ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『大都会/闘いの日々』#01

2018-09-30 20:25:05 | 刑事ドラマ'70年代









 
☆第1話『妹』(1976.1.6.OA/脚本=倉本 聰/監督=小沢啓一)

殺人を犯して逃走中の暴力団員(石橋蓮司)を逮捕すべく、彼の妹(水沢アキ)に協力を要請する城西署の黒岩刑事(渡 哲也)たち。カタギのOLで、しかも結婚間近の大事な時期である妹は、頑なに捜査協力を拒みます。

そんな彼女に、自分の妹=恵子(仁科明子)への想いを重ね、苦悩する黒岩。

黒岩は捜査第四課の所属、つまりマルボー(暴力団絡みの事件担当)である為にヤクザの恨みを買い、妹の恵子を輪姦されてしまった!という、暗いにも程がある過去を背負ってる。

恵子にも恋人がいた筈なのに、最近どうやら別れてしまったらしい。もしかすると、それも例の過去が原因なのかも………

どうですか、重いでしょう? 暗いでしょう? 地味でしょう? スーパーマシンをぶっ飛ばしながらショットガンを乱射する、あのグラサン団長と同一人物とはとても思えませんw

クライマックス、犯人は自分の妹を盾にして逃走を試みるんだけど、黒岩は迷わず突っ込み、暴力とショットガン抜きで逮捕して見せます。

「あんた、人質の命なんかどうなってもいいと思ってるのか!?」

本作でデビューした新人俳優=神田正輝さん扮する新米記者が、棒読み台詞で黒岩を責め立て、すぐさま批判記事を掲載するんだけど、黒岩は黙って背中に苦渋を滲ませるだけ。いやはや、渋い。けど、辛気くさい!w

もちろん、黒岩は確信してたんでしょう。犯人が、自分の妹を殺すワケがないって。誰よりも愛する、我が妹を……

『北の国から』を連想させる、兄と妹の絆。脚本の倉本聰さんは、狭いアパートで同居する黒岩頼介&恵子の兄妹に、ちょっと近親相姦的な匂いも漂わせたかったのかも知れません。

『西部警察』の古手川祐子さんだとイメージが若すぎて、渡さんと兄妹っていう設定にムリを感じるけどw、淑やかな仁科明子さんならサマになりますね。

仁科さんは当時23歳。松方弘樹さんと不倫騒動の末に結婚&引退するも、1998年の離婚を機に仁科亜希子の名義で女優復帰。がん治療を経験された事から、ACジャパンの乳癌検診CMでもお馴染みの顔になられました。

ゲストの水沢アキさんは当時18歳。後に『太陽にほえろ!』でゴリさん(竜 雷太)の婚約者を演じることになる女優さんですが、歌手としての活動やヌードグラビア、アメリカ人との国際結婚、そしてジャッキー・チェン氏と1年間交際したこと(!)等でも有名な方です。
 
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『大都会/闘いの日々』1976

2018-09-30 12:12:18 | 刑事ドラマ HISTORY

 
1976年の1月から8月まで、日本テレビ系列の火曜夜9時枠で全31話が放映された刑事ドラマ。制作は石原プロモーション。

日本映画が斜陽期に入り、多額の借金を抱え経営危機に陥った石原プロを救ったのは、背に腹は換えられず社長=石原裕次郎さんが渋々出演したTVドラマ『太陽にほえろ!』の大ヒットでした。

当初はテレビというメディアを馬鹿にしてた裕次郎さんも考え方を改め、自社でも連ドラを手掛けたいと『太陽~』のチーフプロデューサー・岡田晋吉さんに相談し、当時『前略おふくろ様』等をヒットさせ注目されてた脚本家・倉本 聰さんを岡田さんが招き入れ、石原プロのNo.2・渡 哲也さん主演を念頭に置いて練り上げた企画が『夜の紋章』というマルボー(暴力団担当)の刑事を主人公にしたストーリー。

