『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY     第6章  クレタ  47

2013-03-06 08:26:56 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『統領、安全です』
 『よしっ!クリテス、住民と接したときは通訳を頼む』
 『判りました。クレタではギリシア語が使われています』
 『そうか。そうであったな。そう言えば、お前の父上の話し方にミケーネ地方の言いまわしが含まれていたな』
 『おう、軍団長。行こう。あの集落を訪ねてみよう』
 『判りました。。パリヌルス、皆も行くぞ』
 彼らは歩を運び始めた。目の届く一帯には人影がない。畑地は荒れている。海上とはうってかわって、海風が吹き付けていた。
 集落の散在する一帯は浜よりやや小高い、人影は全くなかった。
 『軍団長、これはどういうことだ』
 『見ただけでは判じかねますね』
 アヱネアスは、まず、一帯のライフラインのひとつ、水のありかを探った。頭の片隅にある神託の一句を思い出していた。『大河のほとり』ではない。彼は遠くはるかにクレタ島では2番目に高い孤峰の山を見ていた。
 彼らは身をひるがえして、身体を海方向に向けた。さほど遠くない視界の中に小島を入れて目線を巡らせた。視野の左手側に水をクレタ海に運び入れている川を目にした。彼は考えた。
 『砦の建設条件としては悪くはない。これくらいの条件で砦の建設立地を考えよう』彼は言葉とはせず心中に留め置いた。
 パリヌルスとオキテスは、ギアスを連れて、集落の小屋と思しき建物を調べ歩いた。


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