伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

定例会終了、討論に立ちました

2017年03月16日 | 市議会
 いわき市議会2月定例会は本日、本会議を開き、議案についての採決を行い、全ての日程を終えました。

 採決の結果は、提案された議案80件のうち、すでに採決を終えた2件を除く78件を、全会一致あるいは賛成多数で可決したわけですが、日本共産党市議団は平成29年度一般会計予算と平成29年度国民健康保険事業特別会計予算の2件に反対し、私が討論にたちました。

 討論は約9,681字、約27分間に及ぶものでした。少し早口でこの分量なので、討論が終わる頃にはへとへと。討論が終わってこんな疲労感を覚えたのは初めてだったのじゃないかな。

 また、全会派が一致した意見書6件と北朝鮮のミサイル発射に抗議する決議を採択しました。

 討論は以下の通りです。



平成29年度一般会計予算及び平成29年度国民健康保険事業特別会計予算への反対討論


 10番、日本共産党いわき市議団の伊藤浩之です。


写真は6日に行った討論時のものです


 私は、議案第37号及び議案第38号、以上2議案に反対の立場から討論いたしました。

 まずは、議案第37号平成29年度いわき市一般会計予算について申し上げます。

 本案は、東日本大震災からの復興の先を見据え、新・市総合計画基本構想に掲げる「めざしていく『いわき』の姿」を実現するために、
一つには「ふるさといわき」の力強い実現、
二つにはいわき創生の推進、
三つには持続可能な行財政運営の確立
を基本方針としながら、
ふるさといわきの力強い「復興」に向けた取り組みを最優先で進めるほか、さらなる50年に向けた魅力あふれるいわきの「創生」に取り組み、様々な方々と連携する「共創」のまちづくりをより一層すすめていくために編成されたとされています。

 そしてその予算には、震災から6年がたってようやくめどがたった側溝堆積物の撤去や、津波被災地における災害復興区画整理事業をはじめとした震災と原発事故からの復興をすすめる予算や、保育料の引き下げ及び長年の市議会の要望にも応える子どもの学習支援事業、体験型経済教育施設Elemの交通費支援事業、そして防犯灯のLED化促進事業など、市民の願いが一定計上された予算とされました。

 しかしここには、以下の問題がある予算が計上されています。

個人監視につながりかねない個人番号制度

 1つは、2款総務費、1項総務管理費、1目戸籍住民基本台帳費、及び7目企画費に計上されている、個人番号、いわゆる個人番号制度をすすめるための予算です。

 個人番号制度は、本議場でもたびたび議論されてきましたが、ネット回線を通じた情報漏洩や漏洩した個人番号及び個人番号カードの悪用などの危険性を指摘してきました。いよいよその問題点、危険性が鮮明になりつつあるのではないでしょうか。

 この間で見ても、インターネット回線を通じた個人情報の漏洩あるいは漏洩した恐れのある事例が散見される状況にあります。

 ある通信販売サイトでは、外部からの不正アクセスを受け、一部会員のメールアドレスとパスワードが流出した可能性があることが、3月7日に分かりました。

 また、住宅金融支援機構では、団体信用生命保険特約制度を利用するローン契約者の氏名、住所、電話番号、生年月日、メールアドレス、クレジットカード番号やセキュリティーコードなど4万3540件が流出した可能性があることが3月10日に発覚しました。

 また、このサイトの運営管理をしていた会社ではシステムの脆弱性をつかれた不正アクセスによりデータが流出。この中には「都税クレジットカードお支払いサイト」も含まれ、クレジットカードの番号、有効期限、メールアドレスも含む67万6290件が流出した恐れがあるといいます。

 さらに、日本貿易振興機構いわゆるJETROのウェブサイトも不正アクセスを受け、実務に関する相談者のメールアドレス2万6,708件が流出した可能性があることが、3月13日に判明しました。

 ウェブを悪用したこの種の犯罪は、なくなるどころか増える一方であり、ネット社会の怖さの一面を見せるものとなっています。

 本市は、個人番号制度いわゆるマイナンバー制度にかかわるシステムが、専用回線の利用によって外部から侵入できないようにしていることや情報の暗号化などによって情報漏洩に関する安全性を強調しています。

