外出から戻ると、コンテナに入ったミカンが庭先に置かれていた。コンテナに押された刻印の名前をみれば誰が持ってきてくれたかわかる。よくみると、収穫はじめの極早生みかん。しかも、大きさが自分好みの2Sサイズ中心。早速、お礼の電話をすると「傷物やけど・・・」という。
みかん農家は、JA選果場への出荷にあたり、家庭選果機で大きさを仕訳し表皮のきれいさなどは目で見て判断した上で、規格(大きさの分類)・品質(表皮のきれいさ、擦り傷の具合など)毎に分類する。その基準を周知するため、シーズンはじめには選果場でサンプルが表示され農家は「目慣らし」する。家庭選別したみかんは選果場で審査員に採点される。その採点結果と出荷量、および選果場の光センサーで測定された糖酸度や規格割合により、市場などでの売上金の配分割合が決められる。農家は通知簿となる採点結果や糖酸度結果を受け取り、次の出荷の参考にする。
電話であった「傷物やけど・・・」という声は、こうした家庭選別の過程でチェックされたミカンを意味する。頂いたみかんを見ると、「その傷物」の中から「目立たない傷物」だけを選んで持ってきてくれたことがわかるので、「そんなことない、エーみかんやんか・・・」と返答。

みかん農家が家庭で食べるみかん、それは傷物。M・Lなどの手頃な大きさで表皮がきれい、且つ糖度が高いみかんは商品価値がもっとも高い。美味しいみかんは、糖度が高く酸度が低いみかんで、大きさや表皮のきれいさとは無関係。美味しいみかんは目で決められない。味覚が決める。