ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『さすらい刑事旅情編III』#12

2023-07-28 21:55:09 | 刑事ドラマ'90年代

ここ1〜2か月、なぜか当ブログの人気記事ベスト10に常駐してるのが『さすらい刑事旅情編』シリーズのレビュー記事。愛をこめて書いてるとは決して言えない記事なのに、なぜ?

ベスト10に居座り続けるのって、大抵は『トーキョー・トライブ』とか『さやかさんのパンティー』みたいに画像検索に引っ掛かりやすい記事だけど、『さすらい刑事〜』の画像を見たがる人がそんなにいるのかな?

最近、東映チャンネルでずっと放映されてる影響はあるにせよ、それだけとも思えない。もしかして、私と同じように「やたら折り目正しい宇津井健」の虜になってるマニアが沢山いたりして? あるいは鉄道オタク?

なんにせよ、需要があるなら喜んで応えます。電車と宇津井健と、若手女優(当時)のセクシーショット。この3つさえ押さえとけばベスト10入り間違いなし!?



☆第12話『女子大生温泉ツアー・罠に落ちた美人助手』(1990.12.26.OA/脚本=香取俊介/監督=天野利彦)

それ以前から、この回は取り上げるつもりでいました。理由はサブタイトルに書いてある通りです。

いわゆる「湯けむり殺人事件」モノは2時間サスペンスの専売特許じゃなく、このシリーズでもすっかりお馴染みのネタ。そこに必ず「女子大生」を絡ませるのが『さすらい〜』流。



当時デビューしたばかりの新型特急「踊り子スーパービュー号」で静岡県の沼津に向かう女子大生グループ。イケメン助教授に引率されてる彼女らは「推理研究会」の面々。この先の展開は90%以上読めますよねw

もちろん、同じ列車に鉄道警察隊のギョロ眼リーゼント(三浦洋一)と少年隊(植草克秀)が「偶然」乗り合わせ、ジャニーズ特権を振りかざして女子大生をナンパするのもお約束。



そしてメインエベントである温泉入浴シーンを消化したあと、その旅館のすぐ近くで殺人事件が起きる。もちろん同じ旅館に「偶然」リーゼント&少年隊が泊まってるし、殺されたのはイケメン助教授に決まってます。



容疑者は、推理研究会メンバーでなぜか1人だけ温泉入浴をパスした=アリバイが無い公子(立原ちえみ)と……



殺されたイケメン助教授(妻帯者)の助手で、どうやら不倫相手だったらしい夏目先生(伊藤美由紀)と……



推理研究会のリーダーなのに「バイトがあるから」と沼津合宿をドタキャンした冬美(白島靖代)の3人。



そんなもん一番知名度のある白島靖代さんが真犯人に決まってるワケだけど、今回は謎解きの過程にこそ重きを置いたストーリー(『太陽にほえろ!』で例えると山さん主役の回)ですから、野暮は言いっこなし。



とはいえリーゼント野郎に山さん役が務まる筈もなく、ここはやっぱり高杉警部(宇津井 健)の折り目正しさに頼るしかありません。



結果、1年かけて書いた推理小説をイケメン助教授にこき下ろされた挙げ句、その愛人である夏目先生に盗作された冬美が、わざとその小説で使ったトリックで助教授を殺し、夏目先生の犯行に見せかけたことが判ります。



もう誤魔化せないことを悟った冬美は、なぜかわざわざ沼津の湖畔まで行って自殺しようとするんだけど……



なぜかいつも犯人逮捕のシーンだけ現場に駆けつける高杉警部の「命を粗末にするんじゃない!」という、いかにも折り目正しい説教により観念するのでした。


なぜ笑ってる!?

