伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

代表質問の答弁2・原子力に依存しない社会と再生可能エネルギー

2015年03月14日 | 市議会
 2月定例会の代表質問です。本来は、全ての質問を読み上げ、答弁をまとめて受ける一括質問一括答弁の方式で行われています。このブログでは質問に対して答弁を差し込み、一問一答の形に編成しなおしてあります。今回が2回目。再生可能エネルギーの取り組みや原子力に依存しない社会実現への取り組みなど質問しました。

 質問全文は3月3日のブログ=http://blog.goo.ne.jp/hiroyuki19601121/e/ac54e413b623d4ada5215a7533a4316a=に掲載しました。



2 「原子力発電に依存しない社会の構築」の具体化に向けて新年度の取り組みについて
(1)原子力発電に依存しない社会に向けた本市の取り組みについて


 伊 藤
 次の質問は、「原子力発電に依存しない社会の構築」の具体化に向けて新年度の取り組みについてうかがいます。


福島での原発事故を契機に全原発の廃炉を決めたドイツ。そのドイツに一昨年、再生可能エネルギーを学ぶツアーでいってきました。宿泊した民宿です。

 2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所の事故で、多くの市民が自主避難したり、本市での生活に不安を感じるなど苦難に叩き込まれる中で、また農業、水産業、観光業など市内産業も大きな被害を被る中で、本市は策定した復興ビジョンに「原子力災害を克服するとともに、再生可能エネルギーの導入を推進し、原子力発電に依存しない社会を目指す」ことに挑戦することを策定した復興ビジョンに盛り込みました。

 それから4年が過ぎようとしています。国は策定したエネルギー基本計画に、原子力発電をベースロード電源とする位置づけを与え、全国の原発について再稼働の動きを強めています。また原発の海外輸出にも力を注いでいる状況です。

 原発の再稼働では、これまで20基が申請されており、このうち原子力規制委員会は川内原発1号基、高浜原発3号基、4号基で新基準による安全審査を終了させました。

 こうした状況の中で本市が掲げた「原子力発電に依存しない社会を目指す」という挑戦に、どのように取り組んできたのでしょうか。本市は原子力発電に依存しない社会の具体化の一つとして再生可能エネルギーの普及に取り組んできました。これまでどのような取り組みをすすめてきたのでしょうか。

 生活環境部長
 本市におきましては、市環境基本計画等にもとづき、これまでその恵まれた日照時間や豊富や森林資源を活用しながら、太陽光エネルギーと木質バイオマスエネルギーを中心とした再生可能エネルギーの導入を積極的に推進しているところであります。

 具体的には、市民のみな様に対しましては、太陽光発電システム、太陽熱高度利用システム及び木質ペレットストーブにかかる補助制度を実施しているほか、「太陽光発電に係る公共施設の屋根等貸し事業」等の再生可能エネルギー機器の公共施設への率先導入などに取り組んでいるところであります。

 伊 藤
 原子力発電に依存しない社会のためには代替エネルギーをどう確保するかが問題となります。

 原発事故後、再生可能エネルギーの普及が大いにすすみました。その取り組みをさらにすすめる事が必要だと思います。

 原子力に依存しない社会をめざし、今後どのような取り組みをすすめる考えでしょうか。また、地中熱の利用をはじめ、さらに事業の枠を広げることも含め再生可能エネルギーの普及に取り組むべきと考えますがいかがでしょうか。

 生活環境部長
 特に世界的な枠組みでの地球温暖化対策の必要性が高まっていることなどから、今後、どのように再生可能エネルギーの導入などをさらに充実していくのか検討することは極めて重要であると認識しております。

 このようなことから、現在、進めております市環境基本計画等の改定にあわせまして、議員お質のように、現時点ではほとんど利用されていない地中熱などの有効活用が可能かどうかの見極めも含め、再生可能エネルギーのさらなる導入促進策について、鋭意、検討してまいりたいと考えております。

