ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『ねらわれた学園』

2021-05-31 18:25:14 | 日本映画








 
1981年に公開された、大林宣彦監督5本目のメジャー作品。眉村卓原作、東宝配給による角川映画で、松任谷由実さんの主題歌『守ってあげたい』と併せて大ヒットし、主演の薬師丸ひろ子さんを一躍トップアイドルに押し上げた作品です。私は当時劇場で観ました。

たのきんトリオの映画『ブルージーンズメモリー』と二本立てだった筈なのに、そっちの方はまったく記憶に残ってませんw たのきんへの興味がゼロを超えてマイナス100だったせいもあるけど、それ以上にこの『ねらわれた学園』が強烈すぎたw

たぶん、私が初めて観た大林映画がコレなんですよね。だから、その後しばらく経って『転校生』『時をかける少女』をテレビで観て感動し、続いて劇場で観た『さびしんぼう』がマイ・フェイバリット日本映画になるまで、大林宣彦という監督さんには「とにかくヘンな映画を創る人」ってイメージしか抱いてませんでした。

いやあ~しかし、ほんとヘンだった。とにかくヘンだった!w 上に並べた画像を一見するとフツーの学園物アイドル映画なんだけど、よくご覧下さい。ヒロイン=由香(薬師丸ひろ子)とそのカレシ(高柳良一)が通う高校はなぜか副都心のど真ん中、新宿公園にある!w(もちろん背景は合成) しかも文化祭でもないのに学生たちがローラースケートで校庭を走り回り、朝からダンスを踊ってる!

アイドル映画なのにヒロインが完全無欠の優等生で、最初から恋人がいるのも異色だし、ライバル優等生役の手塚眞さんがひとり珍妙な芝居で浮きまくってるし、三浦浩一さんや明日香和泉さん演じる教師たちのキャラクターも明らかにヘン。

ヒロインやその両親(山本耕一&赤座美代子)が自宅でいつも和服を着てるのも、後に大林作品じゃ定番(戦中世代ならではのこだわり)であることを知るんだけど当時は「んなヤツはおらんやろ~」感に溢れてました。

けど、そんなのは序の口、ほんの些末なことに過ぎません。本格的におかしくなるのは中盤、この人たちが登場してからですw




ストーリーは至ってシンプル。ある日、超能力に目覚めたヒロイン=由香が、念力を使って剣道部キャプテンのカレシを地区大会で優勝させたりなど調子に乗ってたら、同じく超能力を持った美少女転校生=みちる(長谷川真砂美)から目の敵にされた上、マントを羽織った謎のド変態男=峰岸徹につきまとわれたもんだからさぁ困った!

転校生なのにいきなり生徒会長に就任したみちるは独裁政治をおっ始め、呆けた学生どもを謎のスパルタ塾に放り込んで片っ端から洗脳していきます。

彼女を操る峰岸徹の正体は金星からやって来た「星の魔王子」であり、目的はもちろん地球征服。強い念力を持った由香を仲間に引き入れ、みちると同じ助手にしようとするんだけど、完全無欠のスーパーヒロインである由香は迷わず突っぱねます。

「あなたは人間じゃないのね!?」

「わたしは、宇宙だ!」

「わたしは人間です!」

そんな哲学的な問答の末、由香が指先から発する愛のネグリジェ光線を浴びた魔王子は、あっけなく敗北を認めて「金星に帰ってよく考えます」との捨て台詞を残し、去っていくのでしたw



今となってはカルト映画として楽しめるし、大林監督の反戦メッセージ(怠惰な大衆をカリスマ性で束ねていくやり口は、まさにファシズム台頭のメタファー)を読み取ることも出来るんだけど、当時高校生になったばかりのガキンチョだった私には「子供だまし」の絵空事にしか見えず、魔王子のコスチュームとか手描きの光線(ほんとにフィルムに色鉛筆で描いたそうなw)描写は、当時の感覚ですでに前時代的で、超ダサかったw なもんで、初めて観た時はほんとガッカリしました。

けど、それもこれも今となっては愛おしいワケです。無味乾燥で予定調和な昨今のCG特撮じゃ絶対に味わえない、手作りの楽しさと温かさとセンス・オブ・ワンダーがこの作品には溢れてる!