 しかし今後、銀行口座への利活用をはじめ個人番号制度が民間にも開放されるなど個人情報に紐づけられる情報が拡大するほど、情報漏洩のリスクを高まっていくものと思われます。

 おまけに政府は、発行されている個人番号カードを利用して「マイキー・プラットフォーム構想」を検討中です。

 このマイキー・プラットフォームは個人番号には直接関連付けられないようですが、個人番号カードを活用しようとするもので、その点では大きな問題があります。

 構想は、カードに組み込まれているICチップの中の電子証明書と自治体が利用できる空き領域を「マイキー部分」として利用して、個人番号カードを公共施設や民間の各種サービスを呼び出すための共通の手段とすることをめざすものです。

このプラットフォームは、先ほども申しましたように、個人番号とは無関係です。また、図書の貸し出しや物品の購入履歴等の情報は保有できず、カードの活用時は、行政窓口の職員や店員等にカードを手わたすことはない、などと説明されています。

 本会議の質疑で、本市の個人番号カードの交付枚数が、本年1月末現在で合計2万1924枚、交付率は約6.6%にとどまっていることが答弁されましたが、全国でも個人番号カードの交付はすすんでおらず、今回のマイキー・プラットフォーム構想は、カードの普及をすすめる手段としてひねり出されたものと批判がされている、そういうものです。

 このマイキー・プラットフォームには、個人番号以上に問題がありそうです。マイキー・プラットフォームでは、各個人が公的個人認証を活用して1人に1つと制限される「マイキーID」を作り活用することになるそうです。

 しかし、このマイキーID管理テーブルにどのような情報が紐づけされるかわからず、仮にマイキーIDと情報提供ネットワークシステム――個人番号と関連付けられた個人情報を関係機関でやり取りするための仕組みですが、マイキーIDとこのシステムが市町村など各機関に割り振る機関別符号が紐付けされれば、個人の行動を追跡把握するシステムとなり、個人のプライバシーを侵害する恐れがあることが指摘されています。

 そもそも、こうしたマイキー・プラットフォームの活用は、法律で規制がかけられる個人番号と違って全く法的規制がかかりません。電子証明書の発行番号が個人の識別コードになって個人番号の代わりに使われるにもかかわらず、です。そして、各種サービスの、このマイキー・プラットフォームの利用が拡大すれば、個人番号カードの機能を必要としない人でも、各種サービスを活用するために個人番号カードを所持することになりかねず、本来、本人の自由意思であるはずの個人番号カードの所持が強制されるという側面があるのです。

 さらに、この個人番号カードの活用は、社会保障や税、災害での利用とされていた当初の趣旨・説明がありました。しかしマイキー・プラットフォームはこれと異なる利用です。その全体像が説明されないまま、国主導で既成事実化していく。こういう問題もあります。

 先に述べた、電子証明書の発行番号が、個人の識別コードとして使われることは公的個人認証サービスの趣旨と異なるといいます。そして、個人番号制度は個人番号と符号を使った情報連携と説明してきました。マイキー・プラットフォームが構築されれば、個人番号ではなく、電子証明書の発行番号と個人番号制度で使われる符号を使った情報連携が、個人番号カードを使って行われるされるようになり、当初の説明と異なったものになります。ここにも説明と実態が違うという問題点があります。

 かつて私は、本議場で、近未来の、想像上の全体主義国家を舞台に、歴史が常に支配者に都合がよいように書きかえられ、それ以外の記録は許されないこと、そして国民が常に国家によって監視されている社会の恐怖を描いた作家ジョージ・オーウェルの「一九八四年」という小説に触れて、同じく国民監視の道具となりかねない個人番号制度を推進することには問題があることを指摘しました。

 マイキー・プラットフォームが導入されれば、文字通り個人監視が可能な形で個人番号制度の整備がすすむ。このことを考えれば、こうした制度については立ち止まり、市民が自由を享受しながら暮らすいわき市、社会の構築に向けてすすんでいくべきと思います。

