『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY     第6章  クレタ  56

2013-03-19 09:16:20 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おう、オロンテス、よく言ってくれた。俺も気にかけていることである。今、お前の言ったことに対して、手持ちは有り余るとは言えないまでも十分に事足りると思っている。安心してくれていい、今一度点検して、俺なりに計ってみるが、日を選んでお前にも計って、支出の計画を立てねばならんと思っている。その計画が出来次第、統領を囲んで、主だった者たちに計ろうと心している。お前、いい指摘をしてくれた。俺として心から礼を言う。なかなかおれ一人の判断では対処できない部分もある。今後の事を充分に考えて計画を練ろう。本当にお前に心から礼を言う』
 『判りました。では、そういうことで。軍団長、私の申し出をよく聞いていただいてありがとうございました』
 『オロンテス、よろしく頼むぞ。お前がいることで俺もとても心丈夫だ。ありがとう』
 二人の会話は、『ありがとう』に『ありがとう』で返す、互いの感謝が交差した。
 この時代、人間が生活を立てていくうえで自給自足の時代であり、集団として意思を通す場合は、力でその意志を通さねばならない時代である。しかし、この集団は、状況に対応した健全と言える志向をもって、形成されつつある社会に対応していたといっていいのではなかろうか。


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