薬師丸ひろ子さんや長谷川真砂美さんは「一体わたしは何をやらされてるんだろう?」って思いながら演じたに決まってるけどw、峰岸さんはどう見てもノリノリですからね!w 心底から楽しんでおられるのが画面から伝わって来ますw そういうのはやっぱ、観てるこっちも楽しくなっちゃう。

だから今、この映画は海外でも『HOUSE/ハウス』('77) と並んでカルトな人気を獲得し、世界各地で上映されてるそうです。このテのストーリーは万国共通ですからね。



製作当時、プロデューサーの角川春樹さんから大林さんに伝えられたのは、『ハウス』みたいなオモチャ箱ムービーをもう一度っていうのと、薬師丸ひろ子を是非とも「アイドル」にして欲しい!っていうオファー。

あの頃、すでに映画ファンには認知されてた薬師丸さんも、まだ全国区のアイドルにはなってなかった。それをアイドル化させる戦略を立て、大林さんに先導役を委ねた角川さんの嗅覚の鋭さは本当に凄い!としか言いようありません。

同じ「角川三人娘」の原田知世さんも結局、大林さんの『時をかける少女』('83) で本格ブレイクしたワケだし、ついでに両作で主題歌を担当されたユーミンさんまで再ブレイクしてますから。

薬師丸ひろ子さんと角川映画、ユーミン、そして次にいよいよ『転校生』('82) を撮られる大林監督と、上昇気流に乗りまくってる人たちの野心と遊び心と映画愛が詰まったこの『ねらわれた学園』、当時ガッカリしたり失笑しちゃった方にこそ是非、いま一度観直して頂きたいです。

やっぱり失笑するかも知れないけどw、その熱すぎるエネルギーと薬師丸さんの可愛さに胸踊らされるのは間違いないと保障します。ホントおかしな映画ですw

PS. 確か『時をかける少女』についてのコメントで、ヒロインのタイムリープ能力は「性の目覚め」のメタファーだと大林さんが語っておられた記憶があり、この『ねらわれた学園』における由香の超能力も、いま観ると明らかにそれを匂わせてるように感じます。そういう意味じゃ最もエロい薬師丸さんを堪能できる映画、と言えなくもないかも?

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「S&W M10 ミリタリー&ポリス」

2021-05-30 01:05:04 | コレクション


マイ・フェイバリット・モデルガンNo.2は、コクサイ社のS&W M10 ミリタリー&ポリス.38スペシャル(略してミリポリ)です。

ミリポリはなぜか日本の刑事ドラマじゃほとんど使われておらず、私の知る限りだと『太陽にほえろ!』でボギー刑事(世良公則)が短期間だけ3インチを、マミー刑事(長谷直美)がOPタイトルバックで一瞬だけ2インチOLDタイプを、『刑事貴族』シリーズで武田刑事(地井武男)が3インチを、そして映画『さらばあぶない刑事』でユージ(柴田恭兵)が2インチNEWタイプを使ってたくらい。

だから前回のCOLTローマンMk-IIIと違って、私のミリポリ好きは刑事ドラマよりも映画発信。どの映画で誰が使ったのを観て影響されたのか、それはおいおい書かせて頂きます。



上がABS製の2インチOLDタイプ(スクエアバット)、下が同じくABS製のNEWタイプ(ラウンドバット)。

これもやはり、私はOLDタイプの方が圧倒的に好きです。初めて見た時は「なんてバランスの悪い!」「古臭い!」「ダサい!」って思ったもんだけど、マニアになるにつれそれが「味わい深い!」に変わって来るんですよね。



このABSモデルは、恐らくコクサイが最後に発売したミリポリかと思われます。(現在コクサイ社は店じまいして存在しません)

最初のABSモデルは'80年代初頭に発売され、それからメタル風にメッキしたモデルやシルバーモデル、ヘビーウェイトモデル、金属モデルが一通り発売され、2010年代まで来て「一周まわって」メッキも塗装もされない黒い地肌のままの「スタンダードモデル」に落ち着いたワケです。

私自身、メタル風メッキやヘビーウェイトにそのたび魅了され購入して来たけど、結局は一周まわって「やっぱモデルガンは黒くてピカピカ光ってるのがいい!(だって刑事ドラマに出てくる拳銃はいつも黒くてピカピカ光ってたから!)」ってことで、もう何挺目のミリポリになるか分かんないのにまた買っちゃいましたw

ただし、このラスト・ABSミリポリには、かつてのABSモデルとは違う(マニアにとっては大事な)特徴が3つあります。

まず1つはカートリッジ(弾丸)がリアルサイズに変更されたこと。昔のは発火システムの都合上、カートリッジがかなり短かったんだけど、そのシステムが改良されて実物に近い長さになりました。