 したがって、個人番号制度の活用に向けた予算の計上には問題があると考えます。

性格の変わった自衛隊への入隊激励予算は問題

 2つ目に、同じく2款1項14目諸費に計上される 自衛官募集事務費です。

 本事務費の計上額は2万6000円であり、うち2万5000円は自衛隊関連の予算として国から補てんされるものです。自衛隊入隊者の激励会に使われています。

 自衛隊の性格は、一昨年、政府与党によって採決が強行された安全保障関連法制いわゆる戦争法によって、それ以前とは全く違うものになりました。

 かつての自衛隊は、憲法解釈上の論争があったにせよ、専守防衛、すなわち、防衛上の必要があっても相手国に先制攻撃を行わず、攻め入ってきた勢力を自国の領域で軍事力、政府はこれを防衛力というわけですが、これを使って撃退する方針のことを意味していました。

 日本の領域が攻められたら、国民とその財産、そして国土を守るために武力も使って反撃する。これが自衛隊の任務だったわけです。

 ところが、安保法制はこれをガラッと変えてしまいました。

 それまで歴代の自民党政府は、個別的自衛権の行使はできるが、同盟国をはじめ他国の武力行使・戦争に加担する集団的自衛権の行使はできないとしてきました。ところが安倍内閣はこの考えを閣議決定で捨て去り、集団的自衛権行使をできるという憲法解釈を乱暴な方法で取り入れたのでした。。

 そして、集団的自衛権を行使するための自衛隊の具体的な任務として、
一つには同盟国すなわち米軍など他国が攻撃を受けた場合に、自衛隊が武力を行使して参戦する、
二つに、いつでも、世界中のどこでも、他国の領土で他国が行う戦争に自衛隊が駆け付け、武器、弾薬をはじめとした物資の供給を行う兵站活動をできるようした、
三つに国連PKO活動では、他国のPKO軍や民間人が攻撃を受けたり、戦闘などに巻き込まれた際に、武装集団との戦闘がありうることを前提に武装して駆け付け救援する駆け付け警護や宿営地の共同防護ができるようにしたこと、
そして四つに、平時においての米軍をはじめ他国軍の防護などをあげています。

 これまでは、自衛隊が海外に派遣されても、自らの身を守る、すなわち正当防衛の状況がなければ武器を使用できなかったものを、自らに危険が差し迫らなくても、むしろ積極的に戦場に出かけ、武器を使用できるところまで任務を拡大したのです。

 集団的自衛権の行使、そして、自衛隊に新たに担わせる任務には、憲法違反の疑いがあると多くの憲法専門家、国民が声をあげ、安保法制の廃止を求めています。

 そうした中で、昨年11月、青森市に駐屯する陸上自衛隊第9師団を中心にした施設部隊を南スーダンのPKO活動に派遣するさいに、駆け付け警護と宿営地の共同防護の任務を持たせました。

 憲法違反が問われるかもしれない任務を自衛隊に課したわけです。

 ところが、3月10日、大阪府で教育勅語を児童らに復唱させたり、「安倍首相がんばれ。安倍首相がんばれ。安保法制が国会を通過してよかったです」と復唱させるなど、その教育内容にも問題が指摘されていた森友学園の不正国有地払下げ疑惑が、熱を帯びて報道されているその最中に、安倍首相は南スーダンでのPKO活動は一定の区切りがついたとして、派遣中の部隊の活動を5月末を目途に終了、すなわち撤退することを、突然、発表しました。

 報道によれば昨年の9月には撤退の検討をしていたといいます。そして、撤退は治安の悪化が原因ではないと安倍首相はいっています。

 しかし本当なのでしょうか。

 これまで明らかになった派遣部隊の日報では、現地で戦闘があったことが明確に示されていました。

 防衛大臣は、これまで戦闘という言葉を使わなかったことについて、「事実行為としての殺傷行為はあったが、憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではないことから、武力衝突という言葉を使っている」と言い繕いました。しかしこれは、憲法の規定に合わせて現地の実情を捻じ曲げて判断していることを図らずも明らかにしたものと思われます。

 また、新たに今月16日に公開された日報では、自衛隊のPKO部隊が司令部を置くUSハウス周辺での射撃事案や窃盗事案がたびたび発生しているとか、今後の治安悪化の可能性に言及するなど、現地の治安悪化の状態を示す表記があったことが報道されています。