それじゃイメージが暗すぎるって事で最終的には『大都会/闘いの日々』というタイトルに落ち着き、石原プロ初のTVドラマ制作がスタートしたのでした。

あの『西部警察』の前身となったシリーズって事でアクション物のイメージが強いかも知れませんが、第1作『闘いの日々』だけは全然違います。なにしろ人間ドラマの権化とも言える倉本聰さんがメインライターですから、ほとんど文芸作品に近い重さとリアリズムを持ったこのドラマにはアクションのアの字もありません。『太陽にほえろ!』が既に国民的人気を獲得しており、それとの差別化や強い対抗意識もあった事でしょう。

あるいは、主役を務める渡哲也さんが大病(そのせいで大河ドラマ『勝海舟』を途中降板)から復帰したばかりで、体調が万全じゃない影響もあったかも?(治療の副作用で、渡さんのお顔がパンパンにむくんでます)

そんな渡さん扮する主人公=黒岩頼介は暗い過去を背負い、部長刑事という中間管理職の悲哀を滲ませ、事件もスカッと解決すること無く、矛盾と理不尽に満ちた毎回の結末に、ますます眉間にシワが寄って行くという世界観。

要するに、リアルで良質なんだけど暗い、重い、地味なドラマで、どちらかと言えば玄人向け。当然ながら視聴率は取れないし創ってる側も楽しくないって事で、松田優作さんを新レギュラーに迎えた第2シリーズ『大都会PART II』からは娯楽アクション路線へとシフトし、それがテレビ朝日系列『西部警察』シリーズや『ゴリラ/警視庁捜査第8班』等へと繋がっていく事になります。

そんなワケで、私個人としては『PART II』を強くオススメしたいんだけど、アクションやヒロイックな刑事ドラマが好きじゃない、あるいは見飽きたと仰る方には、この第1作を是非、試しに観て頂きたいです。

内容の地味さとは裏腹に、キャスト陣はすこぶる豪華絢爛。渋谷を管轄とする城西警察署メンバーとして渡 哲也、高品 格、小野武彦、佐藤 慶、中条静夫、そして東洋新聞や毎朝新聞の事件記者に石原裕次郎、宍戸 錠、寺尾 聰、神田正輝、平泉 征、柳生 博etc…といったメンツ。

見事にオッサンだらけの布陣ですがw、黒岩刑事の妹に仁科明子さん、黒岩に想いを寄せるヤクザの情婦に篠ひろ子さんが扮する他、石原プロ作品恒例の弾き語り歌手を牧村三枝子さんが担当し、花を添えられてます。

松田優作、浅田美代子、石田あゆみ、坂口良子、藤岡琢也、川谷拓三、志賀 勝、木の実ナナほか、豪華ゲスト陣にも要注目の第1シリーズです。

なお、'76年は日テレで『太陽にほえろ!』、TBSで『夜明けの刑事』『Gメン'75』、NETで『非情のライセンス』が継続中のほか、千葉真一『大非常線』(NET)、星正人『刑事くん』(TBS)、篠田三郎・高岡健二『新・二人の事件簿/暁に駆ける』(NET)、高松英郎・山城新伍・江藤潤『刑事物語/星空に撃て!』(CX) 等の刑事ドラマが制作・放映されてました。
 
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『はぐれ刑事』1975

2018-09-30 00:00:17 | 刑事ドラマ HISTORY



 
1975年の秋シーズン、日本テレビ系列の火曜夜9時枠で全13話が放映された刑事ドラマ。制作は俳優座映画放送&国際放映。

東京・浅草を管轄とする台東警察署を舞台に、人情派の中堅刑事=風間(平 幹二朗)とエリート気質の新米刑事=影山(沖 雅也)が、下町の人々とふれ合いながら事件を解決していくヒューマンストーリー。

地味な内容ゆえか当時それほど話題にならず、ガキンチョだった私はその存在すら知りませんでした。10年ほど前にCATVで放映されたのを何話か観ましたが、やっぱり地味で眠たくて継続視聴には至りませんでした。

