ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『鈴原りこ/天使なんかじゃない』

2024-06-30 11:22:35 | 写真集&イメージビデオ

昨年、プータローをこじらせてヒマだった時期に読んだ本が、文庫版『“宇宙戦艦ヤマト”をつくった男/西崎義展の狂気』なんだけど、これがメチャクチャ面白かったです。

『宇宙戦艦ヤマト』シリーズは松本零士さんの作品だと思ってる方が多いでしょうけど、松本さんはキャラクターとメカのデザイナーとして雇われ、メディアミックス宣伝の一環としてコミックを描かれたに過ぎず、実質的な作者はプロデューサーの西崎義展氏。

だから間違いなく凄い人なんだけど、残念なことに『ヤマト』シリーズは続編が創られるたび迷走の色を濃くし、その原因は我々素人の眼から見ても明らかに「西崎氏が作品を私物化してるから」でした。



ことに西崎氏が自ら監督を務めた劇場版『宇宙戦艦ヤマト 完結篇』と『同 復活篇』は本当にトホホな出来栄えで、商売のセンスと芸術のセンスは(当たり前だけど)相反するもんだってことを実に判りやすく証明してくれました。

ゆえに、西崎義展って人が一体どういう性格で、なぜ『宇宙戦艦ヤマト』というBIGタイトルをあそこまでオモチャに出来たのか、なぜ彼の暴走を誰も止められなかったのか、以前からすごく興味があったワケです。

ビジネスマンとしては本当に凄い人だけどクリエイターとしての才能は皆無。優秀なスタッフのお陰で『ヤマト』は一世を風靡したけど、それを全部自分ひとりの手柄にしちゃう傲慢さが転落を招き、挙げ句に覚醒剤所持で逮捕されるって顛末が角川春樹氏そっくりだなと思ってたら、実際この2人は互いに気の合う数少ない友達だったみたいです。

そりゃそうでしょう。よほど強欲な人でないとショウビジネスであれだけの成功は掴めないし、掴んだ後はもう“裸の王様”への道しかない。その孤独さを理解し合える相手が1人いただけでもラッキーかも知れない。



世間にはプロデューサー(製作)とディレクター(監督)の違いが判らない人も多いらしいけど、お金と人員を調達する代償として作品の所有権を得るのがプロデューサー、そして実際に現場で作品創りを指揮するのがディレクターの仕事。

だから前者はビジネスマン、後者はクリエイターで持つべき才能が正反対。オオタニサンみたいに二刀流で成功するには、それこそオオタニサン並みの才能とストイックさが必要でしょう。いかにもギャンブルが好きそうな西崎氏も角川氏もプロデュースのみに徹するべきでした。


西崎氏は2010年11月に海難事故で亡くなった(とされてる)けど、それが『ヤマト』の実写映画版とリブートアニメ版の企画が、西崎氏のエゴ(全部自分に監督させろと言い張って譲らなかった)のせいで暗礁に乗り上げつつあった時期なもんで、本当に事故死だったの?って思わずにいられません。なにせどえらいマネーが動くBIGビジネスですから。

それほど初期『ヤマト』大ヒットの栄光にしがみつき、周りの人々をないがしろにした挙げ句の転落人生。まったく同情しないワケじゃないけど、私自身も後期『ヤマト』の迷走ぶりにガッカリしたファンの1人ですから、“因果応報”の見本みたいな末路をちょっと面白がっても罰は当たらないかと思います。



今回もイメージビデオの内容とまったく関係ないこと書きましたが、『宇宙戦艦ヤマト』をつくった男は決して“天使なんかじゃない”って、強引にまとめられなくもありません。

