ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『マンハント』

2020-07-31 22:05:11 | 外国映画










 
今さら『君よ憤怒の河を渉れ』を観たのは、先にこの『マンハント』を観て比べてみたくなったから。2017年に公開されたジョン・ウー監督による中国映画で『君よ~』のリメイク作です。

オリジナルで高倉健が演じた逃亡者に中国スターのチャン・ハンユー、原田芳雄が演じたやさぐれ警部に福山雅治、中野良子が演じたヒロインにチー・ウェイが扮するほか、桜庭ななみ、國村準、池内博之、竹中直人、矢島健一、田中圭、斎藤工、吉沢悠、そして倉田保昭といった日本人キャストが参加。

舞台は日本の大阪(オリジナルは東京と北海道)で、近鉄がロケーションに全面協力してるもんで、私が生まれ育った近鉄沿線の懐かしい風景がふんだんに登場。なにしろジョン・ウー作品なので大阪城周辺で凄まじい銃撃戦やボート・チェイス(ほとんどCGっぽいけど)が展開されたりするし、もちろん所々でハトが飛びますw

思えば、逃亡者と追跡者が激しく戦いながら友情を育み、やがて共闘するストーリーはジョン・ウー監督の十八番ですから、中国でリメイクするとなるとこの人以上の適任者はいません。今回は二挺拳銃の代わりに、手錠で繋がれた状態で一挺の拳銃を二人で撃つという(ポスタービジュアル参照)ますますホモっぽさを増したGUNアクションで笑わせてくれますw

ただし、今や女性の活躍抜きでエンタメは成立しませんから、オリジナルには存在しなかった女性新米刑事(桜庭ななみさん、快演!)や、熱い絆で結ばれた女性スナイパーのコンビも登場し、何が何だか分かりませんw

タイトルの『マンハント』とはつまり、主人公を執拗に追う福山くんの事であり、黒幕から依頼されて主人公の命を狙うスナイパーたちの事でもあり、さらに人体実験用のモルモットとして人々を狩る黒幕組織の事でもある。

健さんの名作もジョン・ウー監督にかかるとこんな破天荒な映画になっちゃうのか!と思ってオリジナルの『君よ憤怒の河を渉れ』を観てみたら、そっちも負けないくらい破天荒だったもんで笑いましたw

大筋はほぼ同じで、『君よ~』はサスペンス寄りの「健さん映画」であり、『マンハント』はアクション寄りの「ジョン・ウー映画」である。どっちにしろ真面目に観る作品じゃないっていうのが私の感想ですw

もちろん、それは褒め言葉です。全盛期ほどの切れ味は無いにせよジョン・ウー節は健在で、福山くんがあり得ないポーズでベレッタを撃ちまくり、スローモーションでハトが飛ぶたびに我々は「よっ! 待ってました!」って声を掛けながら笑うワケですw かつて健さんの任侠映画を劇場で観てた観客の皆さんも、きっと同じようなリアクションをした事でしょう。

ただ残念なのは、主人公が私にとって全然知らないオッサン(中国人俳優)ゆえ気持ちがイマイチ入らないこと。そこは健さんとじゃ雲泥の差があるんだけど、まあ外国映画だから仕方ありません。

そこは気にせず、我々は福山くんの珍しいアクション映画として楽しめばいいし、個人的には桜庭ななみさんのハツラツ新米刑事ぶりを観られただけで大満足でした。
 

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『君よ憤怒の河を渉れ』

2020-07-30 22:10:05 | 日本映画










 
そう言えば、これを今の今まで観てませんでした。1976年に公開された、佐藤純彌 監督による松竹配給の日本映画。2時間半の超大作です。

ストーリーは日本版『逃亡者』と言えば分かり易いかと思います。何者かの罠により殺人犯の濡れ衣を着せられ、自ら真犯人を捕らえる為に逃亡する主人公に高倉健、彼を執拗に追跡するやさぐれ警部に原田芳雄、逃亡を手助けするヒロインに中野良子、その父親に大滝秀治、黒幕に西村晃が扮するほか、倍賞美津子、伊佐山ひろ子、池部良、田中邦衛、岡田英次、内藤武敏etc…といった豪華キャストが集結。我らが長さん=下川辰平さんも所轄のベテラン刑事役で出演されてます。

