ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『ぼくは麻理のなか』2018

2024-07-09 19:39:07 | 探偵・青春・アクションドラマ

復刻シリーズのトリを飾るのは、2018年冬シーズンに関西テレビの金曜深夜枠で放映された30分の連ドラ (全8話) で、元はその前年FODで配信されたインターネットテレビの作品。

原作は押見修造さんの人気コミックで若い男女の「入れ替わり」がネタになってるけど、連載スタートは2012年だからアニメ映画『君の名は。』(’16) の大ヒットとは無関係。(ただしドラマ化の後押しにはなったかも?)

地方から東京の大学に進学したものの周囲に馴染めず、孤独をこじらせてアパートに引きこもりがちな青年=功(吉沢 亮)が、毎晩決まった時間にコンビニで見かける女子高生=麻理(池田エライザ)を尾行してたらw、彼女と眼が合い、そこで意識が途切れてしまう(ように見せてるけど、実はミスリード)。



で、目覚めたら功は「麻理のなか」にいて、大いに戸惑いながらも仕方なく彼女になりすまし、女子高生として日々を過ごす……と、ここまでなら(フィクションの世界じゃ)よくある話。

ところが、功が住んでるアパートを訪ねてみたら、功は功のままそこにいるもんだから驚いた! じゃあ、麻理の心は一体どこへ行ってしまったのか? 麻理の身体の中にいる自分は功じゃないのか?

つまり、正確には「入れ替わり」の話じゃないんです。さすがは押見修造さん、一筋縄じゃいきません。

私が初めて読んだ押見さんの漫画は、ちんこが見たくて見たくて仕方ない女子高生が主人公の『アバンギャルド夢子』(全1巻)。ただのエロギャグ漫画ではなく、ちんこ探求を通して自我に目覚めていく青春ストーリーで、意外と比喩に富んだ深いお話でとても面白かった!



その後『漂流ネットカフェ』や『惡の華』『スイートプールサイド』等の作品がドラマに、アニメに、映画にと映像化され、早くから押見さんに目をつけた自分を誇らしく思ったもんです。(単純に女子高生+ちんこの話に興味を引かれただけですが)

こうなったら是非『アバンギャルド夢子』も映像化して欲しいけど、さすがに無理ですねw



で、今回ドラマ化された『ぼくは麻理のなか』。以下、ネタバレになります。

功は麻理の中にいる筈なのに、功は功としてちゃんと存在してたもんだから、私はてっきりパラレルワールドの話かと思ったんだけど、それも違いました。やっぱり押見さんは、もっと人間の深い部分に斬り込む作家さんでした。

麻理の中にいる功は、実は麻理が創り出した彼女自身の別人格だった!



どうやら麻理は自殺を考えるくらい自分の置かれた状況に疲弊し、追い詰められ、いつも独りで自由そうな功に理想の生き方を見いだし、無意識に精神が分裂しちゃった。

ありがちな“男女入れ替わりもの”かと思いきや、実は解離性同一性障害(多重人格者)の話だったワケです。

麻理が孤独なボンクラ男の功を自身に憑依させた原因は、母親(西田尚美)の精神的虐待にありました。

本来、麻理は違う名前だったんだけど、それは父方の祖母による命名で、姑嫁間で確執のあった母親が、祖母の死後、本来つけたかった名前である「麻理」に無理やり改名させたことを発端に、麻理は自身のアイデンティティを見失ったのでした。



まぁしかし、それはあくまで「設定」に過ぎず、押見さんが描きたかったのは思春期に誰もが経験する「自我の目覚め」なんだろうと思います。

母親に勝手な理想を押しつけられ、学校ではいわゆる「リア充」と呼ばれる(スクールカーストの上層にいる)連中と無理してつき合い、心が疲弊してしまった麻理。

だから、孤独すなわち自由を謳歌してるように見えた功を羨ましく思い、無意識のうち彼になりきって……という流れ。つまり「麻理のなか」にいる功はホンモノの功じゃない。

孤独になりたいワケじゃないけど、とにかく今の自分とは全く違う人間になりたかったんでしょう。それを麻理自身も認識してないし、ましてやホンモノの功は何も知らずにノホホンと生きてる。



さらに麻理は、カーストの底辺にいたクラスメート・依(中村ゆりか)と交流することで、本当の自分を見つけていく。なかにいる功の正体が判ったとき、麻理は自分がどう生きて、どんな友達とつき合えば「自分らしい」のかを理解する。

依は依で、麻理のなかにいる功(それも麻理なんだけど)と心を通わせることで成長していく。麻理が自分を取り戻せば、麻理のなかにいる功は消えてしまうワケで、切ない別れを経験することにもなる。ああややこしい!