本作の後番組である『大都会/闘いの日々』もジメジメした内容で、日テレ火曜夜9時枠がハードアクションのイメージを定着させるのは'77年の『大都会 PART II 』以降という事になります。

かくも地味な存在かつ思い入れのない作品にも関わらずここで取り上げたのは、沖雅也さんが『太陽にほえろ!』にスコッチ刑事として登場する1年前に、その原型とも思える刑事像を演じておられるから。

というのも、第1話で沖さん扮する影山刑事が犯人を狙って撃った筈の弾丸が、なんと先輩の風間刑事に当たっちゃうトラウマ設定があるんですよね。

その弾丸を摘出するのが困難で、風間は体内に鉛の塊を残したまま刑事の仕事を続けるんだけど、激しく動くと激痛に襲われ、その度に影山は罪悪感に苦しむワケです。

『太陽~』のスコッチ刑事は、かつて自分が犯人を撃つことをためらったせいで先輩刑事が撃たれてしまい、そのトラウマから非情な性格に変貌したという設定。似てますよね。

ただし『太陽~』のチーフプロデューサーで『はぐれ刑事』の企画にも参加された日テレの岡田晋吉さんは、スコッチのキャラクター造形に影響を与えたのは影山刑事ではなく、テレビ朝日系列の人気時代劇『必殺』シリーズで沖さんが演じた殺し屋だとインタビューで証言されてます。影山はトラウマで人が変わったりはしてないですから、先輩刑事が撃たれちゃうシチュエーションがたまたま似ちゃっただけの事みたいです。

だけど鋭い眼つきとダンディーなスーツ姿はどう見てもスコッチを彷彿させ、少なくともビジュアル面では影響を与えたんじゃないかと思えてなりません。

風間刑事の幼なじみで町医者の新藤(田中邦衛)の義妹=美智子を演じてるのが、後に『太陽~』でスコッチの元婚約者に扮する夏純子さんなのが、またややこしいんですよねw で、その美智子は影山じゃなく風間に惚れてるというw

最終回直前で風間刑事の弾丸摘出手術が成功し、トラウマから解放されたのも束の間、影山刑事は最終回で保護しようとした女の子(市毛良枝)に撃たれ、「死にたくない」と呟きながら絶命します。

このシチュエーションはジーパン刑事(松田優作)の有名な殉職シーンとも似てるし、スコッチ刑事も最期は「死にたくない」と呟いて息を引き取ります。そもそも新米刑事・影山の成長と挫折を軸にしたシリーズ構成からして『太陽~』的なんですよね。

意図して似せたワケじゃないとしても『はぐれ刑事』と『太陽にほえろ!』とは切っても切れない関係、と言って差し支えないでしょう。少なくともテレ朝の『はぐれ刑事純情派』よりはずっと近い。

レギュラーキャストは他に火野正平、ホーン・ユキ、浅芽陽子、小沢栄太郎といった面々。10年前はリタイアしちゃったけど、今一度じっくり観直してみたい作品の1つです。
 
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『太陽にほえろ!』1975~1976

2018-09-29 04:04:13 | 刑事ドラマ HISTORY










 
#168 ぼんぼん刑事登場!

「大阪生まれの甘えんぼう刑事」ことボン=田口 良(宮内 淳)が新加入し、若手刑事2人体制となった『太陽にほえろ!』は新たなステージへと進んで行きます。

新人刑事の成長過程を描く青春ドラマ的要素は継承しつつも、ベテラン&中堅刑事達の活躍も同じ比重で描かれ、より「人間ドラマ」「群像ドラマ」としての色合いが濃くなりました。

