……と、いうようなダジャレを抵抗なく書いてること自体が老いかも知れんな甥っ子よ。
一昨年あたりから激しく禿げだしたことを言ってるのではありません。若くたって禿げる人は禿げる。
私が最近つくづく老いを感じてるのは、朝、やたら早く眼が覚めてしまうから。
寝つきは悪くないんだけど、4時とか3時、ひどいときは2時ぐらいに眼が覚めて、トイレに行くとそこから熟睡できない。ヘンな夢ばっかり見て何度も眼が覚める。
出勤日はそれでも頑張って寝ようとするけど、休日はもう諦めて起きちゃう。若い頃は朝までノンストップで熟睡できたし、休日は寝溜めする為にあったのに、最近はいくら寝不足でしんどくても昼寝ができない!
眠るにも体力が必要なんだそうで、とすれば仕事で疲れ過ぎてるせいもあるかもだけど、いつぞや競艇場に連れてってくれた歳上の同僚が言うには「トシ食ったら誰でもそうなる。こちら側へようこそ」だってw
老いってのはもう受け入れるほか無いんだけど、人の名前がすぐ頭に浮かばなくなって来たのは仕事に支障があるし、両親共に認知症という実績があるだけに、怖い。
そんなになってまで長生きしたくないって、正直思う。それもたぶん、みんな一緒。
本当の強さが試されるのは、ここからなんでしょう。生きるってホント過酷やなあって思うけど、人生これからっていう若い人が病気や災害で命を落とす現実を知るたび、嘘です嘘ですごめんなさいって思い直す。
けど、やっぱしんどい。熟睡できないのはホントしんどい。弱音ぐらいは吐かせて欲しい。長く生きるのって、ほんと大変っス。
長生きするだけでエライっていう、本当の意味が解った気がしますよ池田エライザさん。
2024年7月放映スタートの新作アニメ『グレンダイザーU』は、1975年10月から‘77年2月までフジテレビ系列の日曜夜7時枠で全74話が放映された、永井豪原作&東映動画制作によるマジンガーシリーズ第3弾『UFOロボ グレンダイザー』の約50年ぶりとなるリブート作品。
そして今回レビューする旧作の第50話は、主人公=デューク・フリードのやんちゃな妹=グレース・マリア・フリードが途中加入して2話目にあたるエピソード。
マリアの投入は恐らく、本来のヒロインである牧葉ひかるがイマイチ不人気だったことを受けてのテコ入れであり、『マジンガーZ』の大ヒーローから異星人のサポート役(を通り越してコメディーリリーフ)に格下げされた兜甲児のファンに対する、せめてもの心遣いとして弓さやか(『マジンガーZ』のヒロイン)的なパートナーをあてがう意図が、制作陣にあったんじゃないかと私は勝手に思ってます。
あるいは単純にネタが尽きて来たがゆえのリニューアル(新キャラ&新メカの投入と、個人戦からチーム戦へのシフト)かも知れないけど、この第50話を観るかぎりだとマリア登場に“さやか2号”の意図が無かったとは、とても思えません。
☆第50話『暗殺!! 兜甲児を消せ』(1976.9.12.OA/脚本=田村多津夫/演出=大谷恒清)
なにしろ勝ち気でじゃじゃ馬で、向こう見ず、意地っ張り、そして特に好きな相手に対しては素直になれないっていうヒロイン像は、少なくともロボットアニメのジャンルだと弓さやかがパイオニア。
本来、さやかのキャラ設定は(原作でも)もうちょい淑やかだったのに、テレビ版『マジンガーZ』メインスタッフの中に無類の“じゃじゃ馬好き”がおられ、その方が手掛けた回のさやかだけ極端にエキセントリックだった。
そのインパクトがあまりに強烈で、また魅力的でもあったので『グレンダイザー』のマリアにも受け継がれ、それが後年の革命的ロボットアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』における第2ヒロイン=惣流・アスカ・ラングレーの原型になったと、これも勝手な憶測だけど私は思ってます。
そもそも“第2ヒロイン”っていう存在自体が’70年代アニメじゃ画期的(おそらく史上初)だろうし、シリーズ中盤から登場する点にせよビジュアル面にせよネーミングにせよ、『エヴァ〜』の庵野秀明監督はマリアをイメージしてアスカのキャラを創ったとしか思えない。
そうさせるだけの不思議な魅力が、じゃじゃ馬ヒロインにはあるんですよね。
本エピソードでも冒頭から甲児をバイク競争に誘うやんちゃぶり。しかも、いくらアニメでもそりゃ無いやろ!と言うほかないアクロバットテクを披露!
