『セクシー田中さん』の原作者さんが、その連ドラ化の舞台裏でテレビ局側と相当な激論を(正確にはマンガの出版社を介して)交わされたらしい……っていう内容の記事をアップした2日後に、原作者さんが亡くなられたことを知って大変ショックを受けました。
「ごめんなさい、攻撃するつもりは無かったんです」といった主旨の遺書が発見されてるので、ご自身がネット上で件のトラブルを公表したせいで放映局やシナリオライターがバッシングを受けた(っていう話を私は知らないけど、きっと受けたに違いない)ことに責任を感じての自殺と思われます。
まさか、そんなことで!?って思うけど、それはあくまでキッカケに過ぎず、そこに至るまでのバトルによる疲弊や、他にも色んなストレスが重なった上での選択だったんでしょう。
原作は未読だけど、連ドラ版『セクシー田中さん』を観れば、原作者さんがとても繊細で傷つきやすいお方だったことは一目瞭然。
あんなにドラマが面白かったのは、登場するキャラクターに作者の魂がしっかりこもってたから。つまり“田中さん”にせよ“朱里”にせよ“笙野”にせよ、みんな作者の分身。彼女らを見れば“生みの親”がどれほど繊細なお方か容易に想像つきます。
けど、それにしたって、なんで命を絶たなきゃいけないの?っていう疑問は拭えません。原作者さんが公表されたドラマの“舞台裏”が全部ウソだったならともかく、事実なら何ひとつ悪いことはされてない。むしろ一番の被害者なのに!
本当に放映局やシナリオライターへのバッシングが引金になったとすれば、私が書いた記事もその中の1つと言えなくもないから、後味悪いです。(特に誰かを責める意図は無かったけれど)
そう思いたくないから書くワケじゃないけど、実は自殺に見せかけた殺人事件じゃないの?なんて勘ぐりたくなるぐらい不可解です。
だって、制作の舞台裏がどうであれ、作品は間違いなく素晴らしかったんだから!
やっぱり、マンガのヒット作みたいに“大きな成功”を手にした人の気持ちは、同じように成功した人にしか解らないのかも知れません。
いっそ「もう続きを描くのが面倒臭くなったから」とか、そういうお茶目な理由であって欲しかった。その方が、少なくとも私は腑に落ちます。
なんにせよ、御冥福をお祈り致します。
昨年9月以来となる『太陽にほえろ!』レビューは、原昌之=ジプシー刑事(三田村邦彦)の登場編(#495)から1話挟んでのジプシー活躍編。
ただし実質の主人公は最若手のラガー刑事(渡辺 徹)で、京都で撮ってる『必殺仕事人』シリーズとの掛け持ち出演で忙しすぎる三田村さんは、ほぼ前半しか活躍しません。
が、熱血漢のラガーと組むことでジプシーのクールさが際立つし、さりげなく後輩をサポートする彼の優しさも垣間見える好編となりました。
ちょっと早すぎるんですけどね、優しさを見せるのが。登場編であれだけニヒル&クレイジーな一匹狼ぶりを見せつけてから、わずか2話目ですから。
今でこそテレビ業界における”大人の事情“ってヤツが想像できるけど、リアルタイムで観たときはズッコケましたよ。誰よりもズッコケたのは三田村邦彦さんかも知れないけどw
☆第496話『ジプシーとラガー』
(1982.2.19.OA/脚本=小川 英&尾西兼一/監督=鈴木一平)
4年前に現金輸送車を襲って九千万円を奪った二人組のうち、1人だけ捕まった木谷(吉永 慶)が刑期を終えて出所します。
木谷が見知らぬ男の誘いに乗って強盗に加担したのは、妻の郁代(高尾美有紀)が交通事故を起こして一億円以上の賠償責任を負い、切羽詰まってたから。
なのに金を主犯者に独り占めされた挙げ句、自分だけが捕まっちゃった木谷に、ラガーは「お人好しでドジなやつ」と同情するんだけど、ジプシーは「主犯に復讐するつもりじゃないか」と懐疑的。
いずれにせよ木谷が主犯者と接触する可能性が高いと睨んだボス(石原裕次郎)は、ジプシーとラガーに木谷をマークするよう命じます。
この時点における二人の距離感は、こんな感じ。
↓
で、ギクシャクしつつも調べてみると、木谷が事件後すぐに離婚していたことが判明。
それは愛する郁代を世間に「犯罪者の妻」呼ばわりさせない為の優しさだと主張するラガーと、「(郁代が背負った)借金と縁を切る為に別れたんだ」と切り捨てるジプシー。
「木谷がそんな計算高い男だとは、ボクには思えません!」
「どう思おうと、それはキミの自由だ」
あくまで性善説を信じる熱血漢ラガーと……
今のところは登場編で見せたニヒルさをキープしてるジプシー。
なんにせよ男前すぎるコンビです。しかも揃って身長180cmクラスだから目立ってしょうがないw
そのせいか尾行はバレてしまい、ジプシーが署に“定時連絡”してるスキにラガーが襲撃され、木谷は行方をくらませちゃう。
やはり木谷は、ジプシーが言った通りの冷血漢なのか?
