『逃げるが勝ち!』の記事で名前を挙げさせてもらった、この人がテレビに出てたらつい観ちゃうタレント、あるいは文化人の方々。ローランド君、古市憲寿くん、三浦瑠麗さん、そしてカズレーザー君。
この4人に共通して感じるのが「知性と品」で、それは彼&彼女らの知識の広さや正確さよりも、言葉遣いの丁寧さから伝わって来る気がしてます。
彼&彼女らよりもっと上の世代の、芸能界で「ご意見番」とか言われてる人たちを私が好きになれないのは、言葉遣いが荒いからだと思います。
例えば和田アキ子とか泉ピン子あたりの物言いは聞くに堪えません。マツコ・デラックスとかデヴィ夫人なんかも、発言の内容は面白くても言葉遣いで耳を塞ぎたくなる。
年齢を重ねた人たちが汚い言葉を垂れ流す一方で、上に挙げたような若い人たちが実に丁寧な日本語を紡いでるのって、考えてみりゃおかしな話です。
彼&彼女らにとって、年寄りのご意見番たちは絶好の反面教師なのかも知れません。ジジイババアの罵詈雑言をさんざん聞かされて来た世代が今、テレビ業界を浄化しつつあるとすれば未来は明るいのかも?
私自身、言葉遣いは丁寧にを心掛けて生きてるつもりです。今の職場では歳下や後輩に対しても敬語で話すし、映像業界で監督という立場になった時でも助監督たちに敬語を使ってました。
荒い言葉、汚い言葉、高飛車な言葉をわざわざ使う人って、私から見ると「虚勢を張ってる弱い人」なんですよ。例えばネットの「5ちゃんねる」みたいな空間でやたら荒っぽく振る舞ってる連中なんか、その典型ですよね。
そういうのが物凄くカッコ悪いと思うから、私はこのブログでもあえて丁寧語を貫いてます。荒い言葉を使う時はたいてい、自分を卑下して笑いをとる狙いがあってのこと。言葉が荒い=ダサいと思ってるからこそです。
だから勿論、親しみをこめたタメ口は全然アリです。逆に、いくら敬語口調でも上から目線なのはダメ。要は偉そうに振舞う人間が大嫌いってこと。いかなる立場であれです。
最近、テレビの情報バラエティー番組でこの人が出てたらつい観ちゃうのが、ホスト王のローランド君と、社会学者の古市憲寿くん、政治学者の三浦瑠麗さん、そしてお笑いコンビ「メイプル超合金」のカズレーザーくん。
職業もキャラクターもそれぞれ違うけど、多数派に迎合しない姿勢とか、権力者が相手でも忖度抜きで物が言えそうな感じが共通してますよね。言ってることが全て正しいかどうかは別にして、とにかく発言が面白い。知性と品がある。
こないだ、ふとテレビをつけた時に読売テレビでやってた『カズレーザーと学ぶ。』というタイトルの30分番組。キー局の日テレでは昨年の秋に放映してたみたいです。
「小難しいけど知れば人生がちょっと変わる、最新の学説を各界の専門家から学ぶ新スタイルの教養番組」っていうコンセプトで、第1回は「SNS“炎上”に見る現代人の怒り」、第2回は「現代の揺らぐ“生と死”」、第3回は「コロナ禍でエスカレートする現代人の“衝動”」と、取り上げるテーマも私が強く興味を引かれるものばかり。
すぐさま毎週録画を設定したのに、この番組、なぜか上記の3回だけで終わっちゃったみたいです。低視聴率で打ち切られたんでしょうか? めっちゃ面白かったのに!
やっぱり、私が本当に面白いと感じる番組ほど視聴率が取れないジンクスなんですかねえ。他に理由があったのかも知れないけど。残念!
で、自分のブログでこの番組を取り上げようと思った理由は、第1回目のラストで紹介された、13歳の女子が書いたという詩が素晴らしかったから。
その回のテーマはネット上の“炎上”と“怒り”で、世の中に蔓延しまくるストレスを一体どうすれば解消できるか?っていう問題に対する、これは最もシンプルな答えなんじゃないかと、あのカズレーザー君もシャッポを脱いでました。こんな詩です↓
「逃げ」
逃げて怒られるのは人間くらい
ほかの生きものたちは
本能で逃げないと生きていけないのに
どうして人は「逃げてはいけない」なんて答えにたどり着いたのだろう?
