『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1487

2019-03-05 07:29:57 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 木板を見つめてうなずくオキテスにパリヌルスが声をかける。
 『おう、オキテス、説明は不要だな。受注艇数13艇に対して在庫艇数に11月及び12月の建造艇数を加えて12艇であり、1艇不足となる。解るな』
 『お~お、解る解る!不足となる1艇が建造に取り掛かって出来あがるのが冬季のど真ん中である1月の末となる。至近の集散所への引き渡し納入として1月期の建造計画に組み入れる。そのうえで12月期の建造計画を立案すればと考えている』
 『おう、それでいい。その至近の集散所の発注艇を1月期の建造計画にいれて、1月期の建造計画を作成する。その1月期の建造計画だが、引き合い艇の受注動向を考えて計画立案する。決定は12月の末近くでいいと考えている』
 『おう、計画立案は、いま、お前の言った段取りでいい。まず、12月期建造計画を作成する。続いて、懸案の12月の引き渡し納入計画を考えて実行を検討する。その決定事項を集散所の飛脚便で関係筋に連絡する』
 『おう、それでいい。2月初めの引き渡し納入を当方の都合を考慮して、1月末納入として交渉すれば相手も承諾しやすいと考えられる』
 『そうだな』とオキテスが応えて木板に目を落とす、すかさずパリヌルスに声をかける。
 『キドニアの集散所からの受注の新々艇2艇のウチの1艇を1月期の建造計画に組み入れる、これが相手方と交渉しやすい。それでどうだ?』
 『いいだろう。明日、集散所と打ち合わせてみてくれ。返答には、三、四日の余裕を見る。引き合いから受注となった新々艇だ、客のほうも、よくよく考えて決断してくれたことだ。敬意を持って交渉にあたってほしい』
 『次の検討課題は、12月の引き渡し納入計画だ。計画立案をしたうえで、軍団長を承認を得て、今月末に決定する。実行は、天候が比較的に落ち着いている12月初旬に実行完了させる予定でこれを行う』
 『おう、それがいい!お前の言う通りだ。立案作業にかかるぞ!』
 二人は頭を突き合わせて検討志向する、あ~でもない、こうでもないとつくってはくずして計画がようやくにして出来あがる。
 オキテスの作成した計画に見入るパリヌルスがオキテスに声をかける。
 『おう、オキテス、この引き渡し納入計画の実行はきついぞ』
 『それはやむを得ない、俺の責任に帰する営業活動だ。これをやってのけてこそ、俺の責任が全うされるということだ』
 『了解した。何かがあれば言ってくれ。俺はそれに答える責任を持つ』
 『解った!ありがとう』
 パリヌルスは、オキテスの心情を理解して12月初旬に実行する引き渡し納入計画を了承する。
 二人は手を握り合った。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1486

2019-03-04 06:41:28 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 パリヌルスとオキテスの二人が昼めしのパンを咀嚼しながら話し始める。
 オキテスがパリヌルスの書いた木板の表に見入る、パリヌルスは、この時代にあって稚拙ではあるが、物事の状態を表を以って表す作表能力を持っていたと考えられる。
 『オキテス、それを見てわかると思うが、新々艇の1艇については、すぐに引き渡し納入することができる』
 『そうだな!』
 『しかしだな、その下に書いた表を見てみろ!今日は、もう11月23日だ。今月の建造艇の出来あがりが5日後に迫っている。引き渡し納入の実行計画、受注に対応した12月、1月の建造計画をきっちりしたものにしなければいけない。解るな。俺の思案したところでは、1艇の引き渡し納入が受注後70日になると考えられる。艇種は、交渉次第だ。関係筋と交渉打ち合わせが必要とするところだ』
 『解った。それが検討しなければならない重要課題だな』
 『それともう一つは、引き渡し納入実行の航海に関することだ。12月に予想される天候の件だ。風については予想はつかないが、10日に3日の雨の日が予想される。出来るだけ月の上旬に引き渡し納入をやれば、危険を回避できると考えられる』
 『そうか、パリヌルス、そこまで考えてくれているのか。引き渡し納入航海の件もあるのか。今日、時間をかけて検討する。パリヌルス、よろしく頼む』
 二人は、思案、検討すべきについて仕切り直しをする、検討課題の優先順序を決めて検討に及んだ。
 『パリヌルス、今月の建造出来あがり艇数による12月月初めの艇数を確認する』
 『それは木板の上段の表だ!解るな。戦闘艇が5艇、新々艇が2艇の合計7艇だ』

