伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

2月定例会の議案「訴えについて」の質疑を紹介します

2017年03月19日 | 市議会
 16日に閉会したいわき市議会2月定例会では、3月6日に質疑も行っていました。

 議案第78号に関する質疑で、国保の滞納処分で差し押さえをした件について、執行停止と慰謝料等を含める訴訟で、高裁で市側が敗訴したことから、最高裁に上告するための議案です。

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6日に行った質疑

伊 藤
 10番、日本共産党いわき市議団の伊藤浩之です。
 議案第78号訴えの提起について、質疑をしてまいります。

  本案は市税等の滞納処分にかかる損害賠償事件に関し、滞納処分執行停止取り消し処分より前に行われた差し押さえは違法と認定し、第一審判決を変更して本市に損害賠償の支払いを命じた控訴審判決を不服として、最高裁判所に判決の取り消しを求める上告をしようとするものです。



 まず、市税等の滞納処分に係る損害賠償事件の高裁判決についてです。

 一点目、滞納処分執行停止処分とはどのようなものでしょうか。

財政部長
 滞納処分の執行停止につきましては、地方税法に定められている納税の猶予制度の一つであり、滞納者に滞納処分をすることができる財産がない等の要件に該当するときは、職権により滞納処分の執行を停止することができるとされているものであります。

 この処分により、執行停止の期間内は、停止にかかる徴収金の差し押さえをすることができなくなるほか、その執行停止が3年間継続したときは、納税義務が消滅するなどの効果を有するものであります。

伊 藤
 2点目、滞納処分執行停止処分の効力発生は決済日とする根拠とはどのようなものでしょうか。

財政部長
 地方税法の解説書や行政実例によれば、滞納処分の執行停止は、申請によらず職権によって行うものであること、また、その通知は、効力の発生要件ではなく、通知をしなかった場合でも効力に影響しないとされていること、さらに、納税義務の消滅にかかる3年間の期間計算の起算日は、滞納処分の執行停止が決定された日とされていることから、決済日から効力が発生するものと解されております。

伊 藤
 3点目、差し押さえはどのような場合に行われるでしょうか。

財政部長
 地方税法によれば、滞納者が催促を受け、その催促状を発した日から起算して10日を経過した日までに、その催促に係る徴収金を完納しないとき等の要件に該当するときは、滞納者の財産を差し押さえなければならないと定められております。

伊 藤
 4点目、差し押さえに至る一般的手続きはどのようなものでしょうか。

財政部長
 差し押さえにいたる一般的な手続きといたしましては、催促状を発した後、電話、文書、訪問等による催告を再三実施するとともに、休日納税相談などの折衝の機会を設け、納税相談や自主納付を促しております。

 それでも、相談に応じない場合や、早期の完納が見込めない場合などについては、財産を調査した上で、差し押さえが可能な財産がある場合には、差し押さえ禁止財産を除き、差し押さえることとしております。

伊 藤
 5点目、本件における差し押さえは、どのような手続きのもとにすすめられたのでしょうか。

財政部長
 本件差し押さえに係る滞納市税等については、平成22年度分であり、催促状発付後、再三にわたる文書催告や訪問徴収を実施してきたところであります。

 平成24年3月31日の滞納処分停止処分後も、3年間は納税義務が消滅しないことから、催告書を送付することなどにより、自主納付を促す一方、随時、財産の調査を行っていたところ、平成27年3月20日、国税還付金が発生していたことが判明したため、同年3月30日、滞納処分停止を取り消す起案・決済後、差し押さえ長所を作成・結成を経て、同時午後1時20分、いわき税務署にて国税還付金及び還付加算金請求権を差し押さえたものであります。

伊 藤 
 6点目、本件、損害賠償事件の概要はどのようなものでしょうか。

財政部長
 事件の概要といたしましては、被上告人が滞納していた市税及び国民健康保険税について、東日本大震災にともなう措置により、滞納処分の執行を停止する処分を行い、平成24年3月31日付け文書で通知しました。

 その後、平成27年3月、被上告人に国税還付金が発生したことが判明したため、平成27年3月30日、滞納処分停止の取り消し処分を行い、同日、いわき税務署に差し押さえ調書を送達し、国税還付金を差し押さえたところであります。

 このことを受けて、被上告人は、当該取り消し通知書を差し押さえ後の4月3日に受け取ったことを理由として、4月6日、滞納処分の停止取り消し処分が無効であり、差し押さえ処分は違法であるとして、異議申し立てがなされました。

 これに対し市は、顧問弁護士と相談の上、差し押さえが有効であるとし、5月1日に申し立てを棄却したところであり、その決定を受けて、平成27年8月6日、原告より福島地方裁判所いわき支部に提訴があったものであります。

伊 藤
 7点目、本件損害賠償事件の第一審判決の概要はどのようなものでしょうか。

財政部長
 第一審の判決におきましては、ある事項に関する法律の解釈につき、異なる見解が対立する余地がある場合、そのいずれについても相当の根拠が認められ、公務員がその一方の見解を正当と解し、これに立脚して公務を遂行した時は、国会賠償法上、ただちに、過失があったとすることは相当でないと解されること、また、地方税全体の趣旨ともいえる公平な税負担の見地から、納税義務を負い、かつ、納税する視力を有している者から速やかに税を徴収することが求められていると言えることなどを総合s亭考慮すれば、滞納者に対する通知が、執行停止の取り消しの効力発生要件ではないと解することに合理性があるなどとして、市の主張を認め、相手方の請求をすべて棄却するものであり、損害賠償金の支払いは認められなかったところであります。