 また、「反政府勢力支配地域」との表記もあると報道されました。

 この表記は、反政府勢力が紛争当事者となっていて、政府と反政府勢力の停戦合意がない状態に陥っていることを示すことになります。従ってPKO参加5原則が満たされていない状態で派遣されている可能性が高いことが示されているのです。PKOへの派遣そのものの違法性が問われることになりかねない、そういう情勢になっているわけです。

 そうした情勢の中で、PKO部隊に駆け付け警護の任務を負わせたわけですが、これは、派遣の実績作りのためではないか、という批判もされています。

 このように政府は、安保法制にもとづく自衛隊の活動をしゃにむに進めようとしているように見えます。

 自衛隊を志す若者たちは、震災時に被災者を支援した自衛隊員を見て、自分も人のためになりたいと考えたり、攻め入る武装勢力から国民を、祖国・日本を守らなければならないと決意をもって入隊したものと思います。

 海外の戦場で命をかけて戦闘させることに性格を変えた自衛隊に、こうした若者たちを激励をして送り出す。この予算のほとんどは国から交付される予算であっても、自衛隊に代わって本市がこのような激励会を開催することには、非核平和都市宣言の趣旨からも問題があり、削除するべきと考えます。

事実上の強制・学校の多忙化に拍車・フッ化物洗口

 3つ目に、4款衛生費、1項保険衛生費、2目予防費のうち健康増進対策費に含まれるフッ化物洗口事業費です。

 本予算は、本年度、フッ化物洗口のモデル事業を、公立保育所で60人、公立小学校で200人をはじめ私立保育所、公立幼稚園、私立幼稚園などの計1,830人で実施するために計上されたものです。

 昨年、提案されたこのフッ化物洗口の根拠となる「いわき市歯と口腔の健康づくり推進条例の制定について」の議案に対して乳幼児等への応用を削除する修正案を提出した際に、私は、その安全性について議論が様々あり、使用の可否に決着がついていない状況と考えられる中、乳児期、幼児期、学齢期におけるフッ化物の応用を位置づける点には問題があると考えていること、また、市の基本的施策として子どもに対するフッ化物の応用が明記され、条例第3条に位置づけられた市の責務という観点でこの施策を進めることになれば、結果的にフッ化物の応用を市民に押し付けることになることを指摘しました。

 今回、本市では、一気にすべての学校で実施するのでなく、モデル校で実施して効果を検証すると、慎重に事をすすめる構えでいますが、それでも、修正案で提起した問題点は改善されることはないと考えます。

 なぜならフッ化物を応用した口腔の健康を市が条例に位置付けており、同時に、学校単位で実施するということになれば、そのこと自体が、フッ化物応用に疑問を持つ人のためらいを押しつぶしかねない状況を生み出すと考えるからです。

 あの原発事故の後、放射線の子どもに対する影響への懸念を子育て世代の方々が強く抱いていた頃、自主避難したくても、家族の理解が得られないことから不安を押し殺してとどまっている、いつも逃げ出してしまいたいと考えている、こういう訴えを聞くことがありました。

 このように周辺の多数の考えは、異なった考えを持つ人には同調圧力になって働き、本人にとって不本意な結果を導き出す圧力になりかねないのです。

 本市は、フッ化物応用に関する保護者説明会では、学校歯科医を講師に招聘し、フッ化物洗口の効果や安全性、過敏症状やフッ化物を過剰に摂取した場合の副作用などについても十分に説明を行うなど、保護者が正しく判断できるよう努める必要があると考えている」とし、また、保護者から同意書を取得して意向確認等を行うとしていますが、結局、集団で行うという実施の方法が、先ほど述べました同調圧力のような状況を作りだすものとして問題があると考えます。

 また、こうした洗口事業を学校等で行うことには、もともと教師の多忙化がいわれる中で、この問題を精査することがないままに、洗口という業務を増やすことが妥当なのかどうかが、よく検討されなければならないと思います。

 昨日ですが、臨時教員、つまり講師の先生ですね、この3人に1人が失職中にもかかわらず業務に携わった経験があることが、日教組のインターネットによる実態調査で分かった、と報道されています。