この映画はやっぱり、高倉健さんという存在がもたらす説得力、それに尽きるんじゃないでしょうか? 刑事の原田芳雄さんが知らず知らず主人公にシンパシーを抱くのも、箱入り娘の中野良子さんが一目惚れして全てを捧げるのも、その父親が自分のセスナ機を逃走用に「くれてやる」のも、もし主役がムロツヨシさんならギャグにしかなりませんw

そもそも、主人公には検事という立派な肩書きはあるものの、彼が本当に無実であることを我々観客が信じるための根拠を、映画は何も示してないんですよね。それでも、健さんだから、無実に決まってると我々はすんなり信じちゃう。

ハリソン・フォード主演で大ヒットしたリメイク版『逃亡者』も同じことで、ふだん映画を全く観ない人がそれを観たら、主人公自身が真犯人である疑いが捨て切れず感情移入できないかも知れません。だけどハン・ソロやインディアナ・ジョーンズに魅了されて来た我々は、たとえ彼が真犯人であっても応援しちゃうw

きっと主人公は悪くない。なぜならハリソン・フォードだから。健さんだから。そこがスーパースターのスーパーたる所以。かったるい説明を省いても自然と観客を味方につけちゃう。彼に協力する刑事や箱入り娘にも共感させちゃう。ムロツヨシさんじゃそうはいきませんw

タイトルは硬派な感じだけど、これは純娯楽映画でありスター・ムービーです。チープな特撮や軽妙すぎるBGMなどツッコミどころは多々あれど、それを挙げつらうのも楽しみ方の1つです。マジメに考えちゃいけませんw

健さんだけじゃなく、やさぐれ警部の原田芳雄さんはめっぽうカッコいいし、清純派の中野良子さんはヌード(吹替えっぽいけど)と濡れ場を披露してくれてます。

なお、本作は中国でも'79年に公開され、文化大革命後に初めて公開された外国映画ということもあって観客動員数8億人(!)の大ヒット。健さんと中野良子さんはあちらでも大スターとなり、2017年にはジョン・ウー監督により『マンハント』というタイトルでリメイクもされてます。
 

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『仮面ライダーV3』#01~#02

2020-07-28 21:50:09 | 特撮ヒーロー










 
1973年2月から翌年2月まで、NET系列土曜夜9時半からの30分枠で全52話が放映された、毎日放送&東映の制作による特撮ヒーロードラマ。ご存じ『仮面ライダー』シリーズの第2弾です。

前作『仮面ライダー』の直接的な続編として制作され、立花藤兵衛(小林昭二)と「少年仮面ライダー隊」は引き続きレギュラー出演、この第1話と第2話には仮面ライダー1号=本郷 猛(藤岡 弘)&2号=一文字隼人(佐々木 剛)もゲスト登場してます。

主人公=風見志郎(宮内 洋)は城南大学・生物学部の学生で本郷猛の後輩という設定。悪の新組織「デストロン」の悪事を目撃した為に命を狙われ、目の前で両親を殺されてしまい、復讐を誓って本郷&一文字に自ら改造人間手術を志願するというハードな展開。

仮面ライダーの能力を復讐に使わせるワケにはいかず、一度は断った両先輩だけど、自分たちをかばってデストロンの攻撃を受け、瀕死状態となった風見を救うため改造手術を決断。

結果、1号の「技」と2号の「力」を併せ持つ3人目の仮面ライダー「V3」が誕生! 1号&2号は原子爆弾を装備した怪人「カメバズーカ」と共に自爆、日本の平和をV3に託して消息を絶ってしまうのでした。(もちろん、シリーズが続くかぎり仮面ライダーたちは死にません)

私はリアルタイムで『太陽にほえろ!』を観始めたのが2代目新人刑事=ジーパン(松田優作)の時代からで、初代=マカロニ(萩原健一)の活躍は再放送で後から観たんだけど、仮面ライダーもたぶん『V3』でハマって1号&2号は再放送による後追いだったような記憶があります。もしかしたら前作の途中から観てたかも知れないけど、本格的にハマったのはV3から。同世代にはそういう方が多いんじゃないでしょうか。