だけどマリアには「異星人だから」っていう一応の説得力があるし、おまけに当時「UFO」と同時期に一世を風靡した「エスパー」の才能まで持ち合わせてることが後に判るので、このムチャな描写には伏線としての意味もある。むしろ彼女と互角に渡り合う兜甲児こそが地球人としてムチャすぎる。
で、ほぼ同時ながら数センチの差で甲児が先にゴール。
「いやあ、大したもんだよマリアちゃん! こいつは引き分けだな」
「いいえ、甲児の勝ちよ」
「いや、引き分けだよ」
「甲児の勝ちよ」
「引き分けだったら!」
「甲児の勝ちっ!!」
「💢💢💢💨」
「💢💢💢💨」
こんな風に「ケンカするほど仲がいい」のは昭和アニメやドラマの定番ではあったけど、甲児&マリアの場合は極端。
ちなみにずっと前にレビューした『マジンガーZ』#52にも甲児&さやかのこんなショットがありました。
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そこで私は気づきました。『マジンガーZ』#52と『UFOロボ グレンダイザー』#50には、とても偶然とは思えないほど共通点が多いことに。つまり、もしかするとリメイク?
今回、地球侵略を目論むベガ星連合軍はサブタイトル通り、甲児を暗殺するための刺客(3体の美女アンドロイド)を送り込んで来るんだけど、マリアの予知能力が覚醒したお陰でひとまず難を逃れます。
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いくらアンドロイド相手でも現在じゃたぶんNGなハラスメント描写で、まずは一体を破壊。
そして翌日、まだ二体の刺客に狙われてると分かっていながら、揃って向こう見ずな甲児&マリアは乗馬レースに出場。
それを心配そうに見守るデューク・フリードや牧葉ひかるたち。
ちなみにデューク・フリードの声は『宇宙戦艦ヤマト』の富山敬さん、マリアは『魔女っ子メグちゃん』の吉田理保子さん、ひかるの父親である牧葉団兵衛は『キューティーハニー』でも団兵衛だった富田耕生さん、宇宙研究所の宇門博士は伴宙太やボヤッキーの八奈見乗児さん、そして兜甲児はジャッキー・チェンの吹替でも知られる石丸博也さんと、声優陣がやたら豪華。ゲッターロボGも参戦する“東映まんがまつり”の劇場版には神谷明さんまで加わりますから。
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観衆の中には敵の刺客だけでなく、『キューティーハニー』や『ゲッターロボ』等のサブキャラがなにげに紛れ込んでます。
で、レース中に再びマリアの予知能力が甲児の危機をチャッチ!
「甲児、危ない! 甲児ぃーっ!!」
全速力で走ってる馬上からマリアが決死のダイビング!
そして愛のキックを股間に食らい、甲児が吹っ飛んだ!
