『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1291

2018-05-21 07:59:08 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『オキテス隊長、今日のコースどりは、通常コースどりの逆コースどりで航走します。沖に吹いている風は東から来ています』
 『そうか、了解!コースどりはお前に任せる』
 一行を乗せた戦闘艇は建造の浜を離れていく、右手側からの風を受けて北上していく、20スタジオン(1.8キロ余り)くらい沖に出る。
 ギアスが慎重に風を読む、東から来ている風の風向は、やや北寄りの東風である。次いで風力を読む、帆走にほどいい風力と想定される。航走予定時間は一刻くらいである。
 ギアスは、あと少し沖に出て方向を転換しようとコースを決める。
 艇が方向転換地点に到達する、風はすこし強さを増している。
 艇の進行方向を西へと転じる、風ハラミを考えてやや南方向へと進行方向を調整する、帆張り、風のはらみ具合を見る、状態に満足して帆走をする。
 戦闘艇は、性能をいかんなく発揮する、波を割る、しぶきを風に飛ばす、追い風満帆、快調に海上を駆けた。
 その航走状態は、艇上の客人らを驚かせ、他船との差異を感じさせる。
 艇は小島の西岸に沿って南下する、南端に到って、進行方向を東に転じて、一刻余りの時間をかけての試乗航走を終えて浜に帰り着いた。
 艇を下りたパキオテ頭領、水夫頭らとオキテスは、試乗航走の感想談を交わす。
 『オキテス殿、新しい船を試乗させてくれて、ありがとう。いい船に仕あがっている。テムノス浜頭が言っていた通りの試乗感であった』
 『そうでしたか。ありがとうございます』
 『オキテス殿、夕食の件だが、言葉に甘えていいかな。世話になる』
 『そうですか、安堵しました。私らの気持ちを受け取っていただいて感謝です』
 ドックスが歩んでくる。
 『オキテス隊長、新艇の新舵構造の造作が終わりました。試走してくださってよろしいです』
 『おう、そうか。ごくろう』
 『パキオテ頭領殿、新舵構造の造作が終わりました。試走されますか?』
 『おう、新舵の造作が終わったか、ありがとう!早速、試してみる』
 パキオテ頭領が水夫頭に声をかける。
 『水夫頭、新舵の造作が終わった。試走する!準備してくれ』
 『はい、解りました』
 水夫頭が水夫ら一同を呼びに走る、造作を終えた新艇を海にだし、海と親しませる、出走の準備が整う、オキテスとドックスが同行する、新艇が浜を離れていく。
 水夫頭が戦闘艇の試乗コースをなぞって試走する、オキテスが試走のコースどりを案内する、小島の北端で進行方向を転換、西岸を南下して浜に戻ってくる。
 パキオテ頭領と水夫頭がオキテスに話しかけた。