2つ目はこれも発火システムが変わったことにより、以前は塞がれてたシリンダー(弾倉)前面の穴が開いて、弾頭がよく見えるようになったこと。

そして3つ目は、シリンダーがそれまで(先に発売されてたM19等の)357マグナムに合わせたサイズだったのが、本来あるべき38スペシャルサイズに変更されたこと。マニア以外の方には何のことやらサッパリ分からないと思いますがw、とにかくリアルになったということです。



こちらNEWタイプの2インチはもっと前('90年代)に発売されたモデルなので、シリンダーは357マグナムサイズのまま。カートリッジも357のを入れてます。前面の穴が完全に開いてるのは、シリンダーだけエアガン(同じコクサイ製のM19)のと付け換えたから。



この2インチOLDタイプはコクサイのヘビーウェイト・モデル。MGCのSRHシリーズとよく似た仕様だけど、こちらの方がツヤがあって本物っぽいです。

最初に発売されたのは短いカートリッジのままだったけど、後にリアルサイズに変更されて再発売、私は両方持ってますw 残念ながらシリンダーは357サイズのままです。

木製グリップは本場S&W社純正の……っていう触れ込みでMGCショップで安売りされてた代物。それがホントかどうか確かめる術が無いんだけどw、コクサイ純正の木グリより確かに握りやすい!

コクサイはこのあと金属モデルや、ヘビーウェイト材をさらに研磨してツヤを出した「スーパー・ポリフィニッシュ」モデル、さらに重量を増した「メガ・ヘビーウェイト」モデル等のバリエーションを発売したけど、銃そのものは'80年代にリリースした商品のリバイバルばかりで新鮮味が無く、そのせいか数年前に店じまいしちゃいました。



こちらはコクサイの金属製ミリポリ。買ってから15年以上は経ってると思うけど、あんまりいじらないので綺麗なまんまです。なにせ金属だからリアルさでは一番だけど、私の華奢な手には重すぎるんですよね。

グリップは国内メーカー(マルベリーフィールド社だったかな?)から発売されてた木グリで、高級感があるのは良いけどコクサイのより更に太くて握りにくい!w

店じまいしちゃったコクサイの製品を引き継いで販売するメーカーが今のところ無く、この金属モデルガンのシリーズには現在かなりのプレミアがついており、オークションに出せば少なくとも5万円以上の値はつく筈だけど、売りませんw



こちらはコクサイ製ではなく、ハートフォード社が今は無きCMC製M19の金型を引き継いでミリポリに改造し、10年ほど前にリリースしたヘビーウェイト・モデル。

かつて「ヴィクトリーモデル」と呼ばれた古い時代のミリポリを再現してて、ずんぐりむっくり体型でコクサイ製より更に古臭くて、ダサいですw けど、マニアになるとそこにロマンを感じちゃう。



あんなに古臭くてダサいイメージだったコクサイのOLDタイプも、ヴィクトリータイプと並べたら洗練されてるように見えるから不思議ですw

具体的にはサイドプレートを留めるネジの本数やハンマー(撃鉄)の形状、アクション・ストロークの長さなどに違いがあり、比べることによってS&Wリボルバーの進化が学べます。

たぶんスクエアバットの2インチはヴィクトリータイプしか造られておらず、ハートフォード製の方がリアルなんですよね。シリンダーもちゃんと38スペシャルサイズになってるし。

我らがハリソン・フォードが名作『刑事ジョン・ブック/目撃者』('85) で愛用した拳銃は、このヴィクトリータイプの2インチに後期タイプのグリップ(コクサイのと同じ)を付けたミリポリでした。

ハートフォード社はこのモデルガンを1~2年前に「ゴルゴ13が愛用したリボルバー」として再発売してます。



これはコクサイのABS製ミリポリ3インチ。シリンダーが357サイズなので、M10じゃなくM13(FBIスペシャル)と呼びたくなるけど、バレルの刻印は「38 S.&W. SPECIAL」なんでやっぱりM10なのです。



この2挺はコクサイのABS製シルバーモデル。2インチがミリポリのステンレスバージョン=M64で、3インチが357マグナムのM65 FBIスペシャル。シリンダーのサイズは同じなんだけど、刻印がそれぞれ38SPECIALと357MAGNUMとに別れてます。

いずれもグリップはラバー製に換えてあります。シルバーモデルには黒いグリップがよく似合う!



