サイフォンはご存知のように上下二つに分かれたガラス容器の上に粉を入れ、下に水を入れ、アルコールランプで熱する淹れ方です。
三角フラスコをアルコールランプで熱する・・・学校での理科の実験が思い出されます(笑)
サイフォンでの淹れ方の特徴は、まず火を扱うワクワク感にはじまり、沸騰した水が、下の容器から上の容器に上がり、粉と混ざってコーヒー液となり、火を消して温度が下がると、下の容器に落ちていくという一連の現象が、見て視覚的に非常に面白いことでしょう。
私の友人でかつて高校の先生をされていた方で、人の集まるとことに来るときは大型のサイフォンを3つも4つもかかえて、ガスバーナーと小型ガスボンベなども準備して次々とコーヒーを沸かし、何十人もの人に振る舞い、皆に喜んでもらえることを自分の喜びとする稀有な人物がいました。
その頃の私はコーヒーを淹れることに特に強い関心もなかったので、タダでコーヒーを飲ましてくれるありがたい人だなあ~としか思っていませんでした(笑)
しかし、自分がやってみると、受身でコーヒーをいただいていたのとは、全く違う世界がそこにありました。
珈琲を淹れるという所作そのものが、こんなに面白いものだとは・・・
端的に言えば、できたコーヒーを飲むことよりも、コーヒーを淹れるという所作そのものの喜びのほうが大きいのです。今になって友人先生の気持ちがわかるような気がします。