『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1292

2018-05-22 07:48:06 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『オキテス殿、重畳、重畳!』
 オキテスは、舵を操作していた水夫頭に問いかける。
 『水夫頭殿、いかがでしたか?舵の操作具合、きれ具合、船の反応等は?』
 『いい具合です。すぐになじめると思います』
 『そうですか、安堵しました。ありがとうございます』
 『おう、ドックス、客人方は操舵に関しての不具合がない様だ。ごくろうであった』
 建造の浜では、アエネアスとイリオネスも試走を終えて戻ってきたパキオテ方の新艇を迎える。
 二人はオキテスらが交わす談論を傾聴する。
 オキテスが傍らに立つギアスに問いかける。
 『おう、ギアス、夕食会の手配だが、うまくいったか?』
 『はい、もう準備にとりかかってくれています』
 『おう、そうか。夕食会には、軍団長、パリヌルス、ドックス、お前ら一同も参加しろ』
 『ありがとうございます。ちょっと人数が増えますね。そのことを伝えてきます』
 『おう、そうしろ!』
 ギアスが人数の件を伝えに走る。ほどなく、夕食会の準備が整う、ギアスがオキテスに報告する。浜の今日が終わる。
 オキテスがパキオテ頭領に告げる。一同を夕食会の場に誘う。
 イリオネスが夕食会開催の言葉を告げる。パキオテ頭領が乾杯の声がけをする、浜焼きスタイルの夕食会が始まる。
 参加者一同が歓声をあげる、夕食会が盛りあがる、汲み交わす酒が旨い、口にする食材も一同が喜んでくれている。
 供されるパンは、風味豊かなニュースペッシャルパンである、彼らは舌鼓を打って口にする、過ぎるときを惜しんで夕食会が終わる。
 パキオテ方の一行は、ニューキドニアの浜の一隅に宿営する。
 『頭領、今日は何かと多忙でしたね。ごくろうでした』
 『お前もご苦労であった。しかし、オキテスも気を使って、ようやってくれたな。感謝、感謝だ!おいっ!寝るぞ!』
 パキオテ頭領と水夫頭が寝につく、身を横たえる水夫頭、瞼を閉じる、眠気がすぐにはやってこない。
 夜空を見あげる、満天に星が降るように瞬いている。
 宿営の場には、レフカオリ山から吹きおろしてくる秋を感じさせる涼風が海に向かってそよいでいた。
  
 ニューキドニアの朝が明ける。
 パキオテ頭領一行が浜の朝の活気に気づく、昇る太陽、射しこんでくる陽射し、彼らが起きあがる、展開している浜の風景を眺める。
 昨夕、顔を合わせた者らが各所にいる、海での水浴、朝行事を終えて浜にあがってくる者らの姿がある。
 浜に立っているアエネアスらと朝の挨拶を交わしている。オキテスやギアスの顔も見える。
 パキオテ頭領は、彼らの日常の朝の風景を眺めた。