この2挺は、コクサイが'80年代にリリースした最初期のABSモデルを'90年代にリバイバル発売したもの。

ボディーが半つや消しで塗装され、以前はケースハードゥン風の仕上げだったトリガー&ハンマーが真っ黒にメッキされてます。たぶん製作コストを抑える為の仕様変更で、バブルが崩壊する前と後の「時代」の変化を象徴してますよね。



'80年代にコクサイがリリースした、メタルフィニッシュの4インチABSモデル。いま私が所有する中で最も古いミリポリ、ただし二代目です。

最初に買ったやつは自主映画の撮影で酷使しまくってメッキは禿げ禿げ、最終的にはフレームが割れて殉職しちゃいました。

それが私の初ミリポリで、買ったきっかけは日本映画『海燕ジョーの奇跡』で時任三郎さんが使ってるのを見て「カッコいい!」と思ったから。入口は2インチじゃなく4インチだったワケです。

画像のは2000年代になってトイガンのイベント会場で購入した中古品です。未発火でほぼ新品と変わらず、これも今オークションに出せば良い値がつきそうだけど、売りませんw



これはコクサイの初代ヘビーウェイト4インチ。ABS製と比べるとフレームがややスマートになっており、実銃のスタイルに近づいてます。

グリップはつい最近リリースされたタナカ・ワークス製のミリポリに付いてたもの。コクサイ純正のよりスリムで握り易いのです。



まだあるのかよ!? って、いま自分でも呆れてますw これは'90年代にリバイバル発売されたコクサイ製 M65 ABSモデルのメッキを落とし、黒鉄スプレーで塗装してM13に無理やり仕立てたもの。映画『デビル』でハリソン・フォードが使ったヘビーバレルのミリポリを再現したかったのです。

エッジの塗装が禿げて、うまい具合に使い込んだ感じが出ており、ド素人がカスタムしたモデルガンとしては上出来じゃないかと自画自賛してます。撮影で酷使しまくった初代ミリポリに付けてた、ボロボロの木グリ(コクサイ純正)がまたイイ味を出してる!



そして真打ち。タナカ・ワークス社からつい最近リリースされたミリポリ=S&W M10・ヘビーウェイト4インチのモデルガン!

つや消し塗装なのが唯一残念だけど、スタイルのリアルさ&作動の確実さ共にパーフェクトで、これぞまさにミリポリの決定版! 文句なし!

……なんだけど、いじって楽しいのは不思議とコクサイのミリポリなんですよねw 長年の愛着ってものがあるし、古い製品ほど手作りの温かみを感じるというか……



グリップはネットオークションで入手したS&W純正(という触れ込みの)木グリ。これまで手にしたどのグリップよりもスリムで、実に握りやすい! さっきのM13もどきに付けてるコクサイ純正のと比べると、そのスリムさがよく判ります。コクサイのがまた太すぎるんですよねw



最後にまた珍品をご紹介。コクサイ製のABSモデルガン、S&W M15 コンバット・マスターピース2インチ&4インチ! 実際には発売されてない代物です。

これはコクサイのM19コンバットマグナムをベースに改造したモデルガンで、カスタム業者の第一人者=旭工房さんに格安で製作して頂いたもの。映像業界で働いた時期のコネクションあればこそです。

これを持ってるお陰で、数年前にハートフォード社がリリースしたマスターピースは買わずに済みました。が、いずれ発売されるであろうタナカ・ワークス社のマスターピースは、たぶん買わずにいられませんw その暁には、このコクサイ版と併せて詳しくご紹介したいと思ってます。
 

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「COLTローマンMk-III」

2021-05-27 00:22:32 | コレクション

 
さて、恥ずかしながら私のトイガン・コレクションを紹介していきたいと思います。第1弾はMGC社'70~'80年代の大ヒット商品「COLTローマンMk-III 357マグナム」モデルガンです。



上がABS(強化プラスチック)製2インチのOLDタイプ、下が同じくABSのNEWタイプ。バレル(銃身)の形状が違います。ホルスターはMGC純正の物。

以前の記事にも書いた通り、私のフェイバリット・モデルガンが上の2インチOLDタイプ。その理由も反復になりますが、昭和ドラマの刑事さんたちが皆、このモデルを使ってたから。大ヒットした理由もそこに尽きるでしょう。

ドラマで重宝された理由もいつぞや書いた通りで、シンプルなルックスと携帯性の良さがいかにも私服刑事用っぽいのと、故障や不発が極めて少ない頑丈さが過酷な撮影現場にピッタリだったこと。

コクサイ製のローマンはすぐに壊れたけど、このMGC製はホント驚異的なほど頑丈でした。同じMGC製でもCOLTパイソンは故障も不発も多かったし、そもそもモデルガンってのは壊れて当たり前と思わなきゃいけない、デリケートな精密模型なんです。だからMGCローマンの頑丈さは奇跡の産物と言っても過言じゃない。



MGCローマンの4インチモデル(ABS)です。銃身の長さだけじゃなく、グリップの形状も2インチとは異なってます。『太陽にほえろ!』でロッキー刑事(木之元 亮)が顔を毛むくじゃらにしながら愛用し、後番組『ジャングル』では八坂署の制式拳銃に採用されました。



元から付いてるグリップはプラスチック製だけど、これまでご紹介した三挺は全て木製グリップに換えてあります。

これらの木グリはメーカー製ではなく、ネットオークションで入手した手作り製品。メーカー製よりクオリティーが高く、家具用の高級木材が使われてる上、左右の木目がぴったり合ってる!