 この記事では失職中に業務に携わった臨時教員のうち3人に2人は、失職中に児童生徒らの個人情報を扱っていたといい、報道は次のように指摘しています。

 「多忙化が進む学校現場で、臨時教員が任用期間外でも業務を強いられている実態が浮き彫りになった。政府が働き方改革を掲げる中、臨時教員の任用の在り方にも一石を投じそうだ」

 少人数学級をすすめる福島県においても、多数の講師の先生が学校現場で教育に携わっています。本市において、この日教組調査のような状況あるのかどうかは、確認はされておりませんが、失職中の先生でさえ、業務に携わらなければならないほど繁忙な学校現場だとすれば、フッ化物の応用などの業務を持ち込んで、さらに多忙に拍車をかけることには問題があると言わざるを得ません。

 新年度予算では、公立小学校1校をモデル校として、フッ化物洗口の結果を検証するとしておりますが、学校の多忙化の検証と改善にこそ、まず力を注ぐべきと考えます。

効果の検証なく進む公民館嘱託化は問題

 そして4つ目に、10款教育費、5項社会教育費、2目公民館費に含まれる、公民館の嘱託化をすすめる予算です。

 来年度の予算では、5つの公民館に嘱託館長を導入することが前提の予算が計上され、この予算が執行されれば、嘱託化する計画の公民館30館のうち13館が嘱託館長の公民館になることになっています。

 公民館の嘱託化は、一般質問でその問題点などを論じてきましたが、公民館運営指針でめざす活動目標であります、
地域の学びを
「ささえる」、
「はぐくむ」、
「いかす」、
「むすぶ」場をめざして取り組まれるべき、
「学校、家庭、地域の連携による『子ども』の学びの推進」あるいは、「魅力ある講座づくり」などの具体的な取り組みが、
嘱託館にすることによってどう推進され、これが「ひとづくり」「まちづくり」にどう結んでいくのか、こうした観点から検証することが求められていると思います。

 質問に対する答弁では、中学校を対象とした市民講師育成講座を受講した高校生が、実際に講師を務める講座の開催までつなげた事例や、若い世代が自分たちの手でいわきを元気にする講座を開催した事例など、特色ある事例も展開されており、「ひとづくり」「まちづくり」につながる芽は出ているという趣旨の答弁がありました。

 しかし、「まちづくり」「ひとづくり」という観点から見たときに、その芽がどの方向に向かって伸びていくのか、あるいは伸びることができないのか、時間をかけて嘱託化の検証をはかることが必要だと思います。

 併せて、こうした効果の発揮につながる芽がでた活動のノウハウに学びながら、それぞれの地域の特色を生かした公民館活動を各館が展開できるように取り組んで効果の検証を図ることも必要だと思います。

 昨年の2月定例会に市長は、磯上議員の「若い優秀な職員を外部機関、いわゆる出先機関に出して育てるんだという考え方に変わりはないのか」という質問に、こう答弁しました。

「私は、就任当初から市の出先機関が非常に大事だと考えております。特に、支所あるいは公民館の業務に携わる職員の皆さんは、市民の皆様と直接接することが多いわけでありますので、その評価というのは非常に大きなものがあると思っています。そういう意味でも、若くて、まだまだ柔軟な発想を持っている優秀な職員をできるだけ支所あるいは公民館等の市民の皆様と接する部署に配置をすることによって、市役所のありようといいますか、市民のお役に立つところという認識を持っていただくというのが、非常に大事なことではないかと思っていますので、今後とも積極的に進めてまいりたい」

 このような答えです。

 その後、私が公民館の嘱託化はこの答弁に矛盾するのではないか、と質問したことに、市長は、若くて、まだまだ柔軟な発想を持っている優秀な職員を配置する公民館は連絡調整館だとトーンダウンをさせたように感じておりますが、いずれにせよ、若く、そして優秀な職員を育てる受け皿となる公民館を正規職員を減じていくのは、先ほど紹介した市長の答弁とも矛盾する内容を持っていると感じております。

 公民館運営指針に基づく公民館づくりにとって、嘱託化の有効性の検証をしっかりとすすめながら公民館の在り方を考えることが必要です。そのためにも新年度に新たに嘱託化をすすめる予算には問題があると考えます。