鈴原りこさんは介護士を務めながらグラビアアイドルも兼任されてる元·地下アイドルで、趣味は散歩とライブ鑑賞、料理、そしてラーメン店巡りなんだそうです。

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『宇美野ちの/君のちの』

2024-06-26 20:44:11 | 写真集&イメージビデオ

儲かって仕方がないという介護施設は存在しない(あるとすれば裏で悪いことしてるに違いない)と思うけど、私の勤め先も例に漏れず経営が苦しいみたいです。

で、この夏は全職員のボーナスが大幅ダウン。まあ、それは仕方ないと思う。

ただ、「施設の利用者さんよりもまず、職員がみな幸せでなくちゃいけない」って言ってた筈の施設長が、こないだの朝礼でいきなり、経営に関して「職員1人1人の意識が足りないからこうなるんだ」みたいなことを言い始めて、めちゃくちゃガッカリしました。

私は前職の宅配業を体力の限界だけじゃなく、やれ配達量がどうだ生産性がどうだと「数字」のことしか言わない上層部の体質に心底ウンザリして辞めたのに、結局あんたも一緒かい!?って。

「赤字だから今回はすまん」の一言で済ませりゃいいものを、なにが職員1人1人の意識がじゃ!? んなもん知ったことか、経営の話は会議室で勝手にやっててくれっ!!💢💨💨



昨年、送迎ドライバーの募集に応じて面接を受けたけど枠が埋まってて、ずっと前から持ってたホームヘルパー2級の資格に眼をつけた施設長がすごく熱心に誘ってくれたもんで「騙されたと思って」介護職員になったのに、ホンマに騙されたわっ!!💢💨💨

猫の手でも借りたい状況は察しつつ、それでも(数字じゃなくて)人柄を見て「向いてそう」と判断してくれたのが嬉しかったのに!

当然、私だけじゃなく職員みんながモチベーションを下げました。そりゃそうでしょう、あんなこと言われて「よし、次のボーナス額を上げるために意識を高めるぞ!」なんて誰が思う? 金を稼ぐのが目的ならみんな他の職に就いとるわっ!?💨💨



元からそういう性格だったのか、あるいは経営者という立場(そして焦り)があの人を変えたのか? NHKの『プロジェクトX』を観過ぎて毒されてんじゃないの?なんて思ったりもして。

そりゃ施設長もつらいだろうけど、赤字を職員のせいにするような発言はマズかった。いくらなんでもマズかった。みんながどれだけ身を粉にして働いてるか、間近で私は見てますからね。それを、ほどんど現場を知らない会議室の長が…… 泣けてくるよホントに。

施設長は元·介護職員じゃなくて、経営立て直しのために雇われた元·ビジネスマンなんですよね。だから逆に気の毒にも思えてくる。すべての元凶は終わりなき不景気であり、引いては我が身の保身しか頭にない鼻くそ政治家たち。破滅ですったらありゃしない!💨💨💨



宇美野ちのさん、趣味はポケモンカード収集とラーメン店巡りなんだそうです。


 

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『佐々木萌香/もえかと密着恋愛』

2024-06-23 19:19:46 | 写真集&イメージビデオ

トイガン「M10 大下勇次モデル」の紹介記事をきっかけに映画『帰ってきた あぶない刑事』を観に行くことになり、それが新書『刑事ドラマ名作講義』購入にもつながり、久々にマニア熱が再燃して自分の中じゃお祭り状態になってました。

それも前回の「帰ってきたハイウェイパトロールマン」で一段落しそうだけど、ちょっと寂しいです。やっぱり、趣味に熱中する時間っていうのは何にも替えがたいほど楽しい。お陰でこの約1ヶ月間、心身ともに安定してました。

映画鑑賞や読書はともかく、モデルガンみたいに高価なオモチャを2ヶ月連続で買うなんて、もし結婚してたらたぶん無理。バレないように買ったとしても相当な背徳感があり、心底からは楽しめないはず。そもそも、このブログの内容を妻として許容できる女性もこの世にいない事でしょうw

だから、強がりでも何でもなく、自分は家庭を持たなくてホントに良かったと思う。どっちを幸せと感じるかは人それぞれにせよ、自分で道を選べる時代になったことが何より良かった。