なるほど!ですよね。炎上とか誹謗中傷で苦しむくらいなら、眼を背ければいい。情報から離れてしまえばいい。人間関係で悩むくらいなら、シャットアウトすればいい。独りになればいい。
簡単なことなのに「逃げるは恥」っていう植え付けられた価値観が邪魔をする。
一方で「逃げるが勝ち」っていう言葉も昔からありますもんね。私は子供の頃、身体がちっちゃくてすばしっこかったから、ドッヂボールは徹底的に逃げ回って全戦全勝でしたw
卑怯者と言われようが臆病者と言われようが、最後まで生き残った者が勝ち。人生の縮図じゃないですか?
そう考えると、逃げずに立ち向かうことや自己犠牲を讃えたストーリー、すなわち私が大好きだった昭和のヒーロー物や刑事ドラマにも責任の一端がありそうです。ハッキリ言って戦時教育の名残りですよね。
喧嘩したくて仕方がない野蛮人や、叩かれて快感を覚えるド変態な人は、どうぞ勝手に闘ってて下さい。
中学時代、親友Hと夜中に女子寮を見学しに行って警報が鳴った時、もし全速力で逃げずに捕まってたら、一体どれだけの人たちに迷惑を掛けたか分かりません。逃げてよかった。本当に良いことをしました。
私はこれからも逃げて逃げて逃げまくって、最後に笑ってやろうと思います。逃げるが勝ち!
☆コメント
情報ありがとうございますー!
子供からの感染でコロナになり(汗)やることがなく起き上がれないので暇しておりましたー!
素晴らしい情報ありがとうございます! これは楽しめました! Huluで配信されてましたので2週間無料会員なりました!
今年の二月に第四話も放映されていたみたいでそれも拝見しました! 勉強になりますー!
画面を見なくても聞いているだけで楽しいですね! ありがとうございます! 療養にはげみます!
ハリソンさんもコロナ お気をつけくださいね!(キアヌさん)
大丈夫ですか!? 私も同僚が1人コロナになったので、もう時間の問題かも知れません。いずれ全国民が1度は感染するんでしょうね。ウチは年寄りが同居だから気をつけねばですが。
第4回もあったんですね。不定期で続いていく番組なんでしょうか。もっと観たいです。(ハリソン君)
ハリソンさん ありがとうございます! 大丈夫です! 頭がモヤモヤして起き上がるのがつらいですーー
ほんとまさか自分がなるとはー! お気をつけください!
番組4話冒頭で伝説の深夜番組で 好評につき4回目と言っていたので 初回ははじめから3話構成だったみたいですね! ぜひ続けてほしいです!(キアヌさん)
おお! それなら続きを期待して良さそうですね。楽しみです!(ハリソン君)
記事の内容と画像とのかけ離れ方がね・・・たまりません。一見まったく関係ないようでいて、いやまて、この文章と画像は、深淵な部分でつながっているのではないか?そう思わせてしまう組み合わせだと思います。
ハリソン君、ある種の“領域”にはいったのかも。
『逃げるは恥だが役に立つ』というドラマもありました。これ、ハンガリーのことわざだそうで、「恥ずかしい逃げ方だったとしても生き抜くことが大切」の意味だそうです(もちろんwikiからの受け売りです)。ハリソン君のおっしゃることそのままです。
私は子どものころから逃げるイコール恥というしつけを受けてきたもんですから、土壇場になったときに一目散に逃げることが出来るかどうかわからないのです。だけども生きてること、それ自体が勝ちという風に意識を変えていこうと思います。
「生きてるだけで丸儲け」と、明石家さんま師匠もおっしゃってましたし。(gonbe5515さん)
画像のチョイスには、ほぼ、意味はありませんw が、確かに、何となく繋がってる気もしますよね。
それは、すべての問題の根源にはエロがある、って事かも知れません。まじめな話、どんなテーマでも突き詰めていけばエロに辿り着くのかも?
