『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  442

2015-01-13 06:58:11 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 イリオネスが戸口の向こうへ声をかけた。
 『テカリオンどのかな?』
 『そうです』
 『おう、入ってくれたまえ』
 戸が開く、テカリオンが姿を見せた。
 『おはようございます。ややっ!みなさん、お揃いで。これはこれは』
 『おう、おはよう。かけてくれたまえ』
 『ありがとうございます。いつもながらお引き立てをいただいて誠にありがとうございます』
 イリオネスが話の口火を切った。
 『おう、礼を言うのは当方もだ。君の配慮があって当方も何かと、いい仕事で日々を過ごした。礼を言う、ありがとう。何はともあれ、小麦の決済をしてしまわないと気が落ち着かない。小麦の決済はどのようにしたらいいか、君の考えを聞こう。当方は、銀で決済をしてもいいし、キドニアの集散所の木札も保有している。君の意向を聞く』
 『判りました。ありがとうございます。私の希望を言います。集散所の木札をいただければ、私にとって何かと都合がよろしいのですが』
 『よしっ、判った。保有している木札で決済出来るか、出来ないか。保有している分で足りるか、足りないかだが、聞こうではないか。木札何千枚だ?言ってくれ。不足であったら、不足分は銀で渡す』
 『判りました』
 テカリオンは手に持っていた木板に木札の枚数を書いて、イリオネスに手渡した。イリオネスは、オロンテスにも数字を見るように促した。オロンテスは、小さな声で『いいでしょう』と言ってうなずいた。
 イリオネスはテカリオンに返事をした。
 『おう、テカリオン、承知した。木札で渡す、いいな』
 『ありがとうございます。伴の者を呼んで受け取ります』
 『オロンテス、その木札の入っている袋7個、また、一袋の口を開けて、中から300枚を数えてテカリオンどのに渡してくれ』
 『判りました』
 『テカリオンどの、その袋一つに木札は500枚入っている、それを7個、そして、ここに300枚、合計3800枚をお渡しする。受け取ってください』
 『ありがとうございます。確かに受け取りました、重ねて礼を申し述べます。ありがとうございました。ところで、どうしましょう。船には小麦を積んで来ています。今年も穀倉の西アジア地方の天候不順が懸念されています』
 『ほう、そうか。それをもらうか、もらわないかをオロンテスと打ち合わせる。ところで取引の方だが、『方角時板』そして、新しい道具として『風風感知器』がある。物を見るか』
 『はい、見せてください』
 イリオネスは、オキテスのほうへ顔を向けた。


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