冬美役の白島靖代さんは当時20歳ぐらい。『BU·SU』『つぐみ』『櫻の園』などの名作映画で注目された実力派の美人女優で、刑事ドラマにも『刑事物語’85』『NEWジャングル』『さすらい刑事旅情編II』『刑事貴族2』『真夏の刑事』など多数ゲスト出演されてます。

だから当然セクシーショットは白島靖代さんと、女子大生の1人を演じられた小林こずえさん、そして夏目先生役の伊藤美由紀さんです。


 

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『さすらい刑事旅情編III』#06

2023-05-27 17:02:07 | 刑事ドラマ'90年代

『さすらい刑事旅情編』の第3シリーズは1990年10月から’91年3月まで、テレビ朝日系列の水曜夜9時枠で全23話が放映されました。

シブがき隊(布川敏和)に代わる新たな若手イケメン枠=桜田刑事には少年隊(植草克秀)が扮し……



小倉久寛、林家こぶ平の流れを汲む三枚目枠=角谷刑事は山崎大輔が演じてます。



誰やねん!?って思うけど、劇団スーパー・エキセントリック・シアターから抜擢された舞台俳優さんみたいです。



☆第6話『信州安曇野・結婚サギにあった女』(1990.11.14.OA/脚本=いとう斗士八/監督=田中秀夫)

JR東京駅構内で萩原という年配者(今福将雄)が何者かに刺され、松本行きあずさ17号の切符を握りしめたまま絶命します。毎週毎週、ニューヨークの地下鉄も真っ青になるホント物騒なステーションです。



で、殺された萩原氏は「月1回ペースで長野県松本市にいる娘に会いに行ってた」らしいんだけど、ショートカットになった西園寺刑事(高木美保)が調べてみたら、彼に息子はいるけど娘なんか存在しなかったから驚いた!



しかも、萩原氏の息子は14年前に松本市で強盗殺人をやらかし、関東の刑務所に服役中。

どうやら萩原氏が月1回ペースで会いに行ってた、そして殺された当日もあずさ17号で会いに行こうとしてた「娘」は、14年前に息子が殺してしまった被害者夫婦のひとり娘=公子(石田ゆり子)らしいのでした。



つまり萩原氏は、おそらく息子に代わって罪を償うべく、身分を隠して「あしながおじさん」を続けてきた。

両親が殺される現場を目撃し、心に深すぎる傷を負って生きてきた公子が、もし萩原氏の正体を最近知ったとしたら……



ショートヘアの西園寺刑事とリーゼント(三浦洋一)が、あずさ2号であなたから旅立つべく長野へと向かいます。

「あの子は普通の子とは違うんです。14年前の傷を引っ掻き回すようなことはやめて下さい!」



孤児となった公子を養子として大事に育ててきた叔母(柳川慶子)は、ショート&リーゼントに涙ながら訴えます。

そりゃそうでしょう。傷に触れないように触れないようにと、14年間も気遣いながらやって来たのに、いきなり訪ねてきたリーゼントのギョロ眼野郎にぶち壊されちゃたまったもんじゃありません。

ちなみにこのリーゼント男、出勤日の(つまり前夜酔い潰れたワケでもない普段どおりの)朝に起床するシーンで、バッキバキのリーゼントのまま布団から出て来てましたw いくら何でも、んなヤツは世界中探してもおらんやろ!💨



「彼女はそっとしといた方がいいと思うんだけど」

西園寺がたしなめても、24時間ヘアスタイルを崩さないだけあってリーゼントの意志は変わりません。

「いや、話した方がいいだろう。変な同情はしない方がいい」

「変な同情じゃないわ、人として普通の感情よ!」

「あの子だって普通の女の子なんだよ! ただ周りがそういう眼で見てあげないだけなんだ。可哀想だ可哀想だってな!」

どうやらリーゼント自身も幼い頃に両親と死別し、周囲から気を遣われる息苦しさを味わって来たようで、だから寝るときもバッキバキなんです。

そのツラさをよく知ってるからこそ、リーゼントはあえて単刀直入に斬り込むのでした。

「殺された萩原さんは、14年前にあなたの両親を殺害した犯人の父親なんです」



「それで私が殺したって言うんですか! 警察の人は捜査の為なら何をしても許されるんですかっ? 14年前のときも!」

どうやら公子の深い深い心の傷に、現地の警察は塩を塗りたくるような聴取を繰り返したらしい。主役の刑事が所属するチーム以外の警察官は全員、非道かつ無能なアホンダラと相場は決まってるんです。