いざという時に逃げるのって、もしかしたら立ち向かうより勇気が要るのかも知れません。どっちも出来ずにボーゼンとしちゃうのが一番カッコ悪いから、日頃から逃げる鍛錬を積んでおきます!(ハリソン君)
三十六計逃げるに如かず ということわざもありますな。
ところで、本当に面白いと感じる番組ほど視聴率が取れないジンクス。これワタシにもあります。2人で推したらマイナスXマイナスでプラスになってくれないかしら。
『カズレーザーと学ぶ。』探してみてみますね。TverやGyaoは時々、昔のバラエティを一気に配信したりするので、こっちにもアンテナ貼っておこうっと。(Kawakami(偽者)さん)
おそらくお互い好みが近いんじゃないかと思いますので、ぜひ観て頂ければと思います。
では、私はこれからスティーヴンと撮影に行って来ます!
前回の『逃げるが勝ち!』っていう記事が消されちゃいました。イメージビデオやピンク映画の記事(画像)はセーフだったのに、ホント基準が判らないでしょう?
たぶん、画像の葉月つばささんが「未成年っぽいから」だろうと思うけど、ぽいだけで未成年じゃないですからね。テキトーなもんです、本当に。そんな仕事で給料もらってるなら羨ましい限り。
でもね、人生は最終的にプラマイゼロ。ラクしてたら必ずしっぺ返しが来る。せいぜい今のうちにラクしておけばいい。天は見ている。
驚いた! やられた! 意表を突かれた! そうか、そう来たか! そう来ちゃうのか! さてどうしよう!?
2022年夏シーズン、NHK総合の火曜夜10時「ドラマ10」枠でスタートした、浅野妙子さんのオリジナル脚本による連続ドラマですよ!
杉咲花さんが主演ってことで何となく観始めて、何となく惹き込まれて、こりゃ最後まで観なきゃしょうがないかと思ってた矢先、まさかこんな展開が待っているとは!
観るのかオレは? 本当にこのドラマを最後まで観ちゃうのか!?
主人公の皐月(杉咲 花)は都内の園芸店でバイトしながら声優を目指し、養成所へも通ってるんだけど、オーディションは敗退つづき。
で、同じく声優志望でルームシェアしててバイト先まで一緒の親友=綾花(石井杏奈)が、先にアニメのオーディションに受かってしまい、嬉しいんだけど悔しい複雑な気持ち。
窮屈な故郷から抜け出したくて上京したのが本音で、声優への夢が果たして本気なのかどうか、皐月自身もよく分かってない。
そんな基本的な設定だけで、私は早くも彼女に感情移入しちゃいました。ドラマが始まってまだ3分も経ってません。
とにかく会社員になるのがイヤで映画監督を目指し、友人とライバル関係にもなった過去の私とよく似たシチュエーションだから、気持ちが痛いほど解っちゃう。
そんな皐月が、なんとなく趣味で始めたのが、オシャレな箱庭みたいなテラリウム作り。
で、作ったテラリウムをバイト先の片隅に並べて販売してみたら、それを手に取って見つめる、ちょっとイケメンな客がいた!
「買わへんのかい!」
だけどそのイケメン=陸(藤原季節)は、ガーデンプランニング会社の優秀なデザイナーであることが後に判明。ひょんなことで再会し、あれよあれよと距離が縮まり、どうやら恋愛関係になっていく模様。
あれ? これって恋愛ドラマなの? だったら私が観る理由が無くなっちゃうんだけど、そんな薄っぺらい作品とはどうしても思えない。
たとえば、カレシが別の女とキスしてる現場に、ヒロインが偶然出くわしちゃうようなのが、私にとっての薄っぺらい恋愛ドラマ。それは謎解きゲームと同じで、登場人物がその展開に合わせて動くだけの「駒」になっちゃってるドラマのこと。
この『プリズム』って作品は、そういうのとは明らかに違う。私がそれを確信したのが、次のシーン。第1話のクライマックスです。
実は皐月が中学生だった頃に両親は離婚してるんだけど、父の耕太郎(吉田栄作)は東京に住んでて、皐月は母にナイショで時おり資金援助してもらってる。
離婚の原因が耕太郎の浮気だったもんで、母は今でも彼を許してない。そして皐月も、いま耕太郎と同居してるその浮気相手とはずっと会わないようにして来た。
皐月の場合、父を許してないワケじゃない。ただ、その現在のパートナーが「男性」であることを、どう受け止めて良いやら分かんないだけ。そう、耕太郎はゲイだった! いや、正確にはバイセクシュアルって事でしょう。
で、皐月が陸と楽しくディナーしてたレストランに偶然、耕太郎がそのパートナー=信爾(岡田義徳)を連れて入ってきた!
