2024年夏シーズン、日本テレビ系列の土曜夜9時「土ドラ9」枠でスタートした、日テレ&AX−ON制作によるオリジナル企画の警察ドラマ。
警視庁の窓際部署「身元不明人相談室」の捜査官たちが、身元不明の御遺体を特定し、関係者のもとへと帰すために奮闘する姿が描かれます。
今シーズンもどうせ不作だろうと思いつつ、一縷の望みを託したのがこの作品でした。
なぜなら、全てを観てきたワケじゃないけど「小芝風花主演作にハズレなし」っていう伝説が自分の中で築かれてるのと、2020年以降わずか3本しか出てないホームラン作『MIU404』『ハコヅメ』『ラストマン』がいずれもバディ物だから。
しかも女性どうしのバディ物刑事ドラマはあまり例がない。
戸田恵梨香&永野芽郁の『ハコヅメ/たたかう!交番女子』(’21) は舞台が派出所で正確には刑事物じゃないし、黒木メイサ&多部未華子の『ジウ/警視庁特殊犯捜査係』(’11) はそれぞれ所属部署が違うからバディバディ詐欺だったし、それ以外の女性バディ物は言っちゃ悪いけどお年を召したコンビだったりして、少なくとも私向けじゃありませんでした。
それが今回、まず主人公=三田桜を演じるのが前述のとおり「主演作にハズレなし」の小芝風花。彼女は必要以上に身元不明者の心に寄り添っちゃうキャラクター。
そしてその“10歳差の同期生バディ”となる月本 真(つきもと まこと)役が、異色の刑事物『ヤメゴク/ヤクザやめて頂きます』(’15) で主役を張った元AKB48のエース=大島優子。自身の恋人が失踪したままになってる彼女は、残された遺族の心に寄り添います。
お二人とも芸達者で、しかも揃ってビューティフルボインのオーナー。ストレス発散のキックボクシングが少々へなちょこでもボインぼよよ~ん!でお釣りが出るワケです。
そんな2人のおっぱいを密かに喜ばないワケがない、室長の利根川に吉田鋼太郎。
同僚の堀口捜査官に戸次重幸、武藤捜査官に半海一晃。
捜査一課のホープだけど私にとってはどうでもいい存在の手嶋刑事に、どうでもいいアイドルグループ“Snow Man”の阿部亮平。(同シーズン放映の『ギークス』にレギュラー出演してる同姓同名のベテラン俳優とは別人だけど、どうでもいい)
主役コンビと警察学校で同期生だった“科捜研”の芹沢研究員に、柳 美稀。その上司で利根川室長と同期生だった早瀬所長に、高島礼子。
そして失踪した夫(浅利陽介)の帰りを健気に待ち続ける、初回のゲストヒロインに仁村紗和。
「ソツはなし」と言えるキャスティングで、ドラマの内容も実際「ソツはなし」って感じだけど、だからこそ私は物足りない!
「女性どうしのバディ物は珍しい」っていう以外の見どころが「揺れるおっぱい」だけじゃ物足りるワケがない! (もちろん脱いでくれりゃ話は別だけど100%あり得ないゴートゥーヘルな時代)
なぜ私がこんなに物足りなく感じるのか、大きな理由が2つあります。
まず1つ目は、このドラマが明らかに「大多数(主に女性)の視聴者を気持ちよく泣かせること」を目標にして創られてるから。
つまり「泣けるラストシーン」から逆算して脚本が書かれてるから、このストーリーで最後に泣くとすればどういう展開だろう?って考えれば容易に先が読めちゃう。そりゃどんな名優が演じたって物足りないに決まってます。
本当の涙って、不意を突かれた時にこそ流れるもんだと私は思うので、さあ今から泣かせまっせ、ハンカチ用意しなはれやって空気を漂わせるのは完全に逆効果。
それでも積極的に泣きたい観客は条件反射的に泣けるみたいだけど、そんな予定調和な涙は心の浄化にもストレス発散にもならんでしょう。
笑いに関しても全く同じことが言えて、このドラマは笑いの取り方も型に嵌まってて私は全然笑えない。不意を突いてくれないから。
2つ目の理由は至極単純、身元不明遺体を窓際部署の刑事たちが成仏させるっていう、企画そのものに新鮮味が無いから。『遺留捜査』シリーズを筆頭に同じような警察ドラマが山ほど存在するのに!
そうした過去作を観てない世代には新鮮かも知れないけど、そんな若い人らが果たして王道まっしぐらな本作に興味を持つだろうか?
やれ予定調和だのゲーム感覚だの女子供に媚び過ぎだのと我ながらうるさい客だと思うけど、愛あればこそです。冒険させてもらえない現状はよく解るけど、それでも年に1本はホームランが出てるんだから「次はオレたちがキメてやる」っていう気概を持って欲しい!
いや、ホームランには及ばずとも、せめて新鮮なものを見せて欲しい。それだけで結果としてホームランになる可能性があるんですから、このジャンルは。