この辺りの展開で私は「あれ?」って思いました。かつてのスコッチ(沖 雅也)を凌ぐほどのロンリーウルフと謳われ、実際に登場編でさんざんスタンドプレーを見せつけたジプシー刑事が、律儀に定時連絡? しかもそのスキに容疑者を取り逃すって……
それはともかく捜査が進み、4年前に木谷を巻き込んだ主犯者が、南郷という金融会社の社長らしいと判るんだけど、その南郷の所有する自動車が爆発炎上し、運転席から木谷と思わしき焼死体が発見されるのでした。
車のオーナーである南郷も行方をくらませており、木谷を事故に見せかけて(口封じに)殺したと見て間違いなさそう。やっぱり木谷は、ラガーが想像した通りの「お人好しでドジなやつ」だった?
ところがジプシーのニヒルな捜査により、焼死体が南郷である可能性も浮上! それどころか、発見された証拠はジプシー説を裏づけるものばかり。
↑というワケでドック刑事(神田正輝)も加えた三田村・渡辺・神田の「ミワカントリオ」揃い踏み。3人とも文句のつけようがないハンサムぶりで、そりゃ当時のアイドルブームにおける人気沸騰も頷けます。それが沈みかけの太陽を押し上げてくれたんだから、ホントに感謝しかありません!
さて、主犯者の南郷が殺され、現金も消えたとなると、さすがのラガーも木谷=善人説を撤回するしかありません。
「間違いないって思ったんだけどなあ……」
「だったらなぜ、その説を捨てる?」
「でも、原さん」
「一度信じたことは、オレは叩きのめされるまで捨てない。それが出来ないんだったら、オレは初めから信じない」
「ムチャ言わないで下さい! これだけ逆の証拠が出揃ったら、どうしょうもないじゃないですか! もう、叩きのめされたのと同じじゃないですか!?」
「…………」
「違うって言うんですか? こうなってもまだ、死体はやっぱり木谷だったっていう可能性が、あるって言うんですか?」
「…………」
「そうかなあ……ま、いいや。どうせだから、もう一度信じてみよう!」
うっすらと微笑むジプシー。いい人ですw いや、いい人じゃないとダメなのは分かってるけど、それを見せるのが「早すぎる」んです。しつこいようだけど。
そんなジプシーのお陰で発奮したラガーは気づきます。証拠なんか、その気になれば捏造できる!と。
正解でした。ドック&ロッキー(木之元 亮)の協力を得て、ジプシーが京都で裏稼業してる間に証拠を徹底的に洗い直したラガーは、あの焼死体が“お人好しでドジな木谷”であることを見事に証明!
慌てて戻ってきたジプシーと共闘し、とんでもない悪人としか言いようのない南郷をカンザシで抹殺はせず、逮捕するのでした。
「原さん。オレは原さんの一言で考え直したんです。だから手錠は原さんが」
「オレに妙な気兼ねはやめるんだ。初めから推理の筋道は2つあった。キミの選んだ方が正しかった。それだけのことだ」
ナイスガイですw それでいいんです。いいんだけど、ただ、早すぎる! 何度でも言います。
今にして思えば、かつてスコッチが初登場した頃の『太陽にほえろ!』は人気絶頂期=無敵状態だったけど、そのあと存続の危機を経て、やっと盛り返してきたばかりの『太陽〜』にはきっと、何ヶ月もかけてキャラクターを掘り下げるだけの余裕が無かった。
つまり、ジプシー刑事が本当はナイスガイであることを早めにアピールし、視聴者離れを防ぐ必要があった。
だったら最初からそうすりゃ良かったじゃん!って話だけど、一方では「スコッチが抜けた穴(つまりロンリーウルフ枠)を埋めないと!」っていう焦りもあり、2つの思惑が錯綜した結果、わずか2週でこの笑顔……だったのかも知れません。
リアルタイムで観たときはギャップに戸惑うばかりだったけど、登場編を無かったことにして観直すと、これは地味ながら良いエピソードだと今は思います。
セクシーショットは、スナックのママ=かおる役でゲスト出演された、山科ゆりさん。日活ロマンポルノと並行して特撮ヒーロードラマ(トシさん=地井武男さんも出てた『電撃!! ストラダ5』)にもヒロイン役でレギュラー出演された、唯一無二の女優さん。
刑事ドラマにも『特別機動捜査隊』『特捜最前線』『大空港』『西部警察』『西部警察PART II』『新・女捜査官』など数多くゲスト出演されてます。
“毎日更新”を撤回した途端に書きたい日記ネタが次々飛び込んで来るという皮肉w 書きかけのレビューが一向に進まない!
