ギアスが話し続ける。
『私の経験上での話ですが、帆張りして航走する船で言えること事は、風が強くなり船速が速くなった場合において、櫂舵を操作しての走行方向の制御が不可能といった現象が起きます。そのような状態になったときの安心性が向上しているのではないかと想像されます。操船を責任担当している者は船上にいる者たちの生命を預かって操船しています。そう言う意味において、試作艇は安心性が高くなっている船と言えます』
『ほっほう、ギアス、海上ではそのような現象が起きるのか、お前の言うことにうなずける』
アエネアスは、イリオネスと目を合わせてうなずき合っている。他の者たちもギアスの話に聞き入っていた。
パリヌルスが話しかける。
『いま、ギアスの言ったことについて質問はないかな?』と、一同に向かって質した。
漕ぎかたの二人は、ギアス艇長の言う通りだと相槌をうっている。
パリヌルスは、話を進めていく。
『では、私からのつぎの問いだが、ギアス艇長、波割り航走状態の体感は、どのように感じたかを話してくれ』
ギアスが立ちあがり、この質問について話した。
『波割りは、ヘルメス艇に比べて少々違て感じられます。どのように違って感じるのかと聞かれても、ちょっと説明しにくいのですが、衝角構造が施されている関係ではないかと考えられます。艇が波を割って進む折のしぶきの飛び方に違いがみられます。艇が進むとき海面を割って進みます。波割る時の抵抗に対しては、舳先の構造を鋭くとがらせれば、それだけで海面を割りやすいと考えられますが、水面下の衝角構造の波割りに注目しました。艇が海面を押すときに発生する波を減殺して、舳先の先の造波抵抗に対応してなめらかといった感じで波を割って進んでいました。それに加えてヘルメス艇との航走感が違うのは、航跡の引き方の違いも関係があるのかなと感じました。どう言えばいいかわかりませんが、艇尾が引く航跡の泡立ちが違っているように思います。艇の進み方、走行感がヘルメス艇とは違って感じられました。私が体感したのは以上です』
これを聞いたオキテスが口を開く。
『ギアス艇長、お前の感性はすごいの一語だ!よくぞ、そこまで試乗で感じ取ってくれた、俺は感じ入っている。お前の言ったことの全てにうなずける。席を同じくしている一同は、どのように感じられたかだ?』と一同に問いかけた。
イリオネスが話し始める。
『そうだな、ギアスの言ったことにうなずける。試乗時の海上状況と違う風向、風力状態では波高、波長が違う、そのような海上状況下における、試作艇の航走状態を知りたいものだ。オキテス、そのあたりに気を配って納入航海に行って来てくれ』
イリオネスの言葉である、
これを聞いたオキテスは、レテムノン行きの試作艇はーーーと考えた。
『私の経験上での話ですが、帆張りして航走する船で言えること事は、風が強くなり船速が速くなった場合において、櫂舵を操作しての走行方向の制御が不可能といった現象が起きます。そのような状態になったときの安心性が向上しているのではないかと想像されます。操船を責任担当している者は船上にいる者たちの生命を預かって操船しています。そう言う意味において、試作艇は安心性が高くなっている船と言えます』
『ほっほう、ギアス、海上ではそのような現象が起きるのか、お前の言うことにうなずける』
アエネアスは、イリオネスと目を合わせてうなずき合っている。他の者たちもギアスの話に聞き入っていた。
パリヌルスが話しかける。
『いま、ギアスの言ったことについて質問はないかな?』と、一同に向かって質した。
漕ぎかたの二人は、ギアス艇長の言う通りだと相槌をうっている。
パリヌルスは、話を進めていく。
『では、私からのつぎの問いだが、ギアス艇長、波割り航走状態の体感は、どのように感じたかを話してくれ』
ギアスが立ちあがり、この質問について話した。
『波割りは、ヘルメス艇に比べて少々違て感じられます。どのように違って感じるのかと聞かれても、ちょっと説明しにくいのですが、衝角構造が施されている関係ではないかと考えられます。艇が波を割って進む折のしぶきの飛び方に違いがみられます。艇が進むとき海面を割って進みます。波割る時の抵抗に対しては、舳先の構造を鋭くとがらせれば、それだけで海面を割りやすいと考えられますが、水面下の衝角構造の波割りに注目しました。艇が海面を押すときに発生する波を減殺して、舳先の先の造波抵抗に対応してなめらかといった感じで波を割って進んでいました。それに加えてヘルメス艇との航走感が違うのは、航跡の引き方の違いも関係があるのかなと感じました。どう言えばいいかわかりませんが、艇尾が引く航跡の泡立ちが違っているように思います。艇の進み方、走行感がヘルメス艇とは違って感じられました。私が体感したのは以上です』
これを聞いたオキテスが口を開く。
『ギアス艇長、お前の感性はすごいの一語だ!よくぞ、そこまで試乗で感じ取ってくれた、俺は感じ入っている。お前の言ったことの全てにうなずける。席を同じくしている一同は、どのように感じられたかだ?』と一同に問いかけた。
イリオネスが話し始める。
『そうだな、ギアスの言ったことにうなずける。試乗時の海上状況と違う風向、風力状態では波高、波長が違う、そのような海上状況下における、試作艇の航走状態を知りたいものだ。オキテス、そのあたりに気を配って納入航海に行って来てくれ』
イリオネスの言葉である、
これを聞いたオキテスは、レテムノン行きの試作艇はーーーと考えた。