1981年に放映された東映&よみうりテレビ制作による単発2時間ドラマで、先日レビューした『夜の恐怖病棟』と同じ「木曜ゴールデンドラマ」の1本。この番組、基本はミステリーでも題材がバラエティー豊かで本当に素晴らしい!
「聖和女子学園」という女子高には2つの奇怪な噂が広まっており、まず1つは園長室に飾られた絵画=幼い双子の姉妹が夜な夜な絵から抜け出し、園内を遊歩するという『トイレの花子さん』的なお話。
そしてもう1つは、美しすぎる美術教師で生徒たちの憧れの的である水村涼子(真行寺君枝)が、実は2人いるんじゃないか?という「ドッペルゲンガー」系のお話。
そんなアホなと思ってたらある日、涼子先生に憧れてる生徒の1人である真弓(水島かおり)が、実際に2人の涼子を同時に見てしまう!
それと時を同じくして用務員の大沢(灰地 順)が変死体となって発見され、生徒の間で「双子のユーレイに殺されたのよ!」「いいえ、犯人はもう1人の涼子先生よ!」「そうよ、生霊よ!」なんて噂が飛び交うのでした。
死んだ大沢は数ヶ月前、美術室の掃除中にキャンバスを倒してしまい、涼子がせっかく描き上げたばかりの絵を台無しにするチョンボを犯していた。
画家志望の涼子にとって作品は我が子みたいなもの。つまり大沢を恨む気持ちがあったのは事実で、その念が生霊となって彼を……?
憧れの的だったはずの涼子が一転、好奇と疑惑の的となって孤立しちゃいます。
そんな涼子に寄り添い、「多感な年頃にありがちな冗談よ」と励ます英語教師の浅倉(五十嵐めぐみ)は、彼女の親友でもあります。
それとは対照的に、涼子の美しさと人気ぶりを以前から妬んでた音楽教師の飛鳥(永島暎子)は「あなたの生霊を見た生徒がいますのよ」と面白半分に彼女を追い詰め、いわゆる「死亡フラグ」を立てまくります。
案の定、飛鳥先生は数日後に学園の屋上から転落死。そればかりか、彼女が涼子らしき女に突き落とされる現場を、浅倉先生が目撃してしまう!
その直前、まったく別の場所にいる涼子と電話で会話したばかりの浅倉先生は、ショックのあまりブラジャーが透けちゃうのでした。
つまり、本当にもう1人の涼子が存在し、連続殺人を犯している!?
これは果たしてオカルトなのかミステリーなのか、よく判んなくなって来たところで登場し、ロス市警のコロンボ警部そっくりな声で辻褄を合わせ、無理やりミステリーに着地させようとするベテラン刑事=本城に、小池朝雄。
そして登場した瞬間から真犯人臭をプンプンさせてる園長の中川先生に、小山明子。
当時「ミステリアスな美女と言えばこの人!」って存在だった真行寺君枝さんをフィーチャーするために組まれたであろうストーリーを、味わい深い実力派キャストたちが支えており、ツッコミどころは満載ながら私はとても楽しめました。
ところが非常に残念なことに、おっぱいが出てきません。今回はおっぱいが出てこないんです。なぜおっぱいが出てこないんでしょうか?
絶対に欠かしちゃいけないシャワーシーンは一応あるけど、肝心のおっぱいが出てこない。おっぱいが出てこないんです。
けど、許します。変態も私ほどのベテランになると、ヌードは無くても女子高生の制服姿、ブルマー姿だけで充分報われる。
学生時代には日常風景だったものが、今となってはパラダイス。別にそれをどうこうしたいワケじゃなく、ただ眺めてるだけで満足。もちろんシャワールームがあるなら覗くに越したこと無いけど、おっぱいが見えないんじゃ仕方ありません。
そしてもう1つ、おっぱいは出なくても充分にエロかったのが、涼子先生を自宅に泊めた浅倉先生が夜這いをかける官能シーン。
というのはウソで、悪夢にうなされた涼子さんを浅倉さんが心配してるシーンだけど、この時に真行寺君枝さんが「あ〜っ、ん〜っ、やめてえ〜っ! いやあ〜っ!!」って悶える芝居がやたら長い。
これもまた、おっぱいの代替サービスとして活用すべく監督さんが「カット」をかけ忘れたフリをして、わざと真行寺さんの演技を止めなかった賜物でしょう。ご丁寧に別アングルから撮ったショットも後の回想シーンで使われてますから。(これもまたムダに長い)
そういう下世話な部分も含めて、昭和時代のテレビ番組はやっぱり面白い。クレームなんかどこ吹く風っていう心意気に溢れてる。創り手たちがすっかり萎縮しちゃった2020年代だからこそ余計に輝いて見える。当時はバカにしながら観てた筈なのに!
ところで結末ですが、浅倉先生の献身と本城刑事の執念により明かされた、真犯人の正体は……(以下、ネタバレ)
もちろん涼子先生の生霊なんかではなく……
実は親友の浅倉先生だった!みたいなヒネリもなくて、
やっぱり園長先生なのでした。かつて学生時代に親友だった涼子の母親に好きな男を奪われた恨みと、その失恋を引きずるあまり結婚を諦め、人生の全てを注いできた聖和女子学園を、たまたま赴任してきた恋敵の娘が「画家になる為の足掛け」程度にしか考えてない(ように見える)のが許せず、殺しの罪を着せて破滅に追い込みたかったというムチャな動機。
つまり涼子の“生霊”の正体は園長先生のコスプレだった! 普通そこまでやるか?って思うけど、普通じゃないことをやるのが“狂人”なんだと納得出来なくもない。
毎回、涼子が着てきたのと同じ服をその日の内に調達するのも至難の技だろうに、園長先生にとってはその苦労こそが生き甲斐だったかも知れない。
私だって自分自身がイヤになるばかりの毎日だけど、こういうアホなレビュー記事を手間暇かけてアップする“普通じゃない”ことがメンタルケアになってる気がするし。
無難に無難に創られた昨今のドラマや映画を取り上げても、アホな記事には仕立てようがない。それ以前に観ても面白くない。
まあ、どんでん返しをしつこく繰り返す昨今のドラマに辟易してるからこそ、第一印象のまんま園長先生が犯人だったりする本作を面白く感じちゃう側面もあるんでしょう。
園長先生が警察に連行される姿を見届け、なんとも言えない虚しさを感じながら帰路につく涼子先生と浅倉先生を、校舎の窓から無表情で見下ろすもう1人の涼子さん!
……ってな締めくくりはサスペンス・ホラーのお約束で、あれはやっぱり涼子の生霊なのか、あるいは非業の死を遂げたらしい涼子の母の幽霊なのか?(“幼い双子姉妹”のユーレイはどこへ消えた?)
セクシーショットは真弓役の水島かおりさん、飛鳥先生役の永島暎子さん、浅倉先生役の五十嵐めぐみさん、そして涼子先生役の真行寺君枝さん。’81年当時のサスペンスドラマや学園ドラマの“顔”を勢揃いさせたようなキャスティングです。