その為か、ボンは刑事になりたての新米ではなく、お隣の城南署でデビュー済みの刑事として登場します。

で、城南署管内の殺人現場で鉢合わせになったテキサス(勝野 洋)を犯人と思い込み、しつこく追い回す迷惑な若造として藤堂チームの面々のひんしゅくを買います。

だけど根は素直でお人好しな性格ですから、テキサスを追い回す内にすっかり彼や藤堂チームのファンとなり、上司にダダをこねて七曲署への転属を果たすのでした。

そんなボンの初出勤には叔母(ミヤコ蝶々)が付き添うというお坊ちゃんぶりで、ボス(石原裕次郎)が呆れ半分で「大阪生まれのボンボン刑事か……」と呟いたのが、そのままニックネームになった次第です。

ちなみにボスから直々に命名されたのはボンが初めてで、通常はもっぱらゴリさん(竜 雷太)が「おい、そこのジーパン」とか「あのスコッチ野郎ーっ!!」とか言って勢いで決めちゃうパターンが多いですw

ミヤコ蝶々さんは本来ボンの「お祖母ちゃん」役なのに、ダダをこねて「叔母ちゃん」に変更させちゃったんだとか。何人もの付き人を引き連れた大御所ぶりが撮影現場的には面倒くさかったのか、最初の2話だけでお役御免になっちゃいました。

それにしてもボン=宮内淳さんもまた、マカロニ(萩原健一)やジーパン(松田優作)とはかけ離れたキャラクターで、これは質実剛健なテキサス=勝野洋さんとの組み合わせを考えての起用だったそうです。

このテキサス&ボンのコンビは、後にリポビタンDのCMキャラクターに抜擢され、あの「ファイト、一発!」の初代コンビを務める事にもなります。

更に後年、この2人主演で『俺たちの勲章パート2』製作決定!との情報がテレビ誌に掲載され、私は狂喜乱舞したのですが、いつの間にか中村雅俊&根津甚八の『誇りの報酬』って企画に変わってましたw


#169 グローブをはめろ!

着任早々、犯人に同情して逮捕をためらい、とり逃がしちゃったボンはゴリさんに殴られ、刑事を辞めようとします。

若手の教育係=ゴリさんによる鉄拳の洗礼もまた『太陽』名物の1つで、マカロニからスニーカーに至るまで歴代の新人刑事達は必ず、1人残らずゴリパンチを浴びてますw

ボクシングをかじった事のあるボンは、プロボクサーの犯人とリングで殴り合い、スタローンも顔負けの打たれ強さを発揮、根負けした犯人を自首させるのでした。

本物の血を流しながら熱演した宮内さんもボンと同様に、ただの甘えん坊とは違う芯の強さを此処で証明してくれました。


#173 一発で射殺せよ!

射撃の名手・ゴリさんが狙撃の精鋭チームに抜擢されますが、彼が射撃の腕を磨いたのは本来、狙いを外して犯人の生命を奪いたくなかったからなんです。

なのに籠城犯の射殺命令が下り、苦悩するゴリさんに撃たせまいとして、藤堂チームの面々が大奮闘します。特に山さん(露口 茂)必死の犯人説得には鬼気迫るものがあり、かえって怖いぐらいw

なお、浅野ゆう子さん降板から1年、ようやく今回から3代目マスコットガール=矢島明子(木村理恵)が登場します。七曲署のお茶汲み係と言えば、この「アッコ」を思い出す人が多いのではないでしょうか?