 伊 藤
 原子力に依存しない社会をめざし、来年度はどのように取り組む考えでしょうか。

 生活環境部長
 来年度におきましては、今年度同様に、災害時に避難所等の防災拠点となる学校等へ太陽光発電システム及び蓄電池等を導入する「再生可能エネルギー導入等による防災拠点支援事業」のほか、再生可能エネルギー機器等を住宅又は事業所等に設置した場合の設置費用の一部助成などを実施する「再生可能エネルギー活用まちづくり推進事業」や、事業者に対し有償で公共施設の屋根等の貸出を行う「太陽光発電に係る公共施設の屋根等貸し事業」、さらには、市内の小学4年生に対し配布する「再生可能エネルギーの副読本」の作成や、市役所出前講座等における市民のみな様などへの普及活動を図ってまいりたいと考えております。

 これら所要の事業費につきましては、平成27年度当初予算に計上し、今定例会でご審議をたまわることとしており、市といたしましては、引き続き、市復興ビジョンの理念の一つに掲げる、「原子力災害を克服するとともに、再生可能エネルギーの導入を推進し、原子力発電に依存しない社会」の具現化に努めてまいりたいと考えております。


(2)原子力事故への対応について

 伊 藤
 原子力事故への対応についてです。本市は昨年3月に地域防災計画の原子力災害対策編を改定しました。

 この計画は国の「防災基本計画・原子力災害対策編)」と「原子力災害対策指針」及び「福島県地域防災計画・原子力災害対策編」にもとづいて作成されています。この地域防災計画原子力災害対策編の特徴はどのようなものでしょうか。

 行政経営部長 市地域防災計画原子力災害対策編につきましては、平成25年3月に、福島第二原発の単独災害を想定した暫定版として策定いたしましたが、国の原子力災害に対する専門的・技術的指針である「原子力災害対策指針」において、福島第一原発の取り扱いが定まっていない状況の中にあっても、当該原発の万一の事故等には常に備える必要があることから、市独自に福島第一原発を計画の対象に追加するとともに、東日本大震災の教訓を踏まえ、地震・津波などの大規模災害における対応のあり方や、「広域避難計画」にかかる基本的な方針等を内容に盛り込み、昨年3月に改定したところであります。

 伊 藤
 この防災計画を絵に描いた餅にせず、有効性を高めることが大切だと思います。その上で今後どのような取り組みをすすめる考えでしょうか。

 行政経営部長
 市といたしましては、これまで、市地域防災計画原子力災害対策編の内容を分かりやすく市民のみな様にお伝えするため、行政区長等を対象とした地区説明会の開催や、万が一の原子力災害に対する日頃からの備えとして、そのポイントを取りまとめた「原子力災害対応ガイドブック」を全戸配布するなどの取り組みを進めてきたところであります。

 また、今年度からは、地域における防災体制の確立を図るため、久ノ浜・大久地区を皮切りに図上訓練と実動訓練を組み合わせた原子力防災訓練を実施している所であり、今後とも、計画内容の普及啓発や実践の機会を通じて、市民のみな様に原子力防災の理解を深めていただき、当該計画の有効性を高めてまいりたいと考えております。

 伊 藤
 さて、昨年6月定例会では、東海第二発電所について、再稼働申請がされている現実を踏まえて、本市境まで50kmという位置的な条件からも、再稼働申請を断念するよう求める質問をしてきました。

 これに対しては、他の自治体のことであり、直接協議する権限がないということからその是非を評価する立場にはないという答弁にとどまってきました。

 また9月定例会では東海第二発電所など茨城県内の原子力施設も含めた複合的な事故の対応について答えていらっしゃいますが、計画が想定する原子力発電所は、東電福島第一原子力発電所及び第二原子力発電所ですが、茨城県の東海第二発電所への対応は、どのように考えているのかうかがいます。

 行政経営部長
 現行の市地域防災計画原子力災害対策編につきましては、福島第一原発及び第二原発を計画の対象としているところでありますが、東海第二発電所につきましては、現在、国の「原子力災害対策指針」において、原子力発電所からおおむね半径50㎞を目安とする「プルーム通過時の被ばくを避けるための防護措置を実施する地域」いわゆるPPAについて、その範囲や防護措置などの検討がなされておりますことから、市といたしましては、その動向を見極め、必要に応じて、計画の改定を行ってまいりたいと考えております。