おまけに今の公子には、見るからに狡猾そうな川口(市川 登)という婚約者が憑いてる。そんなもん、登場した瞬間に真犯人確定ですよねw



面倒だからクライマックスまで飛ばします。かくかくしかじかで、なんと真犯人は婚約者の川口(もちろん結婚詐欺師)だった!って事で、こう言っちゃ何だけどチンケな事件なのに、ボスの高杉警部(宇津井 健)もはるばる長野まで折り目正しく駆けつけます。



「萩原さんはね、あなたが川口に騙されてることを知らせようとして、彼に刺されたんですよ」



「なんであの人が、私の為に?」

「殺人犯の父親として、罪を償おうとしたんです」

それを聞いてようやく目を覚ました公子は、事件当日ずっと川口とチョメチョメしてたという証言を撤回します。

こういう時、必ず犯人が非道な捨て台詞を吐き、すかさずショーケンや優作のパンチを浴びるのが昭和から受け継がれた伝統のシステム。

「誰がこんな女、好きになるかよ。性格暗いし、面白くも何ともねえよ!」



おいおいっ!? 殴らせたれや宇津井健ーっ!!💨

もう既にこの時代、殴ろうとしても上司や仲間に止められるシステムが確立し、今じゃ殴りかかる素振りすら見せない草食刑事しか出てこない。そりゃ日本も衰退していく一方です。



なにがそんなに可笑しいーっ!?💨💨💨



またもや深い傷を負わされた公子に、西園寺がリーゼントに代わって真意を伝えます。

「問題は、そのツラい想い出とどう付き合っていくかだって。その為には、周りの人間が普通に接してあげることだって」

「……私、ツラかったんです。みんなが、私の心の傷に触れないように触れないようにってしてくれるのが……でも、川口さんは違ったんです」

弱ってる人にこそフランクに接する詐欺師のテクにまんまとハマったワケで、新興宗教の勧誘とよく似てます。今回もリーゼントの意見が正しかった。

「あの刑事さんのお陰で、少しラクになれた気がします」



こうしていつも美味しいとこをさらっていくリーゼント刑事は、今夜もバッキバキに油を塗りたくった頭で寝床に就き、ギョロ眼をかっ開いたまま眠ってることでしょう。

ゲストの石田ゆり子さんは、当時20歳か21歳くらい。沖縄は石垣島のご出身で、デビューは全日空の沖縄キャンペーンガール。女優としてのブレイクは実妹=石田ひかりさんの方が先でした。

本作より前にテレ東の連ドラ『マザコン刑事の事件簿』にレギュラー出演されたほか、『外事警察』『うぬぼれ刑事』『MOZU』『CRISIS』等にもご出演。

おっとりした雰囲気ゆえか、私の知る限り刑事役の履歴は無く、今回みたいに「事件に巻き込まれる」役どころばかりという印象。いつかバリバリの敏腕刑事役も見てみたいです。

 

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『風の刑事・東京発!』#11

2023-05-21 15:55:53 | 刑事ドラマ'90年代


☆第11話『特急あさま 高原に消えた恋人』(1996.1.10.OA/脚本=小木曽豊斗/監督=村川 透)

風間警部補(柴田恭兵)と二人暮らしする父親=良輔(西村 晃)が、ふらっと出かけたまま数日が経ち、どうせいつもの放浪癖が出たんだろうと思ってたら、その良輔が「すぐに保険証を持って来てくれ!」と電話で泣きついて来たから驚いた!



どうやら良輔は長野県の雪山で負傷し、妙高高原のペンションに身を寄せてるらしい。

さすがに慌てた風間は特急あさま号に飛び乗り、そのペンションへと駆けつけます。



するとそこには、若くて可愛い女の子2人に囲まれ、満面の笑みを浮かべる良輔の姿があるのでした。

「何やってんだよ、オヤジ!💨」

「おお、大輔。来たか」



どうやら良輔は、フィッシング旅行中に雪で滑って足を捻挫しただけ。ちょうどクルマで通りかかったペンションの若きオーナー=浅岡智美(若林志穂)に拾われ、手当てを受けて世話になりまくり、智美の妹=愛(石橋けい)ともすっかり仲良くなったご様子。

もちろん、主役の刑事が来たからには、ここで事件が起こらなきゃ話になりません。翌日、ペンションから少し離れた関川渓谷で変死体が発見され、その身元が東京から来た片桐康彦というサラリーマンであることが判明します。

そしてその片桐はかつて、ペンションオーナーの智美と大学時代にチョメチョメな関係だった!



