし、夏休みの旅行ですごく楽しかった思い出でもいい。自分が輝いている姿を思い浮かべて寝る。
こうした方法を子どもに教えてやり、実践するようになれば、子どもにとって生きる力となり、財産となる。
私も中学生のころ、このような寝る前のイメージトレーニングの重要性を書いた本を読んで、楽しい思い出を考えながら寝るようにした。
そのせいかどうか、もともとお気楽な楽天家なのかもしれないが、プラス思考の人間になった。
中には逆の人もいる。不安や嫌なことを思い出し、そのまま寝てしまうと不安な気分がずっと続く。それよりも、楽しい、うれしい気分で寝た方がいいだろう。
☆親子で「ヒーローインタビューごっこ」
イメージを思い浮かべるだけでなく、もう少し面白い方法もある。それは、「ヒーローインタビューごっこ」である。このゲームは親子でおしゃべりしながら、何気なくやるほうがいい。
例えば、今度学校で水泳大会があるとすれば、子どもと話しながらその話題になったとき、「それじゃ、水泳大会で1位になったつもりで、インタビューに答えてよ」と、お母さんやお父さんがインタビューアーになる。
「1位になった気持ちはどうですか?」
最初は恥ずかしがって、「エー」とか言っていても、立て続けに質問をすれば、だんだんその気になってくる。
「泳ぎ始める前はどんな気持ちでしたか?
「ドキドキしましたか?」
「泳いでいるときは何を考えましたか?」
「1位でゴールしたときはどんな気持ちでしたか?」
「練習で、一番つらかったことは?」
「毎日、何時間ぐらい練習したんですか?」
「もうやめたいと思ったことはありますか?」
「ライバルのことを考えましたか?」
こうやって、どんどん質問することで、子どものイメージ化を助け、あたかもチャンピオンになったような気分にさせる。
その後で、「本当にチャンピオンになった様子を思い浮かべながら寝るといいよ」と寝かせるのだ。
☆「なりきり作文」で気分をよくする
もう1つの面白い方法は「なりきり作文」である。
自分がチャンピオンになりきった気分になって作文を書くのだ。例えば、こんな具合。
「今日は、水泳大会でチャンピオンになれてうれしいです。泳いでいるときはみんなの応援の声が聞こえました。毎日、1時間以上練習して、がんばったかいがありました」
ヒーローインタビューごっこの後に作文を書くと、もっと効果的だ。日記で、なりきり作文を書く手もある。
私も教師時代に授業で、なりきり作文をやったが、みな喜んで書いていた。気分がいいので、書きやすいのだ。
こうしたイメージトレーニングとともに、親の言葉遣いも大事だ。親がいつも否定的な表現が多いと、子どもはいい自己イメージを持つことができない。
「なんで、ちゃんと勉強しないんだ」「なんで、さっさと宿題を終えないの」と否定的表現で叱るのではなく、もっと肯定的表現で話しかけてほしい。
「この頃、書き取りの字がうまくなったね」とか、全体的にうまくなくても「この字はいいね」とか、部分でいいからほめる。
肯定的表現で子どもをやる気にさせることが大事だ。肯定的に言えない場合も、「~しなさい」「~しよう」と単純命令形で話すように心鰍ッ、否定形は使わないようにしてほしい。
☆親野智可等(おやのちから)
親野智可等氏は、公立小学校での23年間に及ぶ教師経験から、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。メールマガジン「親力で決まる子供の将来」や数々の著作などで、「親としてどのように子どもに接していけばいいか」、「親力」というキーワードで発言を続けている。今後、経済、生活などで親世代よりはるかに「激動」の面を強める時代を、子ども達は生きて行かなくてはならない。本連載では、こうした「生き抜く力」を子どもに与えるために親がどのように心鰍ッ、あるいは行動すればいいか、その真髄を豊富な経験から語ってもらう。リニューアル以前の記事は、旧バックナンバーからご覧いただけます。
☆人間は「自己イメージ」という自分の設計図を持っている。
「私はこういう人間だ」と思っていると、長い間にそうなっていく。
だから、いまの私は内面的にも過去の自分がイメージした人間である。いや、そうじゃないという人もいるかもしれないが、無意識のレベルでは必ず自分へのイメージを持っている。
自己イメージは人間を形成する上で、大きな影響力を持っている。自分はダメだ、能力がないと思っていると、実はそんなことはないのに、だんだんそうなっていく。
自分はダメだと思っている子どもが、大きな木に育ち、可能性を伸ばしていくことはあまりない。
したがって、子ども時代に自分に対するいいイメージを持てるようにすることが親の役目だ。
10年以上前のことだが、オリンピックで金メダルを取ったある外国人レスリング選手のことをテレビで報道していた。
彼は毎晩、寝る前に金メダルを取って表彰台に立つ自分の姿や、テレビカメラの前で金メダリストとしてインタビューを受ける姿を思い描き、インタビューへの答えを考えながら寝たという。