常人ならそれだけで死にそうだけど、甲児は落馬した直後、鞍に仕掛けられた時限爆弾の爆風により吹っ飛んだのでした。
怒りに燃えたマリアが二体の刺客を追撃し、爆破! カッコいい! けど、彼女は馬を甲児の(茶色)に乗り換えた筈なのに、元のホワイトに配色されてる凡ミスが残念! (超過密スケジュールで創られてた昭和アニメにはよくあること)
それはともかく、お陰で甲児はこのありさま。
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そして件の『マジンガーZ』#52でも、甲児はこんなことになってました。
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その原因は、大喧嘩の末に甲児と絶交宣言した弓さやかが、機械獣との戦闘中にマジンガーZのヘルプ要請を拒否したから。
意識不明になってる甲児に、泣きながら唇を重ねるさやかをシルエットで描いた衝撃のキスシーンもさることながら、本エピソードが真に素晴らしいのはその後の展開。
サブタイトルは『甲児ピンチ! さやかマジンガー出動!』。そう、甲児の意識がまだ戻ってないのに機械獣が再来し、愛機=アフロダイAじゃ歯が立たないと判断したさやかは、決死の覚悟でマジンガーZに乗り込む。
ピンチヒッターとはいえヒロインに主役ロボを操縦させた作品は、たぶんこれが史上初。
最終的には、ついさっきまで死にかけてた甲児が目覚めてすぐに元気溌剌オロナミンCとなり、アフロダイAに乗って駆けつけるや“あうんの呼吸”でさやかと愛の空中大サーカス! 互いに自分の愛機(のコクピット)へ飛び込み、みごと連携プレーで機械獣をぶっ壊すのでした。
リアリティーなし! だけど、それでこそ生まれる感動が’70年代作品には確かにあった。『機動戦士ガンダム』以降、リアリティーと引き換えに失ったものも少なくないはず。
閑話休題。今回の『グレンダイザー』#50 でも重傷を負った甲児は、円盤獣の襲来により単独出動したグレンダイザーの援護を、ダブルヒロインに託します。
「甲児さんは私に頼んだのよ!」
「いいえ、私がイク!」
そう、“さやかマジンガー”と同じように、今回はマリアが甲児の愛機=ダブルスペイザーを操縦!
出撃シーンとそのBGMはロボットアニメの命。我々はそれを観て燃えるために毎週チャンネルを合わせたようなもんで、その記憶はDNAレベルで刷り込まれてますから、近年のリブート作品でも同じメロディーが出撃シーンに使われるか否かが、作品の評価を決定づけると言っても過言じゃない。
ちなみに通常は甲児がタブルスペイザー、ひかるがマリンスペイザー、マリアがドリルスペイザーを操縦し、チームプレーでグレンダイザーを援護する形態がスタンダード。
『マジンガーZ』と『グレートマジンガー』のスタッフが『鋼鉄ジーグ』へと異動し、『グレンダイザー』は『ゲッターロボ』のスタッフが引き継いだゆえ、3機編隊の描写はお手のもの。
ただしゲッターチームのパイロットは3人とも男だったのに対して、ダイザーチームの場合は2人が女性。わずか1〜2年で随分と時代が進んだ気がします。
孤立無援でさすがに苦戦するグレンダイザー=兄の危機に、甲児の友情も背負ったマリアが駆けつけ……
禁断の兄妹合体アタックにより、みごと円盤獣を撃破!
そもそも甲児を狙うよりデュークを暗殺する方が手っ取り早いやんとか、細かいツッコミを入れ始めたらキリがない。そんなの気にせず勢いで見せ切っちゃうのが昭和アニメの魅力だし、そこを楽しめるのが「オトナになった証拠」だと私は思ってます。
前回の記事に『UFOロボ グレンダイザー』は途中で観るのをやめたと書いたけど、甲児の新たな愛機=ダブルスペイザー(シリーズ前期に乗ってた自家用UFOより格段にカッコいい!)と、さやか2号とも言えるマリアが登場してからはよく観てました。
たぶん『マジンガーZ』からの古参ファンには似たような経緯を辿った人が多いはず。じゃじゃ馬ヒロインにはそれだけの吸引力があるんですよね。
さて、新作『グレンダイザーU』にこれから登場するマリアはどうなのか? すでに登場済みのさやかが少し大人びた分、マリアは変わらずじゃじゃ馬ぶりを発揮してくれると私は期待してます。(『エヴァ』ファンの皆さん、アスカ・ラングレーのパクリじゃないですよ!)