地元警察は転落事故と断定するんだけど、風間は胸騒ぎを覚えます。遺体が発見された場所も、そして死亡推定時刻も、負傷した父が智美に拾われた場所と時間にやたら近い!

この前レビューした回(第9話)では尊敬してやまない恩師を、そして今回は父の命を救ってくれた恩人を、殺人容疑者として疑わなきゃいけない刑事の仕事……っていうか刑事ドラマの主人公という立場のやるせなさ。

「もうウチには泊まらないで下さい! お姉ちゃんを疑うような人、顔も見たくないです!!💢💢💨」



当然、妹の愛はハイパー激怒し、風間を全力で排除しようとします。主人公はつらいよ!

けれど調べれば調べるほど、死んだ片桐と智美は切っても切れない「共依存」の関係だったことが分かって来ちゃう。事件当日、片桐は借金返済で追い詰められた状態だったし、智美は銀行でキャッシュを下ろしてる。

刑事ドラマに出てくる女の人って、なんでそんなロクデナシにばっか惚れちゃうでしょう?

「智美さんになんてこと言うんだ!」



事実を確認しに来た風間に、良輔の控えおろうビンタが炸裂します。

「お前は、状況だとか動機だとかを見て疑うんだろうが、肝心なあの人自身を見ていない。あの人をよく見てみろ。人を殺して黙っていられるような人じゃないだろ!」



風間だって、智美にはシロであって欲しいに決まってます。けれど、真相はもっと残酷なものでした。



「お姉ちゃん、私がいるからいいじゃない。ずうっと私がそばにいてあげるから……だからお姉ちゃんもどこにも行かないで」

愛がそう言うのは、片桐との関係をズルズルと引きずってきた姉が、そのせいでさんざん苦しんでるのをよく知ってるから。

「じゃあ、愛と2人でお婆ちゃんになるまで、此処をずうっとやってくワケかぁ」

「イヤ?」

「ううん、イヤじゃないわよ」



そう言いながら翌朝、智美は自殺未遂をやらかしちゃう。そして、見舞いに来た良輔に言うワケです。

「息子さんの言う通りなんです。片桐さんを殺したのは、私です」



これにて一件落着! ……いやいや、だったらなんで今まで隠してたの?って話です。智美は前夜、愛との会話で事件の真相を悟ったんでしょう。

サスペンスドラマを見慣れた方なら、もうとっくにお気づきかと思います。もし本当に智美が犯人なら、妹の愛がまったくの無駄キャラになってしまう。ストーリーに存在するからには、必ず何らかの役割を担ってる筈です。



「お姉さん、助かったよ。キミを守るために、命まで捨てようとしたんだ」

「……アイツがいたら、お姉ちゃんは幸せになれないの。だから、別れさせようと思って……」



そう。あの日、片桐が智美にカネをせびりに来ることを知ってた愛は、先にヤツと密会し、姉との縁を切らそうとしたんだけど叶わず、画になる渓谷で突き落とした。それを悟った智美は、自分が自殺する(つまり罪を被る)ことで幕引きを図ったのでした。

「お前には、情けってものが無いのか?」

第9話で田島主任(柄本 明)に言われたのとまったく同じセリフを、今回は自分の父親から浴びせられちゃう風間大輔。ホントにまったく、主人公はつらいよ!


