2019年9月現在公開中の、今泉力哉 監督・鈴木謙一 脚本による東宝映画。小説家・伊坂幸太郎とシンガーソングライター・斉藤和義のコラボによる短編小説&楽曲から生まれた群像ラブストーリーです。
キャストは三浦春馬、多部未華子、貫地谷しほり、原田泰造、矢本悠馬、森 絵梨佳、MEGUMI、恒松祐里、萩原利久、八木優希、といった顔ぶれ。
タベリストにとっては『君に届け』『僕のいた時間』に続く多部ちゃんと三浦春馬くんの3度目(『爽健美茶』のCMを含めると4度目!)となるカップル共演はもちろん、多部ちゃんと八木優希ちゃんの『デカワンコ』『浪花少年探偵団』に続く3度目(優希ちゃんが多部ちゃんの幼少期を演じた『ヤスコとケンジ』を含めると4度目!)となる共演にも感慨深いものがあります。
ゴールデンカップルみたいな売り出し戦略があるワケでもないのに(そして事務所が同じでも実際に恋人でもないのに)カップル役で4度も共演!っていう春馬くんも凄いし、世代が(そして事務所も)違うのに同じ回数絡んでる優希ちゃんとも不思議な縁で結ばれてるとしか言いよう無いですね。(吹越満さん等もそうだけど)
さて内容ですが、やはり伊坂幸太郎 原作映画で多部ちゃんが出演された『フィッシュストーリー』('09) を彷彿させる、複数の主人公たちが複数の時系列で交差する巧みな作劇で、恋愛を描くというより人と人との「出逢い」について考えさせる人生ドラマゆえ、恋愛もの嫌いの私でも苦痛なく観られました。
下手にやると「日曜劇場」みたいにわざとらしくクッサい話になりかねない内容を、丁寧な演出とリアルな演技で説得力ある作品に仕上げてあるのもやはり『フィッシュストーリー』と同じ。
いや、「ほら話」すなわちファンタジーを前提にした『フィッシュ~』と違ってこちらはごく普通の人たちの日常におけるドラマですから、ハードルは格段に高かったかも知れません。
今泉監督は伊坂さんのご指名によるインディーズからの大抜擢だったそうで、一流の作家さんにはそういう鋭い嗅覚も備わってるんだろうと思います。多部ちゃんがヒロインに選ばれたことも、春馬くんや優希ちゃんと何度も共演してるのも決して偶然じゃない。ちゃんと分かってる人たちが選ぶ俳優は限られてるという事でしょう。
貫地谷しほりさんも原田泰造さんも素晴らしいし、若手の皆さんも本当に上手い。極上のエンターテイメントとして老若男女(特にやっぱり若い女性)が楽しめる作品で、デートムービーには最適かと思います。
ただ、あくまで私個人の感想を言わせてもらえば、しょせん綺麗事やなとw あり得なくはないんだろうけど、奇跡的にうまくいったレアケースばかり集めた、これもやっぱりファンタジーやなと。(私にとってリアルだったのは唯一、妻子に逃げられた原田泰造さんだけ)
つまり私から見ればほとんど全てが「他人事」に過ぎず、観てる間は楽しくても明日にはキレイに忘れちゃう「アトラクション映画」やな、っていうのが正直な感想です。
もちろん、私がこよなく愛するハリウッドのアクション映画だって典型的なアトラクションですから、それを否定するつもりは毛頭ありません。ただ、女の子向けのアトラクションに乗ってもあまりワクワクしないって事ですね。
観てる間は楽しいって書きましたけど、観終わった直後の私に去来したのは「ああ、俺にはこんな美しい出逢いは無かったな」「今後も死ぬまで無いだろうな」っていう、むしろ底なしの虚しさでしたw
もちろん、それは自分自身が出逢いを強く求めて行動しなかった、努力しなかったその結果であるのは百も承知。だからこそ他人事(絵空事とは言いません)のストーリーとしか感じられないワケです。
前述の通りウェルメイドな映画で、デートムービーとしては一級品だと太鼓判が押せますが、私個人にとっては多部ちゃんが春馬くんや優希ちゃんと4度目の共演を果たし、なんと工事現場の警備員姿を披露!(玉木加乃子さんの影響?w)してくれたこと以外、特にこれと言って心に残るものが無い作品でした。出逢えてよかったね、本当におめでとう、ボクには関係ないけど……っていう。
セクシーショットは春馬くんの学生時代のマドンナで二児の母=由美を演じた、モデル出身の森絵梨佳さんです。