永井豪原作による’70年代ロボットアニメの金字塔『マジンガーZ』『グレートマジンガー』に続くシリーズ第3弾『UFOロボ グレンダイザー』が2024年夏シーズン、GAINA制作によるリブートアニメ『グレンダイザーU』として蘇り、テレビ東京、BSテレ東、AT-X、アニマックス等で放映スタートしました。
私が異様なほどの執着を持つ『マジンガーZ』と『グレートマジンガー』に比べると『UFOロボ グレンダイザー』への思い入れは浅く、リアルタイムでの視聴も途中でやめた記憶があります。
その理由はずっと前の記事に書いた通り、シリーズ全体の主人公とも言えるマジンガーZのパイロット=兜甲児がチンケな自家用UFOにしか乗せてもらえず、よその星からやって来たグレンダイザーのパイロット=デューク・フリードの引き立て役に成り下がったことへの強い不満があったから。
あと、デューク・フリードがその名のとおり王子様キャラで、やたらメロドラマだったり悲劇を演じたりするのも私は気に食わなかった。
要するに内容がやや女の子向けにシフトしたんですね。前作『グレートマジンガー』の人気がイマイチ伸び悩んだ原因を「主人公(剣鉄也)が武骨すぎる」ゆえに「ロマンスが描きづらい」と分析した結果なのかも知れません。
だから私と同じように『マジンガーZ』と兜甲児に強い思い入れを持つファン(主に男子)は皆、同じように不満も抱いてた。
その世代が創り手側に回った近年のアニメ映画『マジンガーZ/INFINITY』における兜甲児&マジンガーZの独壇場とも言える大活躍はまさに、積年の恨み……とまでは言わないまでも雪辱を果たすべく描かれたに違いありません。
で、『INFINITY』が好評だったもんで続編も企画された(と聞いた)けどなぜか叶わず、その替わりにってワケじゃないだろうけど『グレンダイザー』がTVシリーズとしてリブートされるに至り、しかも兜甲児や弓さやか(『マジンガーZ』のヒロイン)、そして旧作には未登場だったマジンガーZも出てくると知って、私の胸はザワザワしました。
そいつは嬉しい! けど、大丈夫なのか? また王子様の引き立て役をやらされるんじゃないのか?
2020年代まで来ちゃった今、もうアニメ業界の中心にいるのは昭和世代じゃなく平成世代。マジンガーZと兜甲児に執着するオヤジの気持ちなんか知った事じゃないでしょう。
海外だとマジンガーZよりグレンダイザーの方がメジャーらしいし、少なくとも主役機を食うような活躍はまず出来ない。だからたぶん、チンケな自家用UFOをただマジンガーZに置き換えただけになる。それは覚悟しながら視聴に臨みました。
原作マンガの最初期をイメージしたマジンガーZは、顔のデザインに悪魔感があり過ぎて私の好みじゃないけれど、それでもやっぱりカッコイイし、このクラシックなスーパーロボットが最新技術のアニメで動く姿には感慨深いものがあります。
まあ予想通り初回で破壊されちゃうワケだけど、カッコイイところもしっかり見せてくれたから良しとします。
それにオープニングのタイトルバックを観たかぎり、マジンガーZが改修されてグレンダイザーと共闘する可能性も、無くは無さそう。
旧アニメでは見られなかった“夢の共演”を、旧ファンが待望してるのは創り手たちも分かってる筈だから、きっと最終回あたりでやってくれると信じたい。
兜甲児も旧作よりカッコいいキャラになってて安心しました。逆に主人公のデューク・フリードが『エヴァンゲリオン』の碇シンジみたいにメソメソしたキャラになってて、大丈夫かいな?(デュークのファンを怒らせないか?)と思いました。
旧作では兄弟みたいだったデュークと甲児の関係が、ちょっとボーイズラブを彷彿させるのは“時代”なんでしょう。あくまで彷彿に留めて頂きたいもんです。
ちなみに今回のデューク・フリードは、フリード星の王子様だったけどベガ星連合軍というバッドガイズの罠により、究極兵器たるグレンダイザーを暴走させて自ら故郷を全滅させちゃったという、旧作よりもハードな設定。同じ永井豪原作でも『マジンサーガ』や『デビルマン』に近いかも知れません。
が、私にとってデュークなんかどうでもよくて、がぜん注目せずにいられないのが、兜甲児のパートナーにして、ロボットアニメのヒロインを永遠に代表し続けるこのお方、弓さやか様!