演じる木村理恵さんは小柄で清楚で控えめ、いわゆる小動物系のキャラで、浅野ゆう子さんと違って女性視聴者にも快く受け入れられた模様ですw

3年以上もマスコットガールを務めた木村さんは『特捜最前線』にも大滝秀治さんの娘役でセミレギュラー出演する等、刑事物フェチには馴染み深い女優さんとなりました。


#177 海に消えたか3億円

当時はまだ記憶に新しかった3億円事件を『太陽』流に解釈した意欲作にして、テキサスが初めて犯人射殺を経験するエポック作でもあります。


#179 親と子の条件

事情あって赤ちゃんを預かってた山さん夫婦が、その子を養子に迎える決意をします。以降、約10年に渡って山さんの父子愛が描かれて行く事になります。

今思えば、これは番組初期から描かれて来た山さんの愛妻物語が、もうすぐ区切りを迎える事の予兆でもあったんですね……


☆1976年

この年、いよいよ石原プロモーションがTVドラマ製作に着手し、渡 哲也さんをフィーチャーした刑事物『大都会』シリーズをスタートさせます。

ここでもう一度だけ念押ししますと、『太陽にほえろ!』は東宝テレビ部の作品であって、石原プロとは無関係です。いつも誤解されて困ってますw 別に『太陽』が石原プロ作品より面白いだとか優れてるだとか、そんな事が言いたいワケではありません。ただ、とにかく違うんです!と。

だって『大都会』や『西部警察』は、裕次郎さんがご自身で製作して出演されてるワケです。それに対して『太陽』は、映画界のスーパースターだったこの方を大緊張の中でお迎えし、1クールで降板しようとされるのを必死に説得して、最終的には約15年のロングラン。やっぱり、ゴッチャにされたくないんです。どっちが良い悪いじゃない。とにかく、違うんです!w


#187 愛

テキサスとボンが、容疑者の恋人(竹下景子)を張り込みます。歴代刑事の中でもたぶん一番惚れっぽいボンがw、彼女の人柄に惹かれて行きますが、こういう場合は決まって悲しい結末を迎えます。二人で主役を演じることが少なかったテキサス&ボンの貴重なコンビ主演作。

竹下景子さんは後に「お嫁さんにしたい女優ナンバー1」としてブレイク、『太陽』スタッフによる連ドラ『姿三四郎』や映画『ブルークリスマス』で主役・勝野洋さんといずれも恋人役で再共演されます。実にお似合いのカップルでした。


#189 人形の部屋

坂口良子さんが人気モデル役で長さん(下川辰平)と絡むエピソードですが、『ドラえもん』の声で有名な女優・大山のぶ代さんが脚本家として参加された作品でもあります。

大山さんが『太陽』の脚本を何本も書かれてた事実は後年、バラエティーやクイズ番組でよく「トリビア」のネタにされてました。不思議なことに『太陽』以外の番組には1本も書かれてないんですよね。


#192 2・8・5・6・3

後に『太陽にほえろ!PART2』で女ボスを演じられる奈良岡朋子さんが、裕次郎ボスとガッツリ共演された密室サスペンス編。数字が並んだだけの謎めいたサブタイトルも印象的だし、私はこのエピソードでニトロ・グリセリンの恐ろしさを学びました。


#194 兄妹

殿下(小野寺 昭)の妹(中田喜子)を乗せた観光バスが、爆弾を持った男にジャックされます。犯人(堀内正美)は殿下の妹に惚れており、今で言うストーカーみたいなもんでしょうか。

堀内さんは当時から、そういう屈折した犯罪者の役が多かったですね。最近はすっかりナイスミドルだけど、朝ドラ『純と愛』ではやっぱり屈折したお父さんを演じておられましたw