最初から選択肢が無かったワケじゃありません。同棲も結婚も一応経験した上で、私にとってそれは苦痛でしかないと確信したから今がある。

相手のせいにするつもりは毛頭無いけど、こちらが何か罪を犯したワケでもない。とにかく「自分には向いてない」としか言いようがない。

親にだけは申し訳ないと思うけど、家庭を持つことに憧れるほど父母の夫婦生活が楽しそうに見えなかったのも事実だし。

父母は「結婚しない」という道はおろか「離婚する」という選択すら許されない……とまでは言わなくても「考えちゃいけない」時代を生きて来たから、気の毒に思います。意外と本人たちは幸せだったかも知れないけど、私の眼にはそう映らなかった。

ぶつかり合うことも1つの幸せ、みたいにおっしゃる既婚者がホントに多いけど、否定はしません。ただ、私にはその気持ちが解らない。ぶつかり合える内はまだ良くても“無視”が始まったらそれこそ生き地獄じゃないの?って思っちゃう。

『もえかと密着恋愛』とまったく関係ないこと書いてますが、佐々木萌香さんは今回2度目のご登場ゆえプロフィールは省略できるし、何よりイメージビデオはマンネリズムの極致ですから。

ただ1つ言えるのは、過激には程遠い内容にも関わらず再登場ってのは、よっぽど好みのタイプってことなんでしょう。知らんがな?



そんなワケで今年リリースされたばかりの、佐々木萌香さん9本目となるイメージビデオ『もえかと密着恋愛』のレビューでした。

なにが密着恋愛じゃっ!? 👎

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「帰ってきたハイウェイパトロールマン」

2024-06-22 16:38:35 | コレクション

またまたTANAKA WORKSさんの新作モデルガンを買っちゃいました。これはもう仕方がない。仕方がないんです。

『太陽にほえろ!』をはじめ’70年代アクションドラマの刑事たちがほぼ全員使ってた、あの「MGCハイパト」のモデルとなったリボルバーが、ついにリアル&完全作動のパーフェクト・モデルガンとしてリリースされたんだから。

その名は「S&W M27 “The .357 Magnum” 3-½ inch HW Model Gun」!



ガンマニアの方には“釈迦に説法”でしょうが、実銃のM27は上記の通り(357マグナム弾を使う初のリボルバーだったので)“The .357 Magnum” と呼ばれ、“The Highway Patrolman” すなわち「ハイパト」はM27の廉価版である「S&W M28」の通称だったりします。

つまり今回の「帰ってきたハイウェイパトロールマン」っていうタイトルは嘘っぱち。だけどトイガンと’70年代アクションドラマに詳しい方なら「ああ、MGCハイパトがリアルになって帰ってきた話だな」とすぐに察してくれたはず。



これが1972年にリリースされた、プラスチック製モデルガン第2号にして初のリボルバー「MGC ハイウェイパトロールマン41」。3.5インチ以外の銃身は発売されてません。

そう、M27でもM28でもなく、これはあくまで「MGCのハイパト」なんです。言わば架空のリボルバー。



ルックスは明らかにM27なんだけど(そもそも実銃のM28=ハイパトに3.5インチモデルは存在しない)、M27のセールスポイントだった「357マグナム」カートリッジを使ってないことが最大の嘘っぱち。

それは「MGCハイパト」がモデルガン業界初の“プラスチック製リボルバー”だった為、従来の金属製に比べて軽そう=リアルじゃないイメージを払拭すべく、ひと回り大きな「41」サイズのカートリッジを使うことで少しでも重量を稼ぎたいのが理由だったみたいです。



上がMGCハイパトで、下がTANAKAのM27(グリップはアルタモント製)。明らかに後者のカートリッジ(本来のサイズ)が小さいけど、銃本体にヘビーウェイト材が使われてるから前者よりずっと重い。約50年に及ぶ進化の結晶!