今回は作風から見てヌードはおろかパンチラも期待できないけど、想像を遥かに超える活躍が観られそうでワクワクしてます。旧作には未登場(“東映まんがまつり”の劇場版にチラッと出ただけ)でしたから。
そして第2話の時点じゃ未登場だけど、デュークのやんちゃな妹=グレース・マリア・フリードとさやかの関係がどんな風に描かれるのか?
マリアは旧作で甲児と友達以上・恋人未満な関係でしたから、その設定を踏まえるならさやかさんと三角関係になっちゃう。
ラブコメじゃないし主役はデュークゆえ、そこはオミットされる可能性もあるけど、ファンサービスとしてスパイス程度には描いて欲しいところ。
それはともかく今のところ、さやかさんがメインヒロインで第2ヒロインがマリア、そして旧作でメインだった牧葉ヒカルが第3ヒロインになりそうな感じ。
旧作で女性ファンの不評を買ったせいか、ヒカルさんのキャラが豹変してます。
主役機=グレンダイザーのデザインはそんなに大きく変わってないけど、ロボットとしてのキャラクターが「究極兵器」と前述したように、よりデンジャラスなものとして描かれてます。『エヴァンゲリオン』に多大な影響を与えたマジンガーシリーズが、逆に影響を受けてるように世間からは見られそう。
ほか、ベガ星連合軍の“円盤獣”に加えてフリード星の女性兵士が操るスーパーロボットや、新しい女性キャラも続々登場する模様。キャラクターグッズを売らなきゃ成り立たない業界ですから。
そしてタイトルバックから察するに、さやかさんの愛機は旧作の後半で甲児が乗ってた「ダブルスペイザー」になりそう。
マリアが「ドリルスペイザー」、ヒカルが「マリンスペイザー」の操縦を担当するのは旧作と同じで、甲児はマジンガーZが復活しないかぎりはメインのスペイザー(グレンダイザーと合体するUFO)に乗るみたいです。やっぱ円盤かいっ!?
ヌードもパンチラも期待できないけど、やっぱり兜甲児&弓さやかが出てるなら観るしかないし、フィギュアも買うしかありません。そういうファンがいっぱいいるんですよホントに。
2024年夏シーズン、日本テレビ系列の土曜夜9時「土ドラ9」枠でスタートした、日テレ&AX−ON制作によるオリジナル企画の警察ドラマ。
警視庁の窓際部署「身元不明人相談室」の捜査官たちが、身元不明の御遺体を特定し、関係者のもとへと帰すために奮闘する姿が描かれます。
今シーズンもどうせ不作だろうと思いつつ、一縷の望みを託したのがこの作品でした。
なぜなら、全てを観てきたワケじゃないけど「小芝風花主演作にハズレなし」っていう伝説が自分の中で築かれてるのと、2020年以降わずか3本しか出てないホームラン作『MIU404』『ハコヅメ』『ラストマン』がいずれもバディ物だから。
しかも女性どうしのバディ物刑事ドラマはあまり例がない。
戸田恵梨香&永野芽郁の『ハコヅメ/たたかう!交番女子』(’21) は舞台が派出所で正確には刑事物じゃないし、黒木メイサ&多部未華子の『ジウ/警視庁特殊犯捜査係』(’11) はそれぞれ所属部署が違うからバディバディ詐欺だったし、それ以外の女性バディ物は言っちゃ悪いけどお年を召したコンビだったりして、少なくとも私向けじゃありませんでした。