(3)安心のくらしへ本市の取り組みについて

 伊 藤
 原発事故から4年が過ぎますが、だんだん被ばくに対する市民の不安を表立って聞くことがなくなってきました。

 放射性物質に対する市民の理解が深まり、被ばくのリスクへの考え方とその対応の理解が深まってきたことの現れかと思っていましたが、ことはそう単純ではないようです。

 最近になって、洗濯物をやっと表に干せるようになってきたというお話を聞くことがありました。「もういいか」と思ってというのがその理由で、この理由をどう解釈していいのか複雑なものがありますが、同じように不安に思っている方はまだまだいるようだ、というのです。

 考えてみれば水道水に関しても不安を持ち、飲料水などはペットボトルなどに頼っているという方もいらっしゃるようです。放射性物質に不安を持つ方が、その不安を潜在化させているあらわれなのだと思います。

 放射線量を測定し、汚染の状況を確認しながら、十分に小さい状況であるならば、その事実を広げることで市民の中に沈殿している不安を少しでも軽くする取り組みをさらにすすめることが重要な状況にあると思います。

 そこでまず、不安を解消するために、この間の取り組みはどのようなことをすすめてきたのでしょうか。

 行政経営部長
 主な取り組みといたしましては、市民の健康管理において、ホールボディカウンタによる内部被ばく検査の実施、食品や飲料水の安全においては、学校給食や自家消費作物及び水道水等の放射能検査の実施、市内の放射線量の把握においては、市内約2,000ヶ所の放射線量測定の実施、生活環境の放射線量の低減においては、子どもの生活環境である保育・教育施設及び公園等の除染や住宅等の除染を実施するなど市民のみな様の放射線に対する不安を払しょくするための様々な取り組みを実施してまいりました。
 これらの検査結果や測定結果及び除染の実施状況については、市ホームページや広報紙において公表するなど市民のみな様への情報発信に努めてきたところであります。

 伊 藤
 今後、いっそう取り組みを強める必要があると考えますが、どのようにお考えでしょうか。

 行政経営部長
 市といたしましては、市民のみな様が放射性物質に対する正しい理解を深めていただくため、原発事故にともなう放射線の影響などについて、市民と行政等の関係者間で、正確な情報を共有し、意見を交換しながら、その問題解決に向けた相互理解や合意形成を図るリスクコミュニケーションは重要であると考えており、市民の健康管理、食品等の検査、除染による放射線量の低減化などの取り組み状況と、それらの検査結果等について、市民のみな様の正確な情報発信を継続して実施するとともに、出前講座や市放射線量低減アドバイザーによる講演会等を精力的に開催するほか、広報紙や市ホームページなど様々な広報媒体を活用して放射線に対する正しい知識の普及・啓発活動のより一層の充実に向けて、引き続き、意を用いてまいりたいと考えております。


(4)再生可能エネルギーと原発の再稼働について

 伊 藤
 原子力に依存しない社会の実現には、省エネルギーに加え再生可能エネルギーの普及をすすめなければならないのは先に述べたとおりです。

 しかし、その障害としてあらわれたのが、再生可能エネルギーの電力会社による買い取り契約の保留の問題でした。

 固定価格買い取り制度は再生可能エネルギーの普及に役割を果たしますが、単価の低下とともに、東北電力などの地方では必要量以上の契約量となったことから、一旦契約を中断し、電力会社側で発電をストップできるようにすることを条件に契約を再開しました。

 こうした問題が発生した中で、いっそうの普及をすすめるにあたっては、送電網の整備をはじめとした課題の解決に政府として鋭意取り組むよう求める必要があると考えますが、いかがお考えでしょうか。

 生活環境部長
 再生可能エネルギーの促進にあたり全国的な課題となりました今般の電力会社における受け入れ強化策などの善後策の検討や、国の有識者会議での専門的な検討などを踏まえ、去る1月に国等は、出力制御などの固定価格買取制度の運用見直しの新たな措置を講じる事とあわせまして、福島県内にある東京電力の送電設備の活用など福島に対する特別な対応も実施されることとなりました。

 今般のこれらの国等の措置につきましては、全国各地地域からの国に対する要望等はもとより、昨年11月12日に東北市長会から経済産業大臣へ提出した要望書や、11月27日に福島県知事から経済産業大臣へ提出した要望書における提言等を考慮したものであると受け止めております。

 本市といたしましては、このような地域に共通する課題に対しては市長会や県を通じ、他自治体と歩調を合わせて早期の課題解決に向けて適宜対応をしてきたところであり、今後においても同様に、国等への的確な措置を求めてまいりたいと考えております。