銃本体の値段(発売当時)よりも高かったりするけどw、最近はメーカーの量産品も同じくらいの値がついてますから、こっちの方が断然お買い得。

私はモデルガンのコレクターであると同時に、木グリのコレクターとも言えるくらい、交換可能なグリップは出来る限り木製に換えてます。

なぜなら木の手触りと匂いに癒しを感じるから、みたいなことを前に書きましたけど、もう1つ付け加えると「音」も良くなるんですよね、プラ製を付けてるのよりずっと。特にMGC製Mk-IIIシリーズ(ローマン、トルーパー)の音はピカイチ!

何の音かと言えば、撃鉄を起こしたり男根を出し入れしたりする時の音。あっ、男根じゃなくて弾倉(シリンダー)でした。唐突に下ネタを挿入してすみませんw だけど拳銃は男根のメタファ―とも言われますから裏筋は通ってます。裏は余計か。



ところでMGCローマンのグリップは底面が独特の(フレームが途中から隠れてる)デザインなんだけど、実銃はこのパイソンみたいな普通の(フレームが途切れない)デザインらしいです。

さらにマニアックな話になりますが、ローマンのグリップは2インチが丸っこい「ラウンドバット」、4インチが末広がりの「スクエアバット」の形状になってて、本来ならフレームもそれに合わせて形状が違ってる筈なんだけど、MGCは製作コストを下げるため同じフレームを共用すべく、ラウンドバットにもスクエアバットにも対応できるデザインを独自に編み出した……のではないかと勝手に推測してます。銃に興味がない方には全く伝わってないですよねm(__)m

要するにそこは実銃とかけ離れてるワケだけど、私にとってのCOLTローマンは昭和ドラマで使われてたMGCローマンですから、あくまでこれがリアル。これこそがホンモノなんです。



さて、すでに3挺のローマンが登場してるワケですが、それだけじゃ満足しないのがコレクターという生きもの。お気に入りの銃にはとことんこだわります。

このOLDタイプ2インチは'90年代に開発された「ヘビーウェイト」素材によるもの。ABSに鉄粉を混入させることで、プラスチックでありながらスティールに近い重量を実現させ、ガンブルー液で染めることも可能になった画期的な製品です。

確か最初にヘビーウェイトで発売されたのがNEWタイプのローマン2インチと4インチで、当初はグレーの地肌にパーティングラインが残ったまんまという素っ気ない仕様だったけど、それでも大ヒット。瞬く間にモデルガンはヘビーウェイト素材が主流となり、つや消しブラックで塗装されるようになってから満を持して発売されたのが、この2インチOLDタイプ。これを機に「ローマン・クラシック」と呼ばれるようになりました。

画像のはMGC純正の木グリと交換してあるけど、オリジナルはグリップもヘビーウェイト素材。重量アップは確かに魅力だけど、鉄が混じってるだけに冬場に持つと冷たいんですよねw 木グリの温かみが好きな私からすれば、グリップまで重くしなくてもいいよ!って言いたくなります。



同じつや消し塗装なんで違いが判りにくいけど、これはMGC社が店じまいし、タイトー社が販売を引き継いだ後にリバイバル発売された、ABS製のローマン2インチOLDタイプ。最初にご紹介した旧ABSよりも刻印がリアルになり、作動もスムーズに改良されてます。

グリップは木製じゃなくてオリジナルのABS。手が小さい私には、実はこれがいちばん握り易かったりしますw(木製のはやや肉厚なんですね)



発売順が前後しますが、この2インチNEWタイプと4インチのローマンは、MGC社が末期に開発&発売したSRH(スーパー・リアル・ヘビーウェイト) シリーズのモデルガン。

従来のヘビーウェイトより更に鉄分の比重がアップ、ほとんど金属製と変わんない重量が実現した上、外観も金属感が増してまさにスーパーリアル! だったのですが、案の定と言うべきか銃刀法規制の対象となり、短命に終わっちゃいました。

