![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/f9/1d50b2a091fb3091b0940a497ef9247d.jpg)
・・・・・・・・・
大人になれなかった子どもがいる
可哀想とか哀れだとか
そんなことではなく
時間が止まってしまった子がいる
そして人形になってそこにいる
みんな可愛いという
それはないだろう
・・・・・・・・・・
浅草田原町でのできごと
反対側の交差点から自転車に乗った年寄り二人
人ごみの中、自転車から降りて歩けばいいものを
そのまま自転車に乗ってきた
頼りない乗り方
蛇行している
老人だから、そう体の敏捷性があるわけではない
こちらにたどり着いたとき
向こうに向かって歩いている人の群れと交差することになった
そこで、中年の酒が入っている男とぶつかった
どのようなぶつかり方をしたか分らない
ぶつかったといってもぶつかった男が転倒したわけでもなく
怪我をした様子もない
でも、相手が悪かった
自転車に乗ることの非常識をなじり
ぶつかったことについて謝罪を求め
人にぶつかって謝ればすむという話ではないだろう
住所と名前を教えろと言いはじめました
老人夫婦は非をわび、懸命に許しを求めた
人目もはばからず大声で謝罪している。
信号待ちの人もいる
ちらちら横目で見ながら通り過ぎる
私もそのひとり
途方にくれている老人夫婦
私はその場を立ち去り、角の郵便局に入った
私は、現金を引き出してきた
その場所に戻っても、そこには誰もいなかった
と思ったら、大きな交差点の反対側にいた
老夫婦とビール缶を握った中年おやじ
そして、東京マラソンの警備に出ていた警察官
どのようなやりとりをしているか分らない
困り果てている老夫婦
金目当てなのか
気短な嫌がらせ好きなおやじ
迷惑そうな警察官
そんな風景を見ながら
地下鉄の入り口に入りました。
謝罪すればすむような話をここまでこじらせる
凄いエネルギーだとぼんやり思い。
きっと警察官が何とかしてくれるだろう
そんなことを思っていました。
人を困らせるとはいわないとしても
自分の自負心を傷つけないようにかくも執拗になれる
その人間的な情念に驚き
そして、少々感動した。
なぜかって
あの人のように言いがかりをつけ
執拗に謝罪を求めるような人は
日々、どのような思いで暮らしているのか
周囲の人はどのように接しているのか
想像しただけでも疲れる日々です。
「何もなく、心震えることもない」
それがなにより
あの老夫婦、帰り道どのような会話をしているのでしょう。
想像とは違った夫婦であるかもしれません。