そもそもMGCハイパトをなぜプラスチック(ABS素材)で作らなきゃいけなかったか、その理由まで書きだすと長くなるし面倒だし、ガンマニアなら誰もが知ってるしそれ以外の方は興味ナッシングでしょうから、やめときます。

とにかく、古参のガンマニアにとっても’70年代アクションドラマ好きにとっても「MGCハイパト」はベリーベリー・スペシャルな存在であり、その原型たる「S&W M27/3.5インチ」が最新技術により初めて(ルックスや重さだけじゃなく内部メカも)リアルなモデルガンとして降臨したんだから買わなきゃしょうがないっていう、私の言い訳に長々と付き合って頂いて恐縮ですm(_ _)m



ちなみに金属製モデルガンのM27は、MGCハイパト登場よりも前にCMC社がリリースしてました。(両社共とっくに廃業しており、入手は極めて困難。だから余計にマニア心をくすぐるワケです)



日本製リボルバー「リバティチーフ」をモデルガン化してくれた、あのA!CTION社が2年ほど前に「M27」リリースを予告し、ゴリさんまで駆り出したのに、なぜか未だ発売されず。いつの間にかその広告もホームページから消えちゃいました。

写真が4インチモデルゆえ私は買うつもり無かったけど、MGCハイパトと同じ3.5インチなら絶対買ったはず。当然、TANAKAさんも今後4インチや6インチを出して来るでしょうから、それを見越してA!CTIONさんは手を引いたのかも知れません。

ちなみにTANAKAさんは正真正銘のハイパト「S&W M28 “The Highway Patrolman”4インチ」のヘビーウェイトモデルガンも既にリリース済み。

まさかの「M10 “Military & Police”2インチ (大下勇次モデル) 」といい、徹底的に私のツボを突いてくるこのメーカーさんが怖すぎます!(どうやら企画してる人たちが同世代ゆえ、嗜好が近いんですね)

 

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『はぐれ刑事純情派ファイナル』

2024-06-19 21:55:07 | 刑事ドラマ2000年~

1988年春にスタートした『はぐれ刑事純情派』シリーズも、シーズン18にあたる『〜ファイナル』第10話 “安浦刑事よ永遠に” (2005年6月放映の2時間スペシャル) でいったん幕を下ろすことに。

ところがその年末に早くも復活、2009年まで4本の単発スペシャルが放映されて足かけ約20年(通算444話)に及ぶ長寿番組となりました。

そのたびに『帰ってきた安浦刑事』ってサブタイトルがついてて、“復活するのはお約束だろ?” がキャッチコピーの某映画(前作=完結編では “終わる終わる詐欺じゃねえだろな?” と謳ってたw)を連想させます。

改編期が来るたび若手刑事の殉職を臭わせた『太陽にほえろ!』も後年 “死ぬ死ぬ詐欺” なんて揶揄されるようになったけど、同じことが『はぐれ刑事純情派ファイナル』にも言えるかも知れません。過去に若手刑事が3人死んでおり、この最終回では主人公 “安さん” こと安浦吉之助(藤田まこと)の殉職を匂わせまくってます。



安さんを殺そうとする若者=北見(猪野 学)は、かつて安さんが担当した事件で逮捕され、出所したばかりの前科者だけど、彼には彼の事情がある。(番組スタート時のキャッチコピーが “刑事にも人情がある。犯人にも事情がある” でした。)

北見は、かつて所属した暴力団の元組長で現在は貿易会社を経営してる、黒河という男の命令に従って合成麻薬の売買に手を貸していた。

なぜなら、そいつに逆らうと唯一の身内であるお母さん(山本陽子)が殺されちゃうから。



そんな卑劣にも程がある乳首チョメチョメ野郎=黒河に扮したメインゲストは、2000年代に入ってからやけに悪役づいてる、神田正輝さん。



そう言えば『代表取締役刑事』の最終回でも似たような鬼畜セレブを実に活き活きと演じておられました。『はみだし刑事情熱系PART5 年末スペシャル』しかり、復活版『西部警察SPECIAL』しかり。俳優さんにとって悪役は、正義の味方を演じるよりずっと楽しいみたいです。