で、本来の自分に戻った麻理と依はあらためて友達になるんだけど、高校卒業と同時にそれぞれ別の道へと進んでいく。「またね」と言って別れたけど、たぶん再会はしなさそう。二人とも、それだけ強くなったってことでしょう。

一方、ホンモノの功はまったく蚊帳の外w それでも、麻理に惚れたことで少しは変わっていこうと努力する。彼も彼なりに成長したんですよね。

かように根っこはオーソドックスな青春ストーリーで、もっとSF的な展開やどんでん返しを期待する視聴者には肩透かしだったかも知れません。

けれど私は、こういう普遍的な、しかもどちらかと言えば日陰側にいる人たちの苦悩に、とてもとても共感します。人格が分裂しちゃった経験は無い(と思う)けど、麻理や依が感じてきた息苦しさはよく解るつもり。

連ドラとしてのクオリティーも高かった! 映像が美しく、とても丁寧に演出されてるし、池田エライザさん&中村ゆりかさんの熱演もまた素晴らしい!

特に、レズやオナニー等のエロ描写にも果敢に挑まれたエライザさんに拍手を贈りたいです。(ファッションモデル出身のエライザさんだけど女優として劇場版『みんな!エスパーだよ!』や『貞子』にも主演した上、司会業、歌手、映画監督、グラビアカメラマンなどマルチな才能を発揮。おまけに脱いだらこの有り様で手がつけられません!)


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『オトナ高校』2017

2024-07-08 20:00:12 | 探偵・青春・アクションドラマ

2017年秋シーズン、テレビ朝日系列の土曜深夜枠に新設された「土曜ナイトドラマ」の第1弾として放映された、橋本裕志さんのオリジナル脚本による全8話の連続ドラマ。

少子化問題対策の一環として、30歳を越えて性体験がない男女を国がリサーチし、まっとうな恋愛とセックスが出来るよう教育する「オトナ高校」に強制入学させるというムチャな設定。



東大卒のエリート商社マンで、イケメンなのに高過ぎるプライドが災いし、童貞をこじらせてる主人公に三浦春馬。その上司にしてオトナ高校のクラスメイトとなる、55歳のチェリーボーイに高橋克実。完璧主義が災いしてやはり処女のクラスメイトに黒木メイサ。そして校長に杉本哲太、教師に松井愛莉らが扮するほか、第1話には逢沢りな、小松彩夏らセクシーゲストも登場しました。



とにかく“おバカ”ドラマですから、難しいことを考える必要はありません。春馬くんや克実さんが童貞で、メイサが処女という超ミスマッチぶりと、その吹っ切れた演技をただ楽しめば良いのです。



特に春馬くんがノリノリで、爽やかイメージを自ら破壊しまくる姿が実に清々しい! 以前からこういう役を演ってみたくて仕方なかったんでしょう。

克実さんは無論面白いし、メイサの処女っぷりも見ものだし、可愛い顔で卑猥なことを言いまくる松井愛莉さんにも萌えるし、観たところで何も得るものは無いけどw、私は大好きです。



阿部寛主演のヒット作『結婚できない男』の頃より問題はさらに深刻化し、今や恋愛やセックスを国が推奨し、指導しなくちゃいけない時代になったという、社会風刺的な見方も出来るかと思います。

けど、私が若い頃からすでに、そういう問題は水面下で着々と進行してました。私自身が長年、恋愛にもセックスにも縁がなくて悶々としてたし、何ら経験しないまま自殺しちゃった若い同僚もいました。今頃になって問題視するのは遅すぎるぐらいです。こんな高校があれば喜んで行きましたよ!



