いわき市遠野町に伝わる遠野和紙。継承者が途絶えようとする中、国の制度を活用した地域おこし協力隊が伝統和紙づくりの取り組みをすすめています。
遠野町では、同地区に伝わる、木桶、竹細工、野鍛冶などを継承する匠の里事業がすすめられ、その一環として和紙作りの継承がすすめられてきました。ところが、地域で唯一紙漉きをしていた方が、年齢の関係もあってやめてしまいました。その中、手業の会の方などが、紙漉きの方法などを継承していましたが、今年度には協力隊が募集され、本格的に伝統技術の継承をはかろうとしているのです。
昨年6月から協力隊が活動をはじめ、地域のボランティアとともに、夏から秋にかけては原料となるコウゾの栽培と取り入れなど和紙作準備を進め、寒期の訪れとともに、和紙作りがはじめられていました。
和紙作りは、遠野町の入遠野地区の遠野アート生活ギャラリー内に整備された遠野和紙工房「学舎」で行われています。近くを通りかかると人気があったので立ち寄って、説明を聞き、作業を見学させてもらいました。
和紙の原料となるコウゾ(楮)は刈り取られた後、黒皮が剥ぎ取られ、白い木肌とした後で、紙の原料となる「紙料」に加工されます。
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また紙を漉く時、トロロアオイなどから取る粘性が高い粘着物質「のり」が重要な役割を果たします。トロロアオイの幹を叩いて砕き、その幹を水の中でもむなどして抽出します。何度もこの作業を繰り返すと、数本の幹から大型容器に一つほどののりがとれるといいます。
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船と呼ばれる紙漉き用の容器に紙料とのりを溶かし、紙漉き用の溶液を作ります。この溶液をネットで調べると「船水」というようで、竹の棒でかき回し、いい頃合いになったら、さらに馬鋤(まぐわ)と呼ばれる大きな櫛のような道具で撹拌して「船水」とします。
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ここで新たな事実を教えていただきました。
のりと言われているので、私は文字通り接着するものととらえていました。つまり、紙料はコウゾの繊維ですから、この繊維と繊維を接着する役割を果たしていると思っていたのです。
ところがこののりは、船水の粘性を高めて紙料が均等に水の中に浮いている(混ざっている)状況を作り出す役割、いわば“溶剤”の役割を果たすのだそうです。
また、漉き上がった和紙は濡れたままで重ねていきますが、紙を漉く道具のスノコからきれいに剥離できるのも、こののりの影響だといい、「剥離剤」の役割も果たしているというのです。
のりは出来上がった和紙から検出することはなく、化学のりを使った紙との違いはここにあるといいます。
さて、船水を型枠とスノコでできた道具ですくい取って縦にふり、スノコの上に繊維を均等に広げます。厚みはスノコに広がった繊維の透き通り具合で判断するのだとか。
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ここで疑問がわきます。漉き上がった紙は、濡れたままで重ねていくと書きました。紙どうしがくっつかないのだろうか。
くっつかないのだそうで、この後、積み上げた紙に圧力をかけ、水分をきるのだそうですが、水分をきった紙は1枚1枚きれいに剥離できるのだそうです。
紙を漉く型枠は天井に取り付けられた竹製のバネ(釣り竿をイメージするとわかりやすい)に紐でくくられ、平行を保ち作業を効率よく進められるよう工夫をされています。この日の作業では、1ヶ所だけがバネに取り付けられていましたが、2ヶ所、4ヶ所など、人によって取り付け方は異なるといいます。
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でき上がった和紙は日干しや乾燥機を使って乾燥させます。乾燥した和紙を見せていただきましたが、日干しの方が柔らかい感じで、より良い風合いを持っている感じでした。
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こうした紙漉きの事業は地域おこし協力隊の方々だけでなく、地域のボランティアの手でも支えられています。コウゾの育成や収穫、コウゾの黒皮剥ぎなどはボランティアスタッフの手も借りて行われています。特に黒皮剥ぎは単調で根気がいる作業だといいますが、明日その作業がされるといいますけど、別の機会に行くしかないかな。
紙漉きを定着させるには、紙の活用を広げて、収入を上げる仕組みをどう作るのかなど、課題も多い。遠野地区の伝統工芸を伝える手業の会の方と話している中で、ドイツのマイスター制度が話題になりましたが、そういう制度を日本でも作って、伝統工芸の伝承者を育成させることを国家的に取り組んでいくことも必要だろうと思います。
それはともかく、地域の伝統工芸を伝承するためにどんなことが出来るのか、自分としても勉強してみたいと思います。