けど、昨年秋シーズンの連ドラで一番ハマった『セクシー田中さん』の舞台裏で、けっこう深刻な対立があったと聞けば書かずにいられません。
小説やマンガの映像化に“原作者VS映像スタッフ”の行き違いは付き物とは言え、数少ない成功例の1つと思えた『セクシー田中さん』にもそれがあったとは!
鵜呑みにすべきじゃない“ネットニュース”で知ったことだけど、それは原作者ご自身がブログや“X”で公表されてるコメントをそのまま掲載した記事なので、少なくとも現実に起こった事案なのは間違いないと思います。
簡単に言えば、原作者さんが「ここだけは変えないで欲しい」「省かないで欲しい」と制作側に要望し、承諾を受けた筈だった条件、つまり最初に交わした約束が、脚本の段階でことごとく破られてしまった。
おおまかに言えば、王道(ありがちな展開や描写)を徹底的に避けたい“クリエイター”と、視聴率を稼ぐために王道こそを望む“商売人”たちとの対立。
で、第8話までは互いに議論を重ねて言わば“折衷案”に収まったんだけど、最終2話まで行くと議論する時間も無くなり、ついには脚本家さんが降板、仕方なく原作者さんご自身が(マンガの締切りに追われながら)執筆したシナリオが映像化されるに至った、という顛末。
なるほど、それでか!って、あのドラマをずっと観ておられた方は膝を叩くんじゃないでしょうか? 今さら書いても“後出しジャンケン”にしかならないけど、最後の2話はそれまでと微妙に……いや、明らかに違ってましたよね?
特に最終回のエピローグ。さんざん“恋愛フラグ”を振りまくってた2組の男女が、3年経ってもまだ結ばれてないという、悪く言えば消化不良な感じ。
原作マンガがまだ連載続行中だからって理由もあるみたいだけど、それ以上に「王道を徹底的に避けたい」創り手の意向が見え過ぎるぐらい見えてました。
で、第8話までのシナリオを書かれた脚本家さんが、月9ドラマのヒット作『ミステリと言う勿れ』も担当されてたと知って、めちゃくちゃ腑に落ちました。
放映当時、私はあのドラマを絶賛しつつも、毎回「取ってつけたような泣かせシーン」を必ず入れてくるのが残念で仕方ない!と苦言も呈し、最終的には「今季ワーストワン」ぐらいにケナした記憶があります。
今にして思えば『セクシー田中さん』にも第8話までは必ず「泣かせシーン」があったんですよね。それが最終2話には無かった。カップルが成就しない結末なんかより、そっちの方にこそ我々は違和感を覚えたんだと思います。
第8話までの『セクシー田中さん』における泣かせシーンが『ミステリと言う勿れ』みたいに鼻につかなかったのは、それこそ原作者さんが必死に王道(わざとらしさ)を阻止されたお陰かも知れません。どっちも原作を読んでないので、何もかも私の憶測に過ぎないけど。
これ、客観的に見ると、どっちが正しいのか判定するのが凄く難しい。クリエイター目線で見れば明らかに原作者さんが正しいけど、解りやすい泣かせシーンが無ければ番組はヒットしなかったかも知れない。私だって毎回泣かされましたから。
ただ、涙の押し売りを極端に嫌う私が素直に泣けたのは、原作者さんが粘り強く“王道”を取り除いてくれたからだと思うので、最終回までそのやり方(原作者と脚本家の折衷案)で通すことがベスト・オブ・ベストだったかも知れません。
つまり、第8話までと同じように議論を尽くす余裕が、制作現場に無くなっちゃったことが最大の残念ポイント。
これも後出しジャンケンで恐縮だけど、原作者さんがシナリオを書かれた最終2話は、正直イマイチでした。そこは原作者さんご自身が誰よりも痛感されたようで、件のコメント内でファンに謝罪されてます。
だからと言って『ミステリと言う勿れ』と同じ轍を踏んでたら、私は最初の2話ぐらいでリタイアした筈ですから、ほんと第8話までは理想的なコラボだった。ご当人たちには大変なストレスでしょうが、クリエイティブってのは本来そういうもの。知らんけど。
原作マンガはまだ連載中なのに、ドラマの続編がもうあり得ないことが何より残念。こうしてテレビってメディアは自滅して行くワケです。
PS. 映像作品のシナリオ(脚本)が、小説やマンガと一体どう違うの分からないとおっしゃる方、あるいは1時間のドラマが1時間で撮影できると思ってるような方は、いいかげん私の飛行機から出てって下さい。