シリーズ初期の怪奇色は残しつつ程よい明るさで、まあ「少年仮面ライダー隊」なんてダサい連中は出てくる(私は少年時代からそういうのは嫌いでした)けど、どんどん幼年層向けになっていく昭和ライダーの中じゃV3が一番バランスが取れてたような気がします。

それには主役=宮内洋さんのスマートな魅力もかなり効いてましたよね。一見クールでありつつ、それこそ1号=藤岡さんの熱さと2号=佐々木さんの実直さも併せ持った感じで文句なくカッコよかった。男子はやっぱりカッコいい人に自己投影したいもんだし、もしかしたら女子の支持も集めてたかも知れません。あと、V3の愛機「ハリケーン号」も歴代ピカイチのスマートさで、OP主題歌も格好良かった。

そんなこんなで『V3』は全シリーズ中でも屈指の人気を誇り、宮内さんは続いて『秘密戦隊ゴレンジャー』や『怪傑ズバット』等でもスーパーヒーローを演じられ、このジャンルを代表する俳優さんになって行かれます。

しかし久々に観ると、火薬量の多さにとにかく驚かされます。OPタイトルからして爆破!爆破!の連続で、敵怪人の最期も必ず爆破! 前作初期におけるシャボンが蒸発するみたいなチープな死に方とは雲泥の差でw、大ヒットを受けて予算が大幅アップされたことが伺えます。特撮ヒーローのジャンルそのものがイケイケの時代でした。

もう1つ気づいたのが、先に敵が現場にいて、後からヒーローが現れる時、いちいち物陰で「ムハハハハハ!」って笑い声を上げてw、敵に「誰だっ!?」って言わせてから登場するんですよね。

『黄金バット』あたりからの伝統なのか『V3』独自の演出なのか分からないけど、今となっては「なにが可笑しいねん?」ってツッコミたくなりますw 宮内さんがまた上手いんですよね、相手をバカにしたような笑い方がw どの番組あたりまでこの風習が受け継がれてたのか、調べてみたいけど時間がありませんw

そんな感じで昭和の番組ならではのツッコミどころは多々あれど、『仮面ライダーV3』は今観直してもカッコいいです。

『V3』と言えば「ライダーマン」の存在も忘れ難いけど、調べたら最終クールの9話分しか登場してないんですね。それでもよく憶えてるんだから、よっぽどインパクトがあったんだろうと思います。

そしてミニスカート姿が眩しいポートレートは、ヒロイン=珠純子を演じられた小野ひずるさん、当時18歳。芸能活動は約5年と短く、その間に『太陽にほえろ!』の第218話『殿下とスコッチ』にゲスト出演されてます。

あと、8枚目の画像で小野さんと一緒に写ってる少女は、風見志郎の妹=雪子を演じられた関口英利子さんです。
 

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『Gメン'75』#228

2020-07-27 18:28:56 | 刑事ドラマ'70年代










 
☆第228話『Gメン 対 香港の人喰い虎 PART2』

(1979.10.13.OA/脚本=/掛札昌裕&高久 進/監督=山口和彦)

津川刑事(夏木マリ)を捕らえた香港コネクションは、その身柄と引き換えに警視庁が押収した1億ドル相当のヘロインを要求。そのミッションを指揮する邦彦(ジョニー大倉)という日本人は、島谷刑事(宮内 洋)がかつてベトナムで生き別れになったもう一人の弟だった!

おまけにコネクションが殺しに使う人喰い虎=シーザーは、島谷三兄弟がかつてベトナムで飼ってた赤ちゃん虎のなれの果てだった!

主人公にやたら壮大な出生エピソードを持たせるだけじゃ飽き足らず、虎にまで過去の因縁を設定し、もちろん弟たち=邦彦も達也(石田信之)もその虎に喰い殺されちゃう「Gメン節」とも言うべき悲劇の連鎖!

