『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  689

2016-01-08 05:41:29 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『ご両人、価格決定に至る段取りは、今、聴かれた通りだ。どう考えられるかな?』
 『スダヌス浜頭、ハニタス殿の言われた段取りで結構です。要は、確実実行です。承諾を伝えてください』
 『判った』
 スダヌスは真向かいの席にいるハニタスと目を合わせた。
 『ハニタス殿、今、言われた価格決定段取りを了解いたしました』
 『判りました。では、この段取りということで、この案件を進めます、いいですね。皆さんのほうでも新艇の価格について考えてください』
 ここでハニタスは、一拍の間を取って話し続けた。
 『それでは、ガリダ方と決着した新艇建造用材の価格はこの通りです』と言って、スダヌスとオキテスに用材の買取の総額を書き記した木片を渡した。
 オキテスとオロンテスは顔を見合わせた。二人は木片に書かれた数字を見ても、何なのかさっぱり解らない、理解に苦しんだ。これについては、会議を終えてからスダヌスに教えを請わなければ方法がない。会議の場で質すことはしなかった。
 ハニタスが一同に話しかける。
 『今日の会議で話したことについて、質問はありますかな。無いようであれば会議はこれまでとして終わります。次回会議は5日後に、この場所で開きます。ご苦労様でした』
 会議に出席していた五人は、話を交わしながら散会した。
 オキテスがスダヌスに話しかける。
 『浜頭、この木片に書かれたこの数字の事だが、オロンテスも、この俺もだが、どのように理解すればいいのか解らん。このことについて教えてほしい』
 『おう、そうか。それについては売り場へ戻って説明しよう』
 三人は魚売り場へと歩き出した。スダヌスは独り言ちる。『考えてみれば、そう言うことか。そうであろうな』彼は納得した。
 三人は、売り場の一隅で席をとって落ち着いた。スダヌスは、二人を前にして、会議で受け取って来た木片に見入る、おもむろに口を開く。
 『ご両人、お二人とも、このような数字、単位に関係のない部署を担当しておられる。これはですなーーー』
 彼は、じい~っと二人の目を見た。
 『これはですな、イリオネス軍団長殿が必要とする数字と単位ですな。このクレタは、ギリシアに統治されている、ゆえに経済の方、金銭に関する制度もギリシアの制度によって運営されているです、ギリシアで通用している貨幣は、クレタ島では使用してはいませんが、クノッソス、イラクリオン当たりでは使われ始めています。クレタでは、日常の事は集散所が取り締まって運営している状態です』
 スダヌスはここまで言って一息入れた。


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