#200 すべてを賭けて

武原英子さん扮する恋人・道代との結婚を間近に控えたゴリさん。ところが、彼女の叔父(小林昭二)が犯罪に関わってしまう。警察官は、犯罪者の肉親とは結婚が許されない。

ゴリさんは苦悩の末、刑事を辞める決意をし、ボスも了承するんだけど、彼女が身を引いちゃうんです。ゴリさんに刑事のままでいて欲しかったから…… 泣けます。


#201 にわか雨

娘の良子(井岡文世)に恋人が出来て、うろたえる長さん。やがて義理の息子となる、おっとりした気象予報士の彼氏を演じたのは、柴俊夫さん。

長さんの家庭は紆余曲折ありながらも順調に、庶民的な幸せを育んでるのですが……


#206 刑事の妻が死んだ日

心臓を患ってた山さんの奥さん(町田祥子)が、発作を起こして亡くなります。『太陽』の刑事達って長さん以外はホント、幸せになれないんですよね。

山さんは妻を心から愛してるんだけど、根っからの刑事だから犯罪者をどうしても放っておけず、とうとう奥さんの死に目にも会わずじまい。

でも奥さんは、そんな山さんを理解してるんです。骨の髄まで刑事である山さんを。だから、微笑みながら死んで行くんですよね。

ゴリさんの婚約者といい山さんの奥さんといい、ちょっと今の時代だと成立しないですよね、たぶん。今こんな男女の在り方をドラマで描いたら、クレームが殺到するか、それ以前に「あり得ない」って一笑に付されるだけかも知れません。

時代です。こんな男女のドラマが、まだ成立して人々を感動させてた時代なんです。


#216 テキサスは死なず!

そして、とうとうテキサスも死んじゃうし! 不幸のオンパレードじゃないですかw

だけどその裏には、「常に人の不幸と向き合う職業である刑事が、果たして幸せであって良いものか?」っていう、創り手の極めてストイックな想いが隠されてるんですよね。

テキサスを若者の模範となり得るキャラクターに造形した件といい、ちょっと生真面目すぎる気もする『太陽』だけど、昨今のTV番組製作者の皆さんに「爪の垢でも煎じて呑んでみては?」と言いたい気持ちもあります。

「あっさり死にたい」という勝野さんのリクエストも虚しく、テキサスには『太陽』史上屈指の派手な殉職シーンが演出されました。これは創り手のテキサスに対する愛あればこそでしょう。

観た人はみんな口を揃えて「何十発も撃たれてた」って言うんだけど、よく見るとテキサスがマトモに食らった弾丸は3発か4発程度なんですよね。だけど、その時の仁王立ちするテキサスがあまりに凄まじい迫力で、記憶が増幅されちゃうみたいです。

挫折の時代に相応しく「犬死に」だったマカロニやジーパンと違って、テキサスの死はヒロイックに、壮絶だけど実に美しく描かれました。その辺りにも時代の流れが感じられます。

私は正直、テキサスの殉職劇は演出過多で「ちょっとクサいなぁ」とw、子供心に思ってました。死んだ後、一係のメンバー1人1人に天国の(?)テキサスが呼び掛けるんですよね。「ゴリさん! ゴリさん! ゴリさぁ~ん!」ってw

『太陽』への愛は深まる一方なんだけど、刑事の殉職が美化されてセレモニー化する傾向には、ちょっと違和感を抱いたりもしてました。

だけど『テキサスは死なず!』は歴代最高視聴率42%をマーク、いよいよ『太陽にほえろ!』は絶頂期を迎える事になるのでした。

(つづく)
 

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『マジンガーZ 対 暗黒大将軍』―3

2018-09-28 20:00:07 | アニメーション









 
噴火する火山と海をバックに、例の予言者がマスクとマントを剥ぎ取ると、その正体はなんと兜 剣造博士! 兜 甲児の父親です。死んだ筈だよ、おとっつぁん!

「マジンガーZが倒れる。見殺しには出来ん!」

おとっつぁんは何故、わざわざ謎の予言者に変装してたのか? 何故、もっと早く救いの手を差し伸べなかったのか? その答えは2018年現在でも謎のままですw

たぶん、サイボーグとして蘇った姿を息子に見せたくなかったから。出来れば息子すなわちマジンガーZに勝利して欲しかったから……等々、ファンはみんな想像力を働かせ、脳内補完したもんです。(単に、変人だから……ってのが最も有力な説ですw)

「ブレーンコンドル!」

マジンガーZで言えばジェットパイルダーにあたる、ロボットの操縦席を兼ねた機体=ブレーンコンドルがまず現れます。その鋭角的なフォルムといいスピード感といい、パイルダーを遥かに凌ぐ性能が想像出来ます。