セクシーショットは智美役の若林志穂さん。’80年代にアイドル歌手としてデビューされ、女優としてもTBSドラマ『天までとどけ』等で注目されました。

刑事ドラマは石原プロの『ゴリラ/警視庁捜査第8班』#42と『代表取締役刑事』#20、そして『はぐれ刑事純情派』シリーズに4回と『はみだし刑事情熱系』クリスマススペシャル(’03)等にゲスト出演されてます。

ちなみに妹の愛を演じられた石橋けいさんも『さすらい刑事旅情編』『はみだし刑事情熱系』『刑事追う!』『科捜研の女』『相棒』『踊る大捜査線』『警視庁・捜査一課長』等にゲスト出演されており、現在まで息長く活躍されてます。


 

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『風の刑事・東京発!』#09

2023-05-04 21:32:01 | 刑事ドラマ'90年代

本田理沙さんは’80年代末から’90年代半ばにかけて活躍されたアイドル歌手。レコードよりもグラビアでのご活躍が目覚ましく、私もその笑顔と肢体に魅せられたスケベエ衆の1人です。

女優としても活躍され、刑事ドラマは『はぐれ刑事純情派』の第5シリーズと第7シリーズ、さらに『さすらい刑事旅情編V』『裏刑事/URADEKA』等にゲスト出演されてます。

実際のお人柄は知る由もないけど、見た限りじゃ「元ヤン」の香りが濃厚でw、そういう役柄でキャスティングされることが多かった印象。今回もそのイメージが存分に活かされてます。



☆第9話『越後湯沢行き! 刑事をゆする女』(1995.12.13.OA/脚本=日暮裕一/監督=村川 透)

なにせ本田理沙さんが演じる役は、満員電車内でサラリーマンの腕にわざとオッパイを押しつけ、痴漢行為に導き、それを自ら盗撮した写真でユスリを繰り返すという、とんでもないビッチ女。



現実的に考えれば、もっとギュウギュウ詰めじゃないと痴漢は手を出せないだろうし、ギュウギュウ詰めだと自分で盗撮するのも至難の技で、この犯行は不可能ですよね。知らんけど?

ポルノ映画でもAVでも「痴漢電車」は定番ジャンルだけど、リアリティーが無さすぎて私はいまいちHOT! HOT!!になれません。知らんがな?

で、ユスられてた痴漢男が鉄道警察隊に泣きつき、風間警部補(柴田恭兵)らが捜査に乗り出すも、そのビッチ女=英子は10日前から行方不明らしい。

とりあえず風間は単身で、英子の実家がある群馬県へと向かいます。



観光地のロックハート城で働く英子の幼馴染み=明美(麻里万里)に話を聞くと、英子は10日前に帰郷したものの、すぐ新潟の越後湯沢へ向かったらしい。

そこで英子が宿泊してる筈のホテルへ直行するも、彼女は部屋に荷物を残したまま、再び行方をくらましていた。

妙な胸騒ぎを覚えつつ、英子のカバンを調べた風間は、とんでもない写真を見つけて愕然とします。



そこに写ってたのは、初老の男が英子の胸元に手を突っ込んでる姿。なんとその男は、風間がこの世で一番尊敬してる元刑事で、現在は越後湯沢で市会議員を務めてる坂井(小林昭二)だった!

いや、風間がショックを受けたのは、恩師である坂井が痴漢を働いたからじゃない。これも英子が仕掛けた罠に決まってる。それより何より問題なのは、英子がこの地を訪れてすぐ、荷物を残したまま失踪してること。

英子がここへ来た目的は、写真をネタに坂井から金を巻き上げる事だったに違いない。と、いうことは……まさか!?



坂井に恩義を感じてるのは、風間だけじゃない。刑事を引退してから議員になるまでの間、長らく警察学校で教官を務めてた坂井は、田島主任(柄本 明)をはじめ鉄道警察隊メンバー全員にとっても忘れえぬ恩師なのでした。

風間から報告を受け、大いにうろたえた田島主任は捜査を打ち切ろうとするんだけど、風間は続行を主張します。



「お前には情ってものが無いのか!?」

「たとえ親でも、疑いがあれば俺は追及しますよ!」



めちゃくちゃシリアスな場面だけど、普通は情にほだされた部下に「お前は刑事なんだぞ!」って叱咤するのがボスの役目なのに、立場が逆転しちゃってるのが笑えますw 柄本さんが演じればこそですよね。



その夜、ヤケ酒をあおって乱れまくった田島主任だけど、翌朝には立ち直り、若手の沖田(岡本健一)も一緒に連れて行くよう風間に命じます。

今のところ「英子が坂井に殺された」というのは憶測でしかなく、現職議員である坂井の名誉にも関わるから、ほかの部下たちには沈黙を通すしかない田島主任。



もちろん新潟入りした風間も、自分の推理が間違ってることを祈りながら捜査するんだけど……



英子が消息を絶ったと思わしき日に、坂井と一緒にロープウェイで渓谷に向かった姿を、ガイドさん(麻田かおり)が目撃していた!