現在の若い人らはもっと草食化してるみたいだし、さっき“おバカ”ドラマだから得るものは何も無いみたいに書いたけど、ちゃんと観れば人生を変えてくれるようなヒントが、もしかすると見つかるかも知れません。

そう考えれば、やれ“胸キュン”だの“萌えキュン”だのと女性に媚びてばかりいる昨今の恋愛ドラマより、よっぽど意味も意義もある番組じゃないかと私は思います。



良識的な視聴者の方々には失笑を買ったみたいだけど、私は毎回気持ち良く笑わせて頂きました。

こういう作品を、ただ下品だから、あるいはナンセンスだからという理由で毛嫌いする人が多いけど、なんで楽しめないのか私には理解出来ません。とはいえ、春馬くんやメイサがよくオファーを引き受けたなあとは思ってますw

それほど下らないことを、小劇団の人達じゃなくメジャー第一線の俳優さんたちが嬉々として演じておられる、そのお姿を観てるだけで楽しいと私は思うのですが。特に高橋克実さんはご覧の通り、水を得た魚そのものですw



中には、普段は見せないオーバーアクションや変顔を連発する春馬くんを「痛々しくて見てられない」なんて書いてるレビュアーさんもおられたけど、あんな嬉しそうに芝居してる人の一体どこが痛々しいと感じるのか?

それは単にあなたが最初からコメディーを好まない、もっと言えば理解するセンスが無いから痛々しく感じるだけの話で、そんな人にコメディーを品評して欲しくないです。「自分は苦手だからパスします」って書けば済む話でしょうに。



ところで最終回、オトナ高校の第1期生たちが企画したお見合いパーティーの参加者名簿に、さりげなく弓神適当と羽生虎夫という名前が記されてました。

弓 神「お前、オトナ高校に入学しろよ」

羽 生「チェリートじゃねえし!」

……っていう、たぶんアドリブの会話が他局の番組『刑事ゆがみ』(※同シーズンに放映されてた浅野忠信&神木隆之介のコンビによる刑事ドラマ) に登場したことに対する、『オトナ高校』スタッフのアンサーですよね、きっとw (“チェリート”っていうのはエリートのチェリーボーイ=『オトナ高校』主人公のニックネームです)

たぶん浅野忠信さんあたりが『オトナ高校』を面白がって、『刑事ゆがみ』の撮影現場で話題にされてたんでしょう。神木隆之介くん演じる羽生刑事もエリートのチェリーボーイでしたから。

自分の大好きな番組2つが、そんな形で繋がったことが私はとても嬉しかったです



そういう楽屋オチも含めて『オトナ高校』はB級コメディーとして良く出来てたし、なにげに恋愛ドラマ、青春ドラマとしても優れた一面があったように思います。

また、童貞男がなぜ童貞なのか、女性にモテない男がなぜモテないかを、これほど的確に指摘したドラマは今まで無かったかも知れません。

『オトナ高校』のリアルさ、シビアさに比べれば『モテキ』や『逃げ恥』なんか甘口もいいところで、所詮ファンタジーに過ぎないと私は思う。モテなくて悩んでる男子は『オトナ高校』を真剣に観て学ぶべきです。女性が自分をどんな眼で見てるか、痛いほどよく解りますから。



それにしてもキャストの皆さん、本当に楽しそうでした。三枚目に徹する春馬くんを見て女性ファンは「やめて~」って思ったかも知れないけど、本当にファンならば役者として一皮剥けた彼を祝福すべきです。

そして黒木メイサさん、松井愛莉さん、松井玲奈さんらヒロインたちも、よくこんなドラマに最後までつき合って下さいましたw 素晴らしい!



☆追記/三浦春馬くんの訃報はショックでした。トーク番組でお見かけした時に「ストイックな人だな」とは感じたけど、まさか……ですよね。御冥福をお祈りします。

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『みんな!エスパーだよ!』2013

2024-07-07 16:40:14 | 探偵・青春・アクションドラマ

もはや「連ドラで刑事役を演ってない俳優さんの2時間ドラマ」シリーズの定義から完全に逸脱しちゃいますが、封印された旧ブログを探索中に見つけた「どうしても捨てがたい」ドラマを3本、ついでに紹介させて頂きます。

まず1本目は、2013年に園子温監督がメイン脚本と演出を手がけられた40分枠(全12回)の深夜ドラマ『みんな!エスパーだよ!』。若杉公徳さんの人気コミックを実写化した作品で、タイトル通り超能力をテーマにしたSF学園コメディーだけど、それは正直言ってどうでもいい。見所はまったく別の要素にあります。



「パンチラ」や「スカートめくり」って、大抵の男子が最初に遭遇する、最も身近なエロですよね?

