『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1296

2018-05-28 08:41:35 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
場に渦巻き立ち昇る、サクセスのアップスパイラル、彼らから湧きあがるワーキングパワーが場を興奮させる。
 イリオネスが傍らにいる、パリオネスとオキテスに改まった口調で話しかける。
 『おう、これで今月、そして、来月の活動の方向が定まった。自信を持って、9月、10月の態勢の準備にとりかかれる。何か話し合っておくことがあるか?統領からは、何かありますかな?』
 『今のところ俺からは、これといってない』
 『そうですか』と言って、イリオネスは、パリヌルスとオキテスと目を合わせる。
 パリヌルスが手をあげる。
 『おう、パリヌルス、何かあるのか?』
 『今、私が考えているのは、新艇の構造に関することです。この機会に新艇の性能を向上させればどうかと考えています。新艇の走行安定性を戦闘艇の走行安定性に近づけたい。そのように考えています』
 『ということは、どのように考えてだ?』
 『完成した戦闘艇の走行安定性が他船に類を見ないくらいにいい安定性です。戦闘艇の構造の長所を新艇に取り入れたいと考えています。合わせて貨物等の積載能力を向上させた新艇もどうかなと思考を巡らせています』
 オキテスがうなずく。
 『確かにパリヌルスの言うように戦闘艇の走行安定性は、ヘルメス艇に比べると走行の安定性が向上していることが感じられます』
 『パリヌルス、それは戦闘艇の如何なる構造が関係していると考えられる?』
 『私の考えるところでは、衝角構造体構造にあるように考えられることです』
 『そうか、そういうことか』
 イリオネスは首をかしげて考える。
 『解った。今月中に答えを出せ!いいな。それによって方針を立てる。今月末日に会議を開く、その時に決める』
 パリヌルスと話し終えたイリオネスは、オキテスと目を合わせる。
 『ところでオキテス、営業の活動方針を明確にする。新艇の構造に関しても考えねばならない。船舶の建造に関して船台の整備についての報告等もある。月末の会議の議題を考えておいてくれ』
 イリオネスは、パリヌルスとオキテスにそのように申し渡して打ち合わせを終える。
 ドックスが同行の2名とともにオキテスの前に立つ。
 『オキテス隊長、出発の時間になりました。私ら三名、キドニアの集散所に行ってきます。建造の場は指示通り作業が進行しています。帰りはオロンテス隊長の便で帰ります』
 『おう、了解!何かがあればオロンテス隊長に相談すればいい』
 『解りました』
 ドックスら一行は、昼便が出航する浜に歩を向けた。