 伊 藤
 再生可能エネルギーの本格的な普及をすすめる上で、国の新しいエネルギー基本計画には問題があると思います。

 この計画では、どのエネルギーでどの程度を賄うのか、いわゆるエネルギーミックスは決まっていませんが、原発をベースロード電源と位置づけて安定的に確保し、再生可能エネルギーはピーク時に役立つ電源程度の位置づけしか与えていません。

 一昨年、ドイツを訪ねた際に、同国では住宅の断熱改修などで省エネを進めながら、一方では固定価格買取制度で太陽光、風力、バイオマスなどの普及をすすめ、合わせて発電過程で生じた熱は、電力とは別に利用するなど、多面的な再生可能エネルギー普及の取り組みをすすめており、福島第一原発の事故を受けて原発をゼロにする決断をして、そのための取り組みをすすめていることを学んできました。


固定価格買取制度をテコに再生可能エネルギーの普及に取り組むドイツ。訪ねた農家は家畜の糞尿などを発行させたガスを使用した発電と熱供給事業に取り組んでいた。大型トラックのエンジンを動力とし発電をする。発酵後の糞尿は匂いもなく排出した農家に肥料として還元される。


ドイツの黒い森と呼ばれる山地で酪農をしていた農家は、EU内で関税が撤廃されることから農業経営に危機を感じ、再生可能エネルギー事業に活路を見出そうとしていていた。農地に市民出資で大型の風力発電機を設置し、その収益から配当を受け取る。

 同国は、万が一の際にはスイスやフランスなどから電力を輸入できるから日本とは条件が違うという批判を見たこともありますが、どういう方向性を持って取り組んでいくのかが最大の問題だと思います。

 そこで、再生可能エネルギーの普及には、原発をベースロード電源とする国のエネルギー基本計画を見直すことが必要だと考えます。本市としても基本計画の見直しをするよう求める必要があると思いますがいかがですか。

 生活環境部長
 昨年4月に策定された国のエネルギー基本計画では、「再生可能エネルギーについては、2013年から3年程度、導入を最大限加速し、その後も積極的に推進していく」こととし、「そのため系統強化、規制の合理化、低コスト化等の研究開発などを着実に進める」こととしております。

 さらに、「2030年の発電電力量に占める割合について約2割を上回る水準の導入をめざす」こととしております。
 本市といたしましては、引き続き、さらなる再生可能エネルギーの導入促進が図られるよう最大限に取り組んでまいりたいと考えております。

 伊 藤
 政府は原発の海外輸出の政策をすすめながら、国内では原発の再稼働をすすめています。原子力規制庁の安全審査が終わった川内原発では火山の評価が問題になり、高浜原発についても運転開始から39年が経ち老朽化の問題が指摘されています。

 遮二無二に原発の再稼働にすすむ国の方向性には問題がありますが、同時に国は原発事故がおきた福島県内でさえ「事業者が判断するもの」として、第二原発の廃炉の政治決断を避けている状況です。東京電力はというと、廃炉について「国のエネルギー政策を見極めて判断する」としています。

 国は「事業者が判断する」、事業者は「国のエネルギー政策をみて判断する」。賠償の問題でも、国は「損害賠償指針は最低基準であり、相当の因果関係があれば指針以外にも賠償される」と賠償の判断責任は東電にあると逃げ、東電は「指針に基づいて賠償する」として賠償の判断責任は国にあると逃げ、相互にもたれあいながら賠償からの逃避を繰り返されましたが、同様の問題が第二原発の存廃でも繰り返されているように見えます。

 住民の運動も県内原発の廃炉を強く求めています。こうした中で、県内の原発を全基廃炉とするために、本市としてどのように取り組む考えですか。

 行政経営部長
 市といたしましては、これまで、「県内原発の全基廃炉について、国及び東京電力に対して再三にわたり要望、申し入れを行ってきたところであり、昨年3月には安倍内閣総理大臣に対し、また、直近では、本年2月20日東京電力株式会社の廣瀬社長に対し、あらためて要望、申し入れを行ったところであります。

 今後も引き続き、福島県との連携を図りながら、国及び東京電力に対し、県内原発の全基廃炉について、要望、申し入れを行ってまいりたいと考えております。


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