で、黒河が北見を操ってると察した安さんが、探りを入れに行った直後のシーン。


「安浦さん、お嬢さん結婚なさるそうですね。おめでとうございます」


「黒河、お前んとこにも女の子がいたな。いくつになった?」


「……!!」

いつも書くけど、人情刑事でありながらこういうハードボイルドも似合っちゃう、安さん=藤田まことさんが痺れるほどカッコいい!(そもそも『必殺』シリーズの主役だったお方です)

しかしこれが黒河を本気で怒らせ、安さんを殉職の危機へと追いやるワケです。


「安浦を殺す。あの男は目障りだ」

それで北見が駆り出され、安さんは腹を撃たれるんだけど、ヤツのお母さんが止めに入ったお陰で死なずに済みました。



川辺課長(島田順司)のセリフによると、安さんが銃弾を食らったのはこれで3度目。大半の警察官は一度も経験せずに終わるのが現実だろうけど、毎週のように刑事が撃たれてた(最後に犯人を射殺する為のお膳立てとして撃たれとく必要があった)『西部警察』等に比べると通算3回は圧倒的に少ない。

もちろん鬼畜中の鬼畜である黒河は、たかが一度の失敗で諦めやしません。今度は安さんが撃たれたことを知らずに北海道を旅行中の愛娘たち=エリ(松岡由美)とユカ(小川範子)をロックオン!



ちなみに結婚を控えてるのは姉のエリで、妹のユカは警察官採用試験に合格したばかり。後の単発スペシャルでエリが結婚式を挙げ、ユカが安さんの部下になることから察するに、この時点で既に復活は織込み済みだったのかも知れません。これぞまさに “終わる終わる詐欺”!

と同時に、退院した安さんが山手中央署の同僚たちにやたら「あとは頼むぞ」的な言葉をかける(ネット用語で言うところの “死亡フラグを立てる” )展開は “死ぬ死ぬ詐欺” でもある。



まあ実際、今回ばかりは安さんも命を投げ出す覚悟を決めたんでしょう。なにせ携帯電話を持ってる筈の愛娘2人と連絡がつかない!

案の定、エリとユカは根室の海岸で北見の襲撃を受けてました。



けど、安さんみたいな刑事になることを目指してるユカが、そこで思い出すんですよね。「どんな凶悪犯でも、最後の最後には必ず人間らしさを取り戻す」っていう父の言葉を!



カエルの子はカエル。説得を試み、みごと北見に銃口を下げさせたユカの姿に、私は泣きました。“はぐれ刑事二世”の誕生です。(ということは後に原田泰造を産む!?)



が、二度も暗殺に失敗した北見はそのあと消されちゃう。あの黒河にだけは安さんの純情派スピリットも通じない!

エリとユカを人質に取った黒河は、交換条件として安さんの命を要求してくる。そこまでは読んでた安さんだけど、ちょっと乳首チョメチョメ野郎を見くびってたかも知れません。


「子供たちを離せ。約束だぞ」


「約束? 安浦さん、あんた人が好すぎる」



まあ、そりゃそうでしょう。この黒河が目撃者であるユカたちを生かしておくワケがない。

ところが!