このSRHシリーズは衝撃に弱いという弱点もあり、落としたりしようもんならすぐに割れちゃう。それも短命に終わった理由かも知れません。画像じゃ判らないけど、上のSRH2インチはトリガーガードの根っこが割れたのを瞬間接着剤で修復した跡がくっきり残ってます。

私はそんなヘマは絶対しないけど、かつて映像業界で低予算のアクションドラマを演出した際、制作費を抑えるため銃器類はマイコレクションを提供したワケです。で、物の価値を知らないアホのADがうっかり、大事なSRHローマンを床に落としやがった。その当時はコレクション熱が冷めてたから「ああ、いいよいいよ」で許したけど、今ならハイパー激怒して弁償させるに決まってますw

ちなみにそのドラマで主演したのは、当時ブレイク真っ最中だったアイドル歌手の松浦亜弥さん。この2インチも4インチも彼女が手に持ったことは密かな自慢だったりします。



最後に珍品をご紹介。ほんの一瞬しか市場に出なかった、COLTローマンの「PPCカスタム」です。

2インチNEWタイプにカスタムパーツを「被せて」ネジで固定するという代物で、私はカスタムパーツだけ買って既に持ってた2インチに装着し、黒鉄スプレーで色を統一させました。

完成品で売られてたモデルにはオーバーサイズのラバーグリップが付いてたけど、前述の通りオリジナルのグリップが私には一番しっくり来るので、それもあってカスタムパーツのみ購入した次第です。

このモデルはネットオークションでも見たことが無く、もし出品したら相当な値が付くかも知れません。が、よっぽど金に困らない限り、私はコレクションを売る気はサラサラありません。

こんなに同じような物をいっぱい持ってても、1つ1つに強い愛着があるワケです。それがコレクターって人種なんですよね。ほんと困ったもんですw


 

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『海辺の映画館/キネマの玉手箱』

2021-05-24 16:55:11 | 日本映画









 
2020年7月のコロナ禍に公開された、大林宣彦監督のオリジナル企画による遺作です。亡くなられたのは同年4月なので没後の公開となりました。

大林監督は前作『花筐/HANAGATAMI』('17) のクランクイン直前に肺ガンで「余命3ヶ月」の宣告を受けており、そこから3時間に及ぶ大作を2本(!)完成させられたという、その事実だけで涙なくしては語れません。

そして2本とも明確にして切実な反戦映画であり、この遺作は前作に比べると難解さが緩和され、よりストレートな大林さんのメッセージ、というか「願い」がダイレクトに伝わって来ます。

だから、これは是非とも皆さんにも観て頂きたいです。「映画で歴史は変えられないけど、未来は変えられるかも知れない」っていう大林さんの想いを、1人でも多くの方に受け止めて頂きたいです。

大林さんが脚本に着手された'17年の時点ですでに、世の中はかなりヤバい方向に向かっており、コロナ禍になってより一層、私ら人間はヤバい本性をむき出しにしちゃってます。このまま行けば本当に大戦争になりかねない……っていうか、多分なるでしょう。

そうなる前に今一度、これまで私らが犯して来たことのムゴさと愚かさを振り返ってみようじゃないかと、そういうコンセプトで創られた作品なのは間違いないと思います。

ながら見のテレビやインターネットだと「他人事」で済まされかねないけど、暗闇で集中しながら観る映画、皆がより感情移入しやすい映画ならば、若い世代にも願いが届くかも知れない。そういう事だろうと思います。

私は受け止めました。もう若くはないけど戦争は知らず、どこか対岸の火事みたいに思ってたけど、天災や疫病と同じように戦争も今そこにある危機と恐怖と理不尽であり、人間というモンスターがこの世に存在する限り、いつ我が身に降りかかってもおかしくないことを痛感しました。

もちろん、そこは大林さんですから重くならず、作品は遊び心満載のエンターテイメント大作に仕上がってます。だからこそ伝わるんですよね!

私のフェイバリット日本映画は大林さんの『さびしんぼう』('85) だけど、生前の黒澤明監督も同作を大変気に入られ、若い世代へのバトン役を大林さんに直接託されたんだとか。大林さんはそれをずっと意識されてたそうで、この映画には黒澤監督の想いも込められてるワケです。

敬愛申し上げる大林監督が文字通り命懸けで、最期の力を振り絞って撮られた渾身の大作を、劇場で観られなかったことが残念でなりません。この状況はほんと戦時下に近いのかも知れません。