         12月月初における保有在庫艇数
            現在在庫艇数   11月建造艇数  合計

     戦闘艇      1         4      5
     新々艇      1         1      2
 
 『この7艇を12月月初めに引き渡し納入するのか』
 『そういうことだ。これをやるには総動員してやらねばならない。その覚悟で引き渡し納入をする。そのうえで12月に建造する全艇を1月に引き渡し納入して、残る1艇を2月に引き渡し納入して、今日までに受注した全艇の引き渡し納入が完了する』
 『下段の表が今日までに受注した艇数の明細だ』
  
                 今日までに受注した艇数
        保有受注艇数   展示試乗会受注艇数   引き合い受注化艇数 合計
   戦闘艇  レテムノン 1   マリア    1   レテムノン  1
        イラクリオン2  イラクリオン  2              7

   新々艇  キドニア  1              キドニア   2
                             イラクリオン 2   6
                             マリア    1
 オキテスは、木板をじい~っと見つめてうなずいた。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1485

2019-03-02 09:19:33 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 オロンテスがキドニアから新々艇の受注情報を持参して帰ってくる。
 『おう、オキテス!新々艇の受注だ!』
 『なにっ!受注が入ったと?』
 『おう、そうだ!集散所のトミタス担当から、新々艇1艇の受注の知らせがあった』
 『おおっ!それは重畳!ありがとう』
 『ところで、この受注だが、引き渡し納入を年内にしてほしいというのが集散所の希望だ』
 『了解した。今回の展示試乗会の報告の件もある、その受注した新々艇の引き渡し納入の打ち合わせに、明後日、集散所に出向く』
 『その件、了解!』
 『ところで、オロンテス、今日、パリヌルスと年内の活動計画と受注に対応した建造計画と引き渡し納入計画を立てる。明日の夕食後に打ち合わせたいと考えている。お前とパリヌルス、そして、俺の三人がこれを共有して実行しなければと考えている。よろしく頼む』
 『解った。その共有して実行するという計画の打ち合わせの件、そして、明後日、お前が集散所へ出向く旨、了解した。今日、聞いてきた新々艇の年内中に引き渡し納入の答えを出しておいてくれ』
 『了解した』
 打ち合わせを終えて、オロンテスは、会所に歩を向けて去っていく。

 日が変わる、朝行事の浜でオキテスがパリヌルスに話しかける。
 『パリヌルス、昨夕だがオロンテスが新々艇の受注情報を持ってきてくれた。今日、諸計画を総括して打ち合わせしたいのだがーーー』
 『おう、了解!だが、昼頃でないとお前のところへ行けない、それでもいいか?』
 『やむをえん、じい~っと我慢の子で待っている』
 昼近くになって、パリヌルスがオキテスの席場に顔を見せる。
 『おう、オキテス来たぞ!待たせたな。昼めしを食べながらだが打ち合わせといこう。オロンテスからの知らせについて説明してくれ』
 『おう、キドニア集散所からの新々艇1艇の受注だ。それで、引き渡す納入を年内してくれと言ってきている。明日のことだが、俺はキドニアの集散所に諸事の報告と打ち合わせに出向くことにしている』
 『解った。ここで答えを出すには、何としても、計画の総括が先だな』
 パリヌルスは、船舶の在庫艇数と建造計画を書き記した木板に見入る、頭をかしげる、思案する、即答を避ける。
 『オキテス、まあ~、めしを食ってからでどうだ?』
 『そうするか』
 二人は、ドックスが届けてくれた昼食のパンをほおばった。