『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第3章  踏み出す  192

2011-10-21 08:18:12 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『そうだな、パリヌルス。エーゲ海から地中海に出る。地中海は広い、大海原だ。そこに行き着くと思っていても、風の具合でどこへ運ばれるか、判ったものではない』
 『しかし、漠然とはしているが俺は思っている。必ず、一国を興す理想の土地に行き着けると信じている。その日は近くはないが、そんなに遠い日ではないと思う』
 『お前の言うとおりかも知れない。建国して何百年いや何千年と広い国土を統治する、その一点をこの広い世界から選ぶのだ。5年や6年の年月なんてどうって事はない』
 『お前、なかなかだな。とにかく乗り出そう。俺もお前も乗りかかった船だ。このことに命を賭けよう』
 『俺は、このことに命を懸けて悔いはない』
 『やろう!オキテス』
 二人はうなづきあった。二人は人選を決め、部下を走らせた。
 背後に人の気配がする。振り向いた。オロンテスとアレテスが立っていた。
 『おう、オロンテスにアレテス、昼から会議だ。昼めしを終えたら広間に来てくれ』
 『判りました。重大事が決まったようですね』
 『そうだ、言うとおりだ。重大事に乗り出す。命がけだぞ、いいか。降りるなら今だぞ』
 『何を言われる!俺たちが降りるわけはない!国の大事から』
 二人の気色が変わった。
 『おうっ!その意気、その覚悟だ。頼むぞ!お前ら忙しいのか、ちょっと相談に乗れ』
 『いいですとも』


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