皐月は激しく動揺し、父に気づかれないよう店を出ようとするんだけど、陸は当然ワケが分からない。
「どうしたの?」
「父なんです。離婚してて、ちょっと色々あって……」
さて、男性諸君。あなたならどうしますか? 私なら多分「あ、そうなの」って感じで皐月の意志を尊重し、親子の問題には立ち入らないようにすると思います。
ところが! なんと! この陸ってヤツは、逃げようとする皐月の腕をとり、耕太郎と信爾の席まで彼女を連れてってしまう! そして社会人らしく名刺を渡して挨拶し、こう言うんです。
「よかったら、お食事ご一緒しませんか?」
耕太郎は戸惑いつつ、断る理由も無いから受け入れる。で、耕太郎は建設業、信爾は演劇の美術デザイナーなもんで、陸や皐月と話が合うワケです。
それでも信爾は遠慮して席を立とうとするんだけど、皐月が呼び止める。
「いて下さい。いつか、お話したいと思ってました。いて下さい」
「…………」
楽しいひと時を過ごし、解散したあと、皐月は陸に言います。
「意外と、平気でした。父は父だし、あの人も悪い人じゃなかった。それが分かっただけでも良かったです」
で、それを聞いた陸は、自分のことのように嬉しそうな顔をする。なんてイイ奴なんだ!
一方、耕太郎と二人きりになった信爾は、堰を切ったように泣き崩れるんですよね。彼は彼で、耕太郎の家庭を壊してしまった罪悪感に、今までずっと苦しんで来たんでしょう。私も貰い泣きしちゃいました。岡田義徳さんの芝居がまた良いんです!
しかし、それはともかく、陸ですよ。イケメンで仕事もデキる上、あの優しさと大胆さ! 何より凄いのは、レストランで耕太郎たちと出くわした時、皐月の「ちょっと色々あって」っていう説明(?)だけで全てを察し、とっさに「逃げちゃダメだ」と判断し、すぐ行動に移した機転の利き方!
当然、こうなっちゃうワケですよ!
「誰かを好きになることは、時によってすごく難しいのに……時によっては、すごく簡単だ」
これなら納得するしかありません。そりゃ惚れない方がどうかしてる。
ただ単にステキってだけじゃない。なんだか袋小路に迷い込んで先が見えなくなってた自分を、この人なら変えてくれる!って、そりゃ思いますよね。
決して恋を描くための恋じゃない。こういう恋愛なら、皐月の成長ドラマにおいて重要な意味を持つに違いないから、私だって観てられる。もしかしたら今季のナンバー1ドラマは、これかも?
……って、その時は思ったんだけど……
つづく第2話を観て、私は冒頭に書いたとおり大きな衝撃を受けるワケです。で、第3話以降も続けて観るべきかどうか今、悩んでます。
いったい、第2話でなにが起こるのか? あなたは予想できますか? ヒントは、先程のレストラン。あの場面における陸の行動には、彼のポテンシャルを我々に見せつけるだけじゃない、もう1つの重要な意味があった!
そして第1話ラストシーンで唐突に登場する、この男! 森山未來くんですよ。見るからに胡散臭い彼が、実は重要な鍵を握ってる! ああ胡散臭い!
第2話で、声優の養成所を辞めた皐月は、テラリウム作成の才能を買われて、陸が勤めるガーデンプランニング会社の契約社員に採用されます。
だから陸とは毎日会えるワケだけど、なぜかデートには誘ってくれない。あの夜、チョメチョメしたのに!
