地球にあしあと

地球の色々なところに足跡をつけてきました。

カミーノにあしあと 34

2010年12月16日 | Weblog
【34日目】7/29(木) Casanova → Ribadiso
6時起床。
先に洗面を済ませてから、ルーとスィナを起こす。

6時半には出発予定だったのに、案の定2人を待っていたら、出発は7時。

歩き始めてすぐに出て来たバルでコーヒーとエンパナーダで朝食にするが、コーヒーがまずく値段も高い。
そして何よりも人が多いことに、ますますSantiagoが近づいていることを感じる。


今日はルーに加えて、昨夜のアルベルゲで一緒だったスペイン人のマルコスとスロバキア人のトマスも一緒に歩いている。
Santiago目前になり、メンバーが一気に5人に…。



マルコスはSantiago郊外に住んでいるが、州政府運営のレストランでシェフをしており、Sarriaなど遠方での勤務が多いとのこと。





ルー、マルコス、トマス全員が20代の若者なので、ここへ来てこれまでとちょっと違った雰囲気の巡礼となる。
スィナも若者と一緒にいると楽しそうだ。



Casanovaから8kmほど先のMelideで一旦ドリンク休憩。
スィナ、マルコス、トマスの3人はバルでドリンクを買っていたが、ルーと私はバルの外にあった自動販売機でアクエリアスを買い、節約。






休憩していると、韓国人のカユンが通りがかり、それからずい分経ってからスヤンが通りがかった。
カユンとスヤンはここ2、3日一緒に歩いているのを見かけたが、たまたまだったようで、基本は1人巡礼のようだ。
スヤンはブラジルの国旗柄の黄色いTシャツを着ているのが特徴で、スペイン語が得意らしい。


Melideからさらに5、6km進んだところにBoenteという小さな町があり、そこの教会でスタンプをもらう。
Boenteに至る少し前から、スペイン人のフェルナンデスという青年が私たちに合流していた。
フェルナンデスは婚約者のお兄さんらと一緒に巡礼しているが、歩くペースはそれぞれなので、毎日どこかのアルベルゲで最後に合流しているそうだ。
スペイン語を練習したいルーがずっとフェルナンデスと話をしている。


教会でカユンに再会したので、私はしばらくの間カユンと2人で歩き、色んな話をする。
カユンはやはりカミーノの意味を考え続けていて、しきりにカミーノで悟り(?)を開いた友人と自分を比較して気にしている様子。
私はお姉さんらしく(下手したらお母さん?)、「カミーノで答えが見つかることを期待しない。ここで得たものがどういう風に自分への変化として現れるかは人それぞれだから。その場で悟りを得たように感じる人もいれば、何年もたってから徐々に現れる人もいるよ、きっと」と諭してみる。

カユンになぜポーランドに留学したのか聞いてみると、「自分で選んだわけじゃなく、お母さんの仕事でポーランドに行ったから」とのこと。
なるほど、外交官とかの娘だろうか。
それとも民間?
英語も上手だし、せっかくならポーランド語もマスターできればよかったのにね。
1年だけじゃ短すぎたか。


ついでに私も「ずっとスィナと一緒に歩いていると、色んな事を分かち合えて良い時もあれば、ストレスに感じることもある」と、ちょっと本音を暴露。


ここへ来てスィナは達成欲が出て来たらしく、「7月31日にSantiagoに到着したい!」としきりに言いだした。
私は時間的に余裕もあるし、特に節目の日にちとか気にしてないので、「体力的にも行けそうなら私も同じペースで歩くけど、きついと思ったら私は途中で離脱してゆっくりSantiago入りするから」と宣言しておいた。
そう、最後は1人でSantiago入りする覚悟で。

思えば私は全行程徒歩でとか、全泊アルベルゲでとか、そういう目標は一切持たずに巡礼を始めた。
が、偶然にもカミーノの相棒となったスィナが俄然やる気を出して、様々なところにこだわり始めたので、なんとなく流れに乗ってきたというのが実情だ。
老子の言うところの「無為自然」、「水の流れのように」といった感じで。


さて、カユンと哲学的な話もしながら歩いていると、Castañedaという集落にバルが現れたので昼食休憩に。
カユンはドリンクのみで先に出発して行ったが、残ったメンバーはゆっくりランチを楽しんだ。



今日は20kmちょっと歩いてAruzúaという町まで行こうと思っていたが、フェルナンデス情報によると、その一歩手前のRibadisoというところにあるアルベルゲは、カミーノで一番良いとのこと。
今日も暑くて疲れていたので、ひとまずRibadisoのベッドの空きを確かめてみることにした。

小さな橋を渡ってすぐのところにアルベルゲはあった。







宿泊料は5ユーロで、不織布のシーツもついている。
今日は予定より距離が短いけど、ここに決まり。
15:00にチェックイン。
このアルベルゲをイチオシしていたフェルナンデスは、婚約者のお兄さんが先のAruzúaで待っているというので、ここには泊まらず行ってしまった。



