『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY     第6章  クレタ  57

2013-03-20 09:51:46 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 二人だけの話し合いは終わった。二人は宿営の場に向けて歩を運んだ。
 『オロンテス、ご苦労であった。明日の海岸線の視察には、クリテスを外して行く。クリテスはお前が連れて行け、そのほうが何かと都合がよかろう。以上だ』
 『ありがとうございます。そのように心配りをいただいて、おおいに助かります。軍団長、ここらあたりで』
 二人は同時に『お休み』の言葉を交わした。
 上陸をした浜を夜のとばりがつつんでいた。彼らが夜の長さを感じる冬の季節の始まりであった。
 夜が明ける、今日も快晴である、朝風が吹き通っていく。
 イリオネスはアヱネアスと今日の行動予定を簡単に打ち合わせて、アレテスらの待っているところへ来た。
 『軍団長、おはようございます』
 『おう、おはよう。皆、そろっているか』
 『そろっています』
 『では、今日と明日の二日間、君たちにやってもらう視察調査の要点について話そう。調査班はアレテス班とリナウス班の2班だな。先日は8名を二つに割って、4名づつといったが、2名づつの2班とする、いいな。留守を託する責任者がいなくなる。調査区域は、アレテス班はこの区域だ。リナウス班はこの区域だ。判るな』
 イリオネスは、木板に木炭で海岸線らしき線を引いて、地図とは言えない図を見せて、無造作に丸を描いて区域割りしたものを4人に見せた。


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