伊 藤
 8点目、本件損害賠償事件の第二審判決の概要はどのようなものでしょうか。

財政部長
 第二審の判決におきましては、滞納処分の執行停止の取り消し処分に先立って、差し押さえの手続きに着手したと推認した上で、差し押さえが取り消し処分の前に行われたと認めるのが相当であるとするとともに、都市けししょお分については不服申し立てができること、取り消し通知に滞納処分を受けることがあるという警告の意味があるということを考慮すると、滞納処分の執行停止取り消しの通知は、効力発生要件であると解するのが相当であり、本件差し押さえは、執行停止中にされた差し押さえであるから違法であるなどとして、市に対し、国税還付金及び弁護士費用相当額の122万6,116円、及び平成27年8月14日から支払い済みまで年5分の割合の金額を支払うよう命じる一方で、慰謝料については、任意納付の機会は十分にあったと言えるなどとして、請求を認めなかったところであります。

伊 藤 
 9点目、第一審判決と第二審判決の相違点はどのような点にあるのでしょうか。

財政部長
 第一審判決と第二審判決の主な相違点といたしましては、取り消し処分がいつなされたかという点について、第一審では、平成27年3月30日付で決定たあったとする市の主張が特に問題とされなかったのに対し、第二審では、差し押さえが取り消し処分より前になされたものと認めるのが相当とされたことであり、また、取り消し処分の効力発生要件について、第一審では、通知の到達が要件ではないとする市の主張に問題はないとされたのに対し、第二審では、取り消し通知の到達が取り消し処分の効力発生要件とされたところであります。
 さらに、処分の違法性及び市の過失について、第一審では、差し押さえ処分に違法性はなく、市の過失もないものとされたのに対し、第二審では、取り消し処分の前に差し押さえが行われており、違法な処分であるため、国家賠償法上の過失があるものとされたところなどであります。

伊 藤 
 10点目、第二審判決中、本件取り消し通知書の作成日付が30日であるのに、控訴人あて差押え調書謄本の作成日付は、封かんした翌日である同月31日となっており、封かん作業が遅くなり、発送が翌日になることから31日付で作成したと説明されたという記述があるが、文書の取り扱い上問題があるのでしょうか。

財政部長
 国税還付金等の債権の差し押さえにつきましては、第三債務者に対する債権差押さえ調書の送達によって効力が生じることとされており、滞納者に対しては、差押さえ調書の内容を写し取った書面である謄本を交付することになっております。
 この謄本の交付時期につきましては、特に定めがないことから、文書を実際に送付する日付を記載したところであり、文書取り扱い上の問題なないものと考えております。

伊 藤
 10点目、同じく第二審判決中、いわき税務署に債権差押通知書を平成27年3月30日午後1時20分に送達した後、帰庁した職員が本件取り消し通知書及び控訴人宛差し押さえ調書謄本を「作成」し、決済を受け、2通一緒に本件封書に封かんしたとあるが、決済前に債権を差押えたのでしょうか。

財政部長
 国税還付金の差し押さえについては、平成27年3月30日、滞納処分停止を取り消す起案・決済後、差し押さえ調書を作成・決済を経て、同日午後1時20分、いわき税務署に、その差押調書を送達し、国税還付金等を差し押さえたものであります。
 その後に、作成しておきました、滞納処分停止取り消し通知書と債権差押謄本を一つの封書に封緘したものであり、滞納処分停止取り消しの決済前に債権差押を行ったものではありません。

伊 藤
 確認しますけれども、決済が先で、いわき税務署に債権差押調書を届けたのは決済の後だった、すなわち、高裁判決の認定はここを誤解した認定になっているっていうことでよろしいでしょうか。

財政部長
 市といたしましては、基本的に決済をしてから認定を行っていると考えています。
 
伊 藤 
 では、11点目、第二審判決には、平成27年3月30日にされた国税還付金の差し押さえは滞納処分停止による差し押さえの執行停止中にされたとの記述に対する執行部の見解はどのようなものでしょうか。

財政部長
 差押通知書については、収納支援システムで管理しているデータから出力しているものであり、滞納処分の停止がなされている滞納者の場合は、事前に、このシステムに取り消しデータを入力しなければ差押通知書の出力そのものができないことになっておりますことから、滞納処分執行停止取り消しの決済を行った上で、債券差押えの決済を行ったものであります。

伊 藤 
 次に高裁判決に対する市の不服とする点についてうかがいます。本市が第二審判決のどのような点を不服と考えているのでしょうか。

財政部長
 第二審の判決に対しましては、滞納処分執行停止取消の通知が効力発生の要件であるとしておりますが、当該通知が滞納処分執行停止の取り消しの効力に直接影響を及ぼすものではないと解されることは、地方税法において、事後的な手続きとして、「取り消したときは、通知しなければならない」と定めていること、執行停止取消の前提となる債権差押が第三債務者に対する送達により行われ、滞納者に対する通知は差し押さえの効力の発生要件とされていないこと、債券差押の解除や滞納処分の執行停止についても、同様に効力発生要件されていないことなどから、合法性があるといえるものであり、今回の対応について、県を通して総務省に確認したところ、効力発生要件ではないと解されるとの回答の受けているところであります。

 加えて、過去の最高裁判所の判例によれば、「法律解釈につき異なる見解が対立する場合、公務員がその一方の見解を正当と解し、これに立脚して公務を遂行した時は、国家賠償法上、直ちに当該公務員に過失があったものとすることは相当でない」とされておりますが、今回の事案については、国への確認等を踏まえると、ただちに過失があるとは言えないと解されるところであり、いずれにしましても。第一審と第二審において法律の解釈が大きく分かれており、今後の税務行政についての影響も懸念されますことから、最終的な司法判断を仰ぐ必要があると考えております。


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