Ribadisoのアルベルゲは、小川に沿った広い敷地内に石造りの建物が何棟か建っており、それぞれが2階建になっている。
なかなか良い感じだ。

シャワーやトイレの設備もたくさんあり、キャンプもできる整った施設。
相変わらず家畜臭いけど。


ルーとトマスは嬉々として川に泳ぎに行った。

はしゃいだ若者たちは、こんなことになっていたようです。




日差しは結構強いけど、水は冷たいのに平気なのか。
若いなあ。
私はあとでちょっと足を浸すぐらいにしとく。




ちなみにこの川には牛も水を飲みに来る。







スィナは川べりでエリザベスを見つけ、おしゃべりに夢中になっているので、私はシャワーと洗濯へ。
洗濯物、よく乾きそう。





洗濯物を干し終え、部屋に戻ってみると、なぜかマルコスが肩を落としてベッドに座っている。
かなり凹んだ感じなので、どうしたのかと思うと、「問題発生だ」と力なく言う。

「どうしたの?」と聞くと、「これからシャワーを浴びようと思うのに、タオルを昨日のアルベルゲに忘れて来たみたいだ」とのこと。

私は手ぬぐいを4枚ぐらい持ってきていたので、「じゃあ私の手ぬぐい貸してあげるよ」と申し出てみたが、「僕の体は大きいから、そんなんじゃ足りない」と言う。
「2枚貸してあげるよ」と言っても、かたくなに断る。
そして、「どうしよう…」と悩み続けている。

「じゃあ、とりあえずTシャツで拭いとく?」と聞いても気乗りしない感じだし、受付でもらった不織布のベッドカバーを触り、「これはあんまり水を吸わなさそうだし」と言う。

「だったらやっぱり私の手ぬぐい2枚使いなさいよ。こっちの方が絶対良く水を吸うし」と勧めても、断固としてそれは受け入れない。

じゃあ、どうすんだ?
「受付の人に相談してみなよ。以前の巡礼者の忘れものとか取ってあるかもしれないし、何か貸してくれるかもよ」と言うと、力なく「そうだね…」と肩を落としながら受付へと向かって行った。
あんた、スペイン人で言葉に不自由しないんだから、なんとでもできるでしょ。
体は大きいのにウジウジしてるんだね。


ところで私が解せないのは、「マルコスはスキンヘッドなのに、タオルがなくて何をそんなに困ることがあるのか」ということだ。
今は夏だし、スペインの気候は乾燥してるので、シャワーを浴びて体を拭かないまま服を着ても、外にちょっと出てればすぐに乾く。
髪が長ければタオルがないと不便だとは思うが、スキンヘッドのあんたにとって一体何が問題だというのだ

あんまりおもしろいので誰かにしゃべりたくなり、川べりに出かけて行きエリザベスとスィナを見つけたので報告。
エリザベスは笑いながらも、「彼はちょっと人とは『違う』のね」とコメントした。

さすが学校の先生。
「変」とは言わず、あくまで「違う」という表現をするのですね。
大変勉強になりました。



ところで私の下のベッドに、熊の様な大柄でひげもじゃの男性が寝ているのだが、昼寝なのにイビキがうるさい。
しかも私たちが到着してからずっと寝てるんだけど、そんなに寝て夜はちゃんと眠れるのか?



ここのアルベルゲにはフランス人のマークが先に到着していたので、ディナーはみんなで一緒にとりましょうと約束する。

夕方、川べりに集合。
誰かが声をかけてきたのでふと見ると、かかとがパックリ割れていたスペイン人の青年ではないか。
未だ、足の負傷は痛々しい。


まだみんなそろわないので、マークと2人で川を眺めながら色んな話をしていると、なんだか別れが確実に近付いていることをひしひしと感じ、切なくなった。

ところでマーク曰く、「さっき橋の上に日本人巡礼者らしき人たちがいた」とのこと。
なぜ日本人と分かるのかと聞くと、「白装束に笠をかぶったお遍路ルックをしていた」と言う。
そうなんだ~。
でもその人たちはRibadisoには泊まらずに先へと進んで行ってしまったそうだ。
残念。


メンバーが揃ったので、アルベルゲの隣にあるバルでディナー。
ルー、トマス、マーク、エリザベス、マルコス、スィナ、そして私の7名。




食事も終盤に差し掛かると、酔ったスィナが歌をせがみ始めた。
おいおい、またかよ…。

結局、嫌がる人も全員巻き込んで、それぞれが自分の国の歌を披露することに。
マークはちょっと恥ずかしそうにフランス国歌のワンフレーズを。
エリザベスはオーストリア人らしく、ヨーデルを披露。
そしてみんなを促して、ヨーデルのサビを部分を手拍子の振りつけ付きで合唱。
大盛り上がりで、これが一番楽しかった。

私はと言うと…、案の定スィナの「あの歌うたってよ~」攻撃に勝てず、またもや「もしもしカメよ」を。
本当はカミーノでは「千と千尋の神隠し」のテーマ曲、「いつも何度でも」とかを歌いたかったのに、何が悲しくて毎回毎回「もしもしカメよ」を。
屈辱のカミーノだぁ!


みんなの歌を聞けてご機嫌も最高潮に達したスィナは、「ねえ、明日また集まってこのカミーノでのベストモーメントとワーストモーメントを発表しあいましょうよ!」と提案。
うざっ




部屋に戻ると下のオヤジはまだ寝ている…。
一体どんだけ寝るねん。

そしてオヤジのイビキが相変わらずひどいので、夜中に何度もベッドを揺すった。















本日の歩行距離:約18km
本日の歩数:30,941歩