「剣 鉄也、時が来た! グレートマジンガーを出動させ、暗黒大将軍の7つの軍団を叩き潰せっ!」

ブレーンコンドル=グレートマジンガーを操縦するのは、剣造博士によって幼い頃から訓練を受けて来た戦闘のプロフェッショナル=剣 鉄也。

TVシリーズでは野田圭一さんが声を担当しますが、本作の時点じゃまだ未定だったのか『デビルマン』の田中亮一さんが鉄也を演じてます。

「マジーンゴー!」

マジンガーZが光子力研究所のプールから現れるのに対して、グレートマジンガーは海から現れます。TVシリーズではスピード感を強調してシュバッと飛び出して来ますが、本作ではZ同様せり上がって来る感じです。

「ファイヤーオン!」

Zとパイルダーの合体が「よっこいしょ」って感じなのに対して、ブレーンコンドルはスピードを落とさずグレートの頭部に突き刺さって行く感じで、どんな絶叫マシーンよりも怖そうです。

「スクランブルダーッシュ!!」

更にZと大きく違うのが、翼がグレート本体の背中に収納されてる点。いちいちドッキングしなくて済むワケです。あの長い翼をどうやって収納してるのか、その答えには諸説ありますw

とにかく、Zが20秒位かけてる出撃プロセスを、グレートは5秒位で済ませちゃう。それだけ見ても性能差は歴然です。

さて……ズタボロにされたマジンガーZは岩壁に磔にされ、甲児も意識を失ってます。パイルダーの床に転がったオルゴールが、可愛いメロディーを奏でて悲壮感を際立てます。こういった小道具の使い方も神レベルですよね。

「他愛ない奴め! トドメの一撃だ!」

獣魔将軍が情け容赦なく巨大トマホークをZの頭部めがけて投げつけますが、突然の稲光により弾き飛ばされます。

「!?」

いつの間にか断崖の上に立っていたグレートマジンガーが、空に掲げた指先に雷光を集め、ビームに変換して発射します。

「サンダーブレーク!」

アルギモンとオルビィが一瞬にして爆死、その反射光で甲児が目を覚まします。

「くっそぉ、生意気な! アルソスとブルンガはマジンガーZにトドメを刺せ! あとの者はコイツを捻り潰せ!」

人型戦闘獣のアルソスが剣を持ってるのを見たグレートは「マジンガーブレード」を取り出します。

「マジンガーZ、これを使え!」

グレートが放り投げたブレードはブルンガを串刺しにして地面に突き刺さり、Zはそれを引き抜いてアルソスと一騎打ち。

それにしてもグレートマジンガーの圧倒的な強さたるや! Zの翼を溶かした毒液をものともせず、Zのボディーを切り刻んだナイフやミサイルを軽く手のひらで跳ね返し、ネーブルミサイル、アトミックパンチ、グレートブーメランといった武器で着実に、しかも一撃ずつで戦闘獣たちを粗大ゴミに変えて行きます。

言うまでもなく、これまで無敵だったマジンガーZが手も足も出せず、ズタボロにされる様が丹念に描かれて来たからこそ、グレートマジンガーの強さが思いっきり引き立つワケです。

それだけじゃなく、マジンガーZと一体化した兜甲児が恐怖を乗り越え、死を覚悟して出撃する姿や、弟シローとの兄弟愛、親友ボスとの友情、パートナーさやかとの別れなど、人間ドラマが丁寧に描かれた事で、我々は甲児に100%感情移入してる。

その甲児=Zが散々いたぶられた上に殺されそうになった時、颯爽と現れて敵を片っ端からやっつけてくれるワケですから、グレートマジンガーは「偉大な勇者」どころか、我々の眼には「神」に見えます。

この映画におけるグレートマジンガーが、あまりにも強く、あまりにもパーフェクトな機体として描かれたお陰で、TVシリーズの製作スタッフはめちゃくちゃ苦労したんだそうですw

あんなにも強いグレートをどうやってピンチに陥れるのか? あんなにもパーフェクトなグレートをどうやってパワーアップさせるのか? あんなにもプロフェッショナルな操縦士=剣鉄也をどうやって悩ませる(ドラマを与える)のか?