一方、応援に駆けつけた藤村刑事(大寶智子)から、坂井が刑事時代に英子の父親を殺人容疑で逮捕し、厳しすぎる取調べで自殺に追いやった過去がある、つまり英子に恨まれてたという事実を聞かされた沖田は、そこで初めて坂井が疑われてることに気づき、ハイパー激怒して風間を問い詰めます。



「風間さん、あんた恩人を疑ってたのか!?」

「だったらどうした。お前は何だ? 刑事じゃないのかっ!?」

そう、どんな事情があろうと真実を追及するのが刑事の仕事であり、そのスピリットを風間や沖田に叩き込んだのが誰あろう、坂井元教官なのでした。

翌朝、坂井の自宅に向かおうとする風間の前に、議員としての坂井を心から尊敬する秘書(丹羽貞仁)が立ちはだかり、英子を殺したのは自分だと自首してきます。



「先生は私にとって……いいえ、町にとって大切な人なんです!」

「それは自分にも、沖田にとっても同じことです! こんな終わり方で納得してくれると思いますか、坂井さんが」

「…………」

一方、先に坂井宅に駆けつけた沖田は、英子を殺害するに至るいきさつを綴った坂井の遺書を見つけます。

1ヶ月前、議員活動で上京したときに坂井は、英子と偶然再会したんだけど、すっかり大人に成長した彼女が誰なのか判らなかった。恐らくその瞬間、英子は復讐を決意し、坂井を罠にかけた。

ところが、英子が自殺した容疑者の娘であることに気づいた坂井は、あえてユスりには応じず、議員を辞める覚悟で彼女を更正させようとした。そして……



渓谷で逆上した英子と揉み合いになり、その弾みで彼女は転落……っていう、これまたサスペンスドラマ「あるある」な顛末。

そのとき、坂井はすぐ自首しようとしたんだけど、秘書が全力で阻止したワケです。



坂井はきっと、英子の遺体が眠る渓谷で死ぬつもりだと読んだ風間は、再びロープウェイで駆けつけます。



「頼む! 死なせてくれ!」

「刑事なんですよ! 僕も、風間さんも!」

「そうしてくれたのは坂井さん、あなただ」



かつての愛弟子たちの説得……というより懇願により、坂井元教官は自殺を思い留まるのでした。


尊敬する恩師の犯罪を暴かなきゃいけない試練、っていうストーリーも刑事ドラマ「あるある」だけど、この『風の刑事・東京発!』第9話に限っては主人公のみならず、その上司も後輩も同じ人を同じように尊敬してる設定がユニークかつ秀逸で、それゆえに刑事どうしが激しくぶつかり合う展開が見応えありました。

私が事件関係者の人情ストーリーを好まないのは、主役である筈の刑事がただの傍観者になりがちだから。

いや、元々は事件関係者を主役にするのが警察物なんだけど、それを何が何でも「刑事のドラマ」として描き抜いた『太陽にほえろ!』なんて番組を長年観て育ったもんだから、ただ突っ立ってるだけの刑事が許せないワケです。

その点で今回はとても良かった! 柴田恭兵さんや柄本明さん、小林昭二さんらが演じればこそかも知れないけど、私は堪能しました。


セクシーショットは今回のヒロイン=本田理沙さんと、チョイ役ゲストの麻田かおりさん。

麻田さんは観た瞬間に「誰これ、可愛い!」って思ったんだけど、調べたら主にエロ系Vシネマで活躍されてた女優さん。本田さんにしろ、もっと売れても良さそうな人たちなのに、つくづくシビアな世界です。


 