「ワンナイトの関係ってこと? それでいいの?」
親友の綾花に言われて、皐月はこう返します。
「まあ、そういう事もあるじゃん」
杉咲花さん、いつの間にかオトナになってる! 1997年生まれで、もう24歳なんですね。多部未華子さんはそれくらいの頃『デカワンコ』をやられてましたけどw
そんなある日、皐月は祖母の七回忌で数年ぶりに帰郷します。母の梨沙子(若村麻由美)には「声優なんか諦めて早く帰って来なさい」って連呼されるし、それ以上にしつこい説教魔の大叔母が泉ピン子だったりするしw、そりゃ脱出したくもなるってもんです。
で、皐月は気づいてしまう。家族のアルバムから父=耕太郎の写真がぜんぶ剥がされてることに。ショックを受ける皐月に、梨沙子は言います。
「お母さんは、ウソつかれてたの。お父さんに騙されてたの。みんなウソだったの」
耕太郎はバイセクシュアルでしょうから、梨沙子との結婚がカモフラージュだったワケじゃなかろうと思うんだけど、妻の立場からすればそりゃ「裏切り」以外の何ものでもない。ずっと秘密にされてたことに何より傷ついたんでしょう。
けど、今でも父が好きで、頼りにもしてる皐月としては、楽しかった家族のメモリーまで否定されちゃ堪らない。そこまで元夫を恨む母の気持ちがよく解らない。
逃げるように東京へ戻った皐月は、陸にいきさつを話し、「あれが全部ウソだったとは思いたくない」と想いを吐露します。
「ウソだと思わなくていいんじゃない? そのとき楽しいって思ったなら、きっとそれはウソじゃないんだよ」
若くしてこんなことが言える陸は、やっぱり今の皐月に必要な存在なんでしょう。
「ウソとホントの境目なんて、お父さんにもきっと分からないと思う。その時間を、キミが大切だと思うなら、自分の中で大事にしていけばいい」
そんな陸に、皐月はますます惹かれて行っちゃう。そりゃもうラブラブです。幸せです。絶好調です。
ところがどっこい!
第2話の終盤。ここからが、例の衝撃シーン。鋭い読者さんならそろそろ……いや、とっくに気づかれてるかも知れないけど、私は完全に意表を突かれました。
「心が通じ合って、ひとつになれたと思った人が……突然、目の前からいなくなっちゃった事ってある?」
さっきまで皐月とチュバチュッチュしてた陸が、なぜか独りで暗い顔して、バーの店主(飯田基佑)にそんな愚痴をこぼしてる。どうやらかつての恋愛を思い出しちゃったみたいです。
「そんな話、珍しくもないでしょう? 今はこんないい時代になったけど、それでもワタシたちは堂々と腕を組んでは歩けないもんネ」
ん? 飯田さん、いつになく言葉遣いが柔らかい。そこで他の客に呼ばれて、彼はこう返事します。
「は〜い、今いくわ」
なぬ? 今いくわ? いく、わ?
そういえば随分とオシャレな店なのに、客の顔ぶれに何だか違和感がある。よく見れば男しかいない。おいちょ待てよ、もしかして……まさか?
ここで陸が、かつて同じカウンターでその「突然いなくなった」張本人であろう、恋人とデートした時のツーショットを回想するのでした。
髪は長いけど、背中がやけに広い! そして何だか胡散臭い! こ、これはもしかして……いや、間違いなく!
出たあーっ!! ついに出た、森山未來ーっ!!
じんじん、キタキタぁあああーーーっ!!!
そう、じつは陸もゲイ、あるいはバイセクシュアルだった! だからレストランで耕太郎と信爾を見たとき、一瞬で察したワケです。だから彼らの気持ちがよく解るし、皐月にも解って欲しくて咄嗟に動いたんでしょう。
そしてラスト、海外から戻って来た森山くんが、陸と再会してしまう。計らずも皐月は、母とまったく同じ立場になってしまった! さて、どうする!?