最後は中屋(伊吹 剛)と田口(千葉 裕)が二人がかりでヤン・スエを『ターミネーター』ばりに鉄扉で首チョンパ! もちろんラスボスは満身創痍の主役=島谷が倒し、Gメン側のボスである黒木警視正(丹波哲郎)は見事に何もしてませんw

こうして事件解決した後、島谷はGメンの一員になるワケだけど、そこにどういう理由といきさつがあったのか一切説明しないのも相変わらずのGメン節w 南雲警視(川津祐介)も本庁とGメンを繋ぐパイプ役として度々顔を出すことになります。

所々で強引さとテキトーさが目につく『Gメン'75』だけど、リアリティーに囚われ過ぎてダイナミックさをすっかり失った昨今の刑事ドラマを観るにつけ、細かいことを気にしない昭和ドラマの堂々たる姿勢がやたら眩しく感じます。

やっぱり面白いドラマは、理屈じゃない。心意気です。つくづくそう思います。
 

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『Gメン'75』#227

2020-07-26 19:19:26 | 刑事ドラマ'70年代










 
☆第227話『Gメン 対 香港の人喰い虎』

(1979.10.6.OA/脚本=/掛札昌裕&高久 進/監督=山口和彦)

かつてGメンが壊滅させた筈のヘロイン組織=香港コネクションがしぶとく復活し、すでに何回死んだか判らない筋肉カンフーモンスター=ヤン・スエもまたもや蘇生! 今回はアイパッチで別人を演出してますw

1億ドル相当のヘロインを日本に密輸するコネクションの計画をキャッチした警視庁の潜入捜査官=島谷達也(石田信之)は、取引を未然に防ぐも組織に捕まり、人喰い虎「シーザー」の餌食にされようとしていた!

驚異的な諜報力で達也の危機を察知した警視庁の南雲警視(川津祐介)は、達也の兄である捜査四課刑事=島谷和彦(宮内 洋)を香港へ派遣し、たった一人で弟を組織から救出するというインポッシブルにも程があるミッションを敢行させるのでした。

『Gメン'75』恒例の香港カラテ・シリーズ続編であり、新レギュラー=南雲警視&島谷刑事の登場エピソードでもあるイベント篇、その第1弾。

島谷が香港入りした直後からコネクションの刺客たちが次々と襲いかかり、その内1人を殺した容疑で島谷が香港警察に拘束されるも、収容先の留置場にまで泥酔者を装った殺し屋が襲って来るという、息もつかせぬジェットコースター展開!

で、そいつを倒したついでに看守たちを蹴散らし、やっとの思いで脱出した島谷を待ち受けるのが、唸る筋肉でお馴染みのヤン・スエと、ジャイアント馬場そっくりな筋肉第二号という無敵タッグ!

そんな島谷刑事の窮地を知り、自分の命令が無謀だったことにようやく気づいた南雲警視は、Gメンの黒木警視正(丹波哲郎)に泣きつきます。

二つ返事で引き受けた黒木は中屋(伊吹 剛)・田口(千葉 裕)・津川(夏木マリ)の三名をさっそく香港に送り込むんだけど、1人から3人に増えたところでインポッシブルなミッションには変わりなく、あっさり捕まった津川が人喰い虎の檻に放り込まれて絶体絶命!という場面で次週へ「つづく」となります。

とにかく危機に次ぐ危機、アクションに次ぐアクションで、謎解きも人情も入り込む余地いっさい無し。素晴らしい! あまりに行き当たりばったりな日本警察には笑っちゃうけどw、話が停滞することなく前へ進み続けますから、ツッコミを入れるスキがありません。

'79年当時、我が本命の『太陽にほえろ!』は辛気くさいエピソードばかり続いてアクティブさを失ってましたから、もしリアルタイムで本作を観ていたなら、私は『太陽~』を見限って『Gメン』に浮気したかも知れません。

『仮面ライダーV3』等の特撮ヒーロー物でお馴染みだった宮内洋さんが主役で、登場するなり破格の活躍ぶりを見せてくれるのがまた嬉しい。

一足先にGメン入りした千葉裕さん(元・白バイ隊員という設定)が、命より大事にすべき白バイを喫茶店でサボってるスキに盗まれるという、あまりにポンコツな登場の仕方だったのと実に対照的でw、倉田保昭さんの抜けた穴を埋めるアクションスターとして宮内さんがどれだけ期待されてたかが伺えるし、宮内さんはそれに充分応えておられると思います。

セクシーショットはもちろん津川刑事役の夏木マリさん。スタートはアイドル歌手(中島淳子名義)だったことはあまり知られてないかも知れません。

'79年春から約1年間(当時27歳)レギュラーを務められた『Gメン'75』がテレビドラマ初出演作にしてブレイク作、そして唯一の刑事物レギュラー出演作ともなりました。
 

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