1999年に日本テレビ系列で放映された、YTV制作、鶴橋康夫演出、吉田剛脚本、久間十義原作による2時間スペシャルドラマ。鶴橋監督による新作映画『のみとり侍』のPR特集企画として、CATV「日本映画専門チャンネル」にて先日(※2018年5月)放映されました。
ホテルの上層階から大蔵省の官僚が転落死し、捜査本部は早々に自殺として処理しようとするんだけど、本庁捜査一課の松浦刑事(役所広司)はひょんな事から、それが他殺であるのを示唆する状況証拠を掴んでしまう。
持ち前の正義感から、ひとり他殺の線で捜査を続ける松浦に、上層部から容赦ない圧力と妨害がかかり、どうやら官邸を揺るがす汚職事件が背景にあることが判って来ます。
離婚協議中の妻との幼い息子が命を狙われ、捜査に協力してくれた恋人=ヒロコ(山本未來)も殺された上、その容疑を自分に掛けられても尚、スッポンのごとく真相に食らいついていく松浦。
最終的に事件が闇に葬られようとした時、松浦は旧知の敏腕検事・古沢(大竹しのぶ)に全てを託し、あえて自らが殺されることで事件を再捜査へと導くのでした。
「今、私はあなたです。」
そう言って裁判所へと向かう古沢検事に、死んだ松浦とヒロコがしっかりと付き添って歩くラストシーンは涙なしじゃ観られません。
熱い! めちゃくちゃ熱い! 素晴らしい! 昭和の遺物みたいなチョー熱血刑事を、役所広司さんが全身全霊で演じておられます。
自らも盗聴、おとり捜査、週刊誌への情報リーク等、目には目をのダーティー捜査で巨悪と渡り合う、その捨て身っぷりがたまらなく魅力的です。
そんな主人公に魅了され、危険を承知で捜査に協力する二人の女を、山本未來さんと大竹しのぶさんがこれまた魅力的に演じておられます。
ほか、古尾谷雅人、塩見三省、田山涼成、黒田福美、新山千春、芦川よしみ、阿藤 快、本田博太郎、そして真田広之と、大作映画でもなかなか揃わない豪華キャスト陣。
徹底的に無駄を削ぎ落とした脚本、演出、編集も見事で、一瞬のダレ場もなく約90分を見せ切ってくれます。照明や構図にこだわった映像美も素晴らしく、画像をご覧の通りテレビの2時間ドラマとは思えない仕上がり。
1999年度日本民間放送連盟賞最優秀賞、第37回ギャラクシー賞大賞などの受賞も納得の名作ドラマだと思います。
セクシーショットは死んだ官僚の娘=奈津子を演じられた、新山千春さん。本作出演時は18歳でした。