『トロイからの落人』 FUGITIVES FROM TROY 第７章 築砦 1182

　『オキテス、朝の打ち合わせをやる。スダヌス浜頭とクリてスを呼んできてほしい。あ～あ、それと４人分の朝めしももらってきてくれ』
　『はい！』
　オキテスが二人を呼びに行く、間をおかずに四人が顔をそろえる。イリオネスが顔を合わせて声をかける。
　『おう、おはよう、今日もいい朝だ。三人ともよく眠れたかな？マリアの蚊の来襲は並みじゃなかった。俺は少し早く起きて海に身を浸して、奴らの攻撃を避けた。これが正直なところだ。浜頭はどうであった？』
　『あ～あ、俺は蚊の来襲と暑さを天秤にかけて、暑さに耐えることにして寝についた。よく眠りました』
　『そうか、そのような方法があるのか。今夜はその方法を教わって眠るとする。浜頭よろしく頼む』
　『解りました。一同にも教えてやらなければならんな』とオキテス。
　『オキテス、浜頭に教わって、一同に教えてやってくれ』
　『解りました』
　イリオネスが改まって三人に声をかける。
　『朝めしをほおばりながら話す。異国のパンの味はどうかな？』
　『断食を破って口にするパン！旨いです』とオキテスとクリテスが答える。
　イリオネスがパンに噛みつく。
　『おう、いけるいける！オロンテスの焼くパンに遜色のない味じゃないか。浜頭はどうですかな？』
　『おう、旨いが、俺はオロンテスが焼いたパンがいい』
　彼らは、パンを評価しながら朝めしを終える。
　イリオネスが彼らに話しかける。
　『試乗会催行の段取りについて、俺の考えを話す。新艇の引き合いをいただいた客を最優先で試乗会を行いたいと考えている。そのように都合よく事が運ぶかどうかを気にかけている。そのようなわけで試乗の順序として、新艇が引き合いであるから、新艇を先に試乗してもらおうと考えている。スダヌス浜頭、オキテスはどう考える？その試乗を終えてから、試作戦闘艇に乗ってもらう。その順序で行こうと予定している。二人はどう考える？聞かせてくれ』
　スダヌス浜頭が口を開く。
　『軍団長、いま言われた順序で試乗してもらうことがいいです。それに賛成ですな』
　『私もそのように思います』とオキテスが言う。
　『よしっ！試乗順序はそれで行く！次は試乗してもらう際の乗船メンバーだ。エドモン浜頭、テムノス浜頭、両浜頭に同乗してもらう。集散所からは三人くらいかな、所長、リドラス担当長、ほか独り。当方からは、オキテス隊長、スダヌス浜頭、クリてス、そして、俺が乗る。乗艇乗員数３３人くらいになる。乗員人数限界に迫るが、いけると考えている。オキテス、そのあたりはどうだ？』
　『大丈夫、いけます』
　スダヌスが口を挟む。
　『軍団長、そのことを前もって、ギアスとゴッカスに伝えておく必要があります』
　『おう、解った。オキテス、前もって、このことをギアスとゴッカスに伝えておいてくれ』
　『了解しました』