寝る前に描いたイメージは睡眠中も続くという。それを毎日繰り返せば、あたかも金メダルを取るのが当たり前のように感じられる。
☆自分が輝いている姿を思って寝る
このイメージトレーニングを子どもたちにも応用してほしい。
サッカーをやっている子なら、寝るときにレギュラーで活躍している姿や、シュートを放ってゴールする姿を想像するように子どもに教えるのだ。
ピアノを習っている子なら、発表会でじょうずに弾けて拍手を受けている様子を思い描く。
また、テストで100点を取ったところや、将来の夢であるアナウンサーや宇宙飛行士になった姿など、実現したいことをイメージして寝るようにする。
さらに、もう1つ試してほしいのは、寝る前にいままで一番楽しかったとき、うまくいったときのことを思い出していい気分で寝ることだ。
運動会で1位になったことでも、何かで表彰されたことでもいいし、夏休みの旅行ですごく楽しかった思い出でもいい。自分が輝いている姿を思い浮かべて寝る。
こうした方法を子どもに教えてやり、実践するようになれば、子どもにとって生きる力となり、財産となる。
私も中学生のころ、このような寝る前のイメージトレーニングの重要性を書いた本を読んで、楽しい思い出を考えながら寝るようにした。
そのせいかどうか、もともとお気楽な楽天家なのかもしれないが、プラス思考の人間になった。
中には逆の人もいる。不安や嫌なことを思い出し、そのまま寝てしまうと不安な気分がずっと続く。それよりも、楽しい、うれしい気分で寝た方がいいだろう。
☆親子で「ヒーローインタビューごっこ」
イメージを思い浮かべるだけでなく、もう少し面白い方法もある。それは、「ヒーローインタビューごっこ」である。このゲームは親子でおしゃべりしながら、何気なくやるほうがいい。
例えば、今度学校で水泳大会があるとすれば、子どもと話しながらその話題になったとき、「それじゃ、水泳大会で1位になったつもりで、インタビューに答えてよ」と、お母さんやお父さんがインタビューアーになる。
「1位になった気持ちはどうですか?」
最初は恥ずかしがって、「エー」とか言っていても、立て続けに質問をすれば、だんだんその気になってくる。
「泳ぎ始める前はどんな気持ちでしたか?
「ドキドキしましたか?」
「泳いでいるときは何を考えましたか?」
「1位でゴールしたときはどんな気持ちでしたか?」
「練習で、一番つらかったことは?」
「毎日、何時間ぐらい練習したんですか?」
「もうやめたいと思ったことはありますか?」
「ライバルのことを考えましたか?」
こうやって、どんどん質問することで、子どものイメージ化を助け、あたかもチャンピオンになったような気分にさせる。
その後で、「本当にチャンピオンになった様子を思い浮かべながら寝るといいよ」と寝かせるのだ。
☆「なりきり作文」で気分をよくする
もう1つの面白い方法は「なりきり作文」である。
自分がチャンピオンになりきった気分になって作文を書くのだ。例えば、こんな具合。
「今日は、水泳大会でチャンピオンになれてうれしいです。泳いでいるときはみんなの応援の声が聞こえました。毎日、1時間以上練習して、がんばったかいがありました」
ヒーローインタビューごっこの後に作文を書くと、もっと効果的だ。日記で、なりきり作文を書く手もある。
私も教師時代に授業で、なりきり作文をやったが、みな喜んで書いていた。気分がいいので、書きやすいのだ。
こうしたイメージトレーニングとともに、親の言葉遣いも大事だ。親がいつも否定的な表現が多いと、子どもはいい自己イメージを持つことができない。
「なんで、ちゃんと勉強しないんだ」「なんで、さっさと宿題を終えないの」と否定的表現で叱るのではなく、もっと肯定的表現で話しかけてほしい。
「この頃、書き取りの字がうまくなったね」とか、全体的にうまくなくても「この字はいいね」とか、部分でいいからほめる。
肯定的表現で子どもをやる気にさせることが大事だ。肯定的に言えない場合も、「~しなさい」「~しよう」と単純命令形で話すように心鰍ッ、否定形は使わないようにしてほしい。
☆親野智可等(おやのちから)
親野智可等氏は、公立小学校での23年間に及ぶ教師経験から、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。メールマガジン「親力で決まる子供の将来」や数々の著作などで、「親としてどのように子どもに接していけばいいか」、「親力」というキーワードで発言を続けている。今後、経済、生活などで親世代よりはるかに「激動」の面を強める時代を、子ども達は生きて行かなくてはならない。本連載では、こうした「生き抜く力」を子どもに与えるために親がどのように心鰍ッ、あるいは行動すればいいか、その真髄を豊富な経験から語ってもらう。リニューアル以前の記事は、旧バックナンバーからご覧いただけます。