遠野町では、同地区に伝わる、木桶、竹細工、野鍛冶などを継承する匠の里事業がすすめられ、その一環として和紙作りの継承がすすめられてきました。ところが、地域で唯一紙漉きをしていた方が、年齢の関係もあってやめてしまいました。その中、手業の会の方などが、紙漉きの方法などを継承していましたが、今年度には協力隊が募集され、本格的に伝統技術の継承をはかろうとしているのです。
昨年6月から協力隊が活動をはじめ、地域のボランティアとともに、夏から秋にかけては原料となるコウゾの栽培と取り入れなど和紙作準備を進め、寒期の訪れとともに、和紙作りがはじめられていました。
和紙作りは、遠野町の入遠野地区の遠野アート生活ギャラリー内に整備された遠野和紙工房「学舎」で行われています。近くを通りかかると人気があったので立ち寄って、説明を聞き、作業を見学させてもらいました。
和紙の原料となるコウゾ(楮)は刈り取られた後、黒皮が剥ぎ取られ、白い木肌とした後で、紙の原料となる「紙料」に加工されます。
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また紙を漉く時、トロロアオイなどから取る粘性が高い粘着物質「のり」が重要な役割を果たします。トロロアオイの幹を叩いて砕き、その幹を水の中でもむなどして抽出します。何度もこの作業を繰り返すと、数本の幹から大型容器に一つほどののりがとれるといいます。
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水で揉んだトロロアオイをザルの上に置くと粘性のあるのりがバケツの中にたれ落ちます
船と呼ばれる紙漉き用の容器に紙料とのりを溶かし、紙漉き用の溶液を作ります。この溶液をネットで調べると「船水」というようで、竹の棒でかき回し、いい頃合いになったら、さらに馬鋤(まぐわ)と呼ばれる大きな櫛のような道具で撹拌して「船水」とします。
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ここで新たな事実を教えていただきました。
のりと言われているので、私は文字通り接着するものととらえていました。つまり、紙料はコウゾの繊維ですから、この繊維と繊維を接着する役割を果たしていると思っていたのです。
ところがこののりは、船水の粘性を高めて紙料が均等に水の中に浮いている(混ざっている)状況を作り出す役割、いわば“溶剤”の役割を果たすのだそうです。
また、漉き上がった和紙は濡れたままで重ねていきますが、紙を漉く道具のスノコからきれいに剥離できるのも、こののりの影響だといい、「剥離剤」の役割も果たしているというのです。
のりは出来上がった和紙から検出することはなく、化学のりを使った紙との違いはここにあるといいます。
さて、船水を型枠とスノコでできた道具ですくい取って縦にふり、スノコの上に繊維を均等に広げます。厚みはスノコに広がった繊維の透き通り具合で判断するのだとか。
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ここで疑問がわきます。漉き上がった紙は、濡れたままで重ねていくと書きました。紙どうしがくっつかないのだろうか。
くっつかないのだそうで、この後、積み上げた紙に圧力をかけ、水分をきるのだそうですが、水分をきった紙は1枚1枚きれいに剥離できるのだそうです。
紙を漉く型枠は天井に取り付けられた竹製のバネ(釣り竿をイメージするとわかりやすい)に紐でくくられ、平行を保ち作業を効率よく進められるよう工夫をされています。この日の作業では、1ヶ所だけがバネに取り付けられていましたが、2ヶ所、4ヶ所など、人によって取り付け方は異なるといいます。
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写真上部に見える竹がバネ
でき上がった和紙は日干しや乾燥機を使って乾燥させます。乾燥した和紙を見せていただきましたが、日干しの方が柔らかい感じで、より良い風合いを持っている感じでした。
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左側の紙が日干しで右側が機械乾燥。写真では違いは分かりませんね
こうした紙漉きの事業は地域おこし協力隊の方々だけでなく、地域のボランティアの手でも支えられています。コウゾの育成や収穫、コウゾの黒皮剥ぎなどはボランティアスタッフの手も借りて行われています。特に黒皮剥ぎは単調で根気がいる作業だといいますが、明日その作業がされるといいますけど、別の機会に行くしかないかな。
紙漉きを定着させるには、紙の活用を広げて、収入を上げる仕組みをどう作るのかなど、課題も多い。遠野地区の伝統工芸を伝える手業の会の方と話している中で、ドイツのマイスター制度が話題になりましたが、そういう制度を日本でも作って、伝統工芸の伝承者を育成させることを国家的に取り組んでいくことも必要だろうと思います。
それはともかく、地域の伝統工芸を伝承するためにどんなことが出来るのか、自分としても勉強してみたいと思います。
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