それが今回、まず主人公=三田桜を演じるのが前述のとおり「主演作にハズレなし」の小芝風花。彼女は必要以上に身元不明者の心に寄り添っちゃうキャラクター。
そしてその“10歳差の同期生バディ”となる月本 真(つきもと まこと)役が、異色の刑事物『ヤメゴク/ヤクザやめて頂きます』(’15) で主役を張った元AKB48のエース=大島優子。自身の恋人が失踪したままになってる彼女は、残された遺族の心に寄り添います。
お二人とも芸達者で、しかも揃ってビューティフルボインのオーナー。ストレス発散のキックボクシングが少々へなちょこでもボインぼよよ~ん!でお釣りが出るワケです。
そんな2人のおっぱいを密かに喜ばないワケがない、室長の利根川に吉田鋼太郎。
同僚の堀口捜査官に戸次重幸、武藤捜査官に半海一晃。
捜査一課のホープだけど私にとってはどうでもいい存在の手嶋刑事に、どうでもいいアイドルグループ“Snow Man”の阿部亮平。(同シーズン放映の『ギークス』にレギュラー出演してる同姓同名のベテラン俳優とは別人だけど、どうでもいい)
主役コンビと警察学校で同期生だった“科捜研”の芹沢研究員に、柳 美稀。その上司で利根川室長と同期生だった早瀬所長に、高島礼子。
そして失踪した夫(浅利陽介)の帰りを健気に待ち続ける、初回のゲストヒロインに仁村紗和。
「ソツはなし」と言えるキャスティングで、ドラマの内容も実際「ソツはなし」って感じだけど、だからこそ私は物足りない!
「女性どうしのバディ物は珍しい」っていう以外の見どころが「揺れるおっぱい」だけじゃ物足りるワケがない! (もちろん脱いでくれりゃ話は別だけど100%あり得ないゴートゥーヘルな時代)
なぜ私がこんなに物足りなく感じるのか、大きな理由が2つあります。
まず1つ目は、このドラマが明らかに「大多数(主に女性)の視聴者を気持ちよく泣かせること」を目標にして創られてるから。
つまり「泣けるラストシーン」から逆算して脚本が書かれてるから、このストーリーで最後に泣くとすればどういう展開だろう?って考えれば容易に先が読めちゃう。そりゃどんな名優が演じたって物足りないに決まってます。
本当の涙って、不意を突かれた時にこそ流れるもんだと私は思うので、さあ今から泣かせまっせ、ハンカチ用意しなはれやって空気を漂わせるのは完全に逆効果。
それでも積極的に泣きたい観客は条件反射的に泣けるみたいだけど、そんな予定調和な涙は心の浄化にもストレス発散にもならんでしょう。
笑いに関しても全く同じことが言えて、このドラマは笑いの取り方も型に嵌まってて私は全然笑えない。不意を突いてくれないから。
2つ目の理由は至極単純、身元不明遺体を窓際部署の刑事たちが成仏させるっていう、企画そのものに新鮮味が無いから。『遺留捜査』シリーズを筆頭に同じような警察ドラマが山ほど存在するのに!
そうした過去作を観てない世代には新鮮かも知れないけど、そんな若い人らが果たして王道まっしぐらな本作に興味を持つだろうか?
やれ予定調和だのゲーム感覚だの女子供に媚び過ぎだのと我ながらうるさい客だと思うけど、愛あればこそです。冒険させてもらえない現状はよく解るけど、それでも年に1本はホームランが出てるんだから「次はオレたちがキメてやる」っていう気概を持って欲しい!
