『統領、安全です』
『よしっ!クリテス、住民と接したときは通訳を頼む』
『判りました。クレタではギリシア語が使われています』
『そうか。そうであったな。そう言えば、お前の父上の話し方にミケーネ地方の言いまわしが含まれていたな』
『おう、軍団長。行こう。あの集落を訪ねてみよう』
『判りました。。パリヌルス、皆も行くぞ』
彼らは歩を運び始めた。目の届く一帯には人影がない。畑地は荒れている。海上とはうってかわって、海風が吹き付けていた。
集落の散在する一帯は浜よりやや小高い、人影は全くなかった。
『軍団長、これはどういうことだ』
『見ただけでは判じかねますね』
アヱネアスは、まず、一帯のライフラインのひとつ、水のありかを探った。頭の片隅にある神託の一句を思い出していた。『大河のほとり』ではない。彼は遠くはるかにクレタ島では2番目に高い孤峰の山を見ていた。
彼らは身をひるがえして、身体を海方向に向けた。さほど遠くない視界の中に小島を入れて目線を巡らせた。視野の左手側に水をクレタ海に運び入れている川を目にした。彼は考えた。
『砦の建設条件としては悪くはない。これくらいの条件で砦の建設立地を考えよう』彼は言葉とはせず心中に留め置いた。
パリヌルスとオキテスは、ギアスを連れて、集落の小屋と思しき建物を調べ歩いた。
『よしっ!クリテス、住民と接したときは通訳を頼む』
『判りました。クレタではギリシア語が使われています』
『そうか。そうであったな。そう言えば、お前の父上の話し方にミケーネ地方の言いまわしが含まれていたな』
『おう、軍団長。行こう。あの集落を訪ねてみよう』
『判りました。。パリヌルス、皆も行くぞ』
彼らは歩を運び始めた。目の届く一帯には人影がない。畑地は荒れている。海上とはうってかわって、海風が吹き付けていた。
集落の散在する一帯は浜よりやや小高い、人影は全くなかった。
『軍団長、これはどういうことだ』
『見ただけでは判じかねますね』
アヱネアスは、まず、一帯のライフラインのひとつ、水のありかを探った。頭の片隅にある神託の一句を思い出していた。『大河のほとり』ではない。彼は遠くはるかにクレタ島では2番目に高い孤峰の山を見ていた。
彼らは身をひるがえして、身体を海方向に向けた。さほど遠くない視界の中に小島を入れて目線を巡らせた。視野の左手側に水をクレタ海に運び入れている川を目にした。彼は考えた。
『砦の建設条件としては悪くはない。これくらいの条件で砦の建設立地を考えよう』彼は言葉とはせず心中に留め置いた。
パリヌルスとオキテスは、ギアスを連れて、集落の小屋と思しき建物を調べ歩いた。