さすがにそんなレベルの人はもういないと思うけど、もしいたら(これだけ言葉を尽くす)徒労感がハンパないです。
介護施設における”虐待行為“には、ご存知かと思いますが身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、経済的虐待、そしてネグレクト(介護放棄)等が挙げられ、昨今は社会の眼がいっそう厳しくなってますから、施設内部でもその問題はかなりナーバスに取り扱ってます。
そりゃあ、弱ってる人に対して暴力や暴言を浴びせるなんて絶対ダメに決まってるけど、たとえば足腰が弱ってて歩けないのに(認知症で)すぐに立とうとする人の安全を確保するため、車椅子にベルトで固定(つまり拘束)させてもらう処置も“身体的虐待”と言われちゃう場合があるからとても難しい。
それが虐待に当たるかどうかは、行政(調査委員会)のさじ加減ひとつで決まっちゃう。あちらからすれば「常に見守りすれば拘束する必要は無いはずだ」って理屈なんだけど、少ない職員数で何十人もの後期高齢者を介護すべく常にバタバタしてる中、特定の人を常に見守りするなんて不可能なんです。
それでも行政が「身体拘束=虐待だとルールブックに書いてある以上は虐待だ」と判定すれば、施設の経営を揺るがしかねないペナルティーを食らっちゃう。そりゃナーバスにもなるってもんです。
前置きが長くなっちゃったので、本題は簡潔に書きますw
上記の理由により、私が務めてる施設では定期的に虐待防止の会議やセミナーが開かれ、先日も講師を招いて貴重なお話を聞かせて頂きました。
以前、「みんながみんな仲良しな職場なんてあり得ない。あったら気持ち悪い」っていうお話をされ、私の気持ちを随分ラクにしてくれた、元・介護職員の経営コンサルタントさんが、今回は虐待防止に特化したテーマで講義されたワケです。
で、私は男性居住者(例の“団塊”前後の世代)たちに何度か怒鳴り声を上げてしまったことを、それぞれ正当な理由があるから後悔はしてないけど、ハタから見れば心理的虐待と判断される(そうなったら施設に多大な迷惑をかけてしまう)可能性もあるから、今後は出来るだけ無くしたいと思ってる。
なので最後の質疑応答タイムに「感情をコントロールするコツを教えて下さい」と質問したんですね。そしたら、その先生はこうおっしゃいました。
「無理に我慢しなくていいと思います。介護職員だって人間ですから、良い面も悪い面も両方あって当たり前。そんな自分を受け入れて下さい。やっちゃったら後で謝ればいいんです」
経営コンサルタントというより、私にとっては完全にカウンセラー。またもや気持ちをラクにしてもらいました。
そのへんに売ってる自己啓発本にも似たようなことは書いてあるでしょうけど、介護職を長年やって来られたパイセンの言葉だと説得力が違います。
だからって好き放題に怒鳴るつもりは無いけど、ムリに我慢しなくていいと思えばストレスが軽減され、そのぶんカッとなる可能性も低くなるはず。
“無の境地”に至れば何よりだけど、そんなのムリに決まってますからねw またまた勉強になりました。
単なる三日坊主だと思われたくないので、言い訳しておきます。
本来、こないだの日曜日にアップしたかったレビュー記事がまだ半分も進んでおらず、この調子だと週末までかかりそうです。
平日は日記、週末はレビューというパターンで毎日更新しようと目論んでたけど、そんなの出来るワケがない!と悟りました。
やっぱりメインはレビュー記事で、その合間に気が向いたら日記を書く従来のパターンに戻します。毎日更新なんか、ムリムリ。🤷
毎日ネタを探すのはホントしんどいし、結局それだけで貴重な自由時間を消費しちゃう。
そして今さら気づいたけど、私は日記なんかよりレビューを書く方が好きで、よっぽど性に合ってるんですよね! だったら好きな方に時間と労力を使いたい。
それをあらためて自覚できただけ、路線変更を試してみて良かったです。
私の日常なんかホントつまんない。だからってネットニュースに載ってるようなネタをここで語っても意味がない。
毎日更新は諦めます。私には向いてない。それより、書きかけのレビュー記事をとっとと進めることにします。✋