島の北西端地点で南に転進して15分くらいを経て、浜に着いた。
浜に着くなりパリヌルスはギアスに声をかけた。
『ギアス、あの走りは、どういうことだ。説明をしてくれ』
オキテスも怪訝な顔つきでギアスの表情を見つめた。
『はい、今日は風向き、風の力がいい条件でした。この機会を逃すまいと試行した操艇を試してみたというところです。しかし、あの走りはまだ完成の領域に達してはいません。なかなか試行する機会がないものですから。断りなくやったことについては詫びを言います。すみませんでした』
ギアスは少々低頭して詫びを言い、言葉を継いだ。
『ただ、あの走りの技術が完成した折には報告しようと思っていました。いま、もう少し時間を下さい。試行を重ねて研究いたします』
『判った。船尾の三角帆は、そもそもメインの帆の補助といったところのものとして取り付けたものであった。舟艇のかっこつけもあったのだが、走りの役に立つとは考えてはいなかった。ギアス、効果を出すには大きさだ!もっと大きくして試してみてくれ』
オキテスも話に乗ってきた。
『うっう~ん、課題だな。未来に向かって船が変わるかな?』
ギアスの言葉がド~ンと飛躍した。
『将来は、逆風でも船が進む時代が必ず来ますよ』
『おまえっ!何ってこと言う!そんな時代が来るわけないだろうが』
『いや、隊長お言葉ですが、いつの日か、そんな時代が来ますよ。私は、そう信じて毎日舟艇に乗っています。どこからでもいいから風さえあればと思うことがたびたびあります。風さえあれば思う方向に船を進めることができる。海が凪いでいて、どうしようもない時にそう思います。しかし、風なしではどうにもなりません』
『ほう、お前、そんなことを思っているのか』
話はとんだところに落ち着いた。
『おう、パリヌルス、今日の日は、まだ時間がある。どうする、明日を控えている。オロンテスのところへ行ってみないか』
『おう、そうしよう。忙しがっているかな?奴も一風変わったところがある、孤軍奮闘といったところだろう。まあ~、助っ人はいらんと言うだろう、が、懸念が消えん』
二人は申し合せてオロンテスのところへ向かった。
オロンテスは、製粉を担当している者たちと出来上がった小麦の粉を見つめながら話し合っている。
『これは少々粗い。これくらいまでに仕あげよう。でないと、いいパンに焼きあがらん』
『判りました』
『これくらいでないと、焼き上げがしっくりいかない』
『判りました』
オロンテスは出来あがった小麦の粉を吟味した。
彼は人の気配に気づいて顔をあげた。
『おうご両人。いかがされた?俺は、いま小麦の粉の出来具合を吟味していたところだ』
浜に着くなりパリヌルスはギアスに声をかけた。
『ギアス、あの走りは、どういうことだ。説明をしてくれ』
オキテスも怪訝な顔つきでギアスの表情を見つめた。
『はい、今日は風向き、風の力がいい条件でした。この機会を逃すまいと試行した操艇を試してみたというところです。しかし、あの走りはまだ完成の領域に達してはいません。なかなか試行する機会がないものですから。断りなくやったことについては詫びを言います。すみませんでした』
ギアスは少々低頭して詫びを言い、言葉を継いだ。
『ただ、あの走りの技術が完成した折には報告しようと思っていました。いま、もう少し時間を下さい。試行を重ねて研究いたします』
『判った。船尾の三角帆は、そもそもメインの帆の補助といったところのものとして取り付けたものであった。舟艇のかっこつけもあったのだが、走りの役に立つとは考えてはいなかった。ギアス、効果を出すには大きさだ!もっと大きくして試してみてくれ』
オキテスも話に乗ってきた。
『うっう~ん、課題だな。未来に向かって船が変わるかな?』
ギアスの言葉がド~ンと飛躍した。
『将来は、逆風でも船が進む時代が必ず来ますよ』
『おまえっ!何ってこと言う!そんな時代が来るわけないだろうが』
『いや、隊長お言葉ですが、いつの日か、そんな時代が来ますよ。私は、そう信じて毎日舟艇に乗っています。どこからでもいいから風さえあればと思うことがたびたびあります。風さえあれば思う方向に船を進めることができる。海が凪いでいて、どうしようもない時にそう思います。しかし、風なしではどうにもなりません』
『ほう、お前、そんなことを思っているのか』
話はとんだところに落ち着いた。
『おう、パリヌルス、今日の日は、まだ時間がある。どうする、明日を控えている。オロンテスのところへ行ってみないか』
『おう、そうしよう。忙しがっているかな?奴も一風変わったところがある、孤軍奮闘といったところだろう。まあ~、助っ人はいらんと言うだろう、が、懸念が消えん』
二人は申し合せてオロンテスのところへ向かった。
オロンテスは、製粉を担当している者たちと出来上がった小麦の粉を見つめながら話し合っている。
『これは少々粗い。これくらいまでに仕あげよう。でないと、いいパンに焼きあがらん』
『判りました』
『これくらいでないと、焼き上げがしっくりいかない』
『判りました』
オロンテスは出来あがった小麦の粉を吟味した。
彼は人の気配に気づいて顔をあげた。
『おうご両人。いかがされた?俺は、いま小麦の粉の出来具合を吟味していたところだ』
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