『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  989

2017-03-16 14:19:04 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おう、ドックス、ようやってくれた、ありがとう、礼を言う。こうして眺める試作艇の全体像、なかなかいい、均整がとれている。水面からの舷の高さも新艇と比較して少々高い。これで40人が乗っても水面からの舷の高さの安全安心度が向上しているといえる。まあ~、海に乗り出してみないとわからないことだがーーー』
 『試乗結果を見たうえで改良点を見出して指示していただければ、直ちに修正します。その結果をもって2艇の建造に取り掛かります』
 『解った、この試作艇でレテムノン往復の新艇納入航海に出向く。その結果を検討して戦闘艇2艇の建造に取り掛かる段取りといこう』
 『解りました』
 『今日、このあと、ギアスが返ってきたら試乗をやる。誰かにパリヌルスを呼びにやってくれ』
 『はい!』
 『あ~あ、それから統領と軍団長にも連絡してくれ』
 ドックスは手すきの者に用件を指示した。
 オキテスは、しばし、考える間をとった。
 パリヌルスとオキテスが考えたのは海上を漕走する船速であった。漕ぎ方が力いっぱいの漕ぎでの船速が、いかなる船よりも速い艇構造の船にしあげたかった。
 二人の考えは、船速が歩速の4倍速を目標としているが衝角構造の関係で艇の重量が重くなっている。新艇より櫂座を2割多い24座で、これをクリアできるかが課題であった。
 
 この時代、この船は時速、ーーノットとか、船の速度に関する数値が存在していない。ただ『この船の船足が速い!』そのように話題にしていたと思われる。時代が下って西暦800年代ヴァイキングが使用した船が船速が10ノットくらいで航走していたらしい。10ノットの速さとは、人間の歩く速さの4倍くらいの速さである。時速約18キロ、100メートル20秒で走る速さである。また、展帆して外洋を航走するヴァイキング船の好条件下における船速は、12~15ノットであったらしい、帆は、船幅の2倍くらいに及ぶ横幅10メートルにも及ぶ一枚の横帆であった。
 ヘルメス艇を例にいうと懸命の力いっぱいの航走で歩速の約3倍速の時速13キロ(約7ノット)くらいであり、平常の漕走で時速約10キロ(6ノット弱)くらいであろうと考えられた。
 パリヌルスらの考えでは、懸命力漕の航走で歩速の3.5倍速の時速16キロ(約9ノット)、平常漕走で時速13キロ(約7ノット)の結果を出したいと望んでいた。
 この船速で航走すれば、ヘルメス艇でキドニアに行くのに費やしている航走1時間余りが50分くらいに短縮されるのである。
 古代も現代も人類は、『より速く』とスピードを追及しているといえる。


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