『トロイからの落人』 FUGITIVES FROM TROY 第７章 築砦 1183

　『スダヌス浜頭にオキテス、何か聞いておきたいことがあるかな』
　『いえ、ありません』
　『漕ぎかたらだが、朝めしを終えただろうかな？』
　『真っ最中みたいですな』
　『今朝は、始業訓令をやる！オキテス、手配を頼む』
　『解りました。彼らのところへ行ってきます。ギアスに伝えなければならないこともありますから』
　『おう、ギアスだけではなく、ゴッカスにもその旨を伝えて心するように言ってくれ』
　オキテスが彼ら一同のいる場に歩を運ぶ。
　『オキテス隊長、おはようございます。いい朝です！』
　『おう、おはよう、いい朝だ！朝めしは終わったのか？』
　『もう、終わりますが、何か？』
　『おう、用件は二件ある。軍団長の始業訓令がある。それからお前に伝える業務詳細がある』
　『はい！始業訓令の件、了解いたしました。全員整列させます。軍団長に来てもらってください』
　ギアスがゴッカスに指示する。
　『おう、ゴッカス、軍団長の始業訓令がある。全員を整列させてくれ！１２人くらいの横隊列でいい！』
　『オキテス隊長、話を聞きます』
　『始業訓令のあとにする。ゴッカスも呼んでおいてくれ』
　『解りました』
　彼らの整列が整う、イリオネスが姿を見せる。
　『おう、全員揃ったか』
　イリオネスが彼らの前面に立つ、顔を合わせる、声をかける。
　『おう、諸君！』
　彼らを見廻す。
　『おはよう、いい朝である。今日は、この島、この地、マリアにおいて、新艇および試作戦闘艇の試乗会を催行する。我々が建造した船が試乗される皆さんに好印象を持ってもらうように操船することを要請する。それが引き合いされた客方から、結果として受注になる。そのようになるよう強く願っている。各員、奮励してくれ！君らの奮励がいい結果となる。以上である』
　『おうつ！おうっ！おうっ！』
　一同から喊声の返事があがる。
　イリオネスが場を見まわし、一同と目を合わせた。始業訓令が終わる。
　オキテスがギアスとゴッカスを呼び寄せる。試乗会催行の段取りを打ち合わせる。　
　『二人とも分かったな。その段取りで仕事を進めていく。船上においては話がどのように展開していくか、それはわからない。そこのところは臨機応変だ。以上だ』
　『了解しました。隊長、業務の遂行に力を尽くします』
　二人が口をそろえて言葉を返す、オキテスは、うなずき、事前業務の完結を意識した。