まぁ、そこはテレビ番組ですから、母の梨沙子も含めてジェンダーの複雑さを理解する方向に持っていくしか無いとは思います。
けど、あの胡散臭い森山くんがこの清らかな世界をどう掻き乱してくれるのか、それを皐月がどう乗り越えていくのか、すでに感情移入しちゃってるだけに私は見届けたい。
けどけど、男どうしがイチャイチャする場面だけは見たくない! ジェンダーうんぬん抜きにして、映像としてむさ苦しいから。胡散臭いから。髪ボサボサでヒゲ生やしてるから!
とは言いつつ、やっぱ観るしかないでしょう。してやられました。こういうどんでん返しなら大歓迎です。
そんなワケでポートレートは主役の杉咲花さんと、その親友役でいま最もおっぱいを見せるべき女優の石井杏奈さん。そして陸の妹役でこれから登場予定の、小野莉奈さん。『アルプススタンドのはしの方』で主役を演じられた女優さんです。
2022年夏シーズン、フジテレビ系列の月曜夜10時枠でスタートした、星崎真紀さんの人気コミックを実写化した連続ドラマ。
大手リフォーム会社の営業部でエースだった主人公=小梅(波瑠)が、人間関係のもつれにより退職を余儀なくされ、家族経営の「まるふく工務店」に拾われて、社長の息子でバツ2のシングルファーザー=玄之介(間宮祥太朗)とコンビを組み、住宅リノベを通して依頼人やその家族が抱える心の悩みも解決していく、いわば「人生リノベーション」のドラマ。
まるふく工務店の社長に遠藤憲一、従業員に近藤芳正、本多力、加治将樹、永野宗典、ライバルとなる大手リフォーム会社のパワハラ営業部長に原田泰造、その部下で小梅の元カレに金子大地、バーの店主にYOU、小梅の登山仲間にSUMIRE、といったレギュラーキャスト陣。
今季はとにかくお仕事ドラマが花盛り。男女ペアが主役、コメディータッチでミステリ要素もある等、共通点が多いです。
ヒロインが都落ちしてクセモノ男と組まされちゃうパターンもみんな同じw そういうレシピみたいなのが有るんでしょうね。
かくも構図がよく似てるからこそ、作品の優劣が見え易いとも言えます。この『魔法のリノベ』は断トツに良く出来てるんじゃないでしょうか。
優れた作品って、だいたい最初の10分ぐらいで判りますよね。スマホを見ず、早送りもしないまま最初のCMタイムまで行けば、間違いなくその作品は面白い。そこでツカめないようじゃ最後まで観てもたぶんダメ。
初回からイマイチだった『競争の番人』や『石子と羽男』といったい何が違うのか? ハッキリとはよく判りません。それがハッキリ判れば誰も苦労せずヒット作を連発できますから。
いや、面白い作品が必ずしもヒットしないから、よけい難しいんですよね。私が本当に面白いと感じたドラマって、だいたい視聴率は低かったりするし。
だから、ヒットするか否かは別にして、この『魔法のリノベ』が他の作品より面白くなったのは、まず優れた原作がある強みと、やっぱり脚色する人、演出する人、そして演じる人たちのセンスと相性が良かったから。組み合わせの妙としか言いようがありません。
もうちょっと具体的に考えると、住宅のリノベーションっていう題材と主役2人のキャラクターが、すごく普遍的で共感しやすい。
波瑠さん演じる小梅は、営業ウーマンとして優秀だけど天才じゃないし、恋愛でつまずいて都落ちしちゃうダメな部分もある。ましてや間宮くん演じる玄之介のダメっぷりたるや!
だけど2人とも、ダメでも一生懸命に生きてる。つまり観てる我々とぜんぜん変わらない。その点が、いかにも特殊な世界や人物を描いた『競争の番人』や『石子と羽男』と違ってる。
共感できるキャラクターが可笑しなことを言えば笑えるし、泣けばもらい泣きしちゃう。その逆もしかり。これが一番でかいポイントかも知れません。そこに脚色も演出もキャスティングも絶妙にハマった。
もちろん観る人それぞれの好みがあるから一概には言えないけど、私はハマりそうで、皆さんにも安心してオススメ出来ます。