1957年に劇場公開された、脚本=長谷川公之、監督=関川秀雄による『警視庁物語』シリーズの第4弾。こちらは’67年の3月にテレビ用の短縮版が第9話として放映されました。
「無音拳銃」(サイレンサー付きハンドガン) による殺人事件を捜査する警視庁捜査一課の刑事たちの活躍が、例によって淡々と描かれてます。
ただし今回は、結核で余命わずかな若い殺人者と、その恋人の哀しい逃避行というメロドラマ的要素が加味され、前作『追跡七十三時間』よりは余韻の残る内容になってます。
イケメンな犯人=八村を演じたのは、黒澤明監督の『七人の侍』等で知られる木村功さん。そしてその恋人役は、宝塚歌劇団ご出身で月丘夢路さんの妹である、月丘千秋さん。
富士山の見える浜辺が舞台のクライマックスには、このシリーズらしからぬロマンチックさがあり、死刑か無期懲役を示唆するラストカットのテロップが浮いてますw
私にとってはやはり、そんな辛気臭いドラマよりも昭和中期の風景、文化、風俗こそが見どころで、現在の味気ないデザインとは全然違うクラシックカーの数々を眺めてるだけで楽しいです。
そして本作のハイライトは何と言っても、昭和30年代の大阪駅周辺!
↑御堂筋を走るこのパトカー、左ハンドルってことは外車でしょうか?
今回はちょっとした銃撃戦も見られました。バイオレンスがあればエロもあり! 月丘千秋さんが経営する洋装店の下着ファッションショー!
さらに、若手刑事が「トルコ風呂」に潜入しちゃう場面も!
↑トルコ娘「花ちゃん」役は映画『ずべ公天使』等で主役を張った小宮光江さん。今の若い人はもう、トルコ風呂の意味も知らないでしょうね。
↑「模写電送」っていうのは初期型のFAXみたいなもんでしょうか?
↑ジュークボックスなんかも当時は「新しくて」珍しかったみたいです。
捜査一課の刑事たちを演じたのは、永田 靖、堀 雄二、神田 隆、南原伸二、須藤 健、山本麟一 。
ストーリーはどうって事なくても、60年以上の月日が全てを味わい深くしちゃう。2023年現在のテレビ番組も、60年後に観ると味わい深いんでしょうか?
ポートレートは月丘千秋さんです。