やっぱり安さんの方が一枚上手だった! 北海道へ発つ前に安さんは、黒河の自宅を訪ねていたのでした。


「卑怯なマネをしやがって!」

「卑怯だと? お前の口からそんな言葉が聞けるとは思わなかったよ。黒河、娘さんの前で人が殺せるか?」

「…………」


「人の心のカケラが少しでもあるんなら、俺に見せてみろ!」



「あなた、もう何も要らないわ! 家族が、3人いればいいのよ! それだけでいいのよ!」

「パパ、大好きだよ! パパ!」



「……ずるいよ、安浦さん」

どんな凶悪犯でも、最後の最後には必ず人間らしさを取り戻す。安さんの純情派スピリットがついに、黒河をダークサイドの果てから連れ戻しました。

いや、家族の愛が無ければ安さんにも打つ手は無かった筈で、やっぱり『はぐれ刑事純情派』も『はみだし刑事情熱系』と同様、刑事ドラマでありつつホームドラマなんですよね。こっちの方がずっと先輩だけど。

ところで、黒河の妻娘を連れてきた山手中央署の仲間たちは、敵が武装してると知りながら全員が丸腰でした。



「課長、見直しましたよ。拳銃無用。なかなかやりますな」

「なに言ってんだ、人の気も知らないで」

拳銃無用! それもまた番組キャッチコピーの1つでした。

そしてラストシーンの舞台は、やっぱりここ。



「ただいま」

「お帰りなさい」

↑このやり取りがまた、ひと足早くファイナルを迎えた『はみだし刑事情熱系』のエンディングとまったく同じ! 偶然にせよ意図的にせよ、両作ともホームドラマの側面を強調してますよね。

安浦家はもちろんのこと、なんだか『サザエさん』ファミリーみたいな雰囲気さえ感じる山手中央署の温かさといい、高級バーでありながら妙にアットホームな「さくら」といい、すべてが居心地いい空間。

だから安さんは最後までママの由美さん(眞野あずさ)に手を出さなかったんでしょう。亡くした妻への想いもありつつ、何よりこの居心地いい相関図を崩しちゃうリスクを避けたかったに違いありません。

ところが、以前は安さんの来店が待ち遠しかったのに「最近そうでもなくなったの」と由美ママは言います。

「えっ?」


「ここに来なくても、安浦さんはどこかで笑ってる。どこかで怒ってる。そう思うと、それで充分シアワセになれるの」

おいおい、よせよベイビー。それは究極の愛の告白じゃないのか? 知らんけど。


「そうか……でも来るさ。どこにいても必ず、ここに戻って来る」

そこで堀内孝雄 (with五木ひろし) による主題歌『ふたりで竜馬をやろうじゃないか』が流れるワケです。たまらんぜベイビー歯医者さん!



エンドクレジットのタイトルバックでは、木村一八、吉田栄作、西島秀俊、城島茂、七瀬なつみ、ケイン・コスギ、賀集利樹、国広富之ら歴代の若手レギュラーたちが回想されます。若い! 懐かしい!



『〜ファイナル』における若手刑事枠は、村上信五&植草克秀というジャニーズ勢の独占状態でした。良くも悪くも時代を象徴してますね。

「いつか、この景色は変わる。穏やかで平和に満ちた街に……私は信じたい。そして、人々の心も温かい心に。いつか、必ず変わる」



悲観論者の私にそんな明るい未来は想像できないけど、だからこそ、せめてフィクションの世界は希望を持って終わって欲しい。素晴らしい完結編だと思います。完結しないけどw



余談その1。黒河=神田正輝さんの妻に扮した根本りつ子さんは、舘ひろしさんの婚約者を演じた『代表取締役刑事』の最終回で、神田さんに殺されてます。

余談その2。復活スペシャルの1本には、渡辺徹さんも警視庁本部の刑事役でゲスト出演。『太陽にほえろ!』と『必殺』シリーズは切っても切れない縁がある?

セクシーショットは18年間ヒロインを務め、少女から大人への変化を見せてくれた小川範子さんと……



第16シリーズから山手中央署のメンバーとなった五十嵐刑事こと、森ほさちさん。



森さんは元·宝塚歌劇団の花組トップ娘役で、舞台を主戦場とされた女優さんです。


 

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