 議案第37号には、以上のような問題があり、そして、これらは、本予算案がめざす「共創」よるまちづくりと合致しないと考えますので否決とすべきです。

国保の資格証発行やめよ

 次に議案第38号平成29年度いわき市国民健康保険事業特別会計予算について、討論いたします。

 本案では、被保険者資格証明書いわゆる資格証を交付された加入者が、病気が悪化してから病院にかかり、場合によっては命を落としているという事例が、全国的にも確認されている中で、引き続き交付され続けるという問題があります。

 この資格証の取り扱いについては、本定例会で改善が図られたことが明らかになりました。

 これまで資格証を所持する方が、病気になった際に、市民協働サイドでは申し出があれば短期保険証を交付するとされておりましたが、現実の運用では簡単には交付されないという問題が発生していました。

 ところが、これに変更が加えられ病気の申し出があれば交付されるように取り扱いが改善されたというのです。

 こうした改善が施された点は、加入者の立場に立った措置として歓迎をするところです。

 しかし、問題は資格証を交付するという点にあります。

 樫村議員の一般質問で、本市の国保税の収納率は中核市47市の中で現年分で最下位となっていると答弁がありました。

 この原因は、滞納者に現年分と滞納繰越分がある場合に、延滞金が加算される滞納繰越分を優先して徴収するためと説明され、本市は滞納繰越分では9位、現年と滞納繰越分の合計では35位になっているとされています。

 滞納分が優先されるため、一部滞納者について、分割納付をしているにもかかわらず資格証が交付されるという問題がここから発生することにもなっているわけですが、このような状況になっている背景には、加入者の負担能力を超えて高すぎる国保税が課せられているという問題があるのではないでしょうか。

 本市の加入者は加入年齢は60歳以上が53.9%で、所得がない方から所得200万円以下の方は78.9%に及び、2割、5割、7割の法定軽減世帯は半数を超える56.6%にのぼっていると市民生活常任委員会で答弁があったといいます。

 所得200万円以下は、いわゆるワーキングプアで問題になった所得水準であり、国保加入世帯の生活の厳しさを物語っています。

 こうした問題に根本的にメスが入れられない状況の中で、いわばペナルティー的に資格証が交付されているわけです。

 この被保険者資格証の交付が法律に定められたとは言え、かつて当議会の中で質問に取り上げられたことがありますが、さいたま市では、資格証の発行が収納対策につながらないことなどが議論されたすえ、すべての滞納者と納税相談を行った結果、資格証から保険証に切り替えた事例があります。

 こうしたことを考えるならば、資格証根絶に向けて積極的な取り組みを本市でも行っていくことこそ求められているのではないでしょうか。

 本案は、本年度の収支の状況を踏まえて6月定例会に提案される本算定を前の暫定的な予算案ではありますが、この議案の事務費は被保険者資格証明書、いわゆる資格証の交付が前提になっている問題がありますので、否決とすべきと考えます。

 以上、討論してまいりましたが、満場のみな様の賛同を心からお願いをして、討論を終わりたいと思います。ご清聴ありがとうございました。



 実は討論が終わって心残りがあります。

 体験型経済教育施設Elemの交通費の助成について、無条件で評価するような形になっている点です。

 実は一般会計予算の討論の終いに一言、次のようにふれるつもりでした。

「この議案が、私の討論への議員各位のご賛同の元、否決されることになれば、市長が議会の意向を踏まえて何らかの予算の組み替えをした上で、あらためて新年度予算を提案することになると思います。先ほど教育福祉常任委員等の報告にもありましたが、体験型経済教育施設Elemの交通費支援分につきましては、付帯決議の採択が行われ事に示される改善を求める議会の石をお酌み取りいただきました対応をとられるようお願いしたいと思います。」

 時間が押していたので、この部分を飛ばして次の討論に移りました。

 考えてみれば、討論を終えた時、残時間は4分間を示していました。実際には討論がこの4分間の残時間にくい込んでいたので3分程だったでしょう。

 でも3分間あれば、この一言を討論の最後に加えることは可能でした。なんであの時、そこに気がつかなかったのだろう。覆水盆に返らず。過ぎた時間は帰らない。返す返すも残念です。


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