いや、ホームランには及ばずとも、せめて新鮮なものを見せて欲しい。それだけで結果としてホームランになる可能性があるんですから、このジャンルは。
2024年夏シーズン、日本テレビ系列の日曜夜10時30分「日曜ドラマ」枠でスタートした、読売テレビ&ファインエンターテイメントの制作によるミステリードラマ。
井龍一氏(原作)&伊藤翔太氏(漫画)の人気コミックを橋本夏氏が脚本化、エンディング主題歌をあいみょん氏が担当されてます。
2017年、山梨県にある邸宅で13人の子供たちの白骨遺体が発見された通称「灰川邸事件」が、7年の時を経た2024年に再び動きだす!
果たして真犯人はいったい誰なのか!? そしてその動機は? トリックは? 乳首は? 足の裏は?
2017年に灰川邸事件を担当した山梨県警富士山北署の元刑事で、現在は警備会社に勤めてるけど否応なく事件に引き戻されちゃう主人公=冴木 仁に、成田 凌。
富士山北署で冴木の良き先輩だった警部補=五味明日香に扮するのはなんと!
『ジウ/警視庁特殊犯捜査係』(’11) から『オトナ高校』(’18) を経て再び刑事ドラマの世界にカムバックしてくれた、黒木メイサ!
ご無沙汰だったのは赤西仁とやらと結婚して子育てに忙しかったからで、昨年めでたく離婚! 久々にキレのいいアクションを(ちょっとだけ)見せてくれました。動ける女優さんは大歓迎、あとは脱ぐだけです!
その上司で、夜な夜なVR世界に癒やしを求めてるに違いない川相警部を演じるは、VRおじさんを除けばいつも「だいたい刑事か殺人鬼の役ばかり」とトーク番組で自白した、野間口 徹。
2017年と2024年をつなぐ役割を担う雑誌記者=森燈子に、乃木坂46を卒業したばかりの山下美月。
かつて灰川邸で“保護”されてた家出娘で、実質のヒロインとなる(つまり真犯人である可能性も高い)蓮水花音に、2006年放映のNHKドラマ『対岸の彼女』が女優デビュー作(当時は吉田里琴名義)だった、吉川愛。
そして灰川邸の持ち主でいかにも怪しい風貌の第一容疑者=灰川十三に、小日向文世。
ジメッとしたダークな作風は悪くないし、オトナ高校を卒業して色っぽくなったメイサや、成田凌くんの“はぐれ刑事”っぷりも魅力的なんだけど……
如何せん何度も何度も何度も同じこと書いて来て常連読者さんもウンザリされてるように、私は「犯人当てゲーム」にまったく興味が湧きません。
特にコミック原作と聞くと、偏見を承知の上で「どうせ最初からドラマ化狙いでしょ」なんて穿った見方をしてしまう。
事件の背景に「親から子への虐待」があるっていう構図も各番組で使われすぎて、今やすっかり飽和状態。このご時世、使っちゃいけないネタが多すぎて、同じネタを乱用するしかない裏事情も透けて見えます。
だから、現在のテレビ番組に新鮮なものを求める私自身が一番どうかしてる。無いものねだりにも程がある。無難につくるしか無いんだから。寄ってたかって誰かを攻撃したくてウズウズしてる、ヒマ人たちが手ぐすね引いて待ってるんだから!
そういう状況下でドラマを創らなきゃいけないスタッフさんの身になれば、おいそれと悪口も書けなくなっちゃう。こうして毎回同じこと書くぐらいなら、刑事ドラマを追いかけ続けるのもいい加減やめるべきかも?
だけど、ごく稀にホームランが生まれるから、やっぱりやめられない。2020年以降だと『MIU404』『ハコヅメ』『ラストマン』の3本で、ほぼ年に1本ペース。大多数の凡打や三振があればこその喜びがクセになってる。さて、今年はどうなのか? 打率は下がる一方だけど。
セクシーショットは吉川愛さん、山下美月さん、そしてお帰りなさいの黒木メイサさんです。