『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1184

2017-12-15 05:30:02 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 イリオネスが率いる一行が新艇の試乗会を催行しようとしているクレタ島マリアの海岸の浜は、この時代では、波打ち際より約200メートル、延長約15キロメートルに及ぶ白砂の海岸である。絶え間なくクレタ海の波が打ち寄せる遠浅の海岸である。
 今の時代は、多くのリゾートホテル、瀟洒なリゾートキャビンが立ち並んでいる。
 その海岸の一画に構築されている係留岸壁は、マリアの宮殿、集散所から北の方角にあたる海岸に石積みで構築されている船溜まり岸壁である。
 この時代の船舶は木造船である、マリアの集散所に訪れる船といえば、中型船、漁師連の数人が乗る小船の類である、船の喫水は深くはない船である。
 そのようなわけで造られている船だまり岸壁の海の深さは深くはない。成人男子の背丈くらいである。
 その岸壁は、マリアの集散所から約1キロ足らずである、歩いての所要時間は約12分くらいのところである。
 
 試乗会催行に待機しているイリオネスら四人は私語をひかえて待っている。ギアスにゴッカス、二艇の漕ぎかた連中は、係留している二艇の近傍に待機して試乗会催行開始の時を待っている。
 イリオネスが太陽を仰ぎ見る、頃合いを計る。(今様時間にして午前8時ころ)彼はオキテスに声をかける。
 『おう、オキテス、もう、そろそろだと思うが、エドモン浜頭ら、集散所の連中の姿が目に入らんか?』
 『そうですね。まだ目にしませんな』
 『そうか、目についたら声をかけてくれ』
 船だまりの係留岸壁に船が到着し始める。相次いで船が着く。岸壁がにぎわい始める。
 彼らガ岸壁に係留している新艇、試作戦闘艇を目にする。声高らかに話す声が聞こえてくる。
 『おう、目にしたことのない船が停泊している』
 『ちょっと覗いてみようぜ!』『2本帆柱の船か』
 『リドラス担当が言っていた船だな』『試乗会をやるといっていた船はこれか。帆柱が2本とはな』
 『帆張りしたら、どんなカタチで海の上を走るか見てみたい』『おう、用事を済ませたら乗ってみるか』
 『お前、午後の予定はどうなっている?』『乗ってみる時間が造れるかな?』
 『お前、時間ができたら声をかけてくれ』『おう、心得た』
 『俺はだな、先日、2本帆柱の船を目にした。あの船と同型の船だな。あの船はレテムノンから来たと言っていたな』
 『考えてみれば、船の試しノリなんて初めてだな』『何としても、乗ってみる』
 『お前はどうだ?船の試し乗り、こんな機会はめったにない!何としても乗ってみる』
 『そうだな。後学のためだ。乗せてやると言うのなら、乗ってみなくてはな』
 二人連れの男性がオキテスに話かけてきた。


最新の画像もっと見る