さっき大林監督が最期の力を振り絞って……なんて書きましたけど、実際は構想しておられた更なる「次回作」への繋ぎとして、久々(本格的にロケするのは20年ぶり)に故郷の尾道で「気軽に楽しめるエンターテイメント」でも撮ってみるかって、そんなノリだったんだそうです。ホントにまったく、なんて人だ!w

今夜限りで閉館する、尾道で唯一残る映画館「瀬戸内キネマ」を訪れた青年3人(厚木拓郎、細山田隆人、細田善彦)が「日本の戦争映画大特集」の最終オールナイト上映で映画の世界にタイムスリップするという、確かにパッと見はありがちな娯楽ファンタジー。

だけど実際は、若者3人が戊辰戦争、日中戦争、太平洋戦争下の沖縄などを巡り、そこで出逢って恋に落ちた女性たちを救おうとするんだけど、結局1人も救えないまま広島であの夏の日を迎えてしまうという、悲惨と言えばあまりに悲惨なストーリー。当たり前です、それが戦争なんです。

そこで描かれるのは敵国との戦いよりも、むしろ「お国のため」という大義名分の下、日本人が日本人に対して現実に犯して来た残虐非道な行いの数々。状況によって人間が如何に冷酷になれるか、そして如何に同じ過ちを何度も繰り返して来たか、それが全て「映画」であるからこそ痛烈に思い知らされます。

ヒロインたちを新人の吉田玲、成海璃子、山崎紘菜、そして常盤貴子が演じ、歴史上の人物たちを高橋幸宏、小林稔侍、白石加代子、入江若葉、尾美としのり、蛭子能収、片岡鶴太郎、南原清隆、武田鉄矢、村田雄浩、稲垣吾郎、柄本時生、浅野忠信、渡辺裕之、笹野高史、川上麻衣子、伊藤歩、根岸季衣、渡辺えり、窪塚俊介、満島真之介、長塚圭史、寺島咲、有坂来瞳、中江有里etc…と、大林映画の常連やゆかりの俳優さんたちが演じておられます。隅から隅まで凄い顔ぶれで、まさに最終作に相応しい豪華キャスト!

ちなみにヒロインたちの役名が、成海さん=斉藤一美、山崎さん=芳山和子、常磐さん=橘百合子。私と同じく'80年代に青春を過ごされた映画ファンなら、それらの名前を聞いただけでキュンと来てジンと泣けるのでは?

そう、我らが金字塔=尾道三部作『転校生』『時をかける少女』『さびしんぼう』のヒロインたちと同じ名前です。これは脚本執筆に参加された内藤忠司さんの提案だったそうだけど、やっぱり大林映画の集大成、有終の美を意識せずにいられません。



もちろん、大林監督と言えば映像の魔術師であると同時に、脱がせの魔術師。今回も山崎紘菜さんと成海璃子さんが当たり前のように脱ぎ、それぞれ濡れ場も演じておられます。特に成海さんは私のストライクど真ん中な女性なもんで、相手役の細田善彦くんがチョー羨ましいです。

とはいえ、前作『花筐』もそうだったけど、オールヌードでありながら乳首やアンダーヘアはCGで見えないよう加工されており、さながら昔のアニメみたいになってますw

観客をストーリーに集中させる為の配慮なのか、あるいは今時そうでもしないとタレント事務所の許可が下りないのか?

映画の中じゃ意味のあるヌードでも、そこだけ切り取られてネットに上げられたら単なるエロ画像になっちゃう。それをブログに載せて何度も公開停止処分を食らってるバカも巷にいますからねw(私のことです、念のため)

そんな風に映画を取り巻く環境も時代と共に変わって来たけど、CGよりも手作り特撮に凝りまくる我らが大林映画の温かみは、最後の最後まで健在すぎるほど健在で、今回もやっぱり面白かった! いやホント、3時間の長尺がちっとも苦になりません。ほんとにオススメです!

私は正直なところ、数ある大林映画の半分も実は観てないんだけど、観た作品はどれも例外なく、いろんな意味で楽しませて頂きました。クリエイターの端くれとして少なからず影響も受けて来ました。間違いなくマイ・フェイバリット映画監督です。

さようなら、そして本当にありがとう! 大林宣彦監督!

