昨日、NHKのドキュメント番組『プロフェッショナル/仕事の流儀』で宅配業者最大手のトップ・オブ・ドライバーが特集され、同業者として興味深く観させて頂きました。
そのドライバーさんの仕事ぶりとお人柄は文句なく素晴らしく、そこに関して言いたいことは何もありません。
ただ、あんなパーフェクトな人が同僚にいたら、自分はメチャクチャやりづらいだろうな、とは思いましたw
お客さんがインタビューされて「○○さんが配達に来るのが待ち遠しい」とか「○○さんだけは絶対に辞めないで」とか答えてるのって、パッと見は美談だけど同僚は苦笑するしか無いですよw ○○さんがお休みの日は「今日は自分ごときが担当ですいません」って思いながら配達しないといけないんだから。
いや、同僚でなくたって、今日は私も仕事しづらかったですw このお客さん、昨日のテレビ観て「こいつ、あのドライバーとえらい違いや」とか思ってないかなあ?ってw
○○さんは確かに素晴らしいけど、もし私があの人と同じように仕事したら、心身共に疲れきってたぶん死ぬと思いますw
それともう1つ「やっぱテレビやなあ」って思ったのは、宅配業の本当にキツい部分をいっさい見せてないこと。
雨でびしょ濡れになるくらい序の口もいいとこで、例えばウォーターサーバー用のくそ重たい水を、公団住宅の5階まで持って階段で上がらないといけなかったり、それで汗だくになって届けてもお客が当たり前みたいな顔して無言で受け取ったりしたら、私は○○さんみたいに満面の笑顔は作れません。
番組に出て来られたお客さんは皆さん笑顔で「ごくろうさま」とか「いつも有難う」って、勿論そんな風に言って下さる方もいますけど、一方では一言も口を聞かないヤツとか、理不尽なクレームをつけて来るヤツも少なからずいるワケです。
私もどちらかと言えば丁寧に、平均よりも愛想よくお客さんと接してる配達員だと思うけど、それでも「いつか刺してしまうかも知れない」と思ってるクソ野郎が片手じゃ数え切れないほどいますよ。それだけ理不尽な仕打ちに遭って来たワケです。
もし、私が仮に志賀勝さんみたいなルックスだったら、そのテの野郎はたぶん何も言って来ない。そういう輩ほど相手次第で態度を変えますからね。
だけど非常に残念なことに、私はイケメン中のイケメンだからターゲットにされ易い。(志賀さんがイケメンじゃないとは一言も言ってませんw)
犬にも何度となく噛まれてますからね! ストレスを溜めまくった特大のシェパードを、庭で放し飼いしてるような気違いが現実に存在するんですよ!
実際にそれで昨年、私はけっこうな重傷を負いました。さすがにその飼い主は平謝りだったけど、小型犬が眼の前で配達員に噛みついても「ほらほら○○ちゃん、ダメでしょ」って、笑いながら見てるだけの飼い主もいましたから。自分は噛まれた経験が無いから分からないのかも知れないけど、小型犬でも噛まれたらメチャクチャ痛いですから! その後1ヶ月ぐらいずっと痛いですから!
そんな気違いみたいな飼い主が、私が担当して来た配達区域だけでもいっぱいいるんだから、○○さんも10年以上やって来られたなら2度や3度は被害に遭われてる筈です。
そんな理不尽な眼に遭った時、○○さんは一体どうやって怒りを鎮め、気持ちを切り替えておられるのか、私はそういうことを聞きたかったです。
職場だって、繁忙期になったらみんな殺気立って戦場さながらですよ。あんなにいつも、みんな笑顔で和気あいあいとしてられるような生易しい仕事じゃないんです。
近年「働き方改革」とか言って残業が減らされ、休憩をきっちり1時間とることが義務づけされた結果、さてどうなったか?
それだけ仕事が過密になってみんな以前より疲弊しまくってますよ。勤務時間が減っても配達量は変わらない、どころかコロナ禍になって増える一方! なのに人員が補充される気配も無い。そんな世界です。
番組は決して嘘はついてないと思うけど、そういうネガティブな面をいっさい見せないのはどうかと思う。企業イメージを守りたい大手業者への忖択が見え見えです。
だから、私は今回の番組をある意味楽しんで観られたけど、宅配業以外の仕事をされてる視聴者は面白くも何ともなかったんじゃないでしょうか? あんな綺麗事ばかりのドキュメンタリーが面白い筈がない。
これまで放映されて来た『プロフェッショナル』にはいつも感銘を受けて来たけど、実はどれも同業者から見れば「そんなカッコええもんちゃうわ!」ってなもんだったのかも?
だから、最後の「プロフェッショナルとは?」っていう質問に「そんな言葉は大嫌い」「番組のタイトルを変えて欲しい」って言ってのけちゃった、庵野秀明さんの回は抜群に面白かったワケですw あれこそが真実ですよ、マジで。
……とまあ、そんなことを思いながら観てました。
この前Amazonの配達員が荷物を床に叩きつけただのでニュースになってましたが、今思えば色々と事情があるか考えてしまいます。
NHKと言えば京都の猟師に密着したドキュメンタリーが面白かったです。
こういうのをもっと作ってほしいのに、製作側も作りたい物を作れない時代で苦労をしてるんでしょうか。
何にせよ他人の気持ちや立場を思いやる。敬意を払う。
単純ながら、人間やっぱ忘れがちなんでしょうかね。
極端な例ですが、自衛隊の救難部隊は警察や消防のヘリがサジを投げた現場に行かされます。遭難したパイロットを救うために存在する彼らはどんな仕事も嫌とは言えません。
絵描きも音楽家も自分の好きな物だけやるわけには行きません。難しい注文もこなせる能力が無ければプロとは言えないでしょう。
キレイ事だけではない部分も取材して描かなければテレビ屋としてどうよ?と思いますが…。偏向報道が多いご時世ですから無理なんでしょうね。
大丈夫です、毎日Amazonの荷物が複数届くお客さんもザラにいますw 箱がどんどん貯まって大変だろうし、よくそんなに買う物があるなあと思いながら毎日配達してます。転売みたいな事業をされてるのかも知れないですが。
『プロフェッショナル』もあくまで個人を取り上げた回はそれほど忖択せずに済むんでしょうね。今回みたいに大手企業が相手だとNGだらけで、さぞやりにくかっただろうと思います。
>1938gooさん
今回書いたような愚痴を言い合うことで、ウチの職場は絆と平常心を何とか保ってるような感じなので、そういう意味でもあんなチョー優等生が同僚だったらやりにくいだろうと思うんですよねw まあ、あの人も実際はお客さんの悪口を言いまくってたりするかも知れないけどw(もしそうなら怖すぎる!)
理不尽なクレームや罵詈雑言を浴びてもぐっと堪えて頭を下げる、それがプロフェッショナルなのであって、ホントは全然カッコいいもんじゃない。庵野さんはそう仰りたかったのかも知れません。