この映画を演出された西沢信孝監督は、TVシリーズの事まで考えておられなかったそうですw だからこそマジンガーシリーズの頂点にして、ロボットアニメの金字塔って云われる作品に仕上がったんですよね。

さて、アルソスに押され気味だったZですが、馬乗りにされた瞬間にドリルミサイルを人面部分に叩き込み、かろうじて倒します。その時には既に、グレートが他の戦闘獣たちを一掃してました。残るは司令塔の獣魔将軍のみ。

グレートは獣魔将軍の火炎放射をグレートタイフーンで跳ね返し、その巨体を吹き飛ばします。

「マジンガーZ、任せたぜ!」

自ら放った炎に焼かれながら落下して来る獣魔将軍を、マジンガーブレードを掲げて待ち構えるZが串刺しにします。やたら「串刺し」が多い映画ですよねw

「ブレストバーン!」

「ブレストファイヤー!」

二大マジンガーが必殺技を同時に放ち、ついに獣魔将軍も粗大ゴミと化します。

悪夢のように絶望的だった戦いが、グレートマジンガーの出現によってあっという間に終結しました。ずっと暗い雲に覆われてた空も、嘘みたいにカラッと晴れて太陽の光が差し込みます。

そしてマジンガーZとグレートマジンガーが初めて向き合い、甲児と鉄也が言葉を交わします。

「強い。キミのロボットは何て言うんだ?」

「グレートマジンガー」

「グレートマジンガー?」

「マジンガーZの兄弟さ」

「兄弟だって?」

「ミケーネの7つの軍団と戦う為に造られたんだ」

「何だって?」

「また会おうぜ。マジンガーZ」

「待ってくれ、グレートマジンガー!」

あとはテレビを観てちょんまげ!とばかりに、さっさと引き上げて行っちゃう剣鉄也&グレートマジンガー。本当に格好良すぎです。

「グレートマジンガー……お前はまさに偉大だ。それにしてもあれだけ強いロボットを、いったい誰が造ったんだ?」

甲児の素朴な疑問も、映画公開の直後にスタートする新番組『グレートマジンガー』で明かされます。

グレートを開発したのは甲児の父=兜剣造博士。爆発事故で生命を落としたものの、マジンガーZの開発者である十蔵博士(甲児の祖父)がサイボーグ手術を施して蘇らせたのでした。

十蔵亡き後、剣造は息子=甲児とマジンガーZの活躍を横目で見ながら、ミケーネ帝国の襲来に備えてグレートマジンガーを密かに開発し、孤児だった剣鉄也をそのパイロットとして育成して来たワケです。

これらの設定はにわかにこじつけたものじゃなく、実は放映開始の1年も前から企画が進行し、前番組『マジンガーZ』の中でさりげなく伏線が張られてました。

Z→グレートの交代劇はテレビ版でも同様に描かれますが、劇場版『マジンガーZ 対 暗黒大将軍』のインパクトがあまりに強すぎて、イマイチ印象に残ってません。

何しろテレビ版のZはたった2機の戦闘獣に10分足らずで倒されちゃうし、さやかやシローとのドラマも無く、Zの最終回というよりはグレートのパイロット版みたいな感じでしたから。

それは新番組への橋渡しとして間違ってないんだけど、とにかく劇場版『マジンガーZ 対 暗黒大将軍』が素晴らし過ぎたって事ですね。

現在の若いアニメファンの人が観ても決して見劣りしない作品だと思うし、未見の方には是非ともオススメしたいです。

総称『マジンガーズ・ムービー』として『マジンガーZ対デビルマン』や『グレートマジンガー対ゲッターロボ』等と一緒に収録された、Blu-rayやDVDのシリーズまたはボックスが発売中です。
 
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