 

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「プロフェッショナルは良いけれど」

2021-05-19 23:55:24 | 日記

 
昨日、NHKのドキュメント番組『プロフェッショナル/仕事の流儀』で宅配業者最大手のトップ・オブ・ドライバーが特集され、同業者として興味深く観させて頂きました。

そのドライバーさんの仕事ぶりとお人柄は文句なく素晴らしく、そこに関して言いたいことは何もありません。

ただ、あんなパーフェクトな人が同僚にいたら、自分はメチャクチャやりづらいだろうな、とは思いましたw

お客さんがインタビューされて「○○さんが配達に来るのが待ち遠しい」とか「○○さんだけは絶対に辞めないで」とか答えてるのって、パッと見は美談だけど同僚は苦笑するしか無いですよw ○○さんがお休みの日は「今日は自分ごときが担当ですいません」って思いながら配達しないといけないんだから。

いや、同僚でなくたって、今日は私も仕事しづらかったですw このお客さん、昨日のテレビ観て「こいつ、あのドライバーとえらい違いや」とか思ってないかなあ?ってw

○○さんは確かに素晴らしいけど、もし私があの人と同じように仕事したら、心身共に疲れきってたぶん死ぬと思いますw

それともう1つ「やっぱテレビやなあ」って思ったのは、宅配業の本当にキツい部分をいっさい見せてないこと。

雨でびしょ濡れになるくらい序の口もいいとこで、例えばウォーターサーバー用のくそ重たい水を、公団住宅の5階まで持って階段で上がらないといけなかったり、それで汗だくになって届けてもお客が当たり前みたいな顔して無言で受け取ったりしたら、私は○○さんみたいに満面の笑顔は作れません。

番組に出て来られたお客さんは皆さん笑顔で「ごくろうさま」とか「いつも有難う」って、勿論そんな風に言って下さる方もいますけど、一方では一言も口を聞かないヤツとか、理不尽なクレームをつけて来るヤツも少なからずいるワケです。

私もどちらかと言えば丁寧に、平均よりも愛想よくお客さんと接してる配達員だと思うけど、それでも「いつか刺してしまうかも知れない」と思ってるクソ野郎が片手じゃ数え切れないほどいますよ。それだけ理不尽な仕打ちに遭って来たワケです。

もし、私が仮に志賀勝さんみたいなルックスだったら、そのテの野郎はたぶん何も言って来ない。そういう輩ほど相手次第で態度を変えますからね。



だけど非常に残念なことに、私はイケメン中のイケメンだからターゲットにされ易い。(志賀さんがイケメンじゃないとは一言も言ってませんw)

犬にも何度となく噛まれてますからね! ストレスを溜めまくった特大のシェパードを、庭で放し飼いしてるような気違いが現実に存在するんですよ!

実際にそれで昨年、私はけっこうな重傷を負いました。さすがにその飼い主は平謝りだったけど、小型犬が眼の前で配達員に噛みついても「ほらほら○○ちゃん、ダメでしょ」って、笑いながら見てるだけの飼い主もいましたから。自分は噛まれた経験が無いから分からないのかも知れないけど、小型犬でも噛まれたらメチャクチャ痛いですから! その後1ヶ月ぐらいずっと痛いですから!

そんな気違いみたいな飼い主が、私が担当して来た配達区域だけでもいっぱいいるんだから、○○さんも10年以上やって来られたなら2度や3度は被害に遭われてる筈です。

そんな理不尽な眼に遭った時、○○さんは一体どうやって怒りを鎮め、気持ちを切り替えておられるのか、私はそういうことを聞きたかったです。

職場だって、繁忙期になったらみんな殺気立って戦場さながらですよ。あんなにいつも、みんな笑顔で和気あいあいとしてられるような生易しい仕事じゃないんです。

近年「働き方改革」とか言って残業が減らされ、休憩をきっちり1時間とることが義務づけされた結果、さてどうなったか?

それだけ仕事が過密になってみんな以前より疲弊しまくってますよ。勤務時間が減っても配達量は変わらない、どころかコロナ禍になって増える一方! なのに人員が補充される気配も無い。そんな世界です。

番組は決して嘘はついてないと思うけど、そういうネガティブな面をいっさい見せないのはどうかと思う。企業イメージを守りたい大手業者への忖択が見え見えです。

だから、私は今回の番組をある意味楽しんで観られたけど、宅配業以外の仕事をされてる視聴者は面白くも何ともなかったんじゃないでしょうか? あんな綺麗事ばかりのドキュメンタリーが面白い筈がない。

これまで放映されて来た『プロフェッショナル』にはいつも感銘を受けて来たけど、実はどれも同業者から見れば「そんなカッコええもんちゃうわ!」ってなもんだったのかも?

だから、最後の「プロフェッショナルとは?」っていう質問に「そんな言葉は大嫌い」「番組のタイトルを変えて欲しい」って言ってのけちゃった、庵野秀明さんの回は抜群に面白かったワケですw あれこそが真実ですよ、マジで。

……とまあ、そんなことを思いながら観てました。

 

コメント (3)
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