2010年3月1日(月)、大学の実習サポートの仕事で構内のクロマツ林の間伐木の選定と園路のルート選定を行った。学生の作成した計画をある程度尊重しつつ、プロの目で手直しをしながら最終的に学生に説明を行うことになっている。今日は小雨が降る寒い日だったが雪も完全に消えて春の気配がする。前回調査に来た時と違うのは、林床の雪がなくなったことと異臭が漂っていることである。林の中に生えているツバキやトベラなどの常緑の葉の上が点々と白くなっている。匂いの正体はこれであった。構内の別の松林をねぐらにしていたミヤマガラスが工事で追われてこの松林に集団移転してきたためである。
昼間は全員出勤して行って留守になるが、夕方になると戻ってきて近くの電線が真っ黒い塊で埋め尽くされる。そのカラスたちがこの林をねぐらに使っているのだ。
それでも幸いなことにこのミヤマガラスは渡り鳥なので、もうすぐ海を渡って大陸に帰っていくはずなのだ。しかし、この匂いは簡単に消えそうにない。2時間ほど現場にいて会社に戻ると、なんか臭いですよと言われてしまった。
しかし、このカラスは草食性なので糞の中に色々な草や木の種が混じっている可能性が高く、春になると林床にばらまかれた種が発芽してくるかも知れない。これを種子の鳥散布というが、植生遷移に鳥がかかわる事例として興味深い。
〈林の中はカラスの糞だらけ。しばらくいると多少は慣れるが今度は衣服に匂いがしみついてしまう。〉
〈先月の雪で林縁のクロマツが幹折れしている。林内には折れた枝もたくさん落ちていた。〉