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『科捜研の女』1ー#01

2023-04-30 12:40:07 | 刑事ドラマ'90年代

テレビ朝日&東映の看板を背負い、2023年現在まで全22シリーズが放映され、今後もなお続くであろう、現役の連ドラ最長寿を誇るミステリードラマ『科捜研の女』の、記念すべきシーズン1第1話が先日、CS東映チャンネルにて放映されました。

本放映は1999年10月21日、脚本=日暮裕一、監督=大井利夫、サブタイトルは『声紋は語る! 京都大文字の夜、謎の美女が……』。



殺人事件の現場を検証中だった京都府警捜査一課の木場警部(小林稔侍)と城丸刑事(伊藤裕子)の前に、吉田刑事(小林 隆)が挙動不審な女を連行してくる場面から、長い長い歴史がスタートします。

現場のゴミ箱を勝手に漁ってたその不審者こそ、科学捜査研究所に着任したばかりの法医研究員=榊マリコ(沢口靖子)なのでした。



近作におけるマリコさんより見た目が若いのは当然だけど、随分やんちゃと言うか、お転婆だったり短気だったりするのが、ちょっと新鮮。

これは長寿番組「あるある」で、最初はアクの強いキャラでも作品が長く続いていく内、演じる俳優さんの「素」にどんどん近づいて一体化しちゃう。『太陽にほえろ!』の山さん(露口 茂)が最たる例です。

番組自体もまだ手探り状態で、最初の2シーズンは変人キャラのマリコさんと対比、あるいはバランスをとる為か、常識人の城丸刑事がバディー的な役割を担ってました。



で、城丸さんにバツイチの彼氏がいて、その元妻が「とてもワガママで陰険な女だったらしい」と聞かされ、マリコさんも「いるよね、そういうバカ女!」とか言って呆れるんだけど、直後に紹介されたその彼氏がなんと……



マリコさんと4年前に離婚してから刑事部長に出世し、兵庫県警から京都府警に異動して来たばかりの元亭主=倉橋拓也(渡辺いっけい)だったから驚いた!

「ワガママで陰険な女で悪かったわね!」💢💨💥



相棒の彼氏に全力ビンタを食らわせ、気まずい空気になっちゃうワケだけど、城丸さんがお返しのビンタをマリコさんにお見舞いすることで、すんなり和解。何があってもウジウジしない、この明るさが一番の魅力かも知れません。

ちなみに、沢口靖子さんと別れて伊藤裕子さんと付き合ってる役を演じたことについて、渡辺いっけいさんは「もっとカッコいい俳優さんが演じるべきだと思った」と、実に正しいコメントをされてますw



そしてシリーズ初期を支えたもう1人のキーマンが、小林稔侍さん扮する木場警部。

科学を盲信するあまり頭でっかちになりがちで、「科学は人間と違って嘘をつかない」が口癖のマリコさんに、この番組のスピリットを象徴する言葉を投げかけます。

「人の情けや哀しみ、憎しみ。そんなもんが数字で表せると思ってんのか? 我々が相手にしてるのはナマな人間なんだよ」

「…………」

「人間ってヤツはね、どこまでも愚かでバカバカしくって、救いようがない。だから愛おしいんじゃないかな」

「……私には、私のやり方があるわ!」



当時はそう反発してたマリコさんも経験を重ね、現在はそれを若手に教える立場になってる。長寿番組でしか味わえない説得力がそこにあります。



京都府警 科学捜査研究所の初代メンバーは、現在所長を務める日野さん(斉藤 暁)と瓜二つだけどまったくの別人=物理担当の榎戸研究員(斉藤 暁)と、化学担当の小清水研究員(橋本さとし)、法医助手の奥田研究員(小林千香子)。



そして初代所長で文書担当の森村研究員(佐戸井けん太)。



以上のメンバーは(マリコさんを除いて)シーズン1にしか登場せず、キャスティング面でも初期は試行錯誤してたみたいです。

まさか、そこから20年以上も続く番組になろうとは、キャストもスタッフも視聴者もきっと、誰ひとり想像もしてなかったことでしょう。



記念すべき初回ゲストは、第1容疑者に斎藤陽子さん。



そして第2容疑者に渡辺真起子さん。



セクシーショットは伊藤裕子さん、小林千香子さん、斎藤陽子さんです。


 

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