たかがパンティー、されどパンティー。少年期にエロを感じたものって、大人になっても変わらず嬉しいものじゃないですか? セックスにはもう飽きたけど、パンチラにはなぜか今でもトキメキを感じるという殿方も少なくないのでは?

園子温監督は、そんなエロの原点を追及し続けておられる素晴らしいクリエーターです。その部分に関してだけは、私も大いにシンパシーを感じてます。

(☆追記/後に発覚する、監督という立場を利用した性的暴力はもちろん許せないけど、作品に罪はありません)

映画『愛のむきだし』は主人公がパンチラ専門の盗撮マニアで、満島ひかりさんや安藤サクラさんもパンティーを見せまくってました。

原発問題を扱ったシリアス作『ヒミズ』でも、主人公の染谷将太くんが父親と殺し合いに近い喧嘩をするチョー深刻な場面で、止めに入った二階堂ふみさんが突き飛ばされ、転がってパンティーが丸見えになり、父子が喧嘩を中断してそれを凝視してましたw

真実がそこにありますよね。ミニスカートに白いパンティーを穿いた女子と闘っても、男は絶対に勝てません。そんなもんには絶対に惑わされないとおっしゃる殿方は、今すぐ私の飛行機から出てって下さい。



そんなワケで、この『みんな!エスパーだよ!』はひたすらパンチラにこだわったドラマです。ヒロインの夏帆さん、真野恵里菜さんをはじめとする若手女優たちが、毎回これでもかとパンティーを見せてくれます。

夏帆さんは恐らく初であろうヤンキー役で、パンチラ以外にもベッドでひとり悶える場面を熱演したり、かなり頑張ってくれてます。可愛い子はヤンキーでもやっぱり可愛いです。



もう1人のヒロイン=真野恵里菜さんはハロープロジェクト出身の正統派アイドル。『仮面ライダー』の映画で“ライダーなでしこ”を演じたり実写版『機動警察パトレイバー』では主演に抜擢されるなど特撮方面でも活躍中だけど、本作じゃ夏帆さん以上にエッチな事をやらされてます。



ストーリーはまあ、ホントにどうでもいい。染谷将太くんをはじめ色んな人々が超能力に目覚め、スカートめくりやエロ本の万引きをしまくるという世にも恐ろしいお話です。



昔はアメリカとかイタリアで、こういう思春期のエロを扱ったコメディー映画がいっぱい創られたし、日本でもよくテレビ放映されてました。まさにああいう世界です。

ほか、安田顕さんが超能力の研究者を演じ、長台詞を棒読みしながら助手(神楽坂 恵)のおっぱいを揉みまくります。



ご存知かと思いますが、神楽坂さんは園子温監督の奥さんです。仕事とは言え、人妻のおっぱいを旦那の目の前で揉みまくる安田さんの心中やいかに?

そして揉まれる神楽坂さんも揉ませる園監督も変態ですね。素晴らしい! (←追記/もちろん今となっては笑えません。変態がヘタに権力を持つとどうなるかっていう、実に判りやすいサンプルです)



とにかく真野恵里菜さんが歩けば必ず風が吹いてスカートがめくれるし、夏帆さんは染谷くんを見かけるたびにパンツ丸出しで跳び蹴りを食らわせる。それがこの世界のルールなんです。



夏帆さんの跳び蹴りはなかなか見事で、ちゃんと足先が染谷くんの顔面をヒットする高さで跳んでるし、着地と同時にクルッと回ってもう一度パンツを見せるサービスも忘れてない。かなり運動神経が良いんでしょう。

で、ヤンキー役だからいつもしかめっ面なのに、なぜか跳び蹴りする時だけ満面の笑顔なんですよねw



夏帆さんのパンティーはいつも純白で素晴らしいです。ヤンキーなのに純白。ヤンキーだけど、根は純真な少女である事をパンティーの色で表現してるワケです。知らんけど。



後は、取り立てて書くことはありません。とにかく夏帆さんと真野恵里菜さんの白いパンティー! それに尽きます。

(☆またもや追記/旧ブログでこの記事をアップしたのは2015年1月で、もう10年近く前。あれからテレビにおける性描写の規制が、厳しくなってるのか緩くなってるのか私にはよく判らないんだけど、少なくとも今のgooブログは“制服姿のパンチラ”を、たとえ見せパンであろうと許さないかも知れません。もし近日中にこの記事が消えたら、そういうことです。)

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『都庁爆破!』2018

2024-07-06 14:14:18 | 探偵・青春・アクションドラマ

2018年のお正月にTBS系列で放映されたスペシャルドラマ。刑事が主人公じゃないけど明らかに日本版『ダイ・ハード』を意識したアクション物なので載せときます。高嶋哲夫さんの同名小説を映像化した作品です。



クリスマスの日に東京都庁の一部が爆破され、国際テロ組織の名を語る武装集団が展望台を占拠。人質の中には元自衛官・本郷裕二(長谷川博己)の妻子がおり、本郷は元CIAエージェントのケイン高村(吉川晃司)と2人で都庁内に潜入、テロリストたちを一人残らずぶっ殺していきます。

私は本作を大いに楽しみつつ、同時に「これはネット民に叩かれるやろなあ」と思いながら観てました。彼らにとって最もバカにしやすく、ネタにしやすいジャンルですから。

案の定、ネット上では酷評の嵐。それだけ注目されてる証しとはいえ、私が気に食わないのは怪獣映画『シン・ゴジラ』と比較してバカにする人がなぜか多いこと。

上記のあらすじを読んで頂ければ一目瞭然、創り手がやりたかったのは日本版『ダイ・ハード』であり、全く土俵の異なる『シン・ゴジラ』と比較するのはあまりに的外れ。どちらも長谷川博己さんが主役だからって批判の仕方が短絡すぎます。

政府の対応が遅すぎて事態が悪化しちゃう展開だけは似てるけど、それは別に『シン・ゴジラ』だけが描いて来たことじゃない。映画やドラマで描かれる日本政府っていつもこんな感じだし、現実でもたぶん同じでしょう。

そういう政府の滑稽さをメインに描いたのが『シン・ゴジラ』のユニークさであって、『都庁爆破!』が見せたいものは全然別のところにある。それは何かと言えば、長谷川博己&吉川晃司がテロリストたちをぶっ殺しまくる肉弾アクション! これに尽きます。



気がつけばもう『ダイ・ハード』も30年前の映画(’18年時点)ですから、若い人らが知らないのは仕方ないけど、猫も杓子も『シン・ゴジラ』基準でこのドラマを語るのはあまりにバカげてる。

確かに、家族愛をやたら強調する作劇はちょっとウザかった。ふだん泣く練習ばかりやらされてる子役ちゃんが、ここぞとばかりに泣き喚く姿を、繰り返し見せられるのは私も苦痛でした。

が、それは『シン・ゴジラ』が家族愛に類するドラマをいっさい排除した事とは全く無関係。『シン・ゴジラ』に家族愛は必要無いけど『ダイ・ハード』をやるならそこは外せない。ただそれだけのこと。

都民ファーストが信条の東京都知事=大池由紀子(寺島しのぶ)がヒロイックに大活躍する描写も確かに失笑もんだけど、失敗したのはこのドラマじゃなくて小池さんですから! (追記/小池都知事が当時どんな失敗をやらかしたか思い出せません。そこが時事ネタの難しいところ)

そもそも、クリスマスが舞台なのになんで正月放送やねん?(諸事情あったんでしょうけど)とか、ツッコミどころは満載、ほんとツッコミ易い作品だとは思います。

けど、重視すべきはそこじゃない。繰り返しますが、長谷川博己&吉川晃司がテロリストたちをぶっ殺しまくるアクション。誉めるにせよ貶すにせよ、まずはそこからです。



私は素晴らしいと思いました。特に、眉毛1つ動かさずに手際よくテロリストをぶっ殺していく吉川さんの冷徹さたるや! そりゃもうクールどころの話じゃなく、ランボーやターミネーターと比較しても遜色ありません。(知らないヤツはお呼びじゃない)

CGによる爆破描写に対してはふだん批判的な私だけど、本作の場合CG抜きじゃ実現不可能な内容ゆえ文句ありません。

やれ、ここがリアルじゃないだのチープだのパクリだのって、娯楽アクションを観るのにそんな屁理屈こいてどうすんねん?って思う。もっと素直に受け入れて楽しみゃええやんって。



長谷川博己さんの珍しい格闘アクション、吉川晃司さんのハンパない格好良さ、テロリストリーダー・渡部篤郎さんの悪辣ぶり。そういう見所をいっさいスルーして『シン・ゴジラ』はどうのこうのって、あんたバカ?

アクション物に対して“上から目線”で見下す姿勢って、昔から日本人には根強くあるんだけど、特に最近の若い連中にその傾向が強くなってる気がします。そもそもアクションに興味が無い、いわゆる草食系男子とやらが増えてるせい?

みんな創り手に対するリスペクトが無さすぎる。1日だけでいいから、いっぺん撮影に参加してみればいい。二度とそんな偉そうなこと言えなくなりますよ。あるいは、スタッフ・キャストに直接文句を言ってみればいい。匿名じゃなく、面と向かって堂々と。

作品を批判するのは自由だけど、今回の場合あまりに的外れで、あまりに創り手をバカにした心ない悪口が目についたもんで、腹が立ち、作品の味方につきたいと思いました。私は全面的にドラマ『都庁爆破!』を支持します。



キャストは他に、人質となった妊婦に早見あかりさん、刑事に小澤征悦さん、消防隊員に和田正人さん、総理大臣にリリー・フランキーさん、そして主人公の妻に優香さん。



☆再び追記/ふだん“ネットパトロール”じみた事はしないのに、何故このときに限ってしちゃったのか、それも思い出せません。たぶん、テレビでアクション物が制作されること自体が稀な昨今ゆえ、世間のリアクションが気になったんでしょう。

想定外の冷遇ぶりに対するショックと怒りが記事から滲み出てるのが、ちょっと青臭くて恥ずかしい。今はもっと達観してるというか、諦めの境地ですから。

あと、罵詈雑言を書き込むネット民=若いヤツらだと文中で決めつけてるのがまた恥ずかしい。そういう輩は中年以上=我々“昭和世代”にこそ多いってことを’18年当時は知りませんでした。なるほど、だから自分より歳下のクリエイターを見下したがるんでしょう。そこは私自身も気をつけなきゃいけません。

今回復刻した記事はどれを読んでも恥ずかしい。書いてる本人にとっては数ヶ月前の文章でも恥ずかしいもんです。

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『禁断の実の美女』

2024-04-06 20:35:03 | 探偵・青春・アクションドラマ

2時間サスペンスの代表格と言うべき「土曜ワイド劇場 (テレビ朝日系列) 」にて1985年に放映された、ご存じ『江戸川乱歩の美女シリーズ』第22弾!

説明するまでもなく私立探偵「明智小五郎」が活躍するエログロナンセンス・ミステリーで、1977年から’85年までの25作品で『非情のライセンス』の天知茂さんが、次いで’86年から’90年までの6作品で『新宿警察』の北大路欣也さんが、そして’92年から’94年までの2作品で『新幹線公安官』の西郷輝彦さんが明智探偵を演じてます。

まぁしかし、我々世代(少なくとも私)にとって明智小五郎は、天知さん以外に考えられません。



このシリーズにおける明智探偵は、なにせ天知さんゆえピシッと決めたスーツ姿だけど『非情のライセンス』の会田刑事みたいなニヒリストじゃなく、けっこうお人好しなナイスガイとして描かれてます。

原作では袴姿&もしゃもしゃ頭なんだそうで、後発の「金田一耕助」に与えた影響は少なくなさそうです。


そして今回、第1作から第19作まで五十嵐めぐみさんが演じられた明智の助手=文代に扮するは、当時バラエティー番組でも活躍されてたアイドル歌手の高見知佳さん(第20作〜第23作)。

ちなみに天知茂版の最終2作では藤吉久美子さん、北大路欣也版では佐藤万里さんと高見恭子さん、西郷輝彦版では星遙子さんが同じ役を演じておられます。


ついでに書けば、明智探偵と親しい警視庁捜査一課の波越警部役は元ドリフの荒井注さんだけど、ウケを狙いすぎて演技がクサいです。

あと、大和田獏さんが初代を演じられた「小林少年」役は小野田真之という、華も無ければ演技力もまったく無い(たぶん高見知佳さんのバーターでねじ込まれた)新人俳優で、主たるレギュラーはその4人。

しかしこのシリーズにおける主役は言うまでもなく、タイトルにもなってる“美女”を中心としたゲスト女優陣。なぜなら、必ず全員がおっぱいを見せてくれるから!

いや、さすがに全員はおっぱいを出してないけど(全員がおっぱいを出してたらキリがない)、少なくともヒロインとサブヒロインには必ずシャワーシーン、あるいは官能シーンが用意され(首から下は吹替えである場合が多いけど)、乳首&おしりの見学が100%保証されてる点が好視聴率の要因だったことは誰も否定しないでしょう。そうでなきゃここでレビューする筈がない!


乱歩先生の初期を代表する短篇小説『人間椅子』をアレンジした本作でヒロインを演じ、約束どおりシャワー&官能シーンを見せてくれるのは、当時27歳の萬田久子さん。



映画じゃとっくにヌードを披露されてたのに、今回は(カット割りから見て)首から下はどうやら吹替え。主演級のスター女優がそう簡単に脱がないことは我々も分かってるのに、それでもテレビにかじりつくんだから女性の裸がどれほど偉大かって話です。女体こそ究極のアート、そして我が人生。



で、その萬田さんのヌードを我々と同じ眼差しで凝視する、物陰に潜んだ怪しい男。眼だけクローズアップするとイケメン風だけど、正体はレオナルド熊さんです。



『人間椅子』は何度となくドラマ化、映画化、舞台化もされてますからストーリーは省略します。とにかく男という生きものの実態と、その哀れさを描いた世紀の傑作!



萬田さんはただ椅子に座ってるだけなのに、中に潜んでる熊さんにとっては至福のひととき。



原作に忠実なのは恐らくこのシチュエーションのみ。だけどこれこそが全てですよね。思いつきそうで誰も思いつかないアイデアだし、もし仮に思いついたとしても本気で小説化するのは乱歩先生しかいないでしょう。



とはいえ、ヌード描写が萬田さんの吹替えだけなら私はレビューしなかった筈。

こうして手間暇かけて記事にしたのは、萬田さん扮する女流作家のアシスタント=咲子役でゲスト出演された、森田理恵さんのシャワーシーンが素晴らしすぎるから!



これぞ女優の鑑! いや、今はコンプライアンスとやらで「俳優」と呼ばなきゃいけないらしいけど、男のシャワー姿に価値などあるワケ無いから「女優」としか呼びようがない。



今回も変態事務局対策で「見えない瞬間」のみを切り取ってるけど、実際はもちろん見えてます。

森田理恵さんのプロフィールは『警視庁殺人課』#04のレビューで紹介済みゆえ省きますが、本当に素晴らしい仕事をなさってます。



ほか、小田桐かほるさん、丸山秀美さんといった当時の若手女優たちが脇を固めてますが、なぜかおっぱいは見せてくれません。



その罰が当たって小田桐さんは殺され、丸山さんもこんな凝りに凝った仕掛けで(↓)処刑されそうになるも……



そこに死んだはずのレオナルド熊が現れた! その正体は言うまでもなく……



我らが明智小五郎! なぜわざわざ変装したっ!?

変装を華麗に解くことだけが目的の変装!

まさにナンセンスの極致!

だからこそ面白い! こういうことを大真面目にやるのが真のエンターテインメント。リアリズムなんかクソ喰らえ!! 女優なんかおっぱい見せてりゃいいんだワッハッハッ!!(県知事を辞任します。)

そんなワケでセクシーショットはゲストの萬田久子さんと森田理恵さん、そしてレギュラーの高見知佳さんです。

 

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