近所のみかん農家が、手押し車でコンテナに入ったミカンを持って来てくれた。
ミカン農家:「これ、中生みかんの3Sやけど、食べてくれる? クズで悪いけど」と。
自分が好むミカンは、極早生の「ゆら早生」と早生の「宮川」で大きさは3Sサイズ。倉庫にはまだ食べきれないほどのミカンが残っている。
でも、わざわざ持って来てくれたので、「もらう・もらう。おおきに。貰ってばっかりで悪いなあ」と有難く受け取った。
ミカン農家:「この間、ウチも大根やら安納芋をもらっているし」
自分:「芋も大根も白菜も、たくさん余ってる。足らんようになったら言うてきて。大根の麹漬けも白菜の漬物も、もうすぐ漬け上がるし・・・」
ミカン農家は10月中旬から12月中旬までは、人を何人も雇ったりするほどの忙しさ。冬物野菜や漬物に構ってはいられない。
勝手気ままな我が家庭園芸では、立派な作物は作れない。そんな作物でも、彼等らは重宝してくれている。自分も規格外みかんの3Sを食べ放題させてもらっている。
怠惰な自分には自給自足は適さない。持ちつ持たれつの田舎暮らしは自分の性に合っている。
・・・・・生しらす・・・・・
知人から「コーヒー飲もか」と誘いの電話があり、喫茶店に行った。家庭園芸していた山の畑で草刈中に下の段に転び落ちて大腿骨骨折し、先日退院した知人だった。
彼が馴染みにしている喫茶店だった。先着していた。車に乗るのは支障がないが、まだ歩くのが不安で松葉杖を放せられないらしい。
知人:「この前、もらった富有柿、嫁さんと立派な柿やなあと言うてたんや」
自分:「おおきに。電話で柿もうないと言うてたので、少ないけど持って来たで」
知人:「おおきに。持って帰ってほしいもんがあるんや」。店の冷蔵庫から包みを取り出して持って来てくれた。
差し出されたのが、瞬間冷凍した隣町の「湯浅の生しらす」だった。この喫茶店で売っているらしい。
隣町は「醤油」や「金山寺味噌」が有名だが、漁港もあってシラス漁も盛んな街。「生しらす丼」を看板にしている店もある。
家内がスーパーで買ってくるシラスは釜茹でしたシラスばかり。新鮮な「生しらす」は漁港近くでないと手に入らないし、「生しらす丼」は店でないと食べられないとばかり思っていた。
「瞬間冷凍の生しらす」を売っているなんて、知らなかった。解凍すれば、どこでも「生しらす」が食べられると知った。
同じ有田なのに・・・「灯台下暗し」というよりも「世間知らず」なのかも・・・知らしめてくれたのは知人だったが、元を正せば我が家の柿が取り持つ縁だった。
・・・・・・・
中生ミカン・生しらす。
気ままな家庭園芸なのに、ロクに愛情も注いでいないのに、農産物達は文句を言うどころか自分に多くの恩恵を運んできてくれる。